記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

六甲全山縦走 須磨浦公園〜高取山(12.2km)

<コース> *時間はおよそ
須磨浦公園(7:30)→鉢伏山(8:15)→旗振山→鉄拐山→高倉山→高倉台(9:00)→
400階段→栂尾山→横尾山→須磨アルプス(馬の背)→東山→妙法寺→高取山(10:15)


さあ、やってきました!今年のハイライト第1弾!
すでに大台ケ原まで走ったのでGWはチャリは十分満足でおしまい。
それよりも何よりも山歩き♪山歩き♪
夏に計画している山行に向けて、春に買い占めたギアを洗いざらい試す目的と
自分が果たしてどこまでのスキル・体力があるのか限界を前もって知っておく、
いわば鍛錬として、今年のGWには絶対六甲全縦走やるぞと決めていました。
図らずも当日、北アでは遭難者が相次ぎましたが、自分もそんな目にあわないためには
自分がどうにでもなるテリトリーの範囲で、あえて最悪の状況に追い込んでおくことです。
そのためのシミュレーション。
チャリのロングもそうやって徐々に自分のテリトリーを延ばしてやってきて、
まずまず色々なところへ行けるようになったが、
ペダルを漕ぐのと、歩くのでは全然違う。使う筋肉も違うし、装備の重量も違う。
チャリなら疲れてしまってペダルを漕がなくたって惰性で進んで休めるが、
歩きではそうはいかない。足が止まってしまえば前へは行けない。
六甲の場合はエスケープ場所が充実しているけど、
基本的に人気のない山道を歩くのでコンビニや自販機もない。
そしてチャリと違って直接地面から衝撃が来るので故障や怪我の確率も高い。
チャリで生き死にの問題になることはそうないが、
山では体力・スキルのなさは命に直結する。
チャリのロングに自信があるからといって、それがそのまま通用するわけではない。
山をナメるんじゃないぞ!と自分の体に徹底的に植えつけるのが今回のミッション。
縦走をできるだけ楽に早く済ませるなら、できるだけ荷物を減らし、
軽いトレランシューズで機動力を挙げればいいのだが、
今回は楽することが目的ではない。
あえて重い荷物に硬いトレッキングブーツを履いて
約50kmの長い道のりを歩くことにします。


まずは前日の準備から。
パッキングはなかなか奥が深い。
限られた容量に必要なものを詰めるにはそれなりに技術が必要なんですなあ。
とりあえず下のものをバランスよく放り込む。
  ・地図
  ・ヘッデン
  ・コンパス
  ・カメラ
  ・薬
  ・文庫本
  ・バーナー一式&コッヘル&カトラリー&インスタント食材数種(2食+予備)
  ・携帯補給品(ナッツやクラッカーをMIXしたオリジナル、キャラメル、あんぱん等)
  ・ハイドレーション2リットル(水)&ボトル500ml(お茶)
  ・レインウェア(上下)
  ・フリース1枚
  ・ダウンジャケット
  ・冬グローブ
  ・着替えのTシャツ
  ・ハンドタオル
  ・ストック
これだけで軽く10kgになってしまいます。何が重いってやっぱり水が一番重い。
このところの天候と気温を考えれば、ダウンジャケットと冬グローブは不要だが
山を侮ってはいけないし、本番に向けて加重するということで入れた。
まさか使うことはあるまいと思っていたが、実際当日は思いのほか気温が低く、
日が暮れてからは寒すぎて手がかじかむほどだったのでグローブは重宝した。
まさに備えあれば憂いなしである。
こんな低山でえさえ、夜は冷え込んだのだから北アはすさまじかっただろう。
決して油断はならない。


さて、当日。4:30起きで朝はゆっくりと過ごす。
5:30に家を出て阪神梅田駅まで歩く。うす曇でちょっと肌寒い。
6:00発の姫路行き直通特急に乗り込み爆睡。
本当は須磨駅で普通に乗り換えなければいけなかったのに、
気づいたら垂水まで寝過ごしてしまう・・・ガッデム。
慌てて引き返して7:15に須磨浦公園駅に到着。
トイレや撮影などを済ませていよいよ歩き出しが7:30。
気合入れていきます。
まずはロータリーから西に続いている上り坂を進む。
清盛橋で線路を越えると、山上までの近道との分岐があるがスルーして
その先の全縦のスタート地点まで行く。
ぐるっとヘアピンを回って、コンクリ坂を上る。
茶屋のところで左に折れて、山道チックなところをえっちら上る。
徐々にであるが高度も上がっていき、須磨の海が眼下に見えてくる。すがすがしい朝だ。


須磨浦公園駅


↓スタート地点からの上り


しばらく、整備された山道を上り詰めるとロープウェイの駅に出てくる。
「ごぶごぶ」で紹介されて一躍有名なったカーレーターもあったがまだ動いていない。
階段を少し上ると回転展望台への分岐にさしかかる。
縦走路はそのまま水平に進んでいるのだが、展望台の方に鉢伏山のピークがあるので
さらにそこから上る。
ちなみに六甲全縦路は、なぜか多くのピークをわざわざ避けて巻き道になっているところが多い。
ただでさえ距離が長くて難易度が高いから、少しでも楽できるように配慮しているのかもだが、
ピークに上らずに果たして登山といえるのかと思うので、
寄り道をしてピークを踏んでいくことにします。
で、展望台まで少し上って、右手に折れるとあっというまに鉢伏山に到達。


鉢伏山


↓絶景かな


そのまま直進をして、縦走路まで下っていく。
この辺は公園化されていて快適なダート道。
早朝散歩のお年寄りが多数おられて、
みなさん元気よく「おはようございます!」と挨拶をしてくれます。
こちらも負けじと元気な声で応えます。
アップダウンもそれほどなく森林の中を清々しく進みます。
しばらくして上りになり、森が開けると前方に茶屋が見えてくる。
旗振山に到着です。
この辺の山は毎日登山が行われていて、
今日も記帳所におじいちゃんおばあちゃんが並んでいました。みんな元気だ!


↓旗振山


そこでは休憩せずにさらに進みます。
でっかいススメバチがたくさんウロウロしていてちょっと怖い。
この頃にはすっかり暑くて汗びっしょり。
羽織っていたパーカーをフロントネットに放り込んで放熱。
ザックの重みもなかなか実感してきた。
前方にピークが見えてきて道が3方向に分岐している。
真ん中は鉄拐山のピークへのちょっとハードな上り。
左右はピークを巻いた縦走路。
まだまだ元気なのでど真ん中のルートをチョイス。
ガシガシっと上りきって鉄拐山を制覇。
山上は眺望なし。


↓鉄拐山


そこからはぎゅーんと下っていく。下りは膝やら何やらへの負担が大きいので
ボチボチで下る。まだまだ先は長いもんね。
水平になって進んでいくと、きれいに整備された展望台にたどり着く。
海側、山側両方の展望が開けていてすばらしい。
そこにある「おらが茶屋」でトイレ休憩。
それにしても巨大な蜂がかなりの数いてちっとも休まらない。
トイレを済ませたらすぐに出発する。


↓おらが茶屋


↓高倉山


高倉山からは整備された長い階段をひたすら下っていく。
蜂をやりすごしながらどんどん高度を下げていき、
高倉台の住宅街に突入する。
この住宅地は、元々あった山をポーアイ六甲アイランドの埋め立て用に
ごっそり削り取った跡にできたものです。
住宅地を抜けている途中、たくさんのトレランランナーが横を過ぎていきます。
大分後で、東縦走路で出会ったランナーに聞いたのだが、
5月に富士山麓160kmのトレランレースがあって、
GWにトップ選手が六甲縦走を4日連続するために合宿していたらしい。
それでかなりの数のランナーがいたのですな。
それにしても4日連続全縦やるって、考えるだけで恐ろしや。


高倉台への下り。前方の山が次なる頂、横尾山


高倉台のマンション群への入り口


住宅街を抜け、県道65号を陸橋で渡る。
県道と水平に続くあぜ道をしばらく進むと、
右手の斜面へ延々上っている通称400階段が始まる。
おお、結構上っておるなあ。
さっきさーっとパスしていったトレランランナーもペースが上がらないのか、
上のほうでは軽く渋滞気味。
早速自分も上っていく。確かに階段は萎えるが、ここは我慢我慢。
振り返ると、さっき通った高倉台がはるか下のほうになってくる。
今まで歩いてきた山々も確認できて、なかなかの眺望。
だが、こんなところでグズグズしてられないので、再び階段を踏みしめていく。
階段を上り終えると、今度は山道の上りが続く。序盤からハードだなあ。
しばらく耐えると横尾山に到達。


↓400階段を振り返る。なかなかの急斜面


↓横尾山


横尾山からはご夫婦のトレランランアーと併走状態になる。
トレランの人って下りや平坦はびっくりするくらい速いけど
上りになると極端に遅い人が多く、重装備の自分の方がよっぽど速かったりするので
自然と抜きつ抜かれつになる。
上りが遅いっていうのは山を舞台にしててどうなんかなあとちょっと思った。
しかし、下りと平坦が速くて、上りが駄目って、ぱしゃ君かい!
そうこうしているうちに東側の視界が開けてくる。
そして立て看板がしてあって、ここからお楽しみゾーンの「須磨アルプス」に入る。
ヤッホイ!


↓ここから須磨アルプス


さてさて、ガレている岩場を下っていきます。
途中鎖場もあるが、大したことはない。
そのうち東南方面の視界が開け、核心部に到達する。
階段を下って、岩場に取り付く。
見た目ほどは難しくはなくあっという間に馬の背にたどりつく。
ひどく痩せてガレた部分ではあるが、高度感もそれほどなく
区間も短いので、つかの間の冒険といった感じで終了。
すぐに東山に到達する。


↓須磨アルプスのハイライト


↓見た目ほど難易度は高くない


↓馬の背


↓東山


↓東山から須磨アルプス全景を望む


東山からは妙法寺の住宅地までなだらかな下り区間
トレランランナーはそこから息を吹き返してビュンビュン下っていく。
こちらも思わずペースがあがるが、装備が違いすぎるので当然置いていかれる。
横尾の住宅街に降りてきたときには前にも後ろにも誰もいない状況になってしまう。
縦走路の標識を発見しながら住宅街の迷路を進む。
メロディハイムのところを右折し、少し大きな道路をにわかに下っていく。
で、念のために地図を確認したら、阪神高速をまたぐ位置が中学校のそばだったので、
中学校はこちらの標識に従って右折したのが運のつき。
行けども行けども高速をまたげそうなところがなく、
そのうちに住宅地の迷路に迷い込む。うろちょろうろちょろして、
とりあえず大き目の道で脱出を試みたら、東山からちょうど下ってきたところに出た。
よくわからないうちに横尾住宅をぐるっと一周してしまったようだ・・・
よく調べてみたら、さっき中学校のところで曲がるのではなく、
その少し先にある市営住宅の手前の小道に入るのが正解。
そこにはちゃんと全縦の標識があるのだが、不安が先走って手前で曲がってしまっていた。
思いがけないタイムロスと徒労感。ガッデム・・・
そこから裏道的な遊歩道で高速と地下鉄をまたぐ通路を進む。
くぐってしばらくいくと妙法寺小学校前交差点に出る。
ここ左右どちらにもコンビニがあるが、今日は利用せずにいく。
そのまま交差点を直進してしばらく舗装道を上っていくと、
これまたものすごくわかりにくいところで前縦路は右折の標識を発見。
狭い住宅道路を通り、畑道を抜けると小さな公園に出る。
公園の裏手が高取山の取り付きになる。



↓左手から東山を降りてくる。右手奥の道へ妙法寺住宅街


↓ここも右折


↓ここを右へ入り高速をくぐる


妙法寺小前交差点を直進


↓ここを右へ入る


高取山の上りは最初から結構ハード。
うっそうとした森の中をえっちらおっちらと上っていく。
木々が生い茂っているのであまり眺望はなく、ひたすら山道と格闘する。
上れども上れども続く上りが果てしなく長い。
長丁場の上りにかなりお疲れモード。背中のザックの重みが身にしみる。
高取山でこんなにハードだとは予想していなかった。
途中同じように根を上げているハイカーたちがいて、
負けじと追い抜いて進んでいく。
そのうち道は水平になり、荒熊神社の脇をすりぬけて、高取神社に到達。
ここも毎日登山の人や近所のお散歩の人で賑わっていた。
ワンちゃんもがんばって上っていたが、上りの姿勢は犬にはかなりの負担で、
ヘルニアを誘発させるので犬の山登りは決してオススメしない。
縦走路は神社に遠慮するように右手海側の斜面をととっと下っているのだが
せっかくなので高取山のピークとなる奥宮までがんばってもうひと上り。
いやあ絶景かな絶景かな。
50円があったのでお賽銭を投げて旅の無事をお祈りする。
境内の見晴らしのいいところにあるベンチで少しだけ休憩。


↓高取神社


↓高取山頂から


その2へつづく・・・