記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

『津軽海峡・冬景色』 by 石川さゆり

今月のヘビーローテーションはこちら。
昭和を代表する名曲ですね。昔からこの曲は大変好きです。
ニッポンの心ですね。
ええ、演歌?なんて言う人もいるかもしれないが、いい歌にジャンルなどない。
これを弾き語りして歌っていると、奥さんから、「らしいなあ」と言われてしまった。



この歌の素晴らしさは、まず石川さゆりの圧倒的な歌唱力である。
「歌がうまい」というのと「歌唱力がある」というのは、似て非なるものである。
「歌がうまい」というのは、声量が十分か、メロディーライン通りに歌えているか、
こぶしが効いているか、ビブラートやファルセットといったテクニックの問題で、
簡単にいえば、カラオケで採点できる範囲での発声のよしあしである。
「歌唱力がある」というのは、単に歌がうまいだけではなく、
”聴かせる”かどうかの範疇であって、曲の世界観を声だけでなく全身で体現することで
聴衆を圧倒的に惹きつけられるかどうかという、非常にレベルの高い次元の話。
この曲はもう、歌いだしの時点から、寒さ厳しい津軽の世界へと我々をいざなうと同時に、
昭和という時代、あるいは年の瀬といった季節感を見事に表現している。


そして何よりこの歌を名曲たらしめているのは一番歌詞の素晴らしさである。
さすが、稀代の天才、阿久悠さんです。
情景が眼前にすうっと浮かび上がり、その世界にのめり込んでいくような強さがあります。
近年、J-POPの没落が叫ばれて久しいが、
それは歌詞力が著しく低下しているせいだと感じている。
とにかく最近のは何の創意工夫もなく馬鹿ストレートに「ありがとう」とか「愛してる」とか、
そのまんまな言葉を使ってしまい、歌詞に込められたストーリーやメッセージを
”読み解く”ということがそもそもできない。
非常に凡庸で陳腐な歌ばかりが大量生産されてしまっている。
これははっきり言ってプロミュージシャンの怠慢だと思うし、
それを安易に容認している(わかりやすさ重視)聴き手のレベルの低下でもある。


少し話が逸れるが、もっといえば、日本人の国語力の低下なのだろうと思う。
子供のことを思えば、英語の時間増やすなら国語をもっと充実させてやった方がいいと思う。
英語なんて、大きくなってからでも全然十分できる。
自分なんか中学一発目の英語のテストで10点も取れなかったが、
その後洋楽にのめり込み、今では辞書なしで学術論文をスラスラ読み書きできる。
興味さえあれば何だっていつからだってできるもんはできるということ。
でも国語力は大きくなってからではなかなか身につけるのは難しい。
さっきの「歌がうまい」と「歌唱力がある」との決定的な違いと同様で、
英語のテクニックを教えるくらいなら、
きちんとした国語力=コミュニケーション力を養う方がよっぽど重要だと思うのだが。
せっかく日本人である以上、美しい日本語を使ってほしいし、
日本語ほど美しく、情緒溢れる言語はないと思う。


津軽海峡・冬景色


A♭m Gaug BonF# Fm7-5
上野発の夜行列車おりた時から
D♭m A♭m B♭m7-5 E♭sus4 E♭
青森駅は雪の中
A♭m Gaug BonF# Fm7-5
北へ帰る人の群れは 誰も無口で
D♭m A♭m E♭ A♭m
海鳴りだけをきいている
D♭m A♭m Bm6 E♭sus4 E♭
私もひとり連絡船に乗り
A♭m        E     E♭
こごえそうな鴎見つめ泣いていました
A♭m E♭onG BonF# Fm7-5
ああ
D♭m6   E♭sus4 E♭ A♭m
津軽海峡・冬景色


A♭m Gaug BonF# Fm7-5
ごらんあれが竜飛岬 北のはずれと
D♭m A♭m B♭m7-5 E♭sus4 E♭
見知らぬ人が指をさす
A♭m Gaug BonF# Fm7-5
雪でくもる窓のガラスふいてみたけど
D♭m A♭m E♭ A♭m
はるかにかすみ 見えるだけ
D♭m A♭m Bm6 E♭sus4 E♭
さよならあなた 私は帰ります
A♭m        E     E♭
風の音が胸をゆする 泣けとばかりに
A♭m E♭onG BonF# Fm7-5
ああ
D♭m6   E♭sus4 E♭ A♭m
津軽海峡・冬景色


さよならあなた 私は帰ります
A♭m        E     E♭
風の音が胸をゆする 泣けとばかりに
A♭m E♭onG BonF# Fm7-5
ああ
D♭m6   E♭sus4 E♭ A♭m
津軽海峡・冬景色


歌手:石川さゆり
作詞:阿久悠
作曲:三木たかし