記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

京北サバイバル

土曜日。
日曜日は家族サービスで出掛ける予定をしていたので、イレギュラーで土曜出動。
娘には申し訳ないが保育園へ行ってもらい、あれやこれやと支度しているうちに時間がたつ。
結局出動は11:45とかなり遅く、それほど走れなそう。
とはいえあまり目的意識がないと、こないだのような間の抜けた感じになるので
今日は2つの目的を。
1つはヒルクラサイトで未走である芹生峠(両面)のトライ。
2つめは京都へ行くので洋菓子名店をめぐって、ちょっと早めのホワイトデーの買い出し。
今日もホイールは前イーストン、後ろコスカボのハイブリット。
現状自分が用意できる上りでの最高のスペックがこれなので、これに慣れるしかない。


家を出てすぐ天気の心配。晴れと聞いていたのだが黒々とどんより。
しかも前日までと打って変わって肌寒い。雨が降らなければよいのだが…
いつもなら毛馬閘門から淀川CRで北上するのだが、ただでさえ出動が遅いので
城北公園通〜R1〜大日交差点で飛ばす。そこから鳥飼大橋でCRへ。
のっけから向かい風がひどい。
こりゃ取り付きにたどり着くまでにがっつり削られそうな予感。
めげずに回すが30kmでないくらいのペースが精いっぱい。
強風以外にも面倒な事態発生。
雨の影響か仁和寺大橋の前後のいたるところが水没。
CR一面が水浸しで回避できないところがたくさんあり、
かといって引き返すのも面倒なので、跳ねない程度に減速して突っ切る。
関西医大まで1時間弱で到着。
ここまでの水没具合で、この先県道13号にチェンジしようかどうか迷ったが、
結構前方からローディーが走ってくるので、それほど問題がなさそうだと判断してCR継続。
が、風の猛威は徐々にひどくなってくる感じ。
天王山と八幡山の間を通る淀川は格好の風の通り道なので、向かい風になると非常に難儀。
急斜面を上るよりも、強風に抗って進むほうがなんぼもしんどい。
それでも前方を走るサイクリストを発見するたびに、カンフル剤としてペースをあげ、
どんどんパスしてペースを無理矢理あげる。
樟葉のゴルフ場付近ではあまりに風がきつくて下ハンモード。
御幸橋に到達し、前方にローディが複数走っているので、
ペースを35kmくらいまで上げつつまとめてプッチンプリン
もう余力残してとか計算は捨てる。
桂川に入るとさらに風が強まり、風向きが真正面から左前方方面からに変わって、
煽りがひどく、上半身を左側に寝かすような感じでバランスを取りながら進む。
八幡から久我橋くらいまでは、小雨も降りだし、本当に気持ちが折れそうだった。
そのまま西大橋まで強風のCRを使って北上し、R9で東進に転じる。
西大橋五条で左折して再び北上、西院〜円町〜大将軍と通過。
さすがに街中はそれほど風の影響を感じない。
信号の加減や交通事情を鑑みて裏道チョイス。
たまたま曲がったところが一条通。
巷で有名な妖怪商店街を通過。
この時点で13:00。山へ入る前にちょっくら腹ごしらえです。
今出川通烏丸通と進んで鞍馬口駅のちょっと手前にある森のハンバーグ屋さんへ。
ここは洋食の老舗店なのだが、なんとテイクアウトも可なので、
半木の道か出町柳デルタで小粋なランチでもしようと思ったが、
こんな天気なので店内でいただくことにする。


↓一条商店街の彼


↓森のハンバーグ屋さん


注文したのはハンバーグと海老フライのコンボランチ
待っている間にマスターが色々チャリンコについて色々聞かれる。
マスターも趣味にしているのかもしれない。
それから京都支部のアニキになうメールしておく。
うまくいけば合流してと思ったが、今日は行事でどこかに遠征してはったのをすっかり忘れてた。
(あとで考えたらあんなサバイバルなところ誘わなくてよかった)
しばらく待っているとお目当ての御馳走がサーブされる。
おお、めちゃくちゃウマそう!洋食って何かハッピーでちょっとリッチな気分になる。
さっそくご自慢のハンバーグをパクッ。
ジューシーで口当たりが軽く文句なしに旨い。
そして海老フライ。プリップリの海老と、独特のフライ衣が実においしい!
大満足のランチでここまでの苦労が帳消しです。
まだ50km程度しか走ってないのにこんな贅沢していいのかしらん?


↓ハンバーグ&海老フライランチ1300円


さて14:00ちょっと前。リスタートする。
まだ雨は降っていないものの北山の方面は黒々とした雲が停滞していて、
ちょっとどうしようかなあと考えるが、せっかくここまで来たので行くことにする。
烏丸通を北上し、賀茂川に出て御薗橋で対岸に渡って柊野別れから原峠越え。
すでに軽く雨粒を感じる…まあ気のせいだろう
鞍馬街道で北上して貴船口で左折して県道361号に入る。
ここからまずはスタート地点までさらに進まなくてはならない。
しばらく川沿いの緩い山道を進むと、バスの転回場が見え、
そこから先、道の両脇に狭い門前町を抜けていく。
貴船神社を過ぎるあたりから徐々に斜度が上がる。
スタート地点までも何気に上りで疲れる。
さらに中宮〜奥宮と上っていく。


貴船口駅


貴船神社


いよいよ芹生峠(南側)のスタート地点。
標高差355m、距離3.2km、平均斜度11.1%と激坂必至のコースプロフィール。
TTサイトでのヒントを元にスタート地点と思われる奥宮前の河原へ降りる橋を発見。
すでにポツポツと来ているが、ここまで来てもう引き返せないので覚悟してスタートする。
スタート直後、苔むした小さな橋を渡る。
左手に奥宮を回りこみながら緩やかに上っていく。
浄水所のところから少し斜度が上がるが、まだまだ緩い。
こんな状態でアベ11%というなら、後半はどれだけの激坂が待ち受けているのか。
戦々恐々としながらもそのドキドキ感がたまらない。
しばらく進むと、左手が少し広々とした河原になっていて、
トレッキングコースがいくつかの方向に伸びている。
川が二股に分かれ、本流と思われる直進している川から離れて道は右へ折れ曲がる。
ミラーカーブのあるカーブを曲がると、ハイ激坂登場。
おいおい、のっけからやたら重くてしんどいがな〜と思ったら、
つい癖でアウターのまま上ってた。
さすがに厳しくなってインナーに落とすが、それでも激坂なのでツライ。
しばらくジリッジリと情けないペースで上っていくと、
今度は左手に大きくカーブ。
真っ直ぐにも道が続いているがそちらは花背峠へ抜ける頼りないとトレッキングロードのようだ。
標識も立っているし間違うことはなさそう。
ここで支流と別れ、さっき分かれた本流の方へ再びぐにゃりと道は戻っていく。


↓スタート地点


↓このミラーを右に曲がったところから激坂開始


↓大きく左カーブ


道は急な斜度を保ったままひたすら続く。
再び本流と合流し直線的な上りが続く。
うっかり上半身の力を抜いて休もうとすると前輪が浮いたり、後輪がスリップするので
全く足休めも気を抜くこともできずなかなかハード。
お隣の花背峠よりもよっぽどしんどい。
あそこはアウターでも上れたけど、こちらはインナーでもちょっとやばい。
しかも前方さらにもう一段傾斜が急になってるし!
ただこの辺は工事があった直後なのか路面が少しの区間だけども走りやすいのが救い。
激坂の先で道が消えているので少し斜度が緩むのだろうと期待して、ダンシングで攻める。
そこを抜けるとゴール!なわけはなく、気持ち斜度が緩んだかという程度で
その先に一つ目のダブルヘアピンゾーンが待ち受ける。
大外回りで少しでも足休めをしてヘアピン明けから再び激坂に突入。
あうあう、どこまで続くの〜。


↓足休め区間一切なくキツイ斜度がひたすら続く


↓1つ目のダブルヘアピン


もうこの辺まで来ると車の往来がほとんどないのか道は荒れ放題。
アスファルトはボロッボロだし、その上に杉の枯れたのがびっしり、
そして落石の数々。なかにはこれ頭直撃したら即死ですけどレベルのものも。
おまけにウェットコンディションときたもんだ。
前輪のイーストンに履かせているのが、信頼度ゼロのPRO3。
こんなところでサイドカットなんぞしようもんなら一貫の終わりなので
激坂にもがきつつも、冷静に路面状況を読んで大枝や石を踏まないように気をつけながら走る。
悪路面で純粋に上りに集中できないというだけで難易度高〜。
ようやく2つめのダブルヘアピンに到達。
ウェットというより若干ぬかるんでいるようなシクロ状態の路面を
少しでもイージーなラインを取りながら進む。
どんどんと山深くなり、周辺は北山独特の杉林の風景になっていく。
路面は相変わらず劣悪でストレスフル。
途中で路面工事をしていて、悪路面とまっさらな路面が継ぎ接ぎのように交互に来る。
途中で工事中の作業員さんたちがいて、怪訝そうな顔をされました。
こんな時期にこんな場所で、小雨降る中チャリでどこいくねんって感じでしょう。
自分も全くの同感です。
工事中の区間を過ぎるともう一段斜度が上がる。
泣きたい気持ちを抑えながら1ケタペースで上がっていく。
さすがアベ11%は優しくない。


↓サバイバルな路面(これはまだ序の口)


↓2つ目のダブルヘアピン


↓京北らしい杉山


激坂部分を通過し、前方に小屋のある大きな左カーブを回る。
もうこの辺りになるとひたすらペダルを回すだけの無の状態。
どのこらいでゴールなのか、初コースなので検討もつかず我慢の走行が続く。
もう一度大きく左カーブをやっつけて、ようやく前方の上部が空に抜けているので
ああやっとこのサバイバルが終わると気合を入れて軽くダンシングでスパートしてゴール。
24:45。
まあマシン重量とかコースコンディションとか、検討課題はあるが、
現状もちうる最高スペックで望んでのこの結果が今の自分の実力。
いろいろな意味で大ハードだったが、このコース容赦なくて面白くて結構スキです。(変態)
ゴール地点は標高680mと意外とあり、反対側からは目に見えて残雪が多い。
山の南と北で気候の変わり目になっているのだろう。


↓ラストのカーブ


↓芹生峠(ゴール地点)


↓いまだ春遠し


さて、空はどんより曇りで、TT前からの小雨も少しずつ無視できないくらいになってきた。
懸命な諸君なら、ここまでの激坂の健闘をたたえ、大事を取って引き返すのだろうが
せっかくここまで来てもう1コース未走のルートを取りこぼすなんてありえないので
そのまま反対側の斜面を下り、北側ルートのスタート地点を目指す。
この峠はまだ単に通過点に過ぎない。
こちら側も路面は最悪の状況で、スリップを誘う枯葉の絨毯に、凶暴な落石の数々、
それに加えて車のタイヤのラインを外れた部分には残雪が薄く凍ったアイスバーンまで出現。
慎重に下ってはいるものの何度か避けきれずに乗ってしまい、
制御不能に陥って危うくスリップして転倒、突撃してしまうところだった。
やーん、ちょっとこのエリアに来る時期が早すぎたか。
さっきの上りにもヒケを取らない難易度の高いダウンヒル
PRO3にはあまりに荷が重いこのミッション。でもやるっきゃない。
芹生の里まで下ってくる。
この辺は昔奥さんと軽いトレッキングをしたことがあるなあ。
民家が現れたことで、人並みの路面に戻り一安心したのもつかの間、今度は天気が急変。
下(路面)がクリアになったと思ったら今度は上から容赦ないミゾレの総攻撃。
パラパラではなく、ババババッという激しいもので、成すすべなくサンドバック状態。
全くコースを予習する余裕もなく、一刻も早くスタートラインで折り返しするために急ぐが
ペースを上げれば上げるほどミゾレのツブテが顔面を殴るのでどうしてもペースが上がらない。
そのうちまた路面も悪くなり、踏んだり蹴ったり。
この数ヶ月のうちで間違いなく一番のサバイバル。
灰屋の集落まで来るとほとんど平坦になり、大急ぎで回してR477との分岐地点に到着。
アプローチが長げーよ・・・


↓反対側の路面はさらに劣悪


簡単に撮影を済ませたら休憩無しで芹生峠(北側)TTスタート。
標高差354m、距離9.6km、平均3.6%の平坦コース。
感覚的には雲ヶ畑に似てるか。
降り続くみぞれが激しさを増す一方なので序盤からひたすら飛ばします。
最初の5kmはほぼ平坦で拍子抜け。なんなら下り区間さえ結構ある。
路面が悪すぎてほとんど下りでも飛ばしきれないが。
これはヒルクラTTコースとして登録ありなのかとちょっと疑問符がつく。
雲ヶ畑もそうなのだが、確かにツーリングコースとしては魅力的だが、
単に山間を走っているというだけでヒルクラってるというより、
アップダウンの応酬なだけで、路面も悪くタイムトライアルスルに値するほどのコースとは思えないなあ。
なんせアウターでガンガン30kmオーバーで進めるというのはちょっと。
まあ、陥っている状況が劣悪でかなりイライラしてたので、
個人的にいいイメージがもてなかったというのもあるが。


↓R477との分岐点がスタート地点


上も下もビッショビショなのでとにかく冷やさないように回す。
マシンの方も悲鳴を上げていて、跳ね上げた泥がびっしり各パーツにこびりついて
そのせいでトルクをかけると「キューホン、キューホン」と弱々しい叫び声を出す。
チェーンステーを見るとこんもりと泥土の小山ができてた。
もう完全シクロ状態。
心配なのはPRO3、ひっきりなしにバキバキ、プチプチと鳴っている。
頼むからもってくれ!
それほど上ったという感覚も薄いまま芹生の里へ戻ってくる。
ゴールの峠まであと2km程度だが、ここまででかなり体力を消耗し、軽いハンガー状態。
といっても何も持って来なかったので下山まで我慢。
凍結箇所を避けつつえっちらおおっちら上ってゴール。
36:30


↓芹生の里


↓何でもいいからアラレはやめてくれ〜


ゴール地点でちょっと休憩。ミゾレはすでに止んでいる。
やはり峠の南側と北側で天候の境目なのだろう。
さて、上りは一件落着したが、まだシビアな下りがあるので慎重に下る。
こちらの方がデンジャラスでめちゃくちゃ集中して下る。
途中休憩の意味も込めてTTコースの撮影をしながら。
無事に貴船神社まで下ってきた時はちょっと安堵しました。
そこからしゃーっと市内まで下る。やはりこちらは雨までは降っていなかった様子。
無事に下界に戻ってきて、今度は慌ただしく焼き菓子の名店めぐり。
御薗橋を渡り、すぐに大宮通に入り南下。
1軒目は紫竹にあるウィーン菓子のお店konditorei MAUSI。
なかなかよさげな洋菓子屋さんで、たくさんの種類があって目移りする中
「アーモンドとくるみのクッキー」「レモンクッキー」を購入。
ショーケースの中のケーキも、いかにも東欧風な大き目のカッティングのケーキでおいしそう!
お腹もペコペコでイートインで食べたかったのだが、
時間がすでに17:30で、18:00にはどこも閉店時間になってしまうので
ここはお菓子屋さんめぐりを優先して我慢する。またの機会に!
取り急ぎ、サコッシュに戦利品を詰めてリスタート。
ひたすら南下し、堀川丸太町へ。
2軒目はCatherineさん。
名物の「ヘーゼルナッツジャムサンド」「黒ゴマとおからのクッキー」を購入。
大急ぎでリスタートしてさらに南下。
3軒目は四条烏丸PETIT JAPONAIS。
すでに時間が遅くてラインナップが少なく、
「カントゥッチ」(ココナッツガレット)と「クロケ・オ・ザマンド」(アーモンドクッキー)を購入。
3店6種のおみやを無事にゲットできてミッション終了。
すでに時間は18:30で日没サスペンデッド。
お腹がすいたがあとでどっかで食べるつもりで、コンビニでチョコバーだけ補給。


↓京の夜は更けて


とりあえず難儀な京都市街地を抜けておきたいので、
堀川通でJRをくぐって、そのまま南下。
チョコバーで変にお腹が満たされたのとめぼしい店が見つからないこともあって
そのままなし崩し的に第2京阪へなだれ込む。
松井山手まで来てしまうと、沿道に店がない区間に入ってしまい、
そのまま帰路を急ぐ。新森あたりでラーメン屋と思ってたがお目当ての店はすでに閉店。
仕方ないので、常連のラーメンたかしへ。
1人で食べるのもアレなので、近くにいたオカン誘っておごる。
帰宅は21:30。
今日は距離的にはそれほど特筆すべきものではなかったし、
その行程の大半は淀川CRと第2京阪と実に味気ないものだったが
京北でのサバイバルぶりは久しぶりに自分らしいライドで満足のいくものだった。


↓本日のおみや


獲得標高: 1331m
走行距離: 168.87km
TOTAL: 2087.46km


※asagiriさんへ
上記2コースの写真、必要であれば資料室で流用していただいてかまいません。