記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

和歌山コミコミプラン前編  生石高原ライド

日曜日。前日夕方の雨で路面の具合が少し心配だが出動する。
雨のおかげで少し気温が低くなっているので、
半袖ジャージにアームカバー装着、高所はさらに寒いだろうからウィンブレ必須。
ただし今日はヒルクライムメインのルートになるので、
下はロングではなくレーパンで。
グズグズしてしまったので予定より少し遅れて2:30出発。
とりあえずは堺を目指すため、福島からあみだ池筋に入る。
キタからミナミを通って堺方面へ抜けるルートはいくつもあるが、
天王寺・心斎橋・難波などのややこしいところを通らず、
交通量も少ないこの道が一番オススメです。
芦原橋のところから阪神高速堺線の高架下をゆく。
5月はレースもあって、ガチペースでの走り方にすっかりなじんでしまっているが
その走り方だと絶対ロングでは終盤にタレるので、
また超ロングに向けてペースを抑え目に走るようにしないといけない。
特に今日は超級山岳が2つもあるし、とダラダラと走る。
それでも40分ほどで大和川を越えて堺市に突入。
県道204号に入り、しばらくは一本道。
なぜか赤信号で停車するたびに、ぬこの声に呼び止められる。
野間で拾ったのはぬこの霊だったのかな?
浜寺公園を過ぎたあたりでパトカーにじわっと追い抜かれたので、
こないだのぱしゃ君を習って、後ろのベタつきで40kmオーバーペースで走ってたら、
次の赤信号の時に怒られた〜。スンマセン〜
(といって速度守ってるし、別に悪いことしてるわけではないはずだが)
泉大津を過ぎた地点で、少し交通量が増え、タイミングの悪いことに、
500mにわたって工事でアスファルトを剥がしている区間があって慎重に進む。
岸和田〜貝塚泉佐野と進んでいくが、こんな時間なのに
飲み帰りの団体がゾロゾロ歩いているのを頻繁に見かける。さすが河内。
それはいいのだが、車道に広がって歩くのは危ないからやめて。
田尻町に入るころには夜が明けてくる。それでもまだ肌寒い。
4:30になり、小腹がすいたので、今日1発目の小上りに備えてローソンで補給。
双子池北で、右折し県道63号に入り、岡中西で再び右折して県道64号。
このくらいから反対車線からローディーさんがポツポツやってくる。
こんな朝も早くから和歌山ローディーは元気やなあ、と思ってたがどうも様子が違う。
みな、フル装備のライトをつけ、蛍光ベストを羽織っている。
ん?ひょっとしてひょっとして?
これはもしや関西ブルべのみなさんでは?と思いつく。
そうでした6/9はBRM400km和歌山一周でした!
自分は土曜出走が不可になったのでブルべに参加できなくなってしまいましたが
ブルべこそ、自分がロングスタイルになるきっかけを作ってくれた大事なイベントです。
前日から山越え川越え、ぐるっと和歌山県を一周して
りんくうタウンのあの温室まであとわずかで帰還しようとしている
ロングアニキたちを見ていると胸が熱くなります。
通りすがる一人一人に挨拶をして進みます。
みな最後の最後で厳しいはずですが、みなすがすがしい挨拶をしてくれます。
みんな、あと少し、ガンバレ!
さて、和泉鳥取まできて、いよいよ軽い山岳部へ突入。
御ノ山峠までのゆるい上りが開始。本日のTTの前に軽くあげておきます。
アウターでガンガン踏んで上って、14分ほどで峠に到着。


↓御ノ山峠はすでに朝


峠ではすっかり朝になり、ライトも不要になります。
下ってすぐのところで工事現場があり、赤信号で停止。
そこからヘアピン部を慎重に下る。ブルべの方が必死の形相で上がってきます。
ここが最後の難関。ガンバレ、ガンバレ!
こちらは爽快に和歌山側へ下り、川辺橋で紀ノ川を越える。
布施屋の駅そばをまたいで、いつものローソンでトイレ休憩。
当初はここから東へ船戸方面からぐるっと回って貴志へ行くつもりだったが、
もう少しブルべの方々を見守りたかったので、逆の西へ転じ、
矢田峠を越えていくルートに変更する。
続々とブルべのみなさんが逆方面へ走って行かれる。
千旦で南に転じ、県道9号に入る。矢田峠までの少しの上りをえっちらおっちら。
トンネルをくぐって伊太祈曽まで下る。
ここで左折してブルべコースとはお別れ、
和歌山電鐡貴志川線と並走しながら県道13号で東進。
で、いまや全国区の知名度を誇る三毛猫「たま駅長」のいる貴志駅に到着。
ここは駅舎もリニューアルされ、離れてみるとぬこの形になっています。
駅長はしばらく長期休暇のようで不在です。
週末ともなるとすごい人だかりなのだが、まだだいぶ朝も早いということでがらんどう。
地元の人が普通に通勤・通学で利用しているのがなんだかおかしい。
ちょうどおもちゃ電車が停車中。
もう何度も取材してるんだけど、一応パシパシ撮る。
おもちゃ電車以外にも、いちご電車、たま電車などもあります。
これらは全て、今話題のデザイナー水戸岡鋭治さんの手によるものです。
特にJR九州では「あそぼーい」「海幸山幸」「SL人吉」などおもしろ列車がブームですが、
これらを全て手がけているデザイナーさんです。たま電車はその先駆け。


↓終着駅・貴志駅はぬこのシルエット


おもちゃ電車、通称OMODEN


↓中はガチャガチャがあったりシカケ盛りだくさん


さて貴志駅を後にして、さらに山間へ進みます。
R424でアップダウンをこなしながら紀美野町へ。
R370に入るが、国道と言うよりも生活道路に近い狭い道でびっくり。
野上の集落を越えて、しばらく行くと「清水・生石」の標識があったのでそちらへ折れる。
すると、小さな公園があり、そこに車両が1台鎮座してあったので見てみる。
1994年に廃線となった野上電鉄(通称、野鉄)の車両のようです。
この公園は終着駅の1つ手前の下佐々駅跡にあたります。
野鉄は、海南市の日方から野上町の登山口駅までの11.7kmの路線でした。
同じ地方の小さな鉄道でもさっきのぬこ電車とは全く末路が違いますね。


↓旧野上電鉄の車両


さて、先へ進みます。貴志川を渡り、R370の新道を進んでいくと、
信号があり、標識に従って右折。のどかな農村をのんびり走ります。
前方に徐々に立ちはだかる山々、上部には雲が傘のようにかぶっている。
あそこまで上るのか〜とちょっと身震いする。
天気はとてもすがすがしく気持ちよい、少し肌寒いがTTにはもってこい。
しばらくいくと登山口に到着。ここの分岐がTTのスタート地点。
登山客向けに自販機やらトイレが備わっているのでスタート前に支度する。


↓札立峠TTのスタート地点


さて、いよいよTTスタートです。
マシン装備はあくまでロング仕様で超重たいが、やれるだけやります。
スタート直後はゆるい上りですが、それも2,3のカーブが過ぎるまで。
右手に谷が展開し視界が開けると、いきなり直線的な激坂がお目見え。
直線的に続いているので精神的にもきつい。
そこをやっつけて、ゆるく左手にカーブしていく。
前方に民家が見えてくるが、斜度は一向に緩む気配がない。
民家の前で20mほど斜度が緩み、そこから道が狭くなる。
今度は林の中に突入し、再び容赦なく上る。汗がハンパなし。
こんな道でも意外と車がやってくる。きっとキャンプ客だろう。
林を抜けて次の民家の入り口のS字の上りがまた急坂。
小さな集落の間も斜度が厳しい。
集落の先でぐる〜っと右ヘアピンがやってくるので大外を回る。
ヘアピンを抜けると再び車線復活。斜度も緩み、少しペースを上げていく。
おそらくこの辺りが飯盛峠。
しばらく行くと再び道幅が減り、林間部へ突入する。
最初のうちはどんどん斜度が緩みほとんどフラットになるのだが、それも束の間、
大きな右カーブを抜けると、再び厳しい上り坂が登場する。
前半部は視野が開けて山並みを見ながらだったが、
こちらは京都北山のようにうっそうとした林の中を進む。
幸いにして直射日光を浴びずに済むので助かる。
ぐねぐねと山肌に沿って進む山道をひたすら我慢の走行で進む。
前を見ると絶望を感じるので、メーターの距離計を見ながら、我慢我慢。
そうこうしているうちに、前方が少し開け、
ヘアピンの先から道がきれいになっているのが見える。
再び車線が復活する。残り距離数からあと800mほどということで、
しばらくして意を決してアタック開始。
激しくもがき、ラストわずかに下ってゴール!
28:47。
今日はまだあと150kmも走るしということでガチ100%出力とはいかなかったが、
それでも一応の目標として30分切りはできたのでよかった。


↓200mくらいから早くも激坂…


↓集落に入って道幅が狭まり、急坂は続く


↓向こう側にゴール地点の山並みが見える


↓集落を出て2車線になると少し斜度が緩む


↓飯盛峠ののち、再び林間部の狭い道に突入すると激坂復活


↓視界が開け、舗装のきれいな2車線区間に入るとラスト800mくらい


↓ゴールの札立峠


このコースは新規登録だが、なかなか走りがいもあり、
景色も良くてナイスなルートだった。
路面状況もとても状態がよく、牛滝や鍋谷に比べても良好で走りやすい。
初心者にはちょっと厳しいかもしれないが
和歌山市内からだったら1.5hくらいでアプローチできる。
またTT後には、生石高原へ立ち寄ることができたり、
ニ川ダム・有田方面への抜け道にも使え、
ただ単にTTして引き返すだけという単発扱いでないのもよい。
本当はここから生石高原までさらに3km上りがあるのだが、
あえて札立峠をゴールに設定しているのは、
この峠の前後で下り区間があり、通しだと下り距離が伸びてTTに向かないというのと、
この峠は各方面への分岐点となっているだが、
生石高原方面への道が一番わかりづらくロストしてしまう恐れがあり、
そのあたりをきちっと考慮されているのでしょう。
しかし残念なのは1年以上前に登録されたコースなのに、
タイムを計上しているのが登録者の方と自分の2人だけ。
こんなにいいコースなのに…。
それとも自分が新コース登録するということだけにしか興味がなくて、
他の人が登録したコースなどはど〜でもいいということなんでしょうか?


さて、しばらく息を整えたら、今日の目的地、生石高原へ進みます。
ここからあと3kmあります。
最初間違って大きい道を下って行ったのだが、そちらはニ川ダム・有田方面の道。
あわてて引き返し、さっきの峠から細く続いている道へ曲がる。
しばらくじわーっと下っていくと、再び上りが始まります。
最初は大した斜度ではなかったが、徐々に厳しい斜度になっていく。
何気にTT本線よりキツイんじゃないの〜。あ〜しんど〜。
ヘアピンがやってきてそこから斜度が一気に緩む。
ちょうどヘアピンの頂点から視界が開け、北側を一望する。
遠くに見えるのは和歌山市街?
再び林の中を進んでいくと、向こう側の視界が開け、草原が広がっている。
このくらいの高度に来ると少し靄がかっていて肌寒い。
で、8:30に生石高原に到着です。


↓標高870mだけど、高け〜


高原には当然自転車は立ち入り禁止なので、キャンプ場の鉄柵に留めておきます。
キャンプ場には意外とお客さんがいてワイワイしているところを、
ビンディングでよちよち歩きをして撮影場所を求めて草原に踏み入る。
生い茂った草花が朝露に濡れて足もとがびしょびしょになる。
軽くぬかるんだ道を歩きながら、草原へ。
秋になって一面がススキ野原になればとても感動的な風景に違いない。
曽爾高原はくぼ地にあって、囲われた空間の中にススキ野原があるといった感じだが、
ここはまさしく高い山上にあって、
周囲の山々や遠く和歌山市街や有田方面が見渡せるので全く違った感動がある。
ただ、シーズンになるとあのTTコースも交通量が多くなるのだろうなあ…
本当は870mの生石ヶ峰まで行ければよかったが、さすがにビンディングなので断念。


↓秋には一面の銀世界


↓見渡す限りの高原


ここまで105kmの道のりでした。
さて時刻はまだ朝の9:00前。ですが、そろそろ帰路につきます。
地獄の中尾編へつづく…