記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

Nissan(西讃)ライド 豊稔池堰堤探訪 前編

先週末は飲み会と神戸の一件がありノーライドであったため、
今週はがっつりと走りたい気分。
行き先は天候の具合で複数候補を立てて楽しい楽しいプランニング。
だが、そのテンションに水を差す季節外れの大雨。
ヤキモキしながら、雨雲レーダーとにらめっこしていたが、
予想通り、抜けの速度が速く、翌日の晴れは決定的。
ただ夜中に出発できるかどうかが微妙な感じ。
ひとまず2時間ほど仮眠して22:00に起床。
路面はウェット状態だが雨は止んでいるようなので22:45に出動。
色々な候補で迷ったが、やはりこのコンディションでは北へ行くのはリスクが高いし、
行くなら天気の好転が早い西南方面。
ちょうど四国で訪れたい所があったのでそちらへ足を向ける。
路面はまだまだ全然乾いておらず、水たまりを避けつつ淀川左岸をR2まで。
砂利が浮いていてプチプチ言うのでとパンクも怖い。
R2に入ると水はけもよく少しましになる。
馬鹿でかいサドルバックが泥よけ代わりになって尻が冷えないのが救い。
気温はそれほど寒くなく武庫川で7℃。微風。
休憩をはさまずに0:15に神戸に到達。コンビニでちょいと買いこんで、
神戸新港第3埠頭のジャンボフェリーのりばへ。
ここから高松まで4時間の船旅。
往復チャリ代込みで3980円はかなり良心的だと思う。
いよいよ乗り込む。でっかい口を開けた中に入る時はいつもワクワクする。
そして男気あふれる船員たちって憧れるわ〜。
一応イタリア人船長じゃないか安全を確認して乗り込む。
しっかりとマシンを固定&施錠して船内へ。
中はなかなかゴージャスな感じで、一般客室に雑魚寝室、
女性専用室からキッズルームまである。追加払えば個室もあるみたい。
深夜便だというのに結構混雑気味で、雑魚寝室の片隅にひっそりと場所取り。
出航のショットを撮るためデッキで待機。寒すぎる!
で定刻通りに出航。しばし本土に別れを告げる。


神戸港を出港


↓さらば神戸


出航後、小腹が減ったので売店へ。うどん県に着く前に早くもうどん補給。
今日はギリギリの攻防になるよそうなので、うどん屋に寄れるか微妙なので。
冷え切ってたので温まって、すぐに雑魚寝室に戻ってとにかく仮眠。
すると、山仲間のグループが雑魚寝部屋の入り口付近で酒盛りをやりだす。
だんだん酒の勢いから声がでかくなり、周りの人も迷惑そうな雰囲気。
自分の前には寝付けない子供をあやすお母さんとかもいて、
ちょっとひと言注意してやろうかと思ったら、
別のおっちゃんが、すごい剣幕で文句を言いに行き、それでようやく収まった。
楽しくしたらいかんとは言わない。船に乗ると妙にテンションが上がるのもわからんではない。
でも、ええ大人が周りを考えずにドンチャンとは恥ずかしい。
そんなに騒ぎたいなら仮眠取る部屋でせずにデッキに出てやればええねん。
それに、これが昼の便ならまだしも、1:00発の深夜便。
誰もが早く眠たいところ、怒られても仕方ないわな。
ということでようやく普通に静かな環境になる。
微妙に体に伝わる振動に最初ちょっと慣れなかったが、気が付いたら寝てた。
で、気付いたのが4:30。
いそいそと支度をし、高松港着岸が5:00。
そこからゲートを開けたりなんやかんやで、リスタートしたのが5:15。
いよいよ四国上陸!


↓船内できつねうどん


さて、タイムリミットの針はすでに15分進んで残り9時間45分しかない。
間髪入れずに、大型トレーラーに混じって市街地へと進む。
瀬戸大橋通りをひとまず西進。
風もなく気温もそれほど寒くない。ただ、こちらでも雨の影響で路面がウェット。
R30〜R11と南下に転じるが、信号が多くてストップ&ゴーの繰り返しでペースが出ない。
栗林公園を通過し、室新町で裏道の県道266号へ入る。
高松道をくぐって、R32へ。
原則、ここから琴平までの30kmほどはこれで一本道。
この道はなかなかの大通りなので、交通量が多ければ、成合大橋渡ってから
併走する県道282号(琴平街道)のエスケープ道という手も考えていたが、
さすがにこの時間はほとんど車も来ないので、ペースアップのためこのまま行く。
両側2車線ずつで路肩も広々としているのだが、交通量が多いからだろうか
路面のいたるところがガタガタで、轍も多く、夜間だしウェットだしで慎重に進む。
徐々に市街地から山間へと進んでいき、微妙なアップダウンが繰り返し続く。
ならやま大通りみたいなもん。
そして山間に行けば行くほど朝霧が深く垂れ込めてきて、前が見えない!
ペースが上がらないのはもちろん、後続車がちゃんと自分を目視出来てるのか心配。
一応バックライト3つつけてはいるけど。
滝宮〜羽床〜栗熊と通過し、岡田のローソンでとりあえず一服。
自分が見たことないだけかもだが、四国限定っぽい?
からあげくん徳島スダチ味を食べる。柑橘系バンザイ。


↓濃霧の綾川町


↓四国限定?からあげくんを補給


10分ほどしてリスタート。東の空が若干白み始めてきた。
琴電と併走して田舎道を進む。
羽間からR32はバイパス高架になっているので、それを避けて県道282号で琴平中心部へ。
土器川を渡っているうちに夜明けを迎える。
ようやく朝霧も散って視界よく、路面も乾いてきた。
ウェット路面が凍結するかもという心配も無用となった。
前方にひときわ存在感を発している山が見えてきた。こんぴらさんです。
せっかくなら寄り道したいけれど時間がないし、
何よりビンディングシューズで785段の石段をよう上らん。
参道の入り口で左折して、買田の交差点へ。
ここからR32は阿波池田を経由して高知へ続いていく。
自分はここで右折してR377に入り西を目指す。


↓まんのう町で夜明け


こんぴらさん


R377に入るとすぐに鈍い上りが始まる。
ワイヤーの調整がうまくなじんでいないままなので、
アチェンの際に滑る感じが続いている。
ギアを軽くするとうまく噛まないので、ちょっとしたコツで微調整しながら上る。
近々木馬に再調整してもらいにいかないと。
えっちらおっちら上りきって山本の集落までズジャーっと下る。
そこからは平坦な道をペースを保って大野原まで来る。
ここからしばらくは山間部に突入するため、一旦サークルKで補給品を調達。
コンビニの信号を南向きに転じ、県道8号に入る。
ユルユルと山深い方へ、雲辺寺方面と道は続いていく。
途中で標識に従って、県道9号へと別れていき、少し斜度が上がってえっちら約2km。
ようやく一つ目の目的地、豊稔池堰堤に到着。
7:30に到着するつもりが7:45と15分ほど予定より遅れてしまった。
フェリー出るのが目論みより15分余計にかかった分だ。


↓豊稔池堰堤


さあやってきました、ダム好きなら誰もがあこがれる豊稔池堰堤。
自分はダム専門というわけではないですが、
産業遺産大好きなので一度来てみたかったのだ。
この豊稔池堰堤は現存する日本最古の石積式マルチプルアーチダムです。
マルチプルアーチ形式(アーチ止水壁が複数連なるダムのこと)は
国内ではここと大倉ダム2例しかなく非常に貴重なダムなのですぞ。(国の重要文化財
竣工は昭和5年で、地元住民の手により完成されたものというからビックリ!
当然いまだ現役で、夏には放流も行われるらしい。
(しかも放流バルブはいまだ電化されておらず手動式!)
それにしてもなんでしょうこの圧倒的な存在感!
堤長145.5m、堤高30.4mの見事な5連アーチの重厚さが見るものの心を惹きつけます。
もちろん日吉とか千刈に比べたら断然にスケールは小さいはずなのだが、
目の前に立ちはだかる黒光りした石積みの構造物は、
すさまじい威圧感をもって鎮座している。
どこまでも無骨、だからこそカッコいい。
なんかこのダムを目の前にすると、無性に強い酒を呑みたい気分だ。
興奮冷めやらぬなか、周辺をぐるぐると歩いてみる。
今は水が引いているので、段差を伝って石積みの中に飛び込んでみる。
アーチ状の中から上を見上げてみると、ダム上部は軽くオーバーハングしていて、
ぬうぅっと、黒い石が覆いかぶさって飲み込まれてしまうような錯覚を覚える。
音を出してみると反響してとても不思議な感覚。
あれやこれや歩き回ったり写真を撮ったり、あっという間に時間が過ぎる。
いやあ素晴らしい、素晴らしいね。
大興奮のまま後編へつづく・・・


↓威風堂々とした石積アーチ


↓上部はオーバーハングしている


↓飲み込まれそうな亜空間


↓圧倒的!