記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

2018Gパトの夏 朝日2週目2日目 ヘリヘリ

2クール2日目の朝日小屋です。

例によって朝は忙しく働いて、

そこからラジオ体操。

第1、第2しっかりと。

それにして体が覚えているものですねえ。

 

f:id:arkibito:20180805055441j:plain

f:id:arkibito:20180805063251j:plain

f:id:arkibito:20180805063858j:plain

 

それからこの日スタッフで下山する人がいて、お見送り。

朝日岳方面でも、北又方面でも、

バンザイポイントというのがあって、

そこで小屋を発つ人は振り返って、

小屋に向かってバンザイとやる。

見送る我々もそれに応えてバンザイ!!

ちょっと照れくさいのだけど、

でも実際これはとても元気をもらえるし、

繋がってるなあって実感するのです。

この日も去り行く人にありったけのバンザイで送り出します。

 

f:id:arkibito:20180805065909j:plain

f:id:arkibito:20180805114245j:plain 

この日は朝から忙しい。

荷揚げのヘリがやってくるので、

周辺のスペースのゴミや小石、

その他風で飛ばされそうなものたちを撤収して待ち受ける。

そのうちヘリがモーレツな風と共に飛来し、

貴重な荷物をデポしていきました。

 

f:id:arkibito:20180805080144j:plain

f:id:arkibito:20180805080233j:plain

 

そのあと、スタッフの手の空いているので、

センターの裏手に集められた缶類を小さく潰す作業。

その辺に転がっているハンマーやら角材で、

ペシャリペシャリ。

これなかなかのストレス発散になります。

肉体労働の後は、おやつ!!

 

f:id:arkibito:20180805083734j:plain

f:id:arkibito:20180805092341j:plain

 

この日のお昼ご飯は、たまにはインスタント!!

いつも美味しい手料理を出してくれる朝日小屋ですが、

時にはこういうジャンクな味も恋しくなるものです。

たまらずUFOとカップヌードルの二刀流!!

 

f:id:arkibito:20180805110454j:plain

f:id:arkibito:20180805111830j:plain

 

午後からはパトロール任務で、

百名山朝日岳へと登ります。

さくさくっと30分ほどで上がってきました。

北アルプス最北の頂は何度来てもええですねえ。

 

f:id:arkibito:20180805124350j:plain

f:id:arkibito:20180805130815j:plain

 

山頂を後にし、この日は、

今回まだ歩いていなかった直登コースを下ります。

こちら側はまだ若干雪渓が残ってますが、

一方でさまざまな植物でも賑わっていて、

途中で野イチゴも発見。

 

f:id:arkibito:20180805132924j:plain

f:id:arkibito:20180805133245j:plain

f:id:arkibito:20180805133546j:plain

 

この直登コース、垂直まではいかないが

それなりにハードな傾斜で、

両サイドの木を頼りに、

えっほらえっほらと下っていきます。

途中から何やら騒々しいなあと思ったら、ヘリが飛来。

水平道整備のための資材を運搬するためです。

さっそう、分岐まで下りていくと、

ガッパ隊の皆さんが作業中。

ヘリは何度も何度も下界と往復しながら、

新しい木道を運んできて、

撤去した古い木材に付け替えて飛んでいきます。

もう、周辺の木々すれすれでホバーリングしながら、

あれだけ重く不安定なものを括り付けて、

ミスなく飛んでいくのですからお見事というしかないですね。

この少し前に群馬かどこかで

残念なヘリの墜落事故があったのですが、

こんな天候も風向きも一瞬で変化して、

生い茂る木々やせまる斜面と格闘しながら、

ヘリを飛ばすというのは

本当に危険で難しいのだなあと実感しました。

 

f:id:arkibito:20180805140341j:plain

f:id:arkibito:20180805135809j:plain

f:id:arkibito:20180805135931j:plain

 

しばらくそのの様子を観察したのち、

ガッパ隊の皆さんに挨拶を押して、ひと足早く小屋へ。

途中では早くも真新しい木道に張り替えられていました。

 

f:id:arkibito:20180805140731j:plain

f:id:arkibito:20180805143752j:plain

f:id:arkibito:20180805150748j:plain

 

小屋に帰還後は晩のお手伝いをして夕飯。

今宵の献立はハンバーグ!!

この日も平和な一日でした。

 

f:id:arkibito:20180805180851j:plain

 

f:id:arkibito:20180805180652j:plain

f:id:arkibito:20180805185123j:plain

 

つづく・・・ 

 

2018Gパトの夏 朝日2週目 おだやかな一日

さてさて、激動の1クール目を終え、

今日から2クール目に突入。

はりきって参りましょう!!

今朝はスッキリ快晴で、

眼下に富山湾、はるか向こうには能登半島の影も。

 

f:id:arkibito:20180804044557j:plain

f:id:arkibito:20180804062854j:plain

 

白馬山荘ではGパトの任務に専念していたが、

朝日では再び小屋の一員としてのお仕事も。

朝4時には起きて、朝食の準備と片付けと。

そのあと、朝ごはんをスタッフ全員でいただいて、

ラジオ体操のち、お茶タイムミーティング。

1週間ぶりでしたが、体がちゃんと覚えてます。

 

f:id:arkibito:20180804060019j:plain

f:id:arkibito:20180804064513j:plain

f:id:arkibito:20180804064910j:plain

 

午前中は、小屋の掃除や片付け、

ベッドメイキングなどに加勢し、

それからテン場の掃除など。

おやつはポップコーン!!

 

f:id:arkibito:20180804074958j:plain

f:id:arkibito:20180804093038j:plain

f:id:arkibito:20180804093828j:plain

 

全ての仕事が終了して、のんびりとお昼まで過ごす。

いつもの山行ならせわしなくせわしなく

次の目的地への移動に明け暮れるのだが、

この大絶景を前に、ただぼぉ~っと。

贅沢だわあ。

 

f:id:arkibito:20180804103921j:plain

f:id:arkibito:20180804104154j:plain

 

お昼ごはんにそうめんをかき込んで、

それからウネちゃんとギターの練習。

あまり人にものを教えることがないのだけど(そんな性分ではない)、

わかりやすく、伝わりやすいように色々とレクチャー。

教えるって難しくって、ヘタしたら学ぶ以上に難しいけど、

その分、そういうことを通じて、

実は自分が理屈をもう一度かみ砕いて理解する機会でもあって、

おかげでこちらもなんとなく上達してきた!

しかもウネちゃんは一応経験者で基本的な理屈はわかるので、

教えるたびに要領よくマスターしてくれるので、

なんだか楽しくなってきました。

まさか、山に入る前にはこれだけ山で

ギター三昧になるなんて思ってもなかったけど笑。

 

f:id:arkibito:20180804110059j:plain

f:id:arkibito:20180804122942j:plain

 

昼を過ぎると、麓の消防や関係者の方々がドドドッと上がってきて、

晩は酒盛り。

この日はひょっとしたら、

お客さんよりも小屋の関係者の人の方が多かったかもしれない。

朝日小屋あるある。

 

f:id:arkibito:20180804180158j:plain

f:id:arkibito:20180804180334j:plain

f:id:arkibito:20180804180339j:plain

 

ということで朝日小屋にもすっかり慣れ、

おだやかな1日でした。

つづく・・・ 

子連れツーリング 大阪渡船ゆるポタ

日曜の昼下がり。

長女とサイクリングへ。

フィブラ君に乗るのはフレッシュ以来だから、

かれこれ2か月ぶりくらい?

 

この夏はまた長女との一大プロジェクトをすでに進行させていて

その調査として大阪の渡船をめぐっておりますが、

今回はその第2弾。

今年はなんだかんだと船に揺られたり、橋を渡ったり、

ずっとしてますなあ。

 

 

前回は甚兵衛渡船場天保山船場

2つをクリアしているので

今回は残りの6つを繋いでいきます。

まずは自宅から梅田を迂回しつつ、堂島大橋へ。

土佐堀通で西進に転じるが、

中之島の西の端、船津橋の辺りが騒々しい。

沢山の消防や救急の車両が停まっていて、

橋の歩道部分は封鎖線で遮られている。

水辺にボートがたくさん出ていたので、

何かよからぬ事件か事故か。

ヘリも旋回していてただ事ではない感じだった。

 

そこを過ぎて、昭和橋から木津川沿いに京セラドームまで。

天気予報に反して、この辺りからピーカンで

あまりに暑いのでちょっとばかりドリンク休憩。

 

大正橋を一旦渡って浪速区に入り、そのまま南進。

アーチ型の木津川水門の少し先に1つ目の落合上渡船場があります。

川向かいには千島団地と千島公園が見えています。

ちょうどのタイミングで船がやってきて対岸へ。

わずか3分足らずの船旅。

f:id:arkibito:20190707141619j:plain

 

渡り切ってすぐに、リスタートして、わずかに下ったところに

次の落合下渡船場

木津川は全然人や自転車がスムーズに渡れる橋がないので、

北から、落合上、落合下、千本松、木津川と

4つの渡船が今なお現役で稼働していますが、

ここが最もこじんまりとしているかも。

 

f:id:arkibito:20190707145348j:plain

 

再び渡船で浪速区へと渡り、

そこから太平洋マテリアルの工場をかすめて、

通称”めがね橋”と称される千本松大橋のたもとにある

千本松渡船場へ。

河口へ近づくごとに、少しずつ川幅も広くなってきました。

ここもちょうどのタイミングで船が来たのでひとまず乗り込む。

 

f:id:arkibito:20190707150725j:plain

 

いったん大正区へ渡ったのだけど、

せっかくなので千本松大橋にチャレンジということで、

グルグルとプチクライム。

娘は淡路島でも皆の声援を受けて、

激坂急坂をこなしてきたので、

ヒルクライム能力はなかなかのもの。

ヒーヒー言いながらも足つきなしで登り切りました。

橋のテッペンからは、ハルカスはもちろん、

梅田スカイビル生駒山などが一望できました。

 

f:id:arkibito:20190707151405j:plain

f:id:arkibito:20190707151650j:plain

 

南津守へと下り、そこから南下して、

北加賀谷の旧名村造船所跡(現アートビレッジ)の前の

コンビニで小休止。

リスタートして、敷津運河を一旦またぐために

南港通に出て、階段押し歩きでクリア。

渡ってすぐを右折して、木津川渡船場に到着。

ここは時間帯的に本数が少ないため、

次の船まで30分待機。

 

f:id:arkibito:20190707163228j:plain

 

工場群である船町の島に渡り、

どストレートを長女がフルスロットルで駆け抜けたのだけど、

ちょうど目の前で船が行ってしまう。

小さな小さな場末の船町渡船場でさらに15分待機。

なにもせず、のーんびり船を待つ。

 

f:id:arkibito:20190707164642j:plain

 

鶴町に入り、IKEAを左に見やりながら大正通の末端へ。

蛇のようにくねる青色の千歳橋のたもとに、

最後の千歳渡船場

 

自分はここの風景が昔から本当に大好きで、

学生時代、自主映画サークルにいた時分に、

ここを舞台に映画を撮ったことがある。

当時はまだ千歳橋は工事中で、

橋げたしかなかった。

BGMにはキリンジの『サイレンの歌』。

 

他の渡船は、木津川、尻無川、安治川を渡るのだが、

ここだけは大きく広がる大正内港を渡るので、海を渡る渡船。

方々の川や運河から、大阪湾へと行き来する船も多く、

そこそこ波も大きく感じられてとっても旅情感がある。

くしくも長女と同じ小学校の頃にサイクリングで初めて

渡船を全部巡って以来、何度も何度も訪れているけれど、

本当に大好きな風景だ。

 

f:id:arkibito:20190707172335j:plain

 

無事に渡り切って、長女も、前回のライドと合わせて、

現存するすべての渡船を制覇したことになります。

そのまま直接帰宅してもよかったのだが、

暑さと運動で汗ベトベトだったこともあり、

銭湯へ行くかと聞いてみると、

絶対行きたい!ということだったので、そちらへ。

通り道だったので、前回乗った甚兵衛渡船場も渡って、

弁天町をかすめて、せっかくなので安治川トンネルへ。

地下トンネルは真夏でもひんやりしてて気持ちいいよねえ。

 

f:id:arkibito:20190707183027j:plain

 

そうして西九条を通過して、

毎度の千鳥温泉=自転車湯へ。

今日は桂さんじゃなくて奥様が番台。

お久しぶりですとご挨拶がてら色々お話し。

時間帯的に、ひょっとしてアニキとまたひょっこりはんできるかと

うっすら期待してたのだけど、

やっぱりそんな偶然は毎回はないよねえ。

でっかい風呂につかり、水風呂を何度もおかわりして、

すっかりリフレッシュ♪

長女もどうやら銭湯にはまりつつある様子。(でも熱い湯は苦手の様子) 

 

f:id:arkibito:20190708133922j:plain

 

本格的に暗くなる前に、

淀川左岸線を走って無事帰宅。

なぜだがラスト娘がいきなり本気出して、

千切られかける@@

ということ大充実の親子ツーリングでした。

 

f:id:arkibito:20190708132011p:plain

 

走行距離:36.3km

TOTAL:1124.3km

2018Gパトの夏 さらば白馬、朝日へ帰還

さてさて、白馬での1週間が終わりました。

この日は、朝日小屋まで大移動して、

またそこで1週間滞在してのパトロールとなります。

 

早立ちをするため、

いつものようにスタッフさんとではなく、

お客様と一緒のタイミングで。

スタッフの皆さんにしばしのお別れの挨拶をして

6時前に出発します。

 

f:id:arkibito:20180803050905j:plain

 

この日の天候がガスガス。

白いモヤモヤが周囲に立ち込め、

しかも結構風が強い。

三国境までの区間は慎重に岩場を抜けて、

そこから雪倉岳方面へ折れます。

ほとんどの人達は大池・栂池方面へと向かうので、

ここからは荒涼とした景色の中、ほぼ2人旅。

 

f:id:arkibito:20180803060759j:plain

f:id:arkibito:20180803062522j:plain

f:id:arkibito:20180803063147j:plain

 

鉱山道の分岐を過ぎ、鉢ヶ岳の巻き道を進んでいると、

登山道にでっかい塊。

よく見たらまだ出来立てホヤホヤの熊のフン。

ってことはこの辺にまだいる???

怖いよ@@@

 

f:id:arkibito:20180803070706j:plain

 

ガスガスの中、雪倉岳の避難小屋に到着し、

風が強いので室内でしばしの休憩。

そこから雪倉岳への上りへと入ります。

さすがこんなお天気なので、

ひょっこりとつがいの雷鳥さん、しかも2組。

 

f:id:arkibito:20180803074715j:plain

 

風も強く気温が上がらないまま、

それほどヒートアップすることなく、

雪倉岳に登頂。

風が強いぞ!!

この辺りで、先行していた登山客のみなさんに

ほぼほぼ追いつきます。

みなさん、なかなかお疲れモードのまま、

水平道について質問が飛びます。

あまり期待させても悪いので、

”悪名名高き”水平道についてありのままをお伝えし、

エールを送ります笑。

f:id:arkibito:20180803081829j:plain

 

山頂を過ぎ、どんどん下って、

いったん大きく東へと尾根を回り込むあたりで

前方から見慣れた二人組が。

朝日・白馬の2班のカメちゃんと姫です!

お久しぶり!!

元気そうで何よりです。

天候も不安定だし、それほどグズグズも出来ないのだけど、

10分ほど、作業の引継ぎだったり、

お互いの小屋の情報を交換したりしてのち、別れます。

また1週間後に無事で会おう!

 

 

 

f:id:arkibito:20180803084524j:plain

 

雪倉岳を下って下って最低鞍部までたどり着き、

 そこから赤男山をなぞりつつ、小桜平を過ぎ、

水平道と朝日岳直登コースの分岐へ。

ここら辺から、どうも周辺の様子が、

以前通った時から変わっている。

というのは、ここから先に続く水平道に敷設されている木道が

根こそぎ取り外され、

古くなった木が要所要所でまとめられて置かれている。

お盆から秋にかけてのハイシーズンまでに、

これら古くなった木道をガッパ隊のみなさんが

すべて新しいものに張り替えるのです。 

 

この木材1本でも70~80㎏あり、

冬の豪雪にも耐えれるように、

しっかりと固定されているのを、

1本1本手作業で引っこ抜く作業だけでも相当キツイ作業で、

それをヘリ搬出に備えて集約して、

また新しい木材を敷設しなおすのですから、

本当に大変なお仕事。

もちろん、ケガの危険もある。

ガッパさんをはじめ、KさんやEさん、

そしてシェルパのヌル爺、ヤンヌルさん、

みんな毎日でっかい弁当持って懸命に働いていらっしゃる。

山の安全はこういう人たちの地道な努力によって守られている。

ありがたや。

 

f:id:arkibito:20180803102429j:plain

 

水平道の水平道じゃないV字谷のところも、

谷の上部に歩きやすい道を新設していて、

あともう一息で完成しそうなところまで来ていた。

1週間前朝日小屋を発って、

ここを通過したときにはまだ雪渓の上を通過しないといけなかったが、

もう雪がほとんどなくなっている。

山の様子は日々刻々と変化していく。

 

f:id:arkibito:20180803104730j:plain

 

水平道を進み、鎖場も無事に通過、

その先の水場で溜まらず水浴びしたのだが、

慌てて眼鏡をしたまま浴びて、眼鏡流される。

幸いすぐにピックアップ出来て事なきを得るが、

クマさんに大笑いされてしまった。

その先からは、緑のじゅうたんの上に

ひょっこりとえんじ色の屋根が2つ。

ああ、朝日小屋だ!朝日小屋に帰ってきた!

 

f:id:arkibito:20180803111936j:plain

 

あれこれパトロールもしつつ来たので、

もっと時間がかかると思っていたのだが、

白馬山荘から5時間、昼前には無事に朝日小屋に帰還。

ゆかりさんをはじめ、皆さんから暖かく迎えていただく。

夕食の時間までは休憩をもらい、

そこから久々に小屋仕事。

手順や段取り忘れることなく、お手伝い。

この日は確か100人ほどの大入りで、

戦場のような大変さだったような。

 

f:id:arkibito:20180803160715j:plain

 

そのあとは、夕食&宴。

かなさん発案の長いもチップス、

ひさしぶりにありつけて嬉しや。

白馬と朝日では、システムも規模も全然違うので

久しぶりの朝日、ちょっと戸惑うかもと思ったけど、

また楽しい山小屋ライフができそうです。

 

f:id:arkibito:20180803182105j:plain

f:id:arkibito:20180803204038j:plain

 

ということで、再びこの朝日小屋で一週間お世話になります。

つづく・・・

2018Gパトの夏 白馬6日目 黒部班と合流!!

いつのまにやら、白馬での最初の1週のラスト日。

3000m級の山々での活動や、

小屋でのいろいろな出来事など盛りだくさんであっという間。

また、翌日には朝日へと帰還して1週間、

そののちにまた帰ってきますが、

ひとまず無事に1クールを終えることができそうです。

 

f:id:arkibito:20180802055230j:plain

f:id:arkibito:20180802070009j:plain

 

この日は前日の白馬三山のパトロールで、

少し作業をやり残しているものがあったので、

午前中はそちらへ。

 

f:id:arkibito:20180802084449j:plain

f:id:arkibito:20180802091418j:plain

f:id:arkibito:20180802114852j:plain

 

お昼ご飯を済ませて、午後からは白馬の大雪渓ルートを

雪渓の最後部にある岩屋まで下ります。

この頃になると大雪渓、小雪渓とも随分解けてきましたが

まだまだアイゼンは必須。

真っ白な雪渓の上には数珠つなぎのように黒い点々が続いていて

登山客の多さがはっきりとわかります。

同様に、その点々よりももう少し大きい点々もいくつもあって

それは雪渓の上部から落ちてきた岩や落石。

白馬岳に上るには最短のルートで、難易度も低く、

雪渓の上を行くので暑い日でも

涼しい風が通るので人気コースだけど、

やっぱりこの予測不能の落石だけは怖い。

雪渓の上では落石は音もなく転がってくるため、

このルート上では、休憩するときは立ったまま、

それも常に山の上部が見える側に向いて休憩をすることになっています。

 

ちょうど前日に上った杓子岳(大雪渓の直上にそびえていう)の

ボロボロ具合を見ると、いつでも落石は起こりうるし、

下手すればごっそり岩が崩れてもおかしくないほどガレガレだったので

なおさら、怖い。

人気コースで、難易度も低いのだけど、

個人的には一番リスクの高いコースだと思っています。

 

f:id:arkibito:20180802135623j:plain

 

 

f:id:arkibito:20180802080933j:plain

f:id:arkibito:20180802135656j:plain

 

岩屋に到着し、ロープの締め直しやゴミ拾い、

登山客の対応などをして少し早く山小屋に戻ります。

実はこの日、実は楽しみにしていることがあり、

Gパトの黒部班の2人と研修所で一緒になって以来、久々の再会の日!

あちらの班は、扇沢から山へ入り、

そのまま鹿島槍五竜~唐松と進み、この2,3日は白馬で滞在、

そののち、清水岳経由で欅平まで一気に下って、

そこから水平歩道を進んで阿曽原~真砂沢まで周回する

壮大なルートを担当しています。

 

彼女たちは前日、白馬尻までいったん下って、

今日この大雪渓を上って白馬山荘までやってくる予定で、

お迎えついでに岩屋まで来たのだけど、

どうもすでに通過した後だったのかすれ違いそうにないので、

大急ぎで小屋へ戻ります。

実は彼女たちは、

我々が午前中に杓子岳までパトロールに行っている間に

上小屋まで登ってきてたみたいで、

そこで長野のGパトさんと昼ご飯をしつつ交流していたようです。

 

小屋へ戻ると受付のスタッフさんから

「黒部班来てるよ~」と声をかけてもらい、無事に再開。

お互い様ですが、みな日焼けして真っ黒です。

しかもちょうど、我々Gパトを管轄している

富山県森林管理署の署員さんも蓮華から2人上がってきていて、

こちらも研修以来の再会。

みなでレストランで再会を祝しました。

 

こちらは1週間単位で2つの小屋に駐在して、

そこを中心にエリアを重点的にパトロールするのだけど、

黒部班(ともう1つの薬師班)については、

1,2日で小屋を発ってひたすら稜線を移動しながらのパトロール

なので、我々のように少ない荷物ではなく、

全て背負いながら移動しなければならず、

それだけでも大変なのに、

トロールまでしっかりこなさなくちゃいけない。

いくつかある班のうちでおそらくもっともタフな2人組。

稜線上は案外ゴミとかないのかと思ったら、

意外とあるようで、結構大変だったようです。

森林署の人の話によれば、

他の班でもまあ色々事件やトラブルは尽きないようで、

班によっては長い過酷な現場で疲弊して

パートナー同志が上手くいかなくて大変なところもあるようでした。

でも署の人は、実は

我々最年長グループが一番心配の種だったようですが笑

うまくやっておりますよん♪

 

f:id:arkibito:20180802151827j:plain

 

夜は、警備隊の宮嶋さんの山岳セミナーがありそれに参加。

実際の山の壮絶な現場について色々と。

山にはみんな楽しみに来るのだけど、

やっぱり危険はつきもので、

安易な気持ちで安易なプランで登ってくる人も多い。

 

そんなことわかっているけど、

それは自分のことではない、と。

でも、現場は決して嘘をつかない。

自分もこの現場に来てたった2週間しかいないけれど、

その間に、遭難や事故、ヘリ搬送、

こんなにも頻発するのかと正直びっくりした。

事故手前だったり、熱中症や小さな怪我など、

表面化しないような事象まで含めたら、

一体どれだけになるのだろう。

ケガも事故も遭難も、決して意図してやろうと思う人はいない。

だけど、実際にはこれだけ頻繁に起こりうる。

それはたまたま自分じゃなかったっただけで、

次は自分かもしれない。

山では常にそう思って、常に考えながら行動しないといけない。

 

f:id:arkibito:20180802191947j:plain

f:id:arkibito:20180802201424j:plain

 

セミナー終わりで、遅めの晩御飯。

翌日には、朝日へと発つため、

いったん白馬の皆さんとはさようなら。

いつもギターを快く貸してくれたY君と記念撮影。

彼のおかげで楽しい山小屋ライフを過ごせました。

 

f:id:arkibito:20180802201638j:plain

f:id:arkibito:20180802205511j:plain

 

さあ、いよいよ明日は朝日への大移動だ!

つづく・・・

2018Gパトの夏 白馬5日目 まさかの道迷い?

白馬山荘での任務もはや5日目。

あっという間です。

しかし下界では連日記録的な猛暑だそうですが、

こちら3000m付近では朝晩は相当に寒い。

この日は朝早いうちはガスガスでしたが、

じきに澄み渡って良いお天気。

朝ごはんをいただいて、

午前中のパトロールは清水岳方面へ。

 

f:id:arkibito:20180801063139j:plain

f:id:arkibito:20180801070033j:plain

 

旭岳を巻いて、どんどん進んでいき、

大下りの先まで行くが、

あいにくすっぽりと大きな雲の中に入ってしまったのか、

しばらくずっとホワイトアウト状態。

出発が遅かったこともあり、無理せずに清水岳を断念し、

この付近から戻りつつ色々と作業をこなす。

着任した時にはびっくりするくらい大きく横たわっていた雪田も

日を追うごとにみるみると小さくなってきました。

そういえば、小屋でもちょっとずつ水不足が問題になってて、

全然まとまった雨が降らないものだから、

節水のお願いも張り出されるようになってきました。

 

f:id:arkibito:20180801073249j:plain

f:id:arkibito:20180801082700j:plain

f:id:arkibito:20180801104731j:plain

f:id:arkibito:20180801090634j:plain

f:id:arkibito:20180801091545j:plain

 

お昼前にいったん小屋へと戻り、お昼ご飯を頂きます。

それから周辺のお花畑で引き続き高山植物のお勉強。

花びらの形状や、葉の開く向きといった、

ほんのちょっとした違いで名称が違って、

しかもあまり規則正しい法則もなくて、

発見者の名前がそのままついていたりするので、

覚えるのも一苦労。

それでも入山前までは全く知らなかった高山植物

30~40種類くらいは言えるようになってきました。

 

f:id:arkibito:20180801114418j:plain

f:id:arkibito:20180801140430j:plain

f:id:arkibito:20180801142607j:plain

 

午後は、三国境から雪倉岳の手前くらいまでをパトロール

三国境は白馬岳までの最後の休憩スポットということで

人も多く、ゴミも多く、作業も多い。

15時となって切り上げて小屋へと戻る。

 

すると、上の岩場からお爺さんが下ってくる。

かなりご高齢の様子だが、ちょっと違和感を感じた。

この時間でも登山客は大勢いるので、

それ自体は不思議ではないのだが、

それはみな一様にして歩みが遅くて登りに時間を要して、

まだ白馬山荘へ向けて頑張っている人ばかりなのに、

このお爺さんはこんな時間から下りの方へ進んで、

一体どこへ行こうとしているのだろうか。

大池までだってまだ随分あるし、日没は迫っている。

進む方向に一抹の不安を覚えて

思わず声をかけてみると、道迷いだった。

 

三国境から白馬岳までは、ルートも明瞭で、

細い稜線を行くから道を間違えたり、

迷いようがないのだが、

話を聞いてみると、

どうも最後の岩場のところで疲れ切って、

しばらくウトウトと眠りこけてしまい、

目が覚めて、慌てて方向も確認せずに、

こちらへと進んできてしまったらしい。

若い人なら、登りか下りか、

自分の向かおうとしてる目的地がどっちかなんて

まず間違いようもないんだけど、

高齢で、しかもこんな高所で、疲労しきっていたら、

そういう判断力も低下してしまうのかもしれない。

 

幸い、自分たちがまだこの現場に残っていて、

お爺さんと出くわし、

違和感に気付いて声をかけたからいいものの、

このまま誰からもスルーされて、

ひたすらやみくもに前へ進んでしまってたらと考えると恐ろしい。

そのうち、夕暮れとなり、周囲が暗く不明瞭になって

それでもまだどこが目的地かもわからずに彷徨って、

本気の遭難や滑落なんてことになったら…

 

ひとまず1人にさせるのは心配なので、

付き添いをしながら白馬山荘を目指します。

色々話を聞いていると、お連れの人がいるらしく、

娘とお孫さんが先行しているはずという。

とりあえずはぐれて心配しているに違いないので、

ご本人はクマさんにお願いをして、

自分が急ぎ先行して知らせに行くことに。

 

ダッシュで岩場を通過して山頂へ向かうと、

まだたくさんの登山客。

「●●さんのお連れの方はいらっしゃいますか?」と声をかけると、

女性の方と小学生くらいの男の子が名乗りを上げてこちらへやってくる。

事情をお話しすると、とても申し訳なさそうにありがとうございますと。

30分くらい山頂で待っていたようだけど、

歩くのが遅いだけで心配ないだろう、

まさか道迷いしているなんて、とびっくりしていましたが、

30分来なかったら、もうちょっと心配してあげてほしかったなあ…

 

このご家族のパーティー

男の子の方は元気はつらつなので、

どんどん行こうという感じになって、

当然子供は一人にできないからお母さんはそちらに付かねばならない。

かといってペースの遅いお爺さんは無理できないが、

登山経験もあるし、ルートも明瞭、

残り僅かの道のりだし、1人でもきっと心配ないだろう、

自分のペースで後からゆっくり上がってきてと、

隊列を離れてしまった感じ。

本来であれば、そこはパーティーのリーダーとして

お母さんがバランスを見て、うまくすればよいのだけど…

なかなか実際は難しいよねえ…

この場合はご家族のパーティーだけど、

一般のパーティーでも足並みがそろわないのが元での

トラブルはよくある話です。

 

しばらく山頂で、クマさんとお爺さんが上がってくるのを待っていると、

ようやく向こうからゆっくりと姿を現しました。

それにしても本気の事故になる前に、

無事に保護することができて本当によかった。

 

本来はGパトの業務ではないけれど、

山に携わる者としては、やっぱり見過ごしていい案件ではないし、

結果何事もなかったので、よかったよかった。

あとで、事案だけ小屋と警備隊の宮嶋さんに報告すると、

とても感謝されました。

 

f:id:arkibito:20180801154855j:plain

f:id:arkibito:20180801154506j:plain

f:id:arkibito:20180801183752j:plain

 

晩ごはんを食べ終わると、

小屋のスタッフさんが賑やかにしているので、

何かあったのかと思ったら、

富山市の方で花火大会がある日のようで、

ちょうどそちらの夜景を見ていると、

ほんの小さくですが、打ち上げ花火が上がるのが見える。

岩井俊二ではないが、花火を上から見るのは初めてだ。

 

f:id:arkibito:20180801190636j:plain

f:id:arkibito:20180801195739j:plain

f:id:arkibito:20180801201226j:plain

 

ということで、色々なことが起こる山の生活は

まだまだ続きます… 

 

2018Gパトの夏 白馬4日目 白馬三山

白馬4日目の朝です。

この日も清々しい朝で、見事な景色が広がっています。

昭和大学の学生さんたちが任務交代で下山していくのを見送って、

我々も出動。

この日はお昼ご飯をパン弁当にしてもらい、

夕方まで通しで遠くまで遠征します。

 

f:id:arkibito:20180731055206j:plain

f:id:arkibito:20180731075615j:plain

 

この日は、白馬三山と称される

「白馬岳」、「杓子岳」、「白馬鑓ヶ岳」の3つの頂を

まとめてパトロール

丸山を過ぎると、一度大きく下って、緑の鞍部へ。

そこから台形型に横たわっている杓子岳に取り付きますが、

長い長い斜面をジグザグとこなしていきます。

中間の岩場からは斜度が緩み、

周辺はカラカラの石の山 へと姿を変えていきます。

 

f:id:arkibito:20180731083624j:plain

f:id:arkibito:20180731085442j:plain

f:id:arkibito:20180731091740j:plain

 

ほとんどの登山客は、

さらに上部の岩場を詰めて杓子岳のピークを

目指していきますが、我々はまずは白馬鑓ヶ岳を目指し、

戻りに杓子岳を登ってから帰るスケジュールなので、

ひとまずここは中腹をトラバースしていきます。

カラカラの石を踏みしめつつ、

目の前に徐々に大きくなって迫ってくる

険しい白馬鑓ヶ岳の山容に圧倒されます。

コルから取りつきの道は、

ここから見るとどうにか斜面にへばりついているようで、

小さい黒豆のように人影も点々と見えますが、

なかなか険しそうです。

 

振り返ってみれば杓子岳はカラカラの石が積み重なり、

さながら貝塚のよう。

こちらも詰めるのは一苦労しそうです。

 

f:id:arkibito:20180731092746j:plain

f:id:arkibito:20180731093216j:plain

 

コルで一旦休んでから、壁のような道に取り付きます。

遠くから見てたよりは、危険個所もないし、

スムーズに登っていきますが、

しんどいことにはかわりがない。

えっちらおっちらと中間の岩場まで上り詰めると

そこから残りは斜度も緩みます。 

 

f:id:arkibito:20180731095019j:plain

f:id:arkibito:20180731095305j:plain

 

そうして標高2903mの白馬鑓ヶ岳に登頂。

山頂ではたくさんの人が休憩をしたり

お弁当を食べたりしています。

我々はひとまず、ゴミの収集などのパトロールを。

登山客からの質問や、カメラ撮影なども臨機応変に応じたりで

なかなか忙しい。

早いうちから雲が上がってきて、

本丸の白馬岳がなかなか頭を出しませんが、

天気はピーカンで最高のコンディションです。

 

f:id:arkibito:20180731100804j:plain

f:id:arkibito:20180731101536j:plain

f:id:arkibito:20180731101731j:plain

 

ひとまずもう少し先、

白馬鑓温泉の分岐の辺りまでパトロールを進めて、

しばらくして戻ってきました。

天狗山荘まで足を延ばしてもよかったのだけど、

あれこれ作業しながらだと、なかなかペースが上がらず。

 

f:id:arkibito:20180731110542j:plain

 

そうして、今度は戻りつつ、杓子岳へと向かいます。

ルートは見るからにカレカレで、足場が悪そうな白骨の道。

いくつか、正規じゃないルートも伸びていて、

そちらへ行ってしまうと後々苦戦しそうなので、

きちっと分岐を曲がって、上ります。

こちら側からは平たい台形状のお山に見えましたが、

稜線に出てみると、長野側はスパッと切れ落ちていて、

しかもボロボロに崩れているので、なかなかスリリング。

そうして標高2812mの杓子岳に登頂。

 

f:id:arkibito:20180731111929j:plain

f:id:arkibito:20180731112435j:plain

f:id:arkibito:20180731112931j:plain

 

杓子岳を下って、少し先の広い、風の当たらないところで

お昼タイム。

白馬小屋のお弁当はパン食。

名物のホモソーセージもばっちり。

以前、栂海新道を歩いた時はこのパンランチで救われたなあ。

 

f:id:arkibito:20180731115208j:plain

 

あとは戻りながら、

行きにチェックしておいたポイントで、

ロープの設置や、荒れた登山道を整備したり。

一般の登山客だとあまり気付かないかもしれないけれど、

よくよく足元を見ると、

小さなゴミ(あめちゃんの個包装の切れっぱしとか)がたくさんあったり、

トレッキングポールの先のキャップが落ちていたり、

そういうものも丁寧に回収していくと、

なかなかの時間になってしまいます。

 

f:id:arkibito:20180731184944j:plain

 

無事に山荘に帰り着き、

晩ごはんもしっかりといただきます。

前日のギター演奏もあってか、

若い学生アルバイトの子らから

「ギターのGパトのおっちゃん」やと声をかけてもらえるようになり、

「お兄さんや!」とボケたつもりが、

それから「ギターのGパトのお兄さん」と言われ、逆に恥ずかしい。

立派なおっさんや!!

 

f:id:arkibito:20180731193718j:plain

 

夕食の後の自由時間は、

Y君にギターを借りていつものように練習。

この日は空気が澄み切っていたので、

途中で一眼で星空撮影。

三脚なしなので、色々試行錯誤してこれが精いっぱい。

 

f:id:arkibito:20180731203425j:plain

f:id:arkibito:20180731203729j:plain

 

つづく…