記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

大台ケ原ヒルクライム 詳細編

おまんたせいたしました。
土曜日。レース前日。
朝起床してPCをつけた時点で、kurubiさんの緊急DNSを知る。
手はずではkurubiさんが途中車でピックアップしてくれるということだったが、
まあそれは自走でもかまわない。
それよりも、土曜日最初から家庭の事情で動けないので、
前日受付を代わりにしてもらうため、参加証をkurubiさんに預けてしまっている。
さすがにkurubiさんに負担もかけられないし、これは無理かなあと思っていたら、
hideさんがメールをくれて、ピンチヒッターで現地まで受付と送迎を買って出てくれる。
大変ありがたい話。
で、kurubiさんにその旨を電話すると、
参加証はもらいたいしDNSはするけど気分転換に行くわということになりました。
なんか、みなさんに色々してもらってばかりで申し訳ない。
タイミングの悪いことに、こういう時に限って奥さんが残業で夕方まで動けないことが判明。
どうしよう、困ったと悩んでいると、義母が娘の面倒を見てくれると言ってくれる。
すぐさま合流して娘を預け、出発の準備にかかる。
輪行に詰め込んで、地下鉄に乗り天王寺近鉄吉野行き急行に乗り換える。
16時ごろに、下市口の駅に降り立つ。
kurubiさんに連絡を入れるとR309でこちらに向かっておりあと30分ほどかかるとのこと。
本当はここから自走してR309を南下してどこかで落ち合う予定だったが、
このR309は予想以上に酷道だったらしく、むやみに面倒をかけてしまいました。
17時ごろにkurubiさんが到着し、車に乗り込み、R169で池原の「ペンションながい」まで。
会場まではここから約15kmあります。
せっかく夕食が用意されているので、kurubiさんと2人で食べました。
その後、kurubiさんはすでに日の落ちた山道を帰っていかれました。
わざわざこんなところまで、ありがとうございます!
晩は早く寝るべきだったのに、ついつい「踊る」を見ちゃって23時就寝。


近鉄下市口駅


↓kurubiさんと夕食


↓本日の寝床


4時に起床し、荷物受付終了の6:10に間に合うように、いそいそと支度をする。
昨晩にいただいていたお弁当を朝食代わりにがっと食べる。
5月の大台で見事なハンガーノックで身動きできなかったので、
今のうちにしっかりと食べておきます。
結構なボリュームで、起きぬけからハードに食べたせいか、お腹の具合がよろしくなく、
2度3度とトイレに駆け込む。
そうこうしているうちに5時目前となったので、いよいよ出発する。
ペンションを出た時にはまだまだライトが必要なくらい暗かった。
路面はウェット。雨が降ったというより朝露に濡れたのだろう。
ダラダラときなりの湯方面へ。
リュックを背負ってだとやはりパフォーマンスが上がらない。
ウォームアップだと思って無理せず体を目覚めさせるようにじっくり進む。
池原の集落から池原ダムまでの天辺までまずまずの斜度をえっちらおっちら上る。
朝イチからハードだ。
上りきってトンネルをくぐるとあとはアップダウンの道を進む。
静かに水をたたえるダム湖をなぞりながら進んでいくと、徐々に朝を迎える。
どうやら少なくとも午前中は好天に恵まれそうだ。
途中速いローディーさんにパスされ、ちょっと慌ててペースアップ。
会場には5:45くらいに到着。


↓朝食のお弁当


↓池原ダム


紀伊山地の夜明け


すでに大勢のローディーが清流橋付近で待機している。
大慌てで荷物を預けたのだが、冷えないように履いていたカーゴパンツをすっかり脱ぎ忘れ。
スタッフにお願いしてトラックの助手席に避難してもらう。
とりあえず荷物は預けたが、スタートまでは1時間あるので、試走に出かける。
話では序盤の10kmはほぼ平坦で高速コースらしい。
スタート直前に往復20kmも走れないので途中で折り返してくる予定でじっくり走る。
スタート直後は道幅も広く、斜度もないので結構出そう。というか他の試走者はびゅんびゅん飛ばしてる。
そこから集落に入ると道幅が一気に狭まる。
これは後方に位置した場合にちょっと渋滞につかまりそうだなあ…
橋を渡って鋭角に右へ。ここも混雑していればライン取り慎重にせねばだな。
しばらく進んで写真のところまでで引き返すことにする。
会場付近のトイレは混雑しているのでこの付近の公衆トイレでゆっくり。
どうも腹の調子が良くならない。
会場に戻ると開会式?が延々と行われており、チャンピオンクラスから順に大勢のローディーがスタンバっています。
自分は第4グループなのでだいぶ後方なので、R169の橋のたもと付近に陣取る。
しかし腹を冷やしたのか何なのか、腹痛が治まらず、
スタート地点前方のトイレへ何度も行ったり来たりを繰り返す。
この肝心な時に一体どうなってんだ〜。冷や汗をかきながらとにかく出し切ることに集中。
で、どうにかおさまって自分のマシンに戻ってきたのがスタート1分前!危なかった〜。
そしてあわただしく7:10に第4グループスタート!


↓大台ケ原ヒルクライム会場


↓この辺りまではド平坦で高速バトル(写真は試走時)



スタート前の思わぬアクシデント(腹痛)で集団の後方に陣取ってしまったので、
混雑を避けるために序盤から積極的に上げていく。
スタート直後は42kmとか、全く予想外のペース。
しかし試走時の予想通り、集落に入ると道幅が狭まったことで混雑して一気にペースが32,3kmくらいに落ちる。
この辺で黄色いジャージの上北山集団をパスするのに思ったよりてこずった。
前後左右チャリンコに囲まれているので、接触事故にだけはならぬよう気をつける。
沿道には地元の人たちが旗をもったり楽器を持ったりしながら応援してくれているので
嬉しくなって手を振ったり、ありがとう!と声をかける。
試走区間を過ぎてもずっと平坦で川に沿って進んでいく。
道幅が狭いので無理に追い抜きがかけれないため、ある程度トレインが固定される。
奈良のsakuraジャージの2人組と、黒いガーミンジャージを着た赤アンカーと自分の4人体制といった感じ。
どこまで平坦が続くのかわからないので体力温存で最後尾に位置付けていたら、
sakuraジャージの1人が前の2人から遅れだすので、途中からこれはいかんと置き去りにしてペースを上げる。
細かいアップダウンをこなしながらずんずん進んでいく。
コスカボ仕様の自分にとっては中盤の8km区間でタイムは望めないから、
この平坦区間でできるだけタイムを稼いでおきたいところだが
なかなか道幅が狭く道がくねっていることもあり追い抜きが効かない。
それでもすきを見て加速しては1人ずつパスしていくのだが、数が多すぎる。
途中で気付いたのだがサイコンをリセットするのを忘れていたため、
あとどのくらいとか、タイムがわからないことが判明し困った。
そのうち小処温泉への分岐を過ぎるといよいよ山岳区間の開始。


上り口はいきなりどーんと斜度が上がる感じで、前を走っている人たちのペースも一気に落ちる。
ダンシングを細かく織り交ぜながら落ちてきた人たちを少しずつパスしていく。
いつもそうだが序盤から急速に上げてしまうと心肺が暴れて不整脈を発生させてしまうので
しばらくはマイペースを守りながら進む。
いつもの超ロングの過酷さを考えれば、こんなのはまだまだ序の口だと言い聞かせながら進む。
そのうち急な左ヘアピンが登場。ここではスタッフたちの応援が響いていて元気が出る。
ここからは左手に今まで進んできた谷筋を見ながら同じようなカーブを何度もこなす。
斜度的にもコースレイアウト的にも伊吹山の5〜8km付近と似ている感じ。
ここで好敵手を発見。スタート直後からずっと同じような位置にいたさっきのガーミンさん。
黒のジャージに真っ赤なマシンで、背丈恰好がしおアニキにそっくり。
しかも自分よりも少し先行していて、いやなタイミングで軽くスパートをかけていく。
状況はまったくもって春の息吹山とおんなじなのである。
春のときは自分史上最重量の体重で体が絞れてなかったので大失速をしてしまったが、
二の鉄は踏むまい。相手の実力がどんなものかは分からないが、
とりあえずターゲットとして食いついていくことにする。
さすがめぼしが良かったのか、ちょうどいいペースでぐんぐん進んでいく。
こちらも負けじと食いついていく。周囲ではかなり苦しそうな先行ローディーが落ちてくる。
急速な加速は苦手だし、コスカボはダンシングしても全くついてこないので
シッティングでじっくりじっくり進む。
しぶとく進んで切りとおしのようなところを通過すると若干下りが入る。
この下り区間がどのくらいあるのか分からずためらっているうちに
ガーミンさんが少し先行して行ってしまった。
ここから別の谷筋を望みながら進むことになり、ここから本当の激坂区間が登場する。


激坂区間に突入するとしんどいのはしんどいが、
視界がぱあっと開けていてすがすがしい。上っているなあという実感。
ギンギンにペースを上げれるほど余裕があるというわけではないが
不思議と心肺が落ち着いている。落ち着き過ぎている。
周りの人たちが、ぜえはあ、ぜえはあ声をあげているのに全くそういうこともなく自分でも不思議。
しんどくてゲロゲロ〜というのはもちろんだが、この辺ではむしろ楽しい!という気持ちになってくる。
少しずつ落ちてくる人たちが前方でたまり始める。
中には蛇行している人もいて、うかうかと後ろにつけないので
少しずつにじり寄りながら、パスする瞬間に超短時間だけ最大出力してびゅんと抜き、
あるい程度距離があいたらペースをおさめるといった感じで前へ進む。
途中で御家族の応援団がいて、地面にチョークでメッセージを書いてくれていたり
元気をもらう。ありがとう!
そこからもう一回切り通しを通過すると再びの激坂区間
しかもさっきよりも斜度が厳しく感じる。あわてずシッティングでじっくり8,9km程度キープで
とにかくペースを一定に保ちながら、足を止めないことだけを心掛ける。
そのうち前方からミルラムジャージが落ちてきたのだが、こいつがまたうるさい。
勢いをつけてパスをしたのだが、ここからしぶとく追走してくる。
その追走の間もずっと息が荒くヒーヒー言いながら、ときどき独り語を行っている様子。
こいつ、ま、まさか、伊吹山の時の?
そのうち、少し開けた個所に来て斜度が緩み、その先に1つ目の補給ポイントが設けられていた。
アミノサプリカップを受け取り一気に飲み干し、路肩へ放り投げる。
なんかプロのロードレース気分。ドリンクを口にしたことでリフレッシュ。
いよいよミルラムさんを一気に突き放す。
高度がだいぶ上がってきたせいかこの辺から霧がかってきて
少し前方が見にくくなる中アップダウンをこなす。
途中でターゲットのガーミンジャージに追いつきパスする。なかなか手ごわかったが無事仕留める。
DW合流地点の手前から大内輪を振りかざしたおっちゃんが走りながら
「がんばれい!行けい!」と応援してくれ、かなり元気をもらう。
合流地点のヘアピン区間では大応援団のお出迎えを受け、さらに元気もらう。
この時点で時計は8:10を指していたのでDWまでは1時間くらいで来たことになる。
激坂区間はペース一定を心掛け、ほとんどシッティングでこなすことができた。
パスされることはほとんどなく、むしろたくさんの人をパスできたので、
ひょっとしていい感じ?と思っていたのだが、
おそらく、最終グループの後方スタートだったおかげで、
後方から抜かれる可能性が低かったのと、速い人たちはもっと前の方で展開していたのだろう。


DWからはしばらく1人旅。
ここからは実走済みなので大体の感覚はわかっている。
残り8kmまでは鈍い残りが残っているがそこから下りが混じりだし、高速コースへと変貌する。
途中からしばらく3人のトレインになる。向かい風がきついので先頭には出ずに少し足休め。
本格的な下り区間に入る手前で、貯めた脚を使ってスパートをかけ、集団から抜け出し再び1人旅。
そして一番の下り区間では足を止めずにガンガン踏んで攻める。
後で確認したらMAX60.2kmでてた。
なかなかスリリングではあったが、下り区間でもそれなりに追い込めたかなと。
残り5kmを切るとコースは細かいアップダウンの繰り返しとなる。
足はもう大概売り切れ状態でいつ攣ってもおかしくない状態でカッチカチだが
伊吹で追い込めなかった二の舞だけは嫌なので、
だいたい30km切らない感じでガンガン踏みこんでいく。
多少の上りはアウターのまま踏みこんで、とにかく足を止めないことだけ。
この辺からそろそろ時計が気になる。メーターを見ると8:30くらい。
なんとか頑張って8:40につこう、そうすればジャスト90分じゃないか!
という一心でフルもがきを開始する。
(実際はサイコンの時計は5分ほど遅れていたのだが…)
ラス2kmでもう一回まとまった上りがあり、そこはインナーに落とし、
とにかく前にいる選手に追いつけ追い越せで、後先かまわず足を回し続ける。
ラスト150mで再び斜度が上がり最後のしごき。
ここでスタッフから激が飛び、それを合図にゴールラインを切るまで必死のダンシングで攻めきる。
時計を確認すると8:45だったので、1時間35分くらいでいけたのかと思ったけど、
結果は1時間39分台でした。
まあ一応目標の1時間40分はギリギリ切れたし、何より充実したレースだったのがよかった。
たまには真剣勝負の場で走るというのも新鮮。
ひとまずお疲れ様でした〜。



ゴール後、補給所で水をたくさんいただきしばし休憩。
チームのメンバーや奥さんにとりあえず結果報告を入れる。
その後、荷物をピックアップする。もちろん車に預けたパンツも忘れずに。
山上は少しガスっていることもあって少し肌寒いので、
下山に備えてウィンブレ、カーゴパンツを装着。
あとはかさばるリュックの整理や、帰路の自走に向けはずしたパーツを装着したり。
そうこうしていると予定より早く9:30に下山の第一便が出発ということで並ぶ。
激走でかなりお腹が減っていて、ちょっとゆっくり補給したかったのだが、
待たされるのも嫌なので下山を優先。
9:30になり、第一便に交じって下山開始。
スタッフを見かけるたびに「ありがとうございました!」「御苦労さま」と声をかける。
まだゴールを目指している同志にもエールを送りながら。
途中の上り返しではハンガー気味でまったく力が入らずかなり参った。
DWをはずれると道幅が狭まり傾斜も急になるので慎重に下る。
第1補給所のところで、いったん休憩が入る。
そのすきに補給所でアミノサプリとをもらい、リュックに入れていたお菓子を食べてチャージ。
リスタート後は激坂区間を再確認しながら下る。
さらに途中でもう一回休憩。その間に雲行きが怪しくなり、リスタート後は雨が降り出す。
集団で下っているので前を走る人のしぶきが目にかかって痛い!
慎重に距離を保ちながら無事にスタート会場まで下山。
速報が張り出されていたので、すぐに確認。
その後、当日限定で利用できるチケットでホットドッグ2本を買って帰路ライドに向けて着々と補給。
なかなかしんどいレースだし、何より会場入りするのが色々シビアな大会ではありますが
スタッフを始め地元の方々の熱い姿がとっても印象的で楽しめた大会でした。
また来年?


帰路ライド編につづく…