記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

大台ケ原自走 1日目

4月は色々あってなかなか乗れなかったが、最後の最後に帳尻を合わせる。
ちょうど仕事の関係で川上村へいかなければならなかったので、
それでは前ノリして自走で行くことにします。
川上村といえば完成しないダムこと大滝ダムで有名。
ダム自体は完成しているのだが、その途中で周辺地域に地盤沈下を引き起こしていることが発覚し
その解決を見ないうちはダムとしての機能を果たせずにいるダムです。
最短で行っても面白くないので、ダムの村にちなんでダムライド。
そしてせっかくそこまで足を伸ばすのなら、大台ケ原も上っておきましょう。
伊吹山をわざわざ自走で行ったのは、このためのトライアルだったのですぞ。


4:00起床。今回は泊まり&仕事のための荷物を用意。
さすがにレーパン&ビンディングでは仕事にならないので、
重いが靴などを背負いこむ。ボトムは荷物を減らすために、
夏用レーパンの上からコロンビアの2WAYトレッキングパンツを履く。
これ結構重宝しそうです。
上り一辺倒とはわかっていながら今日は前後コスカボ。
2日前の高槻夜練が寒かったし、高所へ行くのでそれなりの防寒具も。
なんやかんやで相当かさばるし重い。
5:00ジャストに出動する頃にはすっかり朝が明けている。
天満橋筋を南下し、四天王寺で左折しR25に入る。
ちょろちょろとナメたピストが赤信号をスルーして加美まで前後してうっとおしい。
早朝ということで交通量少なく1時間で柏原リビエールに到着。
豊橋大和川を渡り、河内国分でR165に入る。
鈍く上りが開始。大阪教育大〜柏原のロックガーデン鈍鶴峯〜田尻峠と進む。
穴虫でバイパスと別れて、旧道R165を進む。
ぐんぐん太陽が昇って、今日は絶対暑くなりそうな予感。
香芝〜大和高田と進んで、今里交差点で東進に転じる。
畝傍のコンビニで朝飯休憩。
リスタート後、桜井方面へ徐々に上る。
長谷寺門前町をくぐって、県道38号をじわじわ上り、
最初の目的地の初瀬ダムに到着。
さっそくダムカードをもらい、しばし観賞。しっかしすでに暑い。


長谷寺


↓初瀬ダム


門前町には下らず、そのままダム湖を回って、裏側からR165に復帰。
ここから榛原まで鈍い嫌〜な上り。しんどいしんどい。
榛原をスルーして8kmほど先へ進んで室生ダム。
でっかいスズメバチがいて怖い怖い。
ダムカードをゲットして、しばし休憩。
平日限定だけど予約をすればダム内部の見学ができるみたい。


↓室生ダム


そこから榛原ヘバックし、県道31号で南下。のどかな里山をポカポカ陽気で進む。
少し進んで大宇陀の町に到着。
そういえば、ここで前から食べたかった銘菓があったと思いだし、
ちょこちょこと古い町並みを行ったり戻ったりしてようやく発見。
ふわっふわの食感が優しい「きみごろも」をいただく。
3日は日持ちするというのでちょっと早いがおみやげに6個入りも購入。


↓大宇陀の町並み


↓松月堂


↓大宇陀名物といえばきみごろも


大宇陀をリスタートしたのが10:30。
R370を南下する。関戸峠を越えると下り一辺倒で楽々。
三茶屋を抜けると山深い区間になりすがすがしい。
トンネル区間に途中で津風呂ダム湖への分岐があって、
当初はそちらへいくつもりだったが、時間が押していることもあり、
翌日の帰りに寄ることにしてそのままスルー。
下りきって窪垣内の集落に入る。
すると見事に蛇行する吉野川の風景が目に飛び込んでくる。
なんてすばらしい風景。


雄大吉野川


窪垣内でR370と別れ、県道16号。
国栖の集落で右折して県道262号、吉野川の流れに沿って山間を縫うように進む。
しばらくいくと川上村に突入する。ここでジャスト100km。
大滝の集落で先に本日泊まる民宿へより、荷物をデポする。
ただアホなことにボトルゲージに突っ込んだ輪行袋をデポし忘れる…
民宿のお母さんがつきたてのよもぎ餅を2つくれて食べる。
そういえば昼ご飯を食べていなかった…
ただまだ上へ行っても食べるとこあるだろうから先にダムライドを完結させておく。


↓川上村


まずは集落からR169に復帰し南下する。
標識では大台ケ原まであと42km…。
すぐに8%の上りが登場しえっちらおっちら上っていると左手にどでかいダムが目に飛び込んでくる。
こりゃまた威圧感のでかいダムだ。
上りきったところにある学べるステーションの駐車場にチャリを停めて事務所へ向かうのだが
無駄ならせん階段を上らされ、ダムの天辺を延々対岸まで歩かされる。
ビンディングシューズでなくても骨が折れる。
しかも事務員の態度激ワルで気分悪い。


↓大滝ダム


気を取り直してR169を進む。やたら車が多くて萎える萎える。
それにしてもなんすかこの暑さ。
寒さ対策で冬グローブにしてしまったのだが、蒸れて不快で仕方ないので
ここからはボーネン流で素手で走ることにする。
しばらく走ると、大きく山肌がえぐれているところを通過する。
去年の台風の爪痕が生々しい。
本当に険しい山を縫う川のほんのちょっとの平地にへばりつくように集落があるところなので
こんな山の崩れ方をしたらひとたまりもない。自然ってすさまじい。
それでもこうやって、しっかりと復興しているのだから人間ってすごい。
道の駅は大繁盛で入る余地がなく、昼ごはんを断念。
今の時点では、さっきの餅が効いていてそれほどお腹も減っていないしとスルーする。
しばらくは大した上りもなく快調に飛ばす。
途中の電光盤の表示を見るとなんと30℃!
そら暑いわ!直射日光にごっそり体力を奪われる。
そうこうしているうちに大迫ダムまで到達。
ダム周辺に何かお店あるかと思っていたが、何もない。
やばい。補給品はすでに底をついてしまっている。あと30kmの上り。もつのか…
とりあえず時間もないのでダムカードをゲットしてリスタートする。


↓台風の爪痕


↓30℃!


↓大迫ダム


さて、ここから恐怖のライドの始まり。
ダムを過ぎるとすぐに祖母谷トンネルに突入する。
これがまた異常に長い。交通量はかなりあって、しかもみなぶっ飛ばしているので
できるだけ路肩のキワを走るのだが、車が通るたびに煽られるし、
バイクの轟音がこだましてもう神経がすり減っていく。
5%程度ながらひたすらに上りでペースも上がらず、ひたすらに耐える。
2〜3kmの暗闇を抜けると一瞬の下界。いきなり強烈な横風で焦る!
で、5mほどで次のトンネル。ここはループ橋の一部なのでにわかにカーブしている。
車やバイクから見えづらいので、インを攻めてくる奴がいないか冷や冷や。
できるだけ端を走る。
すぐにループ橋にでて、今度とは逆向きからの風に耐える。
くるっと一周して再び大獄トンネルに突入。
ここもまた長い!2.4kmも恐怖の時間を味わいつつけて、気がどうにかなりそうだ。
ようやく抜け出てしばらく走ると、大台ケ原ドライブウェイとの分岐に到達。
が!ここも台風の被害で通行止め!
どうしよう…せっかくここまで苦労してやってきたのに…悔やむに悔やみきれない。
迷っているとう回路が4kmほど先にあるとの表示があり、
そこから大台ケ原を目指すことにする。


↓恐怖のループ橋


↓川上線は台風の影響で通行止め


そしてそして恐怖の新祖母峰トンネル。
これまでの恐怖のトンネル群が前座でしかなかった。
新とは名ばかりで昔ながらの隊道で(ちなみに旧トンネルは廃道)、
センターラインもない狭い穴でトラック同士が来たら離合が難しい感じ。
照明はところどころしかついていないし、湧水がしみだしてベチャベチャだし、
おまけに2.5kmもの長丁場!もうヤメテクレ〜。
可能な限り脇へよりたいのだが、真っ暗でどうなってるか目視できない!
しかも路面はアスファルトではなくてボコボコのコンクリでマシンが跳ねまくる。
色々な道やトンネルを走ってきたが、ここほど恐怖した道はない。
できれば二度と来たくないが、これは通過してしまった以上帰りにまた走らないといけない…


↓恐怖の新祖母峰トンネル


ここまでくるともうヘロヘロで、完全にハンガーノック状態。
ぼおーっとう回路に向けて下っているうちにかなりオーバーランをしてしまう。
さすがにおかしいと気付いた時にはもう、R309との分岐の手前付近まで来てしまう。
心底落胆。とにかく何か食べたい。食べたいというよりも食べないともう動けない。
この付近には店どころか民家もない。
ひたすら戻りながらかなり危険な状況でフラフラする。食べ物食べ物…
もう行き倒れる寸前で工事現場を通過する。
そうだ、駄目元で…こんな危機的な状況で恥も外聞もない…
側壁の補修をしている工事の兄さんたちに声をかける。
「あのう…本当に恥ずかしいことなんですが、何か食べるものをいただけないでしょうか」
当然、反応はなんや変な奴がしゃべりかけてきとるぞといった感じ。
それでもあまりに悲壮な顔でふらついていたからか、
「よっしゃ、こっち来い」と停めてあるバンへ招いてくれる。
「昼に炊いた飯の残りとカップ麺あるわ、食べていき〜」と豪華な食事をどーんとおいてくれる。
ありがたや〜ありがたや〜。
本当にありがとうございます。本当に命拾いしました。
ズルズルと味噌煮込みうどんをすすり、白飯をかきこむ。
これほどうまい飯はない!
あっという間に腹が満たされたので、心からのお礼を言って先へ進みます。
その後下山した時に、山上で買った土産をお礼に渡しました。
とんだ笑い話ですが、この時ばかりは笑いごとではなかったのです。
でも超恥ずかしい話ですな。はっはっは。
それにしても最近補給の深刻な失敗が多すぎるなあ。反省。
とりあえずお腹が満たされたし、パワーをいただいたので
これは何が何でも大台ケ原いっちゃる!とバックする。
すると和佐又トンネルでてすぐのところが迂回路の入り口だった・・・
標識まぎらわしいわい!


↓命からがら飯にありつく


↓う回路スタート地点


さて、ここから気を取り直してTT開始。
最初は緩いのぼりが続いているが、はるか前方を見上げるとDWがかすかに見え、
あそこまで一体どんだけ上るんだろうとすでに不安いっぱい。
しばらくして通行止めの和佐又トンネルの旧道の脇から離合の難しい狭小の道へ。
ここまで1km程度で、看板を見るとゴールまであと20km。
事前の調べではTTコースは19.5kmだったはずだから1.5kmくらい伸びている計算。
しかも本コースのスタート地点よりも下った位置からのスタートなので、
若干難易度が上がっているか。
狭い狭い道に入ると、すでに帰路に着く対向車がバンバン来る。
とにかく同じようなところをクネクネクネクネ、徐々に斜度を上げながら上る。
路面の状況はそれほど悪くないが何しろブラインドカーブが多く慎重になる。
徐々にDWの姿が近づいてくるが、それでもまだまだ先。
えっちらおっちらコスカボのケツを叩いて上がる。
祖母峰峠でDWに復帰する手前がちょっと斜度がきつくなり、かなり疲れる。
で、封鎖されたトンネルのところで車線復活してDWに合流。ここまで約7km。
すでにどっぷりと疲れ切っている。
ここから10m刻みでゴールまでの距離が表示されていてそれを目安に進む。
祖母ヶ峰を左に見ながら延々と先に伸びているDW。
斜度はそれほどキツイとは感じないのだが、それにしても長い。
この感覚は伊吹山の7〜8kmのしんどいところに近い。
それにしても高度が上がるにつ入れて
景色のスケールがびっくりするくらいでかくなっていく。
当然といえばそうだが、やっぱり六甲とか北摂とかとは全然違う。
ちょっとビビるくらいの高度感と広さを感じる。
気合を入れて進んでいるつもりなのだが、谷からの風の影響もあって12kmとか。
もっとスピードを上げれそうなのだけど、あと10数kmとか考えると臆してしまう。
ひたすら標識のカウントを削りながらダラダラと上っていく。
ようやくヘリまで来たか!と山をくぐったらダミーでもう2個分くらい先があって萎える。
右手側から道がやってきて合流してきたのは辻堂からのTTコースだろう。
今日は通行止めで封鎖されている。
そこから少し斜度が厳しくなってくる。
車やバイクに混じってローディーもちらほらと下ってくるので挨拶。
再びハンガー気味になってきて、あと10km持つのか心配になってきた・・・
ペースが上がらないまま、ひたすら続く上り坂を耐える。
残り10kmのところで斜度が上がり、その先に対面信号。
そこを抜けると斜度が落ち着き、途中下りも発生し息を吹き返す。
それでもヘロンヘロンで、最後500mのところの10%の上りでは足が千切れる思い。
なんとかやっつけてゴール。タイムは1:48:38。
まあ2時間切れたらいいかなと漠然と思っていたのでまあよしとします。


↓大台ケ原到着


大台ケ原に到着後、即座に売店へ。
16時閉店のギリギリ前に飛び込み、レストランでカレーを注文。
出来あがる間に、山バッジとさっきの工事の兄ちゃん達にお礼の土産を買う。
カレーを飲むようにかき込み、帰り支度。
さすがに高所は少し寒い。下りに備えて冬グローブと、2wayパンツをロングに、
そしてウィンブレを装着。
日はまだかろうじて残っているが、ここからあの悪夢のトンネル群も含めて42kmある。
グズグズはしておれないので即効でリスタート。
大台ケ原は上りも長いが下りも長い。しかもスケール感がありすぎて、
ヘタに攻めれない。伊吹山の時よりも高度感を感じる。
上りでは一切撮れなかったので、ところどころで停車しながら撮影。
すると、ちょうど下ってきたアンカーのシクロ車に乗った人と抜きつ抜かれつになる。
時折ランデブーをしてお話しすると上市から来られている地元の方で、
例の恐怖トンネル群は旧道で帰るそう。
自分もそっちを選択したかったが道は荒れ放題らしくロードでは不可能ということ。
下りはこちらが早いので、う回路に入ってからお先に下る。
ようやくR169に復帰し、寄り道後、和佐又トンネルの7%を上り返していると、
出口付近からひょっこりさっきのシクロさんが出てくるのが見えてきた。
どうもエスケープ道が他にあったようだ。
少しペースをあげて恐怖の新祖母峰トンネルの入り口までに追い付き、
ランデブーで一番の難所を切り抜ける。1人でないだけでこんなに心強いものか!
助かった助かった。


↓スケールがでかすぎる


そこから大獄トンネルの手前でシクロさんとお別れして、トンネル群に突入する。
基本的に下り一辺倒だが、逆にマシンのコントロールが難しく、
神経がごっそり削られる。
特に家路に着く行楽客の車がビュンビュン真横を通過するたびに煽られるので怖い。」
なかには車の後部に船をくっつけたのが通るので怖い。
とにかくスピードを極力殺しながら、安全第一で下る。
大迫ダムまで下ってきたころにはすっかり日が暮れてしまった。
へっとへとになりながら、無事に本日のお宿に到着。
仕事の人と合流して一杯やって、即就寝。
2日目に続く。


↓本日泊まりの民宿


↓晩飯