記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ROAD TO 竹松うどん (復路編)

さてさて無事に目的を済ましたので帰ります。
予定では11:30にはリスタートするはずが、すでに12:30。
ここからは太陽との勝負だが、せっかくこちらまで足を伸ばしたので
ただ単純に帰るのはもったいない。
R176は使わないとすると、2パターン考えられる。
1つはR173で南下して多紀連山ヒルクライムやって、県道12号というルート。
もう1つはR27で由良川を遡上して、亀岡から嵐山へ抜けるルート。
どっちも面白そうだけど、途中のスポットが魅力的な後者を選択。
うどんだけでは終わらずグルメライドします。


リスタートすると手にはどんよりとしていて日が差さず一層寒い。
里山の道をダラダラと走る。
志賀郷からショートカットで県道485号に入る。
なんかこの道はアップダウンの具合といい、発電所があるとこなんかが
杉生から栗栖へ抜ける道そっくり。しばらく東に進んで、県道494で右折。
短いが急坂を越え、しゃーっと下って白瀬橋で由良川を渡って綾部市街に入る。
グンゼの街ということで小洒落た洋館の街並みがあって、意外と風情がある。
JRの踏み切りでやたら長いこと待たされる。
そこから集落を由良川の右岸沿いに旧道を行く。
途中でR173をくぐると、のどかな川沿いの道が続く。
車もほぼ皆無でサイクリングにはすばらしいロード。
景色を楽しみながら心地よく走る。
何度かアップダウンをこなすと、山家の駅の付近に到達。
ここはそういえば「こころ旅」の第2回で火野さんが訪れていた場所だった。
ナイスロケーションですなあ。
ところで、この辺からどうも足の裏が痛くなってくる。
脚の下に靴下カイロを入れて防寒していたのだが、
冷えてくると段々カイロが硬くなり、しかも動くたびに少しずつずれて
いつの間にやら土踏まずのところまで下がってきてる。
硬いのがずっとそこをつっつくのでとても痛い・・・
シューズカバーもしていて億劫なのでそのままだましだまし来ていたが、
そろそろ我慢ならず、一度停車して、足の甲に貼りなおす。
はじめからそうしてればよかった。
そんなこんなで停止していると、地元のおばちゃんに声をかけられる。
どっから来たんと聞かれて、大阪から綾部まで来てまた大阪に帰るんですと言うと
こんな寒いのに意味わからんわぁとあきれられてしまう。


↓こころ旅の2回目の目的地 山家の大橋


さて足の具合もよくなったのでリスタート。
この県道450号は、道幅も広いしほどよくアップダウンもあって最高。
由良川の対岸にR27が併走していてほとんどの車がそっちを行くので交通量もない。
今後京都縦貫道が完成すればますます静かになるだろうなあ。
かなりオススメな道です。
と対岸に京丹波わちICを確認しさらにJRと併走しながら田舎道をのんびり走る。
安栖里の手前で一旦道が途切れてしまったのでR27へエスケープ。
ここも大して交通量は多くないが、多くない分車のスピードが速くて煽られる。
和知トンネルの手前にある道の駅和でトイレ休憩。
トンネルへは行かず、旧道で一旦迂回し、反対側で再びR27に合流。
ここから下山までは裏道がないのでおとなしくR27をぶっ飛ばす。
途中バイパスが完成しているようで、そちらへは行かず交通量のない旧道へ。
そのまま行っちゃうとR9と合流して園部に出てしまうので、
JRをくぐってすぐのところから小さいニュータウンに入る急坂を上る。
下山バイパスを横断して、両サイドで牛がモーモー言っているような農道を東へ進む。
ひたすらのどか。空が広い。
しばらく進んで、そろそろこの道がちゃんと続いているのか心配になりそうな頃に、
胡麻の集落が見えてくる。
しばらくしてゾンネ到着。言わずと知れた北摂ローディー御用達のパン屋さんです。


↓のどかな由良川遡上ライドを満喫


綾部のうどん以来、補給をしていなかったのでそこそこお腹が減っていし、
魅力的なパンがずらっと並んでいて、がっつり頼みたい所だが、
故あってここはパン2個と珈琲だけに抑えておく。
スモークチキンのパンチェッタと、珍しいパイナップルのデニッシュ。
室内では撮影禁止ということで、寒いけど屋外で食べようかと思ったら、
奥さんが、写真撮ってからでいいから、暖炉で暖まっていきなさいと声をかけてくれる。
テラスでぱちっと写真を撮ってすぐに室内へ移動。
パチパチと暖かい火が燃えている暖炉の目の前の一等席でしばし放心。
やっぱ暖かいのは幸せだ。
パンはどちらも評判にたがわぬおいしさ。ご馳走様でした。
お持ち帰りしたかったけどリュックを持っていないのでまたの機会に。


↓ローディー御用達の胡麻のゾンネ


↓スモークチキンのパンチェッタとパイナップルのデニッシュ


気がつけばすでに15:00。そろそろ日没が気になる時間。
ヌクヌクの暖炉の前にいつまでもいたいのは山々だが、
どうにも眠くなって寒い外に出るのがおっくうになるので
誘惑を断ち切って帰路に着く。
お店の人にお礼を言って外へ。暖炉のおかげで体がポカポカ。
県道50号をずんずん進む。
日吉の駅を通過し、トンネルを抜ければ分岐点。
通過はすれど今まで立ち寄ったことがなかったので、
左折して日吉スプリングに到着。
1人ローディーさんが入り口にいたのでご挨拶。
で、奥の施設について早々、ゆるキャラのゆっぴーが連行されていきました。
ドナドナ〜。
なぜここに来たかというと、ダムカレーを食べるためです。
はい、ゾンネで自重したのはすぐにこのカレーにありつくためなのでした。
さすがに8kmそこいらでは腹が減らないし。
でもニッポン人としてはパンじゃなくてごはんで締めたいんですわ。
で施設内のレストランでさっそく注文。それにしてもここの接客は素晴らしい。
しばらくして出てきましたダムカレー。
しかもダムカードが付いていてわざわざ管理事務所に取りに行かなくてすみます。
早速大決壊ショーで楽しんでから食べる。
味はまあ普通のカレーです。
さっきのパンの分だけ胃のキャパがせまく、ラストは無理やりかき込む感じ。
ぐへっ、もうお腹一杯。


↓連行されるゆっぴぃー。万引きでもしたんでしょうか?


↓ダムカレー(ダムカード付き)800円


↓お約束の大決壊ショー


さてさていつの間にやら16:00です。お腹まで決壊寸前なくらいいっぱいいっぱい。
日没サスペンデッドまで長く見積もってもあと1時間30分しかない。
それまでにとにかく山越え・下山は済ませておかなければドエライことになる。
帰りのルートは3択。
1案目は園部に出て新世紀トンネルからR377⇒R477のルート。
ただし堀越峠か野間峠で日が暮れる可能性がある。
堀越峠は夏に野犬に追われたし、野間峠は気味が悪るそう。
2案は、亀岡まで出て県道6号⇒県道46号で清阪峠・忍頂寺経由の一番イージーなルート。
ただこれも途中で日没は間違いなし。清阪峠なんて外灯一つないので怖すぎるし、
日没過ぎてから長い長い下りは絶対に寒い・・・
この2案はダイレクトに北摂に出るルートでトータルの距離は短くなるが、
下山までに時間を要する。
そこで考えたのが第3案。このまま日吉ダムの上へ上がり、
県道50号をひたすら走って、とりあえず嵐山に出て下山を済ませておくというもの。
北摂に抜けるよりは山間部の区間が短くすむが、走った経験がない。
難儀な保津峡の上りを含めて一番ハードな道のりではあるが、
今からがんばってうまくいけば嵐山日没でいけるかもしれない。
嵐山で日が暮れても、あとはR171なりR1なりで帰れるわけだし。
それにせっかくこの辺まで来たし、未知の道を実走しておきたいというよくも働く。
だって次は多分来れても春先になるだろうから。
うん、そうしよう。
無謀なチャレンジというより計算の上はじき出した最適ルートのつもりだったが
思った以上に日暮れが早く、計算が思いっきり外れて
難易度の高いライドに突入するのであった。


日吉ダムを下から


↓続いて上から


↓巨大なダム湖


まずは日吉ダムの上部へ急坂をえっちら上がる。
食べすぎでオウェっとなるのを抑えながら、ダンシングでこなす。
写真と撮ってすぐにスタートし、交通量の少ない幅広の道を進む。
やたらめったらでっかいダム湖で走れども走れども左手にはダム湖
天若トンネルを抜けて、多少アップダウンをこなし、しばらく行くと分岐。
一方は宇津渓へ、もう一方は標識なし。
あまり早くに右折すると八木町の山奥のダートに迷い込む危険があるというのだけ頭にあって、
しかも手元には25万分の1の地図しかなく、どっちへ行くべきか少し迷う。
トラックが標識なしの方へ進んでいったので県道50号はこちらで間違いないと直進。
(もし左折してたら京北までロストの可能性があった・・・それはヤヴァすぎ)
ダムとおさらばして山越えスタート。ここがやたらめったら急坂で。
延々10%以上キープで足休めの区間がなく、ヒーヒー。
大人しく園部までは平坦でいけばよかったかと後悔しつつも、
すでに退路は立たれているので進むしかない。必死のパッチで上り
神吉の集落で上り終えるときにはもう汗びっしょり。
しばらくは平坦の広域道。どっぷり疲れてダラダラ走行になる。
西の空はまだ明るいが、山野夜は駆け足でやってくる。
日吉ダムを発って30分でまだこの位置。うかうかしていられない。
左手から合流してきたR477に入りしばらく行くと廻り田池。
イカーが故障で立ち往生しているのを横目に先を急ぐ。
池をぐるっと左から回り込むと、ここで最後の分岐。
R477は八木駅に向かって山を下っていく。
逆に県道50号はさらに山へと分け入っていく。
山を下りるならもうここしかないのだが、山を下りたとて、
亀岡からはどのみち再び山を越えなければならない。
かなり難儀そうで、かつ杉林が深くかなり暗く危険な道ではあるが、
もう自分に残された選択肢は一刻も早く嵐山へ下山する道しかない。
意を決して死地に分け入る。
分岐後すぐに急カーブを繰り返しながらの上り。
あとどのくらいペースの上がらない上りがあるのかは知らないが先が思いやられる。
しかも鬱蒼とした木々の中なのでまだ日が暮れていないのに真っ暗闇。
これはますます日没が恐ろしくなってくる。
しんどしんどと嵯峨越畑の集落に突入し一旦緩む。
原神社を過ぎると完全な山道で緑のトンネルをか細いライトで進む。
路面もかなり枝や石があってヒヤヒヤ。そして寒い。
意外と交通量があって車が来るたびに立ち止まって行き違う。
ひたすら暗く、何度も同じようなカーブを繰り返すうち、
もう自分が今どの辺を走っていて、
保津峡まであとどのくらいなのかさっぱりわからない。
しばらくいくと少し南側に展望が開けるところに出た。
まだかろうじて日は暮れていないが、もっても後30分くらいか。
はるか眼下には池が見える。
あれは確か「こころ旅」の栄えある第1回の目的地である「愛宕林道」の池ではないか?
あの池があんだけ下に見えるということは・・・
保津峡までの道のりは思っていた以上に長いということ。
ちょっと見通しが甘かったか。
といっても進むしかない。とりあえず保津峡を目指す。
ここからはただ慎重に目の前に向かってひたすら集中して下っていく。
そしてようやく17:30に愛宕林道のゲート(つまり神明峠?)に到着。
昼間ならちょっと林道の池に寄りたい所だったが、
こんな状況ではリスクが増すだけで何の意味もないのですぐにリスタート。


愛宕林道の入り口(=神明峠?)


途中で水尾の集落に入る。
ここで学生らと民宿のおっちゃん?みたいな集団に遭遇し挨拶。
みな、こんな時間にどこへ行くのかといった不思議顔。
集落を抜けると再び奈落へと続いていくような暗闇ダウンヒル
日はもうすでに暮れて、闇が一層増してきた。
行けども行けども保津峡は遠い。焦る、とにかく焦る。
いや駄目だ駄目だ、ここは焦っちゃだめだ!落ち着け。
焦って事故ったり、パンクなんてしようものならそれこそ一巻の終わりだ。
とにかく嵐山までは気を抜くな!と自問しながら、
恐怖心を押し殺してペースを抑えて闇を下っていく。
前方に対面信号が現れて一旦停止。止まると途端に寒さがまとわり付いてくる。
そして集中力が散って、周辺の暗闇が目に入ってきて恐怖感倍増。
早く、早く!一刻も早く走り出したい。
1時間くらいにも感じられた2分間を我慢してリスタート。
しばらくするとようやくJR保津峡駅へと向かう鉄橋のところに出た。
外灯もなく真っ暗…完全に日が落ちて、一人取り残された…
ここから一転上りが始まる。ぐいっと上って小さいトンネルをくぐって。
しばらく行くとトロッコ乗り場のつり橋に到着。
駅がライトアップされている。
わずかながらに人工の明かりが光があるとかなり安心する。
ここで少しの間だけ気を緩めて休憩。


↓トロッコ駅へのつり橋


さあまだ安全圏に脱出したわけではない。
はっきりとはわからないが残り5〜8kmは山間部のはずだ。
ぐずぐずしているとヤバいのですぐにリスタート。
不気味なトンネルをくぐって、しばらくするとまさに漆黒の闇。
大抵小さな山道でも何メートルかおきに外灯があるものだが
この道には一切それがない…自分のライトだけが頼りというシビアな状況。
しかし文句を言っている余裕はない。
邪念を振り払ってとにかく数メートル先に視線を集中させてペダルを回す。
川を越えると急に激坂になる。全く先が見えないのでどのくらいの坂か判別がつかないがツライ。
ここにきてまるでトドメを刺されているようだ。
とにかく必死で上る。もう一刻も早く逃げ出したい。終わりが分からずにどんどん焦る。
いったん気が折れるとどんどん恐怖感が増してきて、
大声を出しながら自分を鼓舞して上る。
前方がよくわからず、ヘアピンになっているのがわからず
危うく直進して突っ込みそうになったりしながら、何度も何度もくねった道をこなし
ようやく六丁峠のトップに到達。
写真を撮る余裕は全くなく、慎重に下りに入る。
ようやく民家が見えてきて、無事に下山が済んだことを知り心底安心する。
本当にもう泣きベソかく寸前まで追い込まれました。
そうして命からがら下山を済まし嵐山に到着したのが18:00。
もう気持ちが完全に消耗しきってしまいもぬけの殻。
どこかで一服したかったが、さっきの無人地帯が嘘のように嵐山は人、人、人。
自転車に乗るのもままならない状態で、人の流れに飲み込まれて進むしかなく、
成り行きでたどり着いたのが、よりにもよってライトアップ中の竹林の道…
一体どうなっているのか、わけわからんほどの人混み。
京都ブランドってすごいねえ。でも本当の京都らしさの微塵もない。
この季節に京都、特に嵐山には来ちゃいかんわ。
こちとら疲れきっているのに、ビンディングシューズで歩かされて、
渡月橋を渡りきるまでに30分もかかる。辟易。
ようやく人混みがひと息済んだと思ったら、今度は車の渋滞抜け。
とにかく落ち着くまでは休めないのでとりあえず南下して
桂のコンビニでようやく一息入れる。はあどっぷり疲れた…


↓地獄の竹林の道


ここで帰り道を考える。
桂川CRは暗過ぎてすでに使えない。
R1で帰るかR171か。西国街道でとりあえず高槻までという手もある。
ただ、体力的にも寒さで相当消耗しているのと、
下山後は完全に気が抜けてペースを上げれない状態なので、
バンバン車が通る横を走らないといけない幹線道路の消耗戦はぜひとも避けたい。
多少遠回りしても、アップダウンは増えても、第2京阪のサイクリングロードで帰るのも手だ。
そう思うくらい神経が消耗してた。とりあえずダラダラ帰るのを選択。
コンビニで地図を立ち読みして帰り道を検索して出発。
桂川街道を南下し上久世の交差点でR171に合流。
R171は案の定交通量が多い。そのうえに、路肩の工事後の処理が悪く、
路肩との境にスレッドが入って段ができていて冷や冷やする。
とりあえずここはさっと通過するため、踏ん張って高速巡航。
名神高速とぶつかって、菱川の交差点で外環状に入って東進。
羽束師橋で桂川を渡り、京阪国道をスルーして第2京阪に入る。
この時点で19:00、本当ならもうとっくに帰宅している時間にまだ八幡。
それでもようやく帰ってきたなあという実感に安堵する。
宇治川を渡るときに東の空を見ると立派なお月さまが見えた。
あとはもうダラダラとアップダウンを繰り返し帰宅は21:00。
あれだけ食べたはずなのにお腹ぺこぺこ。
たまらず十八番に寄ったら衝撃のメニュー変更でびびった。


桂川をなぜか東へ渡る


宇治川から観月橋方面を眺めると見事なお月様


今年は色々なところへ走りに行ったけど、これがほんとのラストラン。
やはり寒いのと日照時間の短さで冬場の方が数段難易度高いなあ。
ただ、3週連続のロングライドの割に身体的な疲労がでてない。
夏場にロングライドにシフトした頃は1週間ぐらいグロッキー状態だったので
多少は体力がついたのかもしれない。
来年は今年行けなかったエリアに行くつもり。