記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ここちよい音楽 『愛のCODA』 by キリンジ

ここちよい音楽をご紹介するこのシリーズ。
いつもはただyoutubeを張り付けて紹介するだけでしたが、
少し考察も入れてみることにしましょう。


今回ご紹介するのは、
敬愛する兄弟ユニット・キリンジの珠玉の名曲の中でも、
もっともハイレベルに展開する名曲中の名曲が『愛のCODA』。
直訳すれば「愛の最終楽章(終わり)」ということですが、
タイトル阿部定事件をテーマにした大島渚監督の『愛のコリーダ』を連想させます。
歌詞の中身については、随所にジャン=リュック・ゴダールの映画を
彷彿とさせるような部分があります。
例えば、冒頭の飛行場のシーンは『アルファヴィル』を思い起こさせるし、
「赤に浸す 青が散る 夜に沈む」のあたりなどは
気狂いピエロ』を例に出すまでもなく、JLGのにおいがプンプンしますね。
非常にドラマティックなコトバづかいで、
大人な男と女の事情が生々しくかつスタイリッシュに目に浮かぶようです。
とにかく彼らの色めく世界観と、
それらを紡ぎあげる1つ1つの日本語のチョイスが素晴らしすぎです。
これぞキリンジ節!といつもながらに感心させられます。
例えば、「飛行機」を「銀の翼」と変換したり、
同じ意味でもちょっとしたコトバの違いだけで随分ドラマティックになるのですが、
簡単そうでかなり高度なものだと思います。
コトバとよほど真剣に向き合っていないとできない芸当。
キリンジ辞書なんかあったら、コトバ力が向上しそうです。
ただ、歌詞を書くというのは本来そういうことであるはずなのに、
最近はプロでも「愛している」だの「がんばろう」だの、
あるいはチープな横文字で逃げたり、
何のひねりもない陳腐な歌が溢れ返ってしまっています。
今の日本のミュージックシーンで、
本当の意味で歌を書くことのできるアーティストは
ほんの一握りしかいないように思います。


さて、歌詞もそうなのですが、
この歌は何と言ってもメロディーラインがすごいんです。
特にラインがスリリングに滑りぬけていくサビの部分などは鳥肌もので、
歌っていても喉が喜ぶ歌というか、
音楽にやわらかく溶け込んでいく感覚が心地よいのです。
ただ、そのラインは非常に複雑に乱高下するので、
非常にチャレンジのし甲斐のある歌、簡単には歌えないスキルを要する歌です。
これほど美しいメロディーラインを思いつくのは
本当に堀込兄弟しかいないんじゃないでしょうか。


で、さらに驚くのがギターのコード進行です。
ギターのコードをただなぞっていくだけでもかなり難しい。
歌うことさえ非常に難しいのに、
これをギターを弾きながら展開するのですから、
堀込兄弟の無双状態に正直感嘆せざるを得ません。
さすが”音楽に愛されている”人達だけあります。
現在は兄弟別々になってしまいましたが、
またいつか初代キリンジの復活を望みつつ。


<愛のCODA by キリンジ


F#m9 Bm9 D(onE) AM7 A7
雨に煙った飛行場はモノクローム
G(onB) Bm(onC#) Bm7~5(onC#) G(onB) Bm(onC#) Bm7~5(onC#)
傘を捨ててコートを脱ぐ
F#m9 Bm9 D(onE) AM7 A7
銀の翼が唸りを上げ走りだせば
G(onB) Bm(onC#) Bm7~5(onC#) G(onB) Bm(onC#) Bm7~5(onC#) C#(onA) DM7 C#7sus4 C#(onB)
窓をつたう愛のしずく飛び散った
D(onC) G(onB) GM7(onB) C#(onB) A6 G#7(13)
あなたの孤独 その清しさに心うばわれ
GM7 DM7 C#m7 Bm7 D(onE) AM7 F#m7
激しく求めた記憶
Bm7 D(onE) AM7 F#m7 Bm7 D(onE) AM7 F#m7 C#7(sus4) C#7 E(onF#) F#7+5(onA#)
春の宵 光の夏 途切れたフィルム


Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
すべてを覆いかくす雲の上で
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
静けさに包まれていよう
Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
無様な塗り絵のようなあの街も
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
花びらに染まってゆくのだろう
Bm7 Bm7(onA) G#m7~5 C#7+9 C#(onA) A7(13)(onE) A(onD) C#m7 Bm7
今はただ春をやり過ごすだけさ
C#(onB) F#m9
地の果てで


F#m9 Bm9 D(onE) AM7 A7
灼け付く日差し ひるむ背中 立ちつくした
G(onB) Bm(onC#) Bm7~5(onC#) G(onB) Bm(onC#) Bm7~5(onC#) C#(onA) DM7 C#7sus4 C#(onB)
頬をつたう汗をぬぐい踏み出せば
D(onC) G(onB) GM7(onB) C#(onB) A6 G#7(13)
胸の傷から夕陽が溢れて
GM7 DM7 C#m7 Bm7 D(onE) AM7 F#m7
軋む列車を追いかけて
Bm7 D(onE) AM7 F#m7 Bm7 D(onE) AM7 F#m7 C#7(sus4) C#7 E(onF#) F#7+5(onA#)
赤に浸す 青が散る 夜に沈む 星がこぼれた


Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
帰りのチケットを破る意気地も
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
愛に生きる勇気もない
Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
無様な塗り絵のような人生が
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
花びらに染まっていたあの夏
Bm7 Bm7(onA) G#m7~5 C#7+9 C#(onA) A7(13)(onE) A(onD) C#m7 Bm7
今はただ春をやり過ごすだけさ
C#(onB) F#m9
地の果てで


Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
今でもあなたは探しているの?
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
醸し出されることのない美酒を
Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
雨に負けぬ花になるというの?
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
やわらかな心を石に変えて
Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
無様な塗り絵のような街でさえ
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
花びらに染まるというのに
Bm7 D(onE) E7~9 AM7 A(onD) C#m7
今はただ春をやり過ごすだけ
Bm7 D(onE) AM7 E(onF#) F#7+5(onA#)
浅い夢酔えないあなたのように
Bm7 Bm7(onA) G#m7~5 C#7+9 C#(onA) A7(13)(onE) A(onD) C#m7 Bm7 C#(onB) DM7
行き先も理由も持たない孤独を友として



『愛のCoda』 by キリンジ 弾き語り練習