記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

どうなる大阪

いよいよ大阪府知事大阪市長ダブル選挙選がそろい踏みでスタートした。
日頃は政治的なメッセージは意図的に書かないようにしているが、
自分の住んでいる地域で極めて重大な選択が行われると言うので
全くどの党派にも思い入れもないし、理想の立候補者もいないが
あくまで個人的な一選挙民としての意見をちょっと書いてみよう。
選挙で大事なのはどっちが勝っても圧勝ではなく
バランスのとれた選挙結果が出されることだと思っているので今回は少し危険な状況に感じる。
つまりあの国民が一様に浮かれてしまった小泉劇場民主党による政権交代の時のような
確かな検証もないまま突っ走り(彼らはそれをスピード感と言った)、
結局うまい話をちらつかせただけで肩すかしを食らった、
詐欺まがいの改革が実行された時と同じ状況。
あの時あれだけ国民が浮かれ上がった結果、郵政が民営化され、政権も交代したが
この国が豊かに、あるいは幸福になったかといえばNOだ。
むしろどんどん住みにくい国になってきている。
改革に必要なのはスピードと勢いだと一般的には言われるが、果たして本当にそうか。
変わろうとするならば、大きなことを成し遂げようとするならば
ことを焦るよりもむしろ普段以上に時間をかける必要があるのではないか。
ともあれ、再びまた同じ幻を勢いだけで掴まされて、馬鹿を見ることになるのかどうか。
大阪人のバランス感覚が問われている。


別に自分は平松派というわけでは決してないが、率直に言って橋下元知事は全く信用におけない。
そして全国的な知名度と人気を誇る元知事のその人気だけにあやかってワラワラと群がった
維新の連中はさらにいかがわしくて信用ならない。
(彼らの多くは元は既成政党の人気低迷から党を逃げ出し、人気者を担ぎ出しただけの世渡り人間だちだ)
少なくとも彼が知事になって3年と少しで、何もよくなっていない。むしろとても窮屈に感じる。
外部に敵を創り出して対立構造を煽って、主義主張を浴びせると言うやり方は
弁論の場においてもっともイージーなやり方だ。
そういうやり口しか出来ない人間はえてして、自浄能力に欠ける。
なぜなら相手との関係性だけでしか論じれないから、
相手ではなく自分自身のこととなると自らを省みるということをしないからだ。
その政治的手腕はおそろしく幼稚としか言いようがない。
きっと相手さえ見つかれば大阪市でなくても誰でもよく、
今後も大阪市の次はここ、次はここと、敵をつくることそのものが目的で敵をつくっていくだろう。
相手を批判することには長けているが、肝心のその先、政策となるとまるで駄目。
その手法はいずれ必ずどこかで息詰まることになる。そしてそうなった時点ではもう遅い。
それはまさに今の民主党政権が、野党時代はあれだけ政府与党を批判し大見栄を切っていたのに、
いざ政権を取ってしまうと全く政権担当能力がなかったことが露見したのがいい例だ。
そして一般的な話だが、敵対的買収や強引な合併・吸収した組織に
幸福な行く末が待っていたという事例をあまり聞かない。
そして大げさな例えだが、カダフィ、小沢、ナベツネ、紳介…強権を発揮するやり方は、
勢いのあるうちは世間にはカリスマと見間違われ、強引に部下をねじ伏せることも可能であろうが
それは水面下で不安や不満を蓄積させ、そのうち必ずひずみが来る。
(イージーな理論とはわかってますがあえてわかりやすく書くのを優先)


その強権的なやり方以外にも、信用がおけない理由は、都合のよいことしか言わないところだ。
民主党の真似事のように仕分けをして財政赤字を削減したと実績をアピールしているが、
予算を切りやすいところ、目立つ所だけを切っただけで、結局この3年ちょっとで実は赤字は膨らんでいる。
そしてある部分で不必要な予算が山ほどあるのにそこを意図的に切ろうとしない。
そういうことはあれだけ様々なメディアで露出して色々な持論を展開しているのをたくさん見る割に
いっさいそういう話を聞いたことがない。
そう考えると、橋下元知事からの批判に反論する形ではあるとはいえ、
まだマイナス面、現状抱えている反省点を正直に語る平松さんの方がまだ少なくとも素直だと言えるだろう。
そして実際、違法駐輪の排除や犯罪率の低下といった長年大阪市が抱えていた恥ずべき現実を改善させたり
細かい部分ではあるがきちっと実績をあげているのはむしろ平松さんの方だと評価している。


そして斬新なアイデア、新しい風を維新は持ち込んだと自画自賛しているが、
よくよく見てみるとだいたいのアイデアはどっか既成組織からの流用だったり、
実現していないだけでよそからのアイデアをパクってきただけ。
都構想だって全く目新しいものではない。単に東京のパクリだ。
そしてそもそも東京都の仕組みが果たしてうまくいっているものなのかどうか、
見本にすべき素晴らしいシステムなのかどうか、そこの大前提の検証がない。
そしてそれが間違いなく素晴らしいシステムだったとして、そっくりそのまま導入できるはずがない。
風土や文化が違う土地で果たしてシステムをそのまま借りてきて順応するのかどうか、機能するのか。
単に他所が成功しているからと言って、それがどこでも正解というわけではない。
(よく国政でも、欧米ではこうだから、先進国はこうだから、
デンマークではスウェーデンはここまで進んでますといった意味不明な理由が挙げられたりするがあれも安易)
それに本当に東京都を追い抜き、アジアの雄となるのなら後追いではなく、その先を行かなくてどうする。
カジノ構想だってそうだ、あれは大田知事の時代からある話で、もっといえば東京都が先に掲げてた話。
さも自分が考案しましたみたいなノリは、安易に手柄を欲しがっているようにしか見えない。
そしてその構想も全く進展していない。案というのは言ったモン勝ちではなく、実現して初めて手柄だ。
関空一元化の話も全く同じ。


あと教育方針も全く共感しづらい。
まるでお受験でヒステリックになっているモンスターペアレンツにしか見えない。
あるいは先日やっていた韓国の受験戦争のニュースにある違和感(滑稽さ)に似ている。
たとえ大阪の学力が全国最低ランクとしてそれがどうしたというのだ。
大阪の子どもを全員政治家や弁護士にしたてるのなら別だが、
そういった職種だけが世界を動かしてるわけじゃない。
全国であるいは世界で、あらゆる分野において活躍している大阪人がどれくらいいるか。
大阪人としての誇りもかけらもない発想。
教育とは数値で計れる部分だけじゃないだろう。
きっと本人は北野高校へ入ったことが誇りなのかもしれないが、
そのエリート主義が鼻につくだけ。


ただ府市あわせの解消は必須。そこは確かに必要と認める。
でもアジア・世界を見据えた競争力を目指すなら、
むしろつぶれるべきは市ではなく府だろう。
大阪都にして大阪だけが単体で強固になったところでお話にならない。
というより目標点がすこぶる低い。
むしろ京都・神戸・奈良といった周辺も巻き込んだ関西州こそ必要だろう。
パッケージングで勝負しなければソウルや上海といった都市に勝てるわけがない。
ただし大阪都の実現よりも関西州のほうがはるかに実現が難しいが。
難しいからこそ敵対ではなく、対話が必要なのだと思う。

とまあ、一府民、一市民としての意見を書いたわけだが、
この意見に賛成しようとしまいとそんなことは大したことではない。
有権者一人一人がよく考えて投票するということが何より大切だ。
果たして選挙結果はどうなるのか、大阪の日本の未来はどうなるのか。