記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

鈴鹿エンデューロ 春SP アタック240 詳細編

前日。土曜日。
午前中は娘の音楽教室ののち、教室のみんなとランチ。
その後、梅パに寄ってタイヤを1本購入。
前後揃いでPRO4にしました。
ホイールのチョイスをぎりぎりまで迷ったのだが、
コスカボではなく前後シマノデュラC24に履き替え。
40周と長丁場であることを念頭に、
1周のアベレージをできるだけ保つために、
メインストレートやスプーン手前の上りを重視したセッティングにする。
そのため下りなど高速区間でのスピードを上げづらくなるが、
その辺のバランス加減はやってみないとなんともわからない。
もう1つの理由は毎度毎度、鈴鹿は風が強く、実走から少し離れているので、
コスカボで煽られて不安定になることを懸念して。
一応これでマシンの準備は完了。


一方、自分のコンディションは全くの絶不調。
前週から続く、背中のハリは一向に治らず、
首から腰にかけて非常にダルい。
奥さんが献身的にマッサージをしてくれたおかげで、
首を回したり、下を向くということはできるくらいにはなったが、
果たして長時間前傾姿勢を保てるのか…
おまけに、この週は1年でも仕事のピークの時期で、
連日深夜までの仕事で、疲労MAXで、食欲もあまりなく、
直前までDNSしようかどうか迷ったくらい。
でもせっかくエントリーしたし、宿も申し込みしてしまったので、行きます。
まあ完走できずとも、あのサーキットを走れるのは楽しいことなので、
ここはリザルトは気にせずに行こうと気持ちを切り替える。


19時に家を出て、近鉄特急で白子へ。
今回はレンタカーで前ノリして車中泊はパス。
しっかり宿で寝て8時間耐久に備えるプランにしました。
途中、沿線火災のため運転見合わせの危険性もあったのだが、
定刻通り22時にはホテルにチェックイン。
ホテルでも少し持参した仕事をこなし、気づけば1時…
エアコンをつけているのに部屋がやけに暑くて十分に寝つけず5時起床。
ん〜。


↓前ノリ


6時にホテルを出て、マシンを組み立ててサーキットに向かて出発。
背中の荷物が重くて朝からダルい。
サーキット道路のアップダウンをこなして、6:30にサーキット入り。
まずは受付へと向かい、チップとゼッケンをゲットして、
1コーナー側の野外ピットの方へ向かい、適当な場所に陣取る。
まずはマシンに取り付けられたロング仕様のパーツを一斉取り外し。
ライト一個でもずいぶん重い。
食欲がないのだが、何も食べないわけにもいかないので、ポカリでアンパンを流し込む。
と、毎度のように腹の具合が悪くなり、トイレに並ぶ。
こちら側はトイレから距離があるので、なかなか大変。
どうにか用を済まし、残り10分のところで1周だけ試走に出る。
前後C24のパターンは自分の中では山岳コース用のセッティングなので、
果たしてこれで高速区間が出せるのか心配だったので、
そのあたりをある程度出してみる。
自分はくるくる回すというより、踏んでいくタイプなので、
ちょっとフィーリングが物足りない(余計に回さないといけない)が、
それでも立体交差のところやS字のあたりは50km前後までは出せる。


↓サーキット入り


試走から戻ったら、再びジェルやら何やら飲み込めそうなものを流し込み、
おトイレタイム。ああ、胃がムカムカする。
そうこうしているうちに、召集のアナウンスが流れたので、
ピット出口から8時間組の集まるエリアへと向かう。
毎度のマトリックス監督からのありがたいご発声をいただいたり、スタートの時を待つ。
例年、この時期の鈴鹿はやけに寒い印象だったのだが、この日はピーカンで、
この暑さがかなり油断ならないような予感。
作戦としては、今回は2ピット作戦の予定だった。
4時間ジャストのピット封鎖時間の前、15周目あたりで1回。
そうして30周目で2回目。
どうせ後半に入れば疲労が出て、ペースが上げれなくのは当然だし、
4時間組が同時に走っている間の方が、人が多く、
それだけトレインに潜ったり、誰かについてペースを上げやすい。
とにかく前半戦でどれだけ稼げるかが完走のカギ。
単純計算、1時間5周(1周12分ジャスト)のペースが完走の最低ラインだが、
マージンを稼いで休憩する時間帯を自分で作り出さないといけない。
少なくとも2年前のように4時間終了時点で3周分は稼いでおきたいところ。
そうこうしているうちに、カウントダウンが始まりスタート!
行ってきます!


↓いよいよスタート


ここからは当然写真ありませんので文字だけでお届けします。
スタート位置が後ろの方だったので、当然スタート直後は大渋滞。
上りで立ちゴケする人がいたり、シケインでも詰まり気味だったが、
どうにか抜けだして、130Rへとペースを上げる。
この辺りは40km程度までペースを上げながら西ストレートへなだれ込み、
その先、スプーンの上り。
ここも高速セクションからの一気の減速で、かつ右回りのコーナーなので
毎回速い連中と遅い人との間でライン取りの悶着が起こるところ。
ここはおとなしくインはつかずにセンター寄りで上る。
スプーンからヘアピンまでも、若干のアップダウンがあるが40km程度まで上がる。
ヘアピンは後方を確認しつつ、自分の最適のラインを守って、
立ち上がりで一気に加速。60km近いところまでスピードを上げて立体交差をくぐる。
次のデグナーは、タイトなコーナーへ高速で突っ込むのだが、
ラインが交錯しやすい最も危険な場所の一つ。
(遅い人が意図せずアウトへ膨らみ、速い人が高速でインへ切れ込む)
ここもコーナーの入り口で後方を確認しつつ、
スピードを殺さずに、次のダンロップまでの鈍い上りへとつなげる。
この辺りは32,3km程度。
ここからこの時間帯はかなり強い向かい風が伊勢湾から吹き付けてきている。
下りのテクニカルセクションに入り、下ハン姿勢で抵抗を減らしながら
50kmオーバーで展開。
S字も高速でラインが交錯する危険地帯。ここはむやみに左右へ振らずにラインを守る。
そこから勢いづいたスピードからさらに踏んで2コーナー〜1コーナーへ突っ込んでいく。
前はなかったはずだが、イン側に三角コーナーが設けられていて、
使える道幅が狭く、イン側にバンクがついているのでなかなかスリリングな状況。
1コーナーを立ち上がって、そこから鈍く長いメインストレートへと進む。
ここは30kmちょいでしぶとく進む。
といった具合で、ちょいちょい自分より少し速そうな人を見つけてはベタついて
体力を温存しつつ、1周9分台で順調に周回を重ねる。
3周目だったか、シケイン手前ののぼりで4時間組の先頭集団にパスされたのだが、
その先のシケインで落車発生し、再び大渋滞。
どうにか危険は回避できたが、ちょっとビビる。
5周目にも、救急車投入しますとバイクからの指示が飛び、
なかなかサバイバルな状況になってきているのか?
1時間経過の2,3分前に6周目を消化。
ここまでは順調で、1周分のアドバンテージを得た。


7周目以降になると、なかなかちょうどよいトレインに出くわさず、
単騎での戦いを強いられる。
この辺りになると、スタート前の補給不足がたたってか、
ハンガーノックの現象が出始める。
これはいかんと、スプーンを上りきった区間を大外で周り、
少しペースを落として前バッグに仕込ませた補給品を食べたり。
ピットでの休憩が一番タイムロスになるので、それならば、
ペースを少し落としてでも、走りながらつなげるだけつないでいく作戦。
そうして10周を、1時間42分でクリア。
ということは18分、約2周分のアドバンテージを稼いだことになる。
この時間帯から、風の具合が目まぐるしく変化し、
周によって西ストレートが追い風だったり、向かい風だったりで、
同じ区間で35km出すのに、しんどさが全然違うので、ペースが全くわからない。
あれ、急に自分のペースが落ちてきているのかと焦りだし、
出力を余計にあげたりして、なんとか見かけのペースを保つようにしていたのだが、
思った以上に疲労が激しさを増していく。
今回は2本のボトルを装備していったのだが、
あまりの日差しの強さに、喉がカラカラで、ついにドリンクが底をついてしまう。
それと同時に、背中のハリがとてもつらくなり、それが腰の方へと広がってきて
姿勢を保つのが非常につらい。
このまま我慢して走り続けてタイムを失うくらいなら、
一旦ピットインして、まとまった休みを取って次のスティントにつなげた方が
ロスが少ないのではないかと判断し、予定より早いが12周目の終わりにピットイン。


マシンを芝生に転がしたら、とにかく食べ物と水分補給。
マシンのボトルにも水分を補充し、とにかく食べるのだが、
気分が悪くておにぎり1個とチョコレートを流し込むので精いっぱい。
腰回りを中心にストレッチをこなして痛みを和らげる。
きっかり10分で補給を切り上げて、リスタートします。
ここで稼いだアドバンテージが1周なくなり、1周分だけとなります。
この補給がうまくはまればよかったのだが、補給後はさらに具合が悪くなる。
風の具合もあるのだが、西ストレートでは40kmも出ずに36kmとかだし、
ヘアピン明けの高速区間も50kmでない。
一番のバロメーターである、メインストレートなどは25km出るか出ないか。
明らかにヘバってしまっている状態。
調整ができていないため、この強度ではスタミナが維持できないのは明らかだった。
それでも、まだアドバンテージは保っているし、
このしんどいところを抜けてランナーズハイに入れば
まだ大丈夫と信じてペダルを回し続ける。
が、その焦りからか、ヘタにみかけのペースを維持しようと、
ヘアピン明けからの区間で重いギアを踏んでいくと、
逆バンク明けの緩い上りでいきなり両脚を攣ってしまう!
脚攣するなんていうのは初めての体験で、思わず悶絶。
とにかくコース上は危ないので、すぐに左脇の芝生へと離脱し、足を延ばす。
幸い、攣りはすぐに収まったのだが、そこからリスタートしても、
再び攣るんじゃないかという恐怖心でしばらくまったく踏み込めなくなってしまう。
そんなこんなを騙し騙し続けながら周回を重ねていくのだが、
これは正直40周は難しいという弱気な気持ちがどんどん膨らんでくるようになった。
3時間半を過ぎた時点で、ボトルの水が少なくなったので、
ピット閉鎖が行われる前にピットすべしと、18周目終わりに滑り込み、
とりあえず水だけ補充してリスタート。


この2回目のピットで少し体力を持ち直したのと、
焦りばかりだった気持ちを落ち着かせて冷静さを取り戻し、
一気にではなく少しずつペースを回復させていくように頭を切り替え、
リスタート後の一周目をその前のスティントよりもいいフィーリングで抜けていく。
そして20周目に突入。
順調にペースを回復し始めていたのだが、2コーナーのところで事件発生。
先にも書いた通り、2コーナーは内側にバンクのついた左カーブを
40kmオーバーで抜けていく高速セクションなのだが、
そこで速い単騎の人が右側から並んできて、そのまま自分を追い抜いて行ったのだが、
そいつが、自分のすぐ直前にいる人、
それもそんなに車間が十分ではないくらいの距離の人を、なぜか今度は左側から抜き始めた。
つまりあのバンクのついた左カーブの狭い道幅のところで、
わざわざシャープなS字を自ら描こうとしたのだ。
そのまま右側から続いて抜けていけばいいものを、
なぜそんなわざわざ難しいラインを抜けようと思ったのかは知らない。
(ひょっとしたらその先でピットインするために左へ寄りたかったのか?)
そうしてバンクが急だったのか、急にバランスを崩して、車体が大きく揺れた。
こちらは危ない!と思って慌てて減速しようとしたのだが避けきれず、
そいつのリアと、自分のフロントがほぼ全面的に接触
ホイールとホイールが完全に重なり合うくらいの感じ。
しかもそのせいで自分がバランスを崩したために、
今度は右後ろにいた人のフロントホイールと自分のリアが同じタイミングで接触
しかし40kmオーバーの難しいコーナーの最中に、
いきなり前後ホイールがロックし制御不能です。
そのまま絡まって落車を覚悟しましたが、
持ち前のバランス感覚でギリッギリのところで体勢を立て直す。
あそこに集団が来ておらず、逃げれるスペースがあったのが幸いでした。
接触の原因を作った阿呆はごめんなさい〜と言いながらそのまま前へ逃げていきよる。
後ろでぶつかった人も無事だったようで、大丈夫か?と一言言い置いて進んでいかれる。
最初の奴に対して大声で文句を言って、追走しようと思ったのだが、
どうもマシンの挙動がおかしい。
しかしすでにピット封鎖が始まっているので、
とりあえず走れてはいるのでそのまま様子見で走り続けることにする。
明らかにマシンの具合がよくなく、ブレーキの利きが悪いので、スピードが出せない。
それに加えて、ギアが噛み気味で重いギアに落とせない…
ヘロヘロになって、ようやくピットに戻ってきて、
とりあえずメカトラをリペアする。
どうもフロントホイールの振れがひどくて、それを直せるだけ調整する。
で次はディレイラー。取り付けの位置が歪んでしまったようでそれらをどうにか調整する。
ブレーキバランスもおかしいので、焦りながらもどうにかこうにかリペアを済ませるのだが、
その時点で30分以上の時間が過ぎてしまっていた。
慌ててリスタートしようとして、立ち上がろうとしたときに、
ピっと腰に電気が走り、これはマズいと、しばらく座ったまま。
んん〜、今日はもうええかな。と完全に気持ちが切れてしまいました。
レース中のアクシデントだから、それはまあ仕方ない。
それよりも、たとえ完走は無理でも、とりあえず8時間は走りきるというところに、
もう気持ちがこれっぽっちもむかなくなってしまったことがショックで、
しばし呆然とする。
強度が違うとはいえ、この日はここまでわずか150km程度しか走っていない。
今まで出たレース・イベントの中でも最悪のリザルトには当然理由があります。
コンディション調整の決定的な不足、今回の敗因はもうそれに尽きます。
こればっかりはもう言い訳できないのだが、はじめからわかりきってたことだし、
全部自らが選択した結果です。
まあ準備がどれくらい大事かということですね。長谷部の本でも読むか。


とりあえず、気持ちが完全に切れてしまった以上、
コースに復帰するわけにはいきません。
中途半端なマインドで走ればまた事故を起こしたり、落車したりするに決まっているからです。
しばし考えた結果、DNFすることにしました。
受付へ行ってサイコンの結束を切ってもらった時に、初めてああ終わったなあと。
今までブルべも含めてDNFするのは今回が初めてで、
悔しいというか、完全に気が抜けた状態でした。
いそいそと支度をして、重いリュックを担いで白子へバックし、そのまま夕方には帰宅。
とにかく疲れました。


↓づがれだ〜


準備不足、体調不良は明らかだったので、
最初から完走は難しいかなというのは頭の隅にちょっとはあったのですが、
それでも、あと数周とかくらいまではできたんじゃないかなあとちょっと落胆しています。
またイチから鍛え直しです。