記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

四国一周 第1区間 高松〜徳島〜阿南〜室戸岬〜安芸〜高知

今年の目標の1つは、チームメンバーも含めてたくさんの人に
ロングの難しさと楽しさを知ってもらうという普及活動。
それについては、年明けのカキオコライドに始まり、フレッシュの成功、
天橋立までのチームライドと3度にわたって機会があり、
ある程度達成できたと思う。
そうしてみんなが300km400kmとロングを走れるようになってうれしいのだが、
自分はロング道を極めるにあたって、皆と同じ土俵に居座るわけにはいかぬ。
みなにとってレースが日ごろの成果を発揮する本番であるのと同じく、
自分にとってはロングはすべて本気本番。
みながロングスキルを上げてきたので、
自分も習って、もう1つでも2つでも次のステージを目指していきたいと、
新たな目標が生まれつつあった。
これはチームで切磋琢磨した結果生まれた意識の底上げだと思う。
となると、これはもう300とか400とかではなく、
もっとでかい規模でのライドとなる。
といっても、イチ会社員としてはなかなかまとまった休暇を得たりするのは
難しくなっていくわけで、限られた時間でいかに走り切るか、
単純なロングスキルだけではなく、ある程度の速さ(人と競う速さではない)も、
そう遠くない将来求められることになってくるとは思う。
そういう現実的に直面している問題と、
個人的目標に向けてうまく活動ができない状況もあって、悶々とする日々だった。


とにもかくにも、不退転の決意で迎えた2カ月のブランクの復帰戦は、
今後の自分のライド人生の新たなステージの出発点として位置づけ、
いきなり無謀にも四国一周860kmをチョイスすることにした。
さすがにこの距離は全くの未知の領域。
簡単にいえば、500kmのフレッシュから立て続けに、
天橋立ライドを走ってもまだわずかに足りない距離。
考えただけで気が遠くなりそうな数字。
ただ、いずれ一周するにあたってすでに何度か四国偵察を済ませており、
川之江室戸岬の東部はほぼ制圧してある。
あと残りの区間をどうやりくりするかだけなのだが、
それでも、ほんまに走りきれるんかいな、無理じゃないかというデカ過ぎる不安、
今、これを乗り越えていかないと、というプレッシャーが渦巻く。
2か月の間に体重はみるみる落ちて、明らかに脚回りの筋肉がげっそり削れている。
体重は4年ぶりに60kg台を割ろうかという状況。
なにせ、食欲不振が続いている。アレルギー反応がひどく、眠れない。
疲労感だけが体にのしかかっている状態で正直言って万全にはほど遠い。
それでも行く。行くと決めた。


事前に何度もルーティングを重ね、装備も追加する。
キャノボとかフレッシュとか都市間を走るようなコースはあまり気にならなかったが
四国はエリアによっては30,40kmもの間コンビニがない区間が普通にあったりする。
飯屋は早くに閉まるし、夜間から明け方にかけては補給ポイントが見つからない可能性もある。
それに室戸や足摺など、公共交通機関が全く存在しないため、
自衛手段をいつもよりも多めに準備する必要がある。
ということで、フロントバッグを新調し、なかに大量の装備品を詰め込んだり、
予備タイヤを巻きつけたりしたおかげで、すっかり車重が重くなってしまった。
本当は、金土日で回る予定が、金曜日は四国も大阪も大雨でお流れ。
スタートに向けていい感じで集中していた糸が一旦切れてしまう。
もうええかあ、なんて半ば意気消沈。
たぶん今回走りださなければしばらく自転車に乗ることがなくなってしまうだろう。
と、天気予報を見ると、翌日からは四国方面は3日間晴れの予報。
奥さんも週末は家にいてフリー状況ということで、
この挑戦できる機会はなかなか作れないと重い腰を上げる。
ただ、日程が金曜日の朝出発から夜中出発とズレたため、
ルーティングを再検討しなくてはいけない。
四国850kmのうち、もっとも警戒しなければならないのは南西部、
つまり足摺岬の前後の200km区間
この区間をできるだけ夜間にかからないようにプランを立てたい。
そうすると時計周りがいいのか反時計回りがいいのか。
いろいろ検討すると当初は反時計の予定だったのだが、
急きょ時計回りに変更する。
どちらにせよ、問題の区間は夜間に走らざるを得ないのだが、
少しでもナイトライドの時間が少なくて済むのは計算上反時計回り。
本当は、ラストの方に実走経験のある区間を残しておいた方が、
精神的には楽なのだが、大したことではない。
それと、せっかくあちらへ行くのだから会っておきたい人もいるのでそちらも手配。


もろもろ、できる限りの準備と覚悟をして、金曜日の23時に家を出る。
1:00の高松行のフェリーまで時間があるので、
神戸港まで自走するつもりだったが、夕方から雨が降り出し断念。
今回はあくまで四国一周することが大事と目をつむって、大阪駅から輪行
前は何も言われなかったのに、駅員に厳しく輪行のチェックをされる。
サドルとかちょっとでもはみ出してたらダメなんだと。ウルセ。
新快速であっという間に神戸に着くと、雨は一層強まっている。
即座に組み立てて神戸港へ。
週末だからかかなりの人出。しかもバイクの大集団とかち合う。
受付で3300円支払い、雨の中二輪待機所で待つ。寒い。
そして10分前にドドドド〜っとフェリーになだれ込む。
船内へ急いで上がり、寝る場所を確保しようとするが、
二輪車は一番最後に回されるので、すでにいっぱいいっぱい状態。
ああ、ここで仮眠を見込んでいたのに無理かあ…
いっそ廊下に寝てしまおうかと思ってたら、
係りの人が間仕切りを開けて雑魚寝スペースが広がり、大急ぎで場所を確保。
助かった〜。
で、すぐに仮眠の態勢に入る。
冷房が利きすぎて寒かったが3時間ほどこっくりこっくり。
そうしていつものジャンボフェリーのテーマソングが流れて起床。
甲板に上がると、すでに雲は去って雨の心配はなさそう。
そして予定通り5:00に四国上陸。
さあ、いよいよ旅の始まりだ。


高松港5:00


たくさんいるサイクリストの先陣を切ってフェリーから飛び出し、
港湾地区をトラックの列に紛れて疾走する。
そのまま詰田川に沿って南下し、R11に出る。
路面は軽くウェット気味。少し前まで降ってたような感じ。
当初の予定ではさらに南下して、
山の手の長尾街道(県道10号)で東かがわを目指す予定だったが、
早朝でまだ交通量がそれほどなさそうだったので、
R11に変更する。
国道に入り東進となる。幅広の道で序盤から稼ぎ時になるが、
どうも体に力が入らない。
やはり体力低下をはっきりと感じる。
脚はフレッシュで軽いのだが、重いギアにシフトするとなかなか回ってくれない。
ただ今回はスプリントもTTもする必要がないので、
最低ライン20km/1hを切らないペースをきちっと継続すれば問題ない。
ちなみに時速20kmではなく、1時間で休憩も含めて20kmという意味なので、
休憩時間を稼ごうと思えばそれ以上のペースが必要だし、
上り下りも全部勘定しなければならない。
実走部分だけのアベを勘定しても何の意味もない。
どうせ終盤には予定がじりじりと遅れてくるはずなので、
序盤でできるだけ稼げるときに稼いでおきたいところである。
まだ広々とした幹線道路を32,3kmペースで走る。
さっそく向かい風の洗礼も受ける。
左手に屋島のでっかい山が近づいてくる。
タルトで有名な八栗を過ぎると幅広車線は終了する。
この辺から大型トラックがせわしなく登場する。
左を琴電、右をJR高徳線に挟まれつつ、道は進む。
軽く丘を越えると、向こう側に海が広がる。
道は海を避けるように右手に折れて市街地へと入っていく。
左手を並走していた琴電志度で終点。


琴電志度駅(終着駅)


さてさて、ここから今回1発目の上りに入ります。
野峠は大した斜度も距離もなく、
いつもならアウター縛りでゴリゴリいっちゃうのだが、
今日はもう完全に脚が弱っているので、無理せずにインナークルクル。
この辺では、でっかいバッグをいくつもぶら下げたランドナーさんがちらほら。
みんな重たそうにペダルを回しています。
きっと彼らも四国一周組でしょうか。一緒に頑張りましょう!
無事に1発目の上りを終えて反対側へ下る。
そうしてすぐにまた小さい羽立峠を越えていく。
交通量はまだ少なく快適だが、
昨日の雨の影響で路面がウェット気味で水たまりを避けながら進まねばならない。
しばらく進んで津田松原に到着。
時間的に余裕があったので、ちょっと寄り道して記念撮影。


↓津田の松原


水分補給をしたらすぐに出発。
しばらく海に沿って走って高速ICを過ぎたあたりから一気に内陸に切り込む。
丹生で当初ルートの県道10号と合流。ここから若干交通量が増す。
しばらく東かがわ市の市街地を抜けていく。
引田で緩く山間を抜けて海岸線を走る。
しばらくすると大坂峠の入口に到達。
予定では8:00着だったが、7:00と1時間のマージン。
すでに暑さが厳しく、ここでも水分補給。
一周ということを考えるとこのままR11で鳴門方面へ向かうのも手なのだが、
3,4年前にツールド瀬戸内をした際に通った大坂峠を
一度香川方面から上ってみたいと思ってて、せっかくなのでそちらを選択することにする。
大坂峠は、険しい山を何度も何度も右へ左に道を振って越えるルートのため、
和歌山の千葉山にも通じる、クネクネがいくつも連なる面白いコース。


↓早くもサヨナラ香川県


↓大坂峠(香川側)


↓大坂峠入口


では、さっそくリスタートして行ってきます。
序盤は集落を縫って行きます。
しばらくしてJRを越えて、周囲が森に変わっていきます。
雨上がりで路面がぬれていて緑が濃い。
最初のヘアピンを抜けると徐々に斜度を増しながらクネクネ区間に突入!
なかなか緑が深いのと、道幅が狭く、
ブラインドカーブの連続なので、あまり不用意にペースを上げれない。
それでも目まぐるしく変わる展開は面白いの一言。
斜度はそれほど急ではなく、ゴリゴリと踏んでいける。
徐々に高度があがり、左手には先ほど走ってきた引田の集落と海が広がっていく。
前方には険しい山が立ちはだかり、
そこにガードレールの白いラインが何巻きもまとわりついている。
といっても大外回りで道が迂回しているので坂自体は斜度は大したことはない。
終盤に少し斜度がアップするがそれも長い距離ではなく、
じきに香川・徳島県境である大坂峠に到達。
千葉山と比べると、やはりブライドが多すぎて、
上から下りてくる車両の危険性を考えるとペースを上げづらいかな。
でものんびり上る分には眺望良好で楽しい!
上りはこの峠で終わりではなく、ここからさらに先まで続いていて、
切り通しを越えるとようやく下りに入る。


↓東さぬきを一望


↓クネクネ〜@@


徳島県鳴門市突入


↓大坂峠のトップ通過中


反対側の板野町側も斜度は緩く、
ゆっくり回しながらペースを上げて下っていく。
交通量もなく快適そのものだが、
少し霧がかっていて前方が見えづらいので慎重に。
いくつかタイトなヘアピンをやっつけてどんどん下山。
そのうちJR線が右からやってきて集落に入り下り終了。
そのまま県道1号を南下して行く。
高松道をくぐり、新興住宅地のひと上りをやっつけ市街地へ。
板野駅をかすめて藍住IC手前で県道1号に復帰。
さすがに交通量が多い。
そのまま名田橋ででっかい吉野川を渡る。


↓阿波大宮にて


↓名田橋で吉野川を渡る


交通量はどんどん増す一方で、路肩の具合はガタガタ狭小。
無理せず慎重に進む。
不動橋で鮎喰川を渡り、ほどなくして徳島医大前でR192へ左折。
路線バスに前後は挟まれシビアな展開をしばらく続け、
佐古六番町でたまらず裏道の讃岐街道へ入る。
まだ空いてない商店街を抜けて、再びR192へ復帰し、徳島駅前を通過。
そのまま直進して走っていたが、途中からどうも景色がおかしいことに気づく。
自分はこの大通りがR55と思い込んでいたのだが、
そうすると右手には眉山が望めるはずなのだが右にも左にも山が見えない。
まさかもう徳島市街を抜けて小松島方面まで来たのかなんて思ってたら、
前方にフェリー乗り場の標識…
ん〜完全に間違えた〜。南北に進んでいるつもりが実は東西に移動して、
南海フェリー方面へオーバーランしているのだな…
そうとわかると、あわてて右折をして軌道修正。
ただこのまま前方のでっかい末広大橋は渡れないので(自転車通行禁止)、
いつものルートでかちどき橋まで出てルート復帰。
ふぃ〜、まさかここで道をロストするとは思ってなかったぜ。
少し回り道をして時刻は9:00を少し回ったところ。


↓かちどき橋より眉山を望む


ここまで80km、ひと山越えて徳島市街に入り、そろそろおなかが減ってきました。
この先商店も減っていくので、その前にガッツリ食べておくことにする。
R55の大通りを速いペースで展開し、とりあえず市街地を抜けておく。
勝浦橋を渡ったところにあった吉牛にてINN。
大盛り牛丼行っときます。
暑さもあって結構お疲れモード、熟睡できていないこともあり、
30分ほど仮眠をとったりしつつゆっくりと朝食。
リフレッシュしたところで出発。
引き続き交通量の多いR55徳島南BPをひた走る。
赤石トンネルを抜けて、大林北交差点で旧道R55へ右折。
ここからは路肩も狭く、やたら石が散乱しているので注意しながら走る。
JR線をまたぎ、のどかな田園地帯を走って10:00那賀川を渡る。
渡ったらすぐ下の交差点を右折し、R55を外れて県道24号へ入る。
R55は海岸線に沿って阿南市街を抜けていくが無駄に遠回りなので、
少しアップダウンがあるが福井までこの裏道でショートカットしていく。
しばらく走ると左手から桑野川が迫ってきて並走。
しばらくずっと平坦なのでのんびりと進む。
まだどうも気持ちがノっておらず、倦怠感はいまだ、足取りはそれほど軽くない。
元々スロースターターなうえに体力低下に、コンディション不足。
ほんまにほんま、完走できるのかしらん。
桑野駅前で、R195とクロス。
このR195は徳島南部の山々を抜けて高知へと抜けるルートで、
なかなかおもしろそうなのだがまた別の機会にでも走ってみたい。
桑野の集落を抜けると、わずかの距離だがちょっとキツめの上りがあり、
そこをエイヤッと越えて新野。
ふたたび軽くのぼりをこなして、下ったらR55に復帰。
阿波福井駅を通過し、駅舎を見たらアンカー乗りの方が休憩中でした。
福井ダムのヘリにある上りをえっちらおっちら上っていたら、
そのアンカー乗りさんが追いついてきて、ご挨拶をして先行されます。
こちらはマイペースで一定距離を保ちつつ進んでいきます。
しばらくして日和佐道路との分岐に到達。
信号待ちでアンカー乗りさんに追いつき、暑いですねえなどと世話話。
信号明けで、再びアンカーさんはぴゃーっと先行される。
自分はこの先もまだまだあるのでペースを保って追走します。
緩く長いのぼりをえっちらおっちら。
車はみな無料の日和佐道路へ行くのでほとんど交通量もなく快適そのもの。
そのうち星越峠に到達し、そのころにはアンカーさんに追いつく。


↓日和佐道路入口


↓星越トンネル


そこからは長く緩い下り区間
アンカ−さんはそこそこ回しながらぺ−スを上げて下って行っていくが
こちらはあまりガチで回して疲労したくないので、40km程度でキープして下る。
お天気も快晴でなんとすがすがしい。気持ちええなあと下っていると、
一之坂トンネルの手前で急にアンカーさんがUターンして照れながら戻って行かれました。
忘れものか何かしたのかな?
自分はそのままトンネルをくぐり、ドライブイン海賊船を左手に見ながら下る。
R55に復帰し、しばらくして道の駅日和佐に到着が11:00。
マージンを1時間半に広げる。
それほど腹は減っていなかったが、この先室戸までは補給ポイントも少ないので、
道の駅の前にできたばかりのサンクスで、みかんゼリーとチョコバーを購入し、
道の駅に移動して自販機でアンバサを買って食べる。
おにぎりとかパンとかはやはりちょっと喉が通りづらいので、
ついついカロリー高めのツルンとしたものに手が出る。
補給障害が出なければよいが…
補給品をむしゃむしゃ食べていると、
同じベンチで休憩していたおばあさんが自転車を見ていろいろと話かけてくる。
聞くと、旦那さんは元競輪選手だったそうで、自転車に興味深々。
ワシにもこんなん乗れるんかいな〜乗ってみようかなあなどと、
まあ元気でなによりですなあ。
食事タイムを終えて、少し時間も余裕があるので30分ほど仮眠をとることにする。
ここは無料の足湯があるので、靴下を脱いでドボンし、
そのまま机につっぷして仮眠。すでに120km走ってきた分の疲労回復に努める。
目覚ましで起きて、いそいそとリスタートの準備をしていると、
さっきのおばあさんが、「よっしゃよっしゃ、元気でたな。行っといで」と送り出してくれる。
あざーす。


↓道の駅日和佐にて足湯タイム


11:30に日和佐を出発。
日差しがカンカンに照りつける中、次の峠に向かって鈍い上りを進んでいく。
日和佐トンネルを抜け、山間部のアップダウンをこなし、橘峠を抜ける。
そこからは緩く長い下りを下って牟岐到着。
牟岐から先は、複雑に入り組んだ海岸線をなぞりながら、
海とトンネルが交互に連続する区間
内妻海岸、大砂海岸と海を望みながら進むが、
どこもサーファーだらけ。さすがメッカだ。
浅川から一旦山を越えて、海南に突入。
途中あまりに暑いので、コンビニに入ってドリンク補給。
本当はアイスも食べたかったが、
序盤から冷たいものを摂りすぎると絶対胃腸がやられて後半補給に苦しむので手を出さず我慢。
海部で短いがきつめの上りをこなして乳ノ崎へ。
内海を望みながら進むこの区間はお気に入りの風景。
そこを進んで宍喰温泉を通過。
水床トンネルを抜けると徳島県終了〜♪
いよいよ長い長い高知県に突入。


↓宍喰はサーファーのメッカ


↓長い長い高知県のはじまり…


甲浦をすぎると、いよいよ室戸岬の真骨頂が始まる。
ここから岬の突端まで40km。全く商店のない補給不可区間に突入する。
左手にはひたすら青い海が続き、その上空は白と黒のまだら雲がうごめく。
前方のカーブの先には幾重にも連なる海岸線が、遠く遠く続いていて、
その果てしなさに目がくらくらする。
ここまで来てしまったらもう後には引けぬ。ただ黙々と岬を目指す。
何度も何度同じようなカーブ、海、上り下りを延々とこなす。
舞洲を20周するよりもまだ果てしない無限ループに陥った感じがする。
暑さと疲労とてペースも一向に上がらず、
ただメーターとにらめっこして28kmをキープしていく。
相変わらず向かい風がひどく、
踏んでも踏んでもペースが上がらないのでムキ〜っとなる。
夫婦岩を抜けて、三津で久々の信号を通過する。
徐々に民家も増えてきて、少し安堵して余裕が出てくる。
路面はあまりよろしくないが、もう少しだと気合いを入れてペースアップし、
15:30室戸岬到達。
文字にしたらあっという間だけど、いやあしかし果てしない。
やはりこの40km区間の果てしなさが室戸を最果ての地にしているなあ。
ひとまず第1関門を無事に通過。


↓40kmの海岸線!


室戸岬


↓ごぶさたです、中岡さん。


室戸は1月に来たばかりで、見るものは大抵見たのでスルー。
それよりも日和佐・海南と軽めの補給しかしてこず、
きちんと食べたのは小松島の手前で、
朝飯として牛丼食べたきりでここまで来たのでお腹ペコペコ。
岬をぐるっと回って西海岸に出ると…
おおう、なかなかのアゲインストの風が迎えてくれる。
東海岸が向かい風だったから追い風歓迎を期待していたのだが、あえなく撃沈。
必死に抵抗しながら室戸市街を目指す。
途中で、海の駅とろむがあり、そこに飛び込んでお昼休憩。
いろいろメニューはあったが、ここはやはりカツオのたたきでしょ。
ということでタタキ丼注文。
肉厚で、表面が香ばしく、なかなかおいしゅうございました。


↓海の駅とろむのじばうま八にて、鰹のたたき丼


少し長めに休憩をとって16:30出発。
予定よりもまだ1時間マージンがあります。
さてさてここまで約200km、第1区間も残り80km、目指すは一路高知タウンです。
海の駅とろむから室津の集落に入る。
風は店に入る前よりは向かい風の強さも若干弱まっている。
少しペースを上げて30kmペースで進んでいく
集落を抜けると、広い海岸が左手に広がっている。
行当岬をぐるりんと回り、キラメッセ室戸を通過。
同じ室戸岬でも東側はがらんどうした荒廃した地域なのに、
こちら西側はやけに栄えていて、そのギャップにびっくり。
その栄え具合と同時に、交通量も当然多い。
といってもエスケープできる道もないのでR55一辺倒。
腹も満たされ、また未走区間で新鮮ということもあってか、
気持ちの方もようやくノッてきたので、ペースを上げて走る。
吉良川の集落を抜けたところで、
反対側から赤ジャージのローディーさんとすれ違い挨拶。
今から室戸?地元の人かなあ。
ひたすら風の強い海岸線を北上する。
羽根岬のところで、一旦止まって振り返ってみると、遠くに室戸岬が見え、
しみじみ走ってきたなあと感慨深い。


↓延々走ってきた室戸岬


すぐにリスタートして、海と山に挟まれた狭い間を走る。
すでにきれいな海の景色には飽きてしまっているので、
ひたすらストイックにペースを上げていきます。
しばらく走ると町が開けてきて、じきに奈半利に到達。
土佐くろしお鉄道の終着駅である奈半利駅にて自販機休憩。
電車が来ているだけあって徐々に栄えてきている様子で、
それに伴ってまた一段と交通量が増える。


↓終着駅、土佐くろしお鉄道奈半利駅


奈半利を出て、少し上りが発生。
そこをこなして、またもや海岸線ラインに沿って走る。
交通量は多めだが、路肩はしっかりしているのでペースを刻んでいく。
さらに先に進んで安芸に到達が18:00。
思った以上にしっかりとした街でびっくり。
そこをささっと抜けて球場前駅のところで横の防波堤をみると、
なんと自転車道が整備されている様子。
しかもここから40km先の高知まで続くロングロードの様子。
ここからは交通量も一層増えるのは間違いないし、そちらへとエスケープ。
自転車道に入ると、それはそれはきれいに整備され、
車止めなども一切ない快走路♪
ただ、道幅は狭く、散歩している人や野良猫がたむろしているので、
スプリント並みに出すことはできないが、
そこそこペースを保ってノーストレスで進むことができる。ありがたや〜。
真横をバンバン車が行きかうR55を見つつ、快適にライド。
芸西に入る手前で少し上り、進行方向に琴ヶ浜の海岸と松原を高台から望む。
素晴らしいですな!
一転して軽く下って、その松原の並木道を走ります。
公園の中で一瞬道をロストしかけるが、
きちんと自転車道の表示を発見して事なきを得る。


↓安芸〜高知間の自転車道


↓快走路〜♪


琴ヶ浜にて記念撮影


↓松林を抜ける


芸西からは少しまた上りが発生。えっちらのぼり住吉の高台へ。
途中にはサイクリングのステーションも設けられているようで、
ローディーにとっては最高の環境ですな。
手結山をトンネルでぬけていよいよ香南に突入。
で、西の方角を見て…ん?


↓ん?


妙なものを発見し、あわてて自転車道の降り口を探し、集落の中を縫っていく。
で、えらいもん発見しました。
自分は激坂フリークで、あの暗峠も上った経験があるが、
さすがにこれを上れる人はいないでしょう。
ついに見つけましたよ!究極の劇坂!
どや!
上れるかっ!


↓究極の激坂


ということで、ネタでした。
これは、手結港という小さな小さな港の入口に掛けられた可動橋。
1日のほとんど船が出入りしているため、
道として降りている時間の方が少ないという珍しい橋です。
しかし理屈がわかって見てもやっぱり珍百景ですな。


↓手結港可動橋


さて、無事にネタを拾ったので、先を急ぎます。
時刻は19:00前。そろそろ西の空が焼けてきました。
再び自転車へと復帰し、ひたひたと走ります。
赤岡で自転車道の先がわからなくなってしまい、
とりあえず集合住宅地に迷い込まないように、鉄道に沿って進んでいく。
すると、吉川駅の手前で、しっかりした道とクロス。
このまま鉄道に沿って進むといずれR55に戻ってしまい、
交通量が多い地帯を抜けなければならなくなる。
それは避けたいので、地図を引っ張り出して思案すると、
ちょうどこのクロスしている道、県道14号で西に進むことができる。
しかもこの先物部川という大きい川があるのだが、
この道で渡れるようなので、ちょうどいいということで左折して入る。
強烈な西日がまぶしい中、その明るさに向かってひた進む。
途中、あまりにきれいなので立ち止まって一枚。
ああ、これだけきれいな夕焼けならきっとあしたはピーカン、暑くなるぞ!
と、思ってたんだけどなあ…
しばらくして大きい川にあたり、物部川大橋を渡ると、
すぐ前方にはただっ広い高知竜馬空港がドーン。
ちょうど飛び立つ1機をパチリ。
ああ、日が暮れるなあ、としみじみ思う光景。
しばしその景色に見とれておりました。


↓のいちの夕暮れ


↓高知竜馬空港


さて、日暮れはあっという間に闇を連れてきます。
室戸で食べて以来、水分以外の補給をしていないので、
少し腹が減ってきているのだが、ここ1時間は勝負時。
まだ明るいうちに少しでも歩を進めておきたいので、
手持ちの羊羹1つを放り込んで先を急ぎます。
空港で道はドンツキとなり、
左折して引き続き県道14号黒潮ラインに乗っていきます。
生活道路なのか、なかなか交通量が多く、慎重に走ります。
十市で山間となり、少しアップダウンやらトンネルやらをこなす。
この辺でもう真っ暗となり、ナイトライド発動。
さすがに勝負時でアゲていたので、
みるみるハンガーとなって、パワーが落ちる。
さすがにもうしっかり一度補給しようと思うが、
コンビニどころか民家もない、野菜畑の一帯なのでしばらく我慢するしかない。
そのまま5,6km走って仁井田まで到達し、
交差点を曲がったところにファミマを発見したまらずINNしたのが20:00前。
予定時刻より2時間半も早い。
もともとかなりのゆとりを持って組んだスケジュールだが、
さすがに速すぎて、一番懸念していた区間をどっぷり夜間走行になりそう…
そこで時間調整の意味も込めて、ここでゆっくりめの休憩を入れる。
この先山中で気温の低いところで待機するくらいなら、
まだ高知市内の方がマシなので。
ということで、大盛りミートソースを中心にどっさり補給を買い込んでむしゃむしゃ。
食べたらだいぶ疲労が軽減されました。やっぱり食べやなあかへん。
食べ終わったら店の広い駐車場の脇でしばし仮眠。
40分ほどゆっくりして、そろそろリスタート。
県道14号へ復帰してすぐに、難儀な難儀な浦戸大橋登場。
この橋は下を大型船が通過できるように背高になっていて、斜度が急で、
しかも路肩が一切ない上に交通量がかなり多くて車道は走れない。
大型車でも来ようものなら、道を塞いでしまい、大渋滞を起こしてしまうので。
かといって歩道は本当に人1人ぎりぎりの幅しかない。
自転車乗りにはもっとも優しくない橋の1つだと思います。
ここは仕方なしに、マシンを押して歩道を歩きます。
当然ビンディングで歩きづらいし、押し歩くといっても本当に歩道の幅がなくて
マシンと並んで進むのが難儀。
どうにかトップまで来て、後方を確認するとしばらく車が来なさそうだったので
あわてて車道に降りてマシンにまたがり、
ぴゃ〜っと下り全力疾走して切り抜ける。
そうして20:30桂浜到着…まっ暗!
竜馬はんのお顔を拝むことなく第1区間終了でございます。


↓浦戸大橋走りにくい!


ということで、第1区間はほとんど実走経験のある区間だったので
わりかしスムーズに事が進行しました。
ちょっと日差しが強く、終始向かい風が厳しかったが、
快適にライドができました。
さて、ここからいよいよ四国一周の真髄、
四万十・足摺エリアに突入していくわけですが、
ただでさえ深い闇に包まれたナイトライドなのに、
土砂降りの雨が追い打ちをかける事態になるとは、
この時点では予想もしていなかったのであります。
ちなみに、第1区間は晴れだし時間にも追われてなかったので、
余裕で写真をたくさん撮っていましたが、
第2区間、第3区間とも全く余裕がなく、点数がぐぐっと減ります。


つづく…