記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

歩いても歩いても

映画にしても小説にしても、
劇的なことは起こらない、
ただ淡々と流れる日常を切り取っただけのものが好きだ。
何も起こらない情景をじっくりと見せてこそ真の映画だと思う。

映画「歩いても歩いても」で描かれるのも、
事故で亡くなった長男の命日に集まったある家族の1日。

見どころを言えばきりがない。
樹木希林とYOUとの日常会話のかけあい。
原田芳雄の静かな表情とたたずまい。
古いアルバムをめくっているような映像の美しさ。
思わず唾が出てしまいそうな劇中の料理(とうもろこしの天ぷら!)。

家族それぞれが本人のいないところで、時に残酷なまでの本音を漏らす、
その場面の役者の表情にゾクっとさせられる。
それを引き出す是枝監督の無駄のない演出と、脚本の素晴らしさに脱帽。




歩いても歩いても [DVD]

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