記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

香川食い倒れ

少し間が空いてしまったが、先日のうどん県潜入捜査の結果報告書。
ちょうど出張の前日にお披露目リリースのあった、高松駅の改名。
いきなり高松市からのクレームが入るなどドタバタしてましたが、
ちゃんと案内板には「さぬき”高松”うどん駅」となってました。
もっと大々的なものかと思っていたのだけど、意外とあっさりしたものでした。


↓うどん県さぬきうどん駅


さて駅の次は空港。
そこにある「空の駅 かがわ」というPRブースでおもしろいものを発見。
なんと蛇口からうどん出汁が出てきます。
伊吹島のイリコが効いた本格的なお出汁でおいしかった。
まあお隣の愛媛県のみかんジュースの二番煎じ感は否めないけれど。


↓蛇口からお出汁


ではまずはやはりうどんから紹介。今回は4軒ハシゴしました。
1軒目は高松空港周辺にある「もり家」さん。
市街地からかなり外れた場所にありながら結構賑わってました。
ご主人は名店「かな泉」で20年修業された方らしい。
座敷の奥で、生地の足ふみ、伸ばし、茹での行程が覗けます。
ここはでっかいかき揚げや天ぷらが名物ということで、
一番人気の冷かき揚げおろしを注文。
待っている間に当然おでんもいただきます。ウマシ。
そうこうしているとでっかい器に盛られてやってきます。
かき揚げデカッ!揚げ方がうまいのだろう、
パリッパリ・サクサクで見た目よりもライト。
うどんも硬すぎず緩すぎずちょうどの塩梅で、のど越しがよい。
価格的には若干関西より安めという程度で、コスパ的な驚きは少ないが
あのサイズのかき揚げなら580円は納得。


↓おでんもいただきます


↓「もり家」の冷かき揚げおろし(中)580円


晩の歓迎会で大いに飲んだ後に行ったのが「鶴丸」。
香川ではうどんを朝・昼に食べるので、晩までやっている店が極端に少なく、
高松市内ではたった3軒しかない。そのうちの1軒。
ここは珍しくカレーうどんが名物。飲んだ後のシメの一杯というところでしょう。
麺は温だからかモチィ〜としていてカレーによくなじむ。
カレーはほの甘くて飲んだ後にはぴったり。値段はそれなり。


↓「鶴丸」の牛しゃぶカレー900円


早朝、ツアー始動の前にホテルを抜け出して2軒ソロアタック。
香川全体では早朝から営業している店は少なくないのだが、
高松市内では意外と少ない。6:00からやっている店ということで
1軒目は「手打ちうどんばか一代」へ。
繁華街からは少し離れたところにあって少々わかりにくい立地ながら
朝から席が埋まるほど賑わっていた。
サラリーマンなどが出勤前に丼をかき込んでいて、なるほどこれが香川の日常かと。
朝イチなのでヘルシーに冷ぶっかけにする。
出された麺は見るからにトゥルトゥルでなんともみずみずしい。
これは相当歯ごたえのあるハード麺だろうと思いきや、
コシはしっかり据えてあるのに歯切れがとてもよく、喉ごし抜群でうまい!


手打ちうどんばか一代


↓冷ぶっかけ中350円


続いて、セルフうどんの雄「さか枝」へ。
ここも朝から観光客やらジモティーやら。
まずレジで「かけ」「ぶっかけ」など種類と玉数を言って、
どんぶりに麺を放り込んでもらう。
それをレジ横の大きな湯だめで自分でさっと湯がいて、トッピングを乗せ、
「かけ」をチョイスしたので大きなサーバーみたいなところで自分で蛇口から出汁をかける。
出汁は関西のカツオベースではなく、イリコなので風味がとても豊かでとにかくおいしい。
ちょっとジャブジャブ湯がきすぎて麺が柔らかくなりすぎたが、
それでもここが今回食べた中で一番シンプルで好き。


↓さか枝のかけ小+たまご天250円


↓自分で湯がく


伊吹島のイリコが効いたダシをかける


本場のうどんをたらふく食べて再確認できたのは、
今関西で席巻している「さぬきうどん」とやらとは全く別物ということ。
関西でいうさぬきうどんはただ硬い。硬ければよいという感じで優しくない。
香川の麺は最初歯に触れたときにぷるん歯ごたえがあり、
そこからの歯切れがすばらしくよい。
噛み切れずにびろ〜んと伸びるようなことは決してない。
絶妙のアルデンテというか、そんな感じ。
香川の人たちが口々に主張していたのは、噛み心地よりも喉ごしが大事だということ。
「ツルツル・シコシコ・モチモチ」の三大要素がしっかり再現されていないと
喉ごしのよさは生まれないし、それはさぬきうどんとは別物だということでした。
ナルホド。
確かに、はっきり言ってただコシがあるだけの麺なら素人でも作れる。
実際こないだの自家製グミうどんは全くお店のものと遜色なかったし。
それにしてもなぜこうも違うのだろう?
うどん屋の人の修業が足らないというわけではなくて、
水が違ったり気候が違ったり、そういうところが影響しているのだろう。
あと、地元の人は太麺よりも細麺、冷より温を好むようです。
そういう関西と香川の土壌の違いというのも大きいんでしょうな、きっと。


お次は酒の話。香川では地元の焼酎というのはほとんどないらしく地酒攻め。
元々焼酎好きではないのでむしろそっちの方が大歓迎です。
が、懇親会では、同じテーブルについた参加者が飲ん兵衛ぞろいで
ビールコップでじゃかじゃか次々と酒を浴びてヘロンヘロン。
極めつけは香川県知事さんにお酌されて、もうアッパッパ〜でした。
仕事の席でしたが、楽しい酒でした。
聞き酒というには浴びるほど飲んで比較どころではなかったのだけど、
一応ラインナップをご紹介。


↓県知事につがれた酒がマズイ訳がない


まずは「凱陣」。
ライトな味で飲みやすかった。いわゆる上等な酒です。
前に座っていたおっちゃんは、この酒は上品過ぎる!
大吟醸とかなんとか、ええ酒がうまいんは当たり前や。
もっと地元の人が日ごろ飲んでる安っい酒をもってこい!
そういう酒やからこそ地の料理に合うし
そういう酒じゃないと香川の風土なんて語れへん!
と言ってましたが、全くもって納得である。
あ、でもこの酒がマズイとかそういうことではないです。
上品上等の酒。


↓凱陣


お次は、県の西、観音寺市の地酒「川鶴」。
口に含んだ瞬間、パイナップルのようなフルーティーな酸味がぱあっと広がり、
とてもおいしくて、ジャバジャバ状態になりました。
今回飲んだ酒で一番おいしかった。


↓川鶴


ラストは「國重」。香川では一番ポピュラーな酒。
トロンとまろやかな口当たり。
鼻に抜ける米の米の香りもよし。
あともう一種類飲んだはずなのだが、忘れてしまったわい。


↓國重


懇親会明けで、カレーうどん食べた後だったが、
香川に来て食べないわけにはいかぬと、てっぷりお腹を抱えて
骨付き鳥いっとく。
ということで、鶴丸からちょいと歩いたとこにある「よって屋」に。
「ひな」と「おや」があるが、当然「おや」を注文。
焼き上がりまで20分ほど待って、アツアツの鉄板に乗って出てきた。
そのまま豪快にかぶりつくにはあまりに弾力があって噛み切れないので
一緒に出された大ハサミで一口サイズにちょこちょこ切って、
ちまちま酒のアテとして食べるのが正解。
かなりスパイシーな味付けで、これがまたたまらん!
肉はゴムのように歯ごたえがあってなかなか顎が疲れるのだが
何度も何度もかみしめるほどに旨みエキスがジワーッと溢れだし病みつきになる。
これ1本でかけつけ3杯はイケちゃう。


↓よって屋骨付き鳥(おや)850円


2日目は豊島。
大学生の頃何度も足を運んだ思い出の島も
瀬戸内アートの島としてすっかり様変わりしていた。
あの頃は産廃の島としてしか注目されていなかったが(島の西側は今もそう)、
イメージがガラッと変わったのは喜ばしい。
でもちょっとスレてしまった感が寂しくもある。
唐櫃地区にある「島カフェ」でランチ。
ここは地元のおばちゃん達と丸ノ内ホテルがコラボして、
島の食材を生かしたフレンチと郷土料理の融合した料理が食べられる。
どれも色々おいしかったけど、
一番よかったのはおばちゃんが漬けた何でもない漬物だったりする。


↓島カフェランチ


無事に荒波を渡りきって高松に上陸した後もまだ飯は続きます。
一体どんだけ食べんだ。
県が食のアンテナショップとしてわずか2軒だけ認定している「さぬきダイニング」の1つ、
「アクアフォンテ」さんで、県産品を使ったイタリアンをいただく。
残念ながらあの沈没寸前の大パニックの直後で味わってる余裕なかった…


↓タイラギ貝のカルパッチ


讃岐でんぶくとさぬきの夢のパスタ


最後は別腹のスイーツ。
香川でスイーツといえばローブさんしかない。
ここの和三盆手巻は甘さ控えめで上品な味わいでおいしい。


↓LOWEの和三盆手巻


今回はツアーで招待されたお店に加えて、
深夜・早朝にも詰め込むだけ詰めこんだので、お腹パンパンの1泊2日でした。