ヤリホ〜 4日目 奇跡の朝焼け+南岳新道
悪夢のような一晩が終わった。
やっと終わった。
横たわっているだけがただただ苦痛で、ほとんど十分な睡眠もとれぬまま、
4:00頃に鳴った他の人の目覚ましのけたたましい音で起こされる。
どこの誰だかわからないが、目覚ましが無遠慮に鳴っているのに、
本人が気づいていないのか、ずーっとなりっ放しで、みな大迷惑。
他の宿泊客は皆大人で、乱暴に文句を言う人はいなかったけど、
あれはかなり迷惑。起きる気がないなら目覚ましするなと言いたい。
朝食は5:00から、食堂に来たもの順ということで、
早くから食堂前で行列ができている。
おそらく早立ちをして槍や大キレット方面へ向かう人だろう。
自分はこの日はもう南岳新道を下山するだけなので、行程には大分余裕があり、
ゆっくり朝食を取っても支障がない。
なので、無理に混んでいる時間帯を狙う必要がないし、
何より日の出の時間帯と被っているので、先に撮影に出かけて、
6:00ごろに戻ってきて朝食を頂くことにする。
防寒一式を着込んで、外に出ると、東の空が不気味に焦げたような色合い。
どうも快晴という感じではなく、
下界には雲海が、そうして上空には薄い雲の一群がたなびいていて、
そのちょうど合間だけ晴れ間が見えているという空模様。
下の雲が結構厚く、朝日がそれらを越えてくるにはまだ少し時間がかかりそうな感じ。
この辺りは撮影スポットに適した場所には困らないが、果たして何を収めようか。
南岳まで上り返せば、槍の方面まで見渡すことができるが、穂高方面が見えづらい。
常念平に出れば、朝日に面した東面が一望できるが、
常念山脈は逆光だし、被写体がちょっと役者不足か。
となると、やはりこの日は狙いを穂高に絞って、
できれば焼ける穂高連峰、そして迫力の大キレットを狙おうか。
ということで、獅子鼻の方へと向かう。
すでに重装備の面々がスタンバっていて、
自分も底の一角に混ぜてもらってその時を待つ。
昨日がガスがまいて見えなかった大キレットもすっきりと見渡せる。
切り立った岩の回廊はさすがに迫力があり、
中間点の長谷川ピークからその向こう側にそびえる北穂までのえぐい登り返しに、
見ているだけでも足がすくみそうな思いだ。
よくよく見てみると、その急峻な岩場にチラチラと明かりが動いているのが見える。
早立ちをした人たちがもうすでに歩き始めているのだ。すごい。
まずはお決まり通り、富士のお山を崇める。
この日も一目でそれとわかる美しいすり鉢状のシルエットを見せている。
が、この日はいつになく空の様子が違う。
果たしてちゃんと朝焼けが見えるのか、それともどんよりと朝を迎えるのか、
一種異様な雰囲気でみな固唾を飲んで待っている。
すると…
↓本日も富士山&南アルプス
徐々に下の雲海からまばゆい光の珠が上昇し始めたかと思うと、
そのオレンジの光線を真に受けて、上空の帯雲が次々と煌きはじめた!
その光の帯は世界の果てまで瞬く間に拡散し、
世界を包み込み始める。
それはまるでお釈迦様が世界を切り開いて現れたのかと思うほど神々しい…。
周りの人も自分も、一言「あぁ」と驚嘆の声を漏らしたきり、声が出ない。
美しい…ただただ美しい…
しかし…
そのあまりにも現実離れした光景に、感動とは別の一種の無気味さ、
えもいえぬ不安感が漂うほどなのである。
果たしてこれから何が起ころうとしているのか…
まるで見てはいけないものを見てしまったかのように、背筋がぞくぞくする。
これこそまさに畏怖の念である。
これほど強大で圧倒的な自然という存在に対して、
我々人間はもうなす術がないということを思い知らされているようだった。
自分は体系化されたあらゆる宗教や神の存在を信じてはいない。
しかし、山や森、大岩や大樹などには神秘的な何かが宿っているなあと感じる時がある。
それがモノノケか神かはわからないが、
確かに人間の英知では到底説明できないようなパワーがあるように思う。
この朝焼けを眺めるにつけ、もはや観念に近いような気持を抱きつつ、
不思議と空に手を合わせてしまった。
それほど、この日の朝焼けは衝撃的だった。
↓セカンドインパクトでも起こったのか!?
↓参照(セカンドインパクト)
いつもとは明らかに展開の異なる朝焼けに、
しばらくはただ呆然と見守るしかなかったが、
他の登山客のキャアキャアと感激する声にふと我に返り、カメラを構える。
はっと気づいて、穂高は?と振り返ると、
急峻な岩肌を惜しげもなく燃やしている。
こちらもまた自然が造りし美しい造形美。素晴らしい。
奇跡的な朝焼けを目撃し、それらを写真に収めること40分ほど。
ようやくえも言えぬ光のイリュージョンが終了し、空が落ち着きを取り戻す。
そうしてこちらもちょっと朝イチから興奮が過ぎてしまったので、
これはもう十分と、小屋へと戻り朝食を頂く。
ほとんどの方がもう食事を終えてしまっていて、残り2,3人だけで食事。
白米も味噌汁も3杯お替りでしっかりといただきました。
ごちそうさまでした〜。
寝床へ戻ると、もうほとんどの人が出発した後で、
前夜とはうって変わってガランとした寝床で荷物の整理と出発の準備。
ああ、今日で山を下りるなんて寂しいなあ〜という気持ちと、
あの空を見たら、これから天気崩れるかもしれない(実際翌日から天気が崩れた)から、
今回はこれがちょうどいい潮時かもなあという気持ちとが半々。
そうしてゆっくりと準備をしてから、小屋の皆さんにお礼のあいさつをして
6:30いよいよ最終日の出発です。
といってもまだ少し時間に余裕があるので、いつかチャレンジするために(?)
大キレットをもう一度間近で目に焼き付けておこうと、そちら側へ。
さっきよりも随分日も上がり、明るくなって、その全容がはっきりと目に留まります。
他の登山客の方々が次々に大キレットへと向かわれるので、
自分もいっそこのまま突っ込んでしまおうかなどと考えてしまうが、
そちらへ行ってしまうとその日中に上高地あるいは松本まではたどり着けても、
大阪まで帰ることはまず無理だし、
何より準備も心づもりもなく思い付きで突っ込んで行けちゃうようなところではないだろうから、
ここはもう眺めるだけでよしとしました。
でも来年あたりそろそろチャレンジしてみたいなあ。正直怖いけど。
↓迫力満点の大キレット
さて、お名残惜しいが山を下りる時間となりました。
キレット方面から小屋へと一旦引き返し、
テン場の脇から、南岳新道へと向かいます。
朝食の時に、他の登山客の方が小屋の方に南岳新道のことを尋ねられていて、
それに聞き耳を立てていたのだが、小屋の人曰く、
決して簡単な道じゃありません!
そこらの整備されている道しか知らなければかなり悪路で歩きづらいです、
三大急登とかありますけど、それよりも数倍険しいと思ってください!
と力説されていました。
また朝食をご一緒した方で前日に南岳新道を上がってこられた方がいて、
その方も、小屋の方の話は盛ってませんよ〜、
梯子場やロープ場も多数あるけどほとんど朽ちかけているし、
人によっては登山道が崩落したと勘違いする人がいるかもしれないくらいひどい道でした〜。
と言っておられたので、大キレットではなくとも気を引き締めていかねば!
そうして、南岳新道の入り口に到達すると、
まずは正面に立派な山容をみせる笠が岳がどーん。
そうして左手には穂高連峰の裏手側の切り立った山並を望むことができます。
しばらくはこれらの景色を愛でながら、進んでいくことになります。
↓2900m地点。上部は常に裏穂高を望みつつ進む
まずは南岳の南稜に敷かれた、
非常に急なザレザレの登山道をジグザグジグザグと下っていきます。
なかなかの急斜面で前方が開けているので、
前のめりになって勢いがついたらアウトです。
体を斜面に合わせて横向けにしながら、どんどん下っていきます。
いっきに100mほど下っていくと、右手前方に広大な南沢カールが広がります。
ここでいったん南稜からトラバースをして、
あのカールのど真ん中を横断し、
再び南稜に取り付いてのち、そこから槍平小屋まで一気に下降するというルートになります。
南稜からカールの真ん中までのトラバース道には一か所だけ、
短い木橋がはわしてあり、まずます高度感もあるのでそこは少し注意が必要。
そこを抜け南岳の山肌を縫っていくと、
いよいよ岩だらけのカールのセンターラインに突撃していきます。
まるで岩の墓場のように、無数の大きな岩がゴロゴロと散在しているただっ広い山裾。
見上げると、南岳の山頂直下まで岩がずら〜っと展開していて、
これは1つでも落石が来たら怖いなあとえっさほいさとテンポよく歩きます。
広大なカールを突っ切っていき、再び南稜へと道は続きます。
南稜に再び接近するくらいになると、
岩肌に切られた道がだんだん高度感のあるものになり、慎重を期します。
カールの下部を眺めてみれば、その中央部分に薄くトレースが見えます。
あれは以前の使われていた南沢を直登する登山道らしく、
途中で崩落か何かで使えなくなったため、
今はこの南稜へ一旦トラバースをして尾根伝いに道が付け替えられているようです。
そうして再び南稜にとりつくくらいになると、ちょっと登りにくい岩場となります。
そこを慎重に通過し、梯子場を抜けると、南稜尾根に出ます。
するとそこからは南西方面の眺望が一気に開けます。
高度差にして約800m眼下に、右俣谷が見え、
その先で笠が岳の端っことぶつかっている合流点がゴールとなる新穂高。
あそこまでまだまだ長い道のりです。
この南稜の最後の部分は左右が切り立った狭い回廊で、
右手には南沢、左手には滝谷まで切れ落ち、
その奥には穂高の山々が徐々に全容を見せ始めます。
なかなかの高度感ではあるのだが、左右にブッシュがあるので安心感があります。
ここはしばらく木板を這わせた道となっていて
アトラクションのようにトントンと進みます。
雨の時などはスリップに注意が必要。うっかりつんのめったら危ない。
正面に笠ヶ岳を常に捉えながら、細い細い岩稜の上を進んでいきます。
どんどん進んでいくと、南稜はどんどん岬の突端のように谷へ突き出た状態になり、
道もどんどんアドベンチャーな感じになっていきます。
思ったより、スリリングですな。
振り返ると南岳の大きな山容に
ここまで歩いてきた登山道が心細く刻まれているのが見えます。
↓正面に笠ヶ岳を見ながらのパノラマルート
いくつかの岩礁を抜けて、どんどん稜線の先へと進んでいくと、
ようやく高度を下げていくようになります。
よくよく眼下を眺めると、遥か下に槍平小屋の赤い屋根が見えています。
あそこは、すぐそこに見えていながら、なかなかどうしてはるかに遠い!
というか、直線距離にしてわずかのところで、
これだけ一気に高度を下げるのですから、いかに急登かおわかりになるでしょう。
このあたりには小屋の方がわざわざつけていただいている看板があり、
「ここからむちゃくちゃ急な下りのはじまりです」とあります。
心してかからねば!時刻は7:00ごろ。
わざわざ看板にあったように、
ここからは結構緊張感を強いられるガレガレの激下りが始まります。
まずは稜線の右手側に回り込むのだが、岩稜の下をくぐるような形で、
何度かヘルメットをぶつけてしまいました。
足元は一歩ずつステップを確認しながらでないと、踏み外したら南沢へまっさかさま。
右手は完全に切れ落ちているので高度感があるうえに、浮石も多く、
ステップの段差が結構大きいのでストンストンと落ちていくような感じ。
慎重に足場や手がかりを確認しつつ下っていきます。
途中はかなりガレていて足元が滑る〜@@@@
前方に団体さんの姿がどんどん接近してきました。
なかなかみなさんこの激下り区間に難儀している様子です。
そこから一旦安全な鞍部へとたどりつきます。
そこで団体さんをパスして、少しだけ上り返し。
登り返したところには小屋の善意で救急箱が設置されていました。
ここから振り返ると、裏穂高が威厳たっぷりにそびえております。
あの独特な形の部分が悪名高き?ジャンダルムですね。
↓裏穂高
そこからは周辺にブッシュが茂り、滑落の心配はほとんどなくなり、
ペースを上げていきます。
とはいえ、なかなか道が滑らかにぬかるんだ状態で、
木の枝ははびこり、ステップの差も大きいのでなかなか難儀な道です。
ところどころ、木板をはわしていたり、ロープがつけられているのだが
どれも事前に話を聞いていた通り、見るからに脆く崩れそうなほどである。
そうして2600m地点に到達。
いよいよ南岳小屋も折り返し。
ここまでは高度感のある展望ルートは終了し
緑深い西側の斜面へと突入していきます。
ここから展望も一気になくなり、
心地よく吹いていた風も木々に遮られて一気に蒸し暑くなります。
ここまでの展望ルートはどちらかというとガレガレの土と、
整備された木道だったのだが、
ここからは一転してゴツゴツとした大岩が
そのまま森に投げ捨てられたような感じの道となる。
それらの岩はどれも均されておらず、
またしっかりと安定せずに足を置いたとたんにグラッと動くものも多数あり、
歩きづらさから言えばここから先の方がかなり厳しかったです。
何度も細かく蛇行をくり返しながら、なかなかの急こう配を下っていき、
7:20にようやく半分の標高2500m地点に到達しました。
ふぃ〜、なかなかに難儀な道だ!
そこからはひたすら同じような岩だらけの道を
衝撃に耐えながらズンズンと進んでいきます。
所々には梯子などが設けられているのだが、足場が踏み抜かれていたり、
固定部が朽ちてグラグラと揺れたり、それはもう難儀難儀の連続。
厳しい斜面につけられた木道も頼りなく斜面側へともたれてしまって、
逆にないほうがよっぽど安全なのではと思うような個所もあり、
全身を使って悪戦苦闘していたら、気付けばパンツも靴も手もドロドロ。
これは荒地山のアドベンチャーな山道の方が
数倍整備されていて歩きやすいと感じるくらい。
スキル的な難易度ではなく、
単純に歩きづらさから行ったら断トツ今までで一番厄介な道かもしれない。
これ、まだ下りだからいいけど、登りだったら余計体力消耗するだろうなあ…
そんなこんなでひたすら悪戦苦闘を続けて、ようやく2200mまで下ってきました。
しかし…チラチラと木の間から時々槍平小屋が見えるのだが、
一向に近づいた気がしない!
そこから周囲の植生は徐々に変わっていき、
深い深い緑の中に入っていきます。
この辺りまで来ると勾配も随分マシにはなってきましたが、
歩きづらさは相変わらずで、もうゲッソリ土が剥げて、
露出しているか細い木の根っこを足場に下り続けるところや、
朽ち果てた木の階段が延々続いているところなど、
歩きづらいことこの上ない。
この辺りから時々、下から上がってくる人とちらほらすれ違うのだが
もう、覚悟して頑張って〜としか声がかけられません!
そうして徐々に前方右手の視界が開けるようになり、
ついに南沢にでることができました。
はあああ〜疲れた@@@
南沢に出たところで、南岳小屋から先発していた男性3人組の方が休憩されていてご挨拶。
みな、膝にダメージを結構負ってしまったようでした。
いやああ、ハードな道でした@@@
そこからしばらくはゴツゴツした岩が転がる南沢を下ります。
マーキングに従って歩きやすい個所を見定めて岩の沢を少し下り、
そこから再び森の中へと分け入っていきます。
そこからはほぼフラットな森の中を進んで8:20槍平小屋に到着です。
いや〜南岳新道すごかった〜。
ある意味今回、槍の往復よりもこちらの方がハイライトだったかもしれません。
槍平小屋はたくさんの登山客でにぎわっていて、
自分も激闘を癒すべくコーラを買ってしばし休憩です。
休憩もそこそこに8:30に小屋を出発。
あとは一路新穂高を目指す、恒例のスプリントとなります。
さすがに4日家を空けていては申し訳がないので、できるだけ早く帰りたい、
ただその一心でひたすらペースを上げまくってしまいます。
小屋を出てすぐに、増水時の注意喚起の看板が大きく掲げてあります。
この先では、今年の8月の集中豪雨で、
増水する沢で3人の方が流されて無くなっています。
(一昨年の7月にも同様の事故があったようです)
小屋の方の再三の注意や引き留めにもかかわらず、
自分たちの計画や、のちの予定を優先して、
危険だとわかっていながら強引に沢を渡ろうとした結果だと聞いています。
もちろん早く下山したいという気持ちは荒天ほど強く思ってしまうし、
後ろの行程が気になるという心情もわからなくはないけれど、
雨がやむまでの間、ただ待つだけで得られる安全があるのです。
自然は人間の都合など全く意に介することなく、時は容赦なく牙をむきます。
自分は大丈夫という根拠のない自信、
これくらいはなんとかなると甘い見通しでは、
全く太刀打ちできない相手なのだということを
しっかり認識しておかないといけないでしょう。
小屋の方も防げるはずの災害が頻発することへの
言いようのない苛立ちや無念さを書かれていますが、
本当にむなしくなってしまいますね…
そこからしばらく整備された木道を進みます。
なかなか人が多いうえに、道幅が狭いので、トラフィックにかかります。
少し広い所に出るとみなさん道を譲っていただけ、
そこからトレランのようにビュンビュンと進みます。
最終日で、しかもあの悪路を下ってきたはずなのだが、
どんどん足が回ってきました。
そうしてしばらくして南沢に到達。
この日は平常通り、ちょろちょろとした水が大きな岩と岩の間に流れているだけで
本当に何でもない沢でした。
これが豪雨や長雨となると、山のいたる沢からかき集められた雨水が、
こういった沢に一気に集中して、恐ろしい濁流となって猛威を振るうのです。
自分はこんなところで命を落としたくはありません。
複雑な思いを抱えつつも、ひたすら前進します。
前方にい大きなパーティーがいて、すぐに追いつきますが、
なかなか道が狭くて、滝谷まで後ろについて進みます。
滝谷の広い沢で一気にパーティーを抜き去って
休憩なしでどんどん先を急ぎます。
多くのハイカーは滝谷で休憩を取られたようで、
ここから人とすれ違ったり、パスしたりという回数がぐっと減ります。
静かで穏やかな山道をほっほと軽快にテンポよく進み、
なんだか楽しくなってきました。
とはいえ、トレランをするつもりはさらさらなくて、
ただ一刻も早く家に帰りたい一心。
標高も2000mを下回り、気温も高く、ずっとハイペースで来たので
もうオーバーヒート状態だったので、ブドウ谷でいったんブレイクし、
Tシャツ一枚になります。
これで再びペースを取り戻し、足が回るだけ回して、
9:40林道終点の地点である白出沢に到着します。
ここには登山客用の休憩テントが設けられていて
たくさんの人が一服されていました。
自分はもう新穂高まではノンストップと決めてそこをスルーします。
ここからは良く均された林道を歩いていくことになります。
途中で気付いたのだが、地点にナンバリングがされているようで、
自分が気づいたのは14地点くらいだったか。これが1になればゴールの新穂高。
道が幅広く、歩きやすくなったのでさらにもう一段ペースを上げて歩いていきます。
自分でもよくわからない、びっくりするくらい歩くのが早い。
途中、奥穂への分岐のところに誰から自転車をデポしておりました。
きっと地元の方が裏から奥穂へ向かっているのでしょう。
そこの一度チャレンジしてみたいなあ。
ひたすらに林道を歩き続けて、
さすがにだんだん足の裏やら膝やらが悲鳴を上げてきました。
それを微妙にごまかしつつ、10:30にようやくごった返す新穂高に到達しました。
イェイ。これでももう歩かなくて済む!
南岳小屋からきっちり4時間、槍平小屋からは2時間切ってのコースタイムで
予想していたよりもずっと早く到着できました。
これで上高地から新穂高へ、槍・穂高山脈を乗り越えてという
前からやってみたかったプランが一応達成できました!
まずは休憩と思ったのだが、バスを確認すると10:55に出るようで
トイレを済ませ自販機で炭酸ジュースを買ったらすぐに出発となりました。
予定では13時ごろのバスをと思っていたのでだいぶ前倒しで帰れます。
逆にあれだけの人が一斉に下山する時間帯のバスにならずに済んでよかった。
それにしてもさすが登山の起点であるだけあって新穂高は人であふれかえっています。
アナウンスによると中の湯あたりの不法駐車のせいで
バスが通行できないので迂回しますとのこと。
駐車場がいっぱいなのかもしれないが、さすがに通行の妨げになるほどとは
ちょっとマイカーの人も考えるべきじゃないか。
まあそれはここだけじゃなくて度の登山道でも言えることですが。
最初バスはすし詰め状態だったのだが、ほとんどの人は平湯で降り、
そこからはゆったりとした座席で、しばしZZZ…
前夜の小屋よりもよっぽど快適?
気付けばすでに高山の市街地に突入しており、
山の上とはがらりと変わっての蒸し暑さに萎える。
12:40に高山BTに到着。
すぐに一番早い列車の手配にみどりの窓口へ並ぶが、
13:30発のワイドビューひだはグリーン車も含めて指定は全部ソールドアウト…
しかしせっかく早く下山できたのに1つ後ろ1時間遅い便では甲斐がない。
早めに改札に並ぶとして、自由席を購入する。
ここからは忘備録として。帰路は松本経由の方が高山経由より断然有利だ。
理由は3つ。
まずは松本からのワイドビューしなの号は、8両あるいは10両の編成の時もあり、
指定・自由席ともキャパが多いが、ワイドビューひだ号は5両編成で、
そのうち1台がグリーン、1台が自由席と数が限られる。
2つ目は、松本からは東京へ向かう人はあずさ号で中央東線、
名古屋・関西方面は中央西線と、行き先が分散されるのだが、
高山発だと、東京方面の人も関西方面の人も一旦は名古屋を目指さなくてはならないので
その分だけ混むということ。
3つ目は松本・長野に比べて、高山の方が圧倒的に一般観光客が多い!
特に外国からの旅行者なども目立ち、そもそも人数が違う。
松本からでも高山からでも名古屋へはほぼ同じ所要時間・運賃だが、
少ない座席をより多くの人数で奪い合いになるので、帰路に高山利用は要注意。
疲弊しきってなお、名古屋までスタンディングはさすがに無理なので。
使うなら往路だな。
さて、チケットを手配して少しだけ時間がったので
駅付近の土産物屋を大急ぎでめぐり、その後駅弁を購入したら、
すぐに改札に並ぶ。
すでに4,5人が並んでいましたが、これだとどうにか座席は確保できそうか。
20分ほど辛抱して並んでいると、次々と人が並びだし、あっという間に行列がズラ〜。
そうして、出発10分前に検札があり、
その後わずか1両しかない自由席のある5号車の前はすごい人であふれかえる。
富山始発の特急が入線してくるが、すでに半分以上座席が埋まっているような感じ。
そうしてどうにかこうにか窓側の座席を確保でき一安心。
やっぱりごはん我慢して並んでいて正解だった。
そうして定刻通り13:30に高山駅を出る。
ようやく落ち着いて駅弁を広げ、ささやかな祝杯を挙げる。
そこからは爆睡をして16:03に名古屋駅。
ここで新幹線に乗り換える時にいつも、浦島太郎な気分になります。
ワイドビューではまだ登山客だなあとわかる同志がいるのですが、
ここからはビジネスマンや山と全く関係のない人ばかりの中に突入していくので
名古屋でいつも、ああ帰ってきたなあ、下山したなと現実社会に戻る感じがします。
16:11の新幹線に乗り、17:08は新大阪駅に到着。
帰宅したのは17:45、晩飯に間に合ってよかった〜。
↓高山駅
ということで、おそらく今年のハイライトであった山行はおしまい。
あこがれだった槍をついに落とし、自然の織り成す絶景を存分に楽しみました。
個性的な2つの小屋も満喫し、言うことなし!
でも、すでに山が恋しい今日この頃。