記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ぐるっと金勝アルプス 詳細編

日曜日。雨の予報を見込んで前夜遅くまであれやこれやと忙しくして、
起きたのが10時。
ピーカンやん!
一応、遠征に向けてザックの用意は完了していたので、
近場プランを急造して、出発の準備をする。
アクセスが便利で、それなりに野趣溢れるコースがいいが、
荒地山は毎度すぎるので別のところと考えて、金勝アルプスに決定。


11時には家を出て、11:30の新快速に飛び乗る。
この電車で12:20にはJR草津駅に到着し、そこからバスの出発が12:30。
まあ順当だろうと思ったら、いきなり京都駅を過ぎてトラブル発生!
直前の普通列車に電気トラブルが発生したため、徐行運転を余儀なくされる。
大津駅で4分、石山駅で7分、南草津駅で8分の遅れとなり、
こりゃもうバスに間に合わん!と思いつつ、ドアが開いて猛ダッシュかまし
どうにか予定通りのバスに滑り込みセーフ。
おい!国鉄しっかりしろ〜。
そこから30分ほど南草津の風景を眺めつつのバス旅。
この辺りも結構チャリで走り込みをしたので、道を覚えていました。
そうして登山の起点となる上桐生バス停に到着したのが13時。
帰りのバスの時刻を確認しておくと、日没後まで1時間2本ずつ運行があり、
お尻は気にしなくてもOKでした。


↓上桐生バス停


早速、山行開始します。
まずは賑わいを見せるキャンプ場を横目に進みます。
右手から川の流れがやってきて、第1の見どころであるオランダ堰堤に到着。
川辺ではデイキャンプの家族連れがワイワイ、涼しそう、楽しそう。


↓オランダ堰堤


そこからもうしばらく整備された道を進み分岐ポイントに到達。
南アルプスはコースバリエーションが豊富で、
どこから山頂へ向かうかまだ決めかねていたのだが、
一番アドベンチャーそうな天狗岩線ルートを攻めることにし、
分岐を左へ折れます。


↓分岐NO.12


そこからにわかに上っていくと、小さな池のそばのキャンプ場へ出て、
その川の流れの横から、天狗岩線がスタートしていました。
取り付きには、標識があって、
結構アグレッシブなロープ場・鎖場があるので注意とある。
面白くなってきました。


↓天狗岩線に突入


早速、天狗岩線に突入していきます。
小さなせせらぎに沿って、それほど斜度も上げずに進んでいきます。
周りの緑の勢いがすごく、特にシダ類が生い茂って
それをかき分けかき分け進んでいきます。
川の流れとも何度もクロスし、その度に沢に踏み入り、
小さな堰を越えるために脇から高巻いたり、なかなか面白い。
沢の水もとてもきれいで(上流で飲料水の取り入れ口があるらしい)、
ピーカンで刺すような暑さを足元から和らげてくれます。


↓堰を高巻きしながら沢歩き


↓アルプスの天然水?


上流に進むにつれ、沢の流れも浅くなり、
沢のど真ん中をそのまま進む区間も発生。
この谷の核心部でいよいよ沢とお別れし、
徐々にシダのジャングルへと分け入っていくようになります。
ここから斜度は一気に増し、谷筋から稜線へ高度を上げていきます。


↓徐々に上流へ


↓シダのジャングル


徐々に周囲の見晴らしもよくなってくると、
先ほどまであれだけ勢い盛んだったシダ類もまばらとなり、
一気に岩と、ガレ場の道へと変化していきます。
小さな峰の稜線へ駆け上がると、これから目指す主稜線が見えてきました。
生い茂る緑と奇々怪々な岩のミックスされた
さすがアルプスと称されるだけの山容にワクワクします。
一方反対側を望むと石山の様子や、その先琵琶湖、
さらにその奥にそびえる比叡山まで見通すことができます。
完全に晴れですなあ…。


↓岩歩きスタート


↓山の天辺が見えてきました


↓石山方面の眺め


ここからは稜線歩きがスタート。
結構足元は乾燥した細かい砂地。
ガレガレで滑りやすいので注意しつつ進みます。
時々、大きな岩塊を迂回するために、回り込んだり、
高度を落として再びシダのジャングルにもぐりこんだりしながら
主稜線へと近づきます。
すると、前方にかなり急なロープ場があり、そこは完全にガレガレ。
手足を置いた瞬間からぼそぼそと崩れるような感じで、
左手にあった木の枝をつかみつつ、結構苦労してよじ登ります。
そうして上部に出ると、標識が出ていて、水晶谷線との合流地点でした。
せっかくでっかい岩が鎮座しているので、
ちょっとルートを外れてこの岩のさらに先の方まで回り込んでみたり、
少し時間を過ごしました。


↓さらに高度を上げていきます


↓急なガレ場


↓水晶谷線との出合


↓耳岩方面を望む


さて、遊びをやめて、正面にある耳岩までさらに進んでいきます。
相変わらず道はガレガレで滑りやすいうえに、
直射日光が反射して眩し&暑い!
ズンズン進んでいくと、再び岩塊にぶち当たります。
登山道はその大岩の裏手へ回りこんでいるようで、
大岩と大岩の間を抜けていくと…
さらにその裏のお岩戸の細い細い隙間に、ピロっと虎ロープが…
見上げると、5mほど岩と岩との狭い隙間があり、ほぼ垂直。
おおう、いきなり本気で攻めてきたな!
さらに上部には鎖も見えます。
ロープ以外、取り付きが全くないツルツルの岩の間を、
ぐいっと体重をかけて踏ん張りながら登ります。
どうにか、難所を抜けると、眺望が一気に広がります。
ちょうど左手に延びるのは新名神です。
ここでちょいとだけドリンク休憩。


↓超難所!


↓無事登りきって振り返る。左に延びるのは新名神


この辺りから下山されるハイカーさんとよくすれ違うようになります。
離合の際に脇へ寄ると、砂がガレガレで滑るので冷や冷やします。
そうして前方に再び激しいロープ場が登場します。
こんどは10mほど、ガレッガレの砂の急斜面に、幾重にもロープが延長されています。
WOW!思ってた以上にハードだな!
結構な急斜面で、ロープを頼りによじ登るのだが、
足元が滑る滑る。
ウンニャコラドッコイセ!と気張って、上り詰めると、
そこが主稜線上にある耳岩でした。
それにしても最初は荒地山や須磨アルプスと同じくらいかと予想していたのですが、
その3割増ぐらいの難所がこれからどんどん出てきます。
うまく行けば娘を連れて子連れハイクと目論んでいたが、
リーチの短い娘にはこのコースはまだちょっと早いなあと感じました。


↓再び激しいロープ場


↓耳岩


この時点で時刻は14:25。1時間半でここまで上がってきましたが、
帰りのことを考えて、ここでは休息を入れず、
折り返しポイントの竜王山までもう一息頑張ります。
標識に従って主稜線を進み、まずは白石峰を目指します。
主稜線はしっかりと整備されていて歩きやすいが、
苦手な丸太階段(それも土が雨で削られてむき出しになってる)が少し続きます。
少し早足で進んで5分ほどで白石峰に到着。
ここは別の登山道との出合でもあるので、たくさんの人が休憩されていました。


↓白石峰までの稜線。苦手な階段…


そこをスルーして、さらに主稜線を進んでいきます。
南アルプスは、湖南三山と呼ばれる信仰の山で、
このコースの途中にも茶沸観音という面白い名前の観音様が祀られていました。


↓茶沸観音


竜王山山頂直下にある金勝寺八大龍王の祠


信楽・山城方面の山々


この白石峰〜竜王山の間が定番コースなのかたくさんの人達とすれ違います。
アップダウンもそれほどなく、琵琶湖からの心地よい風が暑さを吹き飛ばしてくれて
なかなか気持ちのいいコースでした。
一旦、大きく階段で鞍部へと降り、そこから緑の生い茂る道を登り返すと、竜王山。
標高605mで本日のチマコッピでした。
残念ながら眺望はそれほどよろしくなく、木々の間からちょこっとだけ。
ここで少しだけ休憩を入れて、持ってきたマーブルチョコを流し込みます。
この日は出がけにトースト一切れしか食べずに来たのでそろそろガス欠でした。
甘さでパワー復活。


竜王山からの眺め


さて、お次は鶏冠山という面白い名前のお山を目指すべく、来た道を戻ります。
本当はここから先、金勝山(615m)まで行くことも可能だったのですが、
さすがに今回は午後発だったので、また次回のお楽しみにしておきます。
耳岩までは来た道を戻るので、
半ばトレランのような急ぎ足のスピードであっという間にバック。


↓耳岩再び


耳岩から主稜線をたどって進路を北に取ります。
まずは耳岩から一気に緑の中に急降下していきます。
ガンガン下って、それからいくつものロープ場があるガレ場で再び浮上します。
すると正面に大きな岩塊がどーんと見えます。あれが天狗岩と呼ばれる岩で、
その奥の緑の山が目指す鶏冠山で。まだまだ先は長い。


↓これから向かう方面。手前の岩塊が天狗岩。その奥の緑の山が鶏冠山。


再び気持ちのいい稜線歩きとなり、しばらく進んでいくと天狗岩の根元に到着しました。
そこに看板があって、天狗岩へは登れるが崩壊が激しいので自己責任でとあります。
せっかくなので、ここで荷物をデポして、天狗岩にとり付きます。
大きな岩をぐるっと裏手から回り込むと、鉄の足場が掛けてあり、
その先で雨によって削られた岩の切れ目をたどりながら、岩の上部へと到達します。
実際には天狗岩のすぐ横の大きなテラスのような岩の上に出ました。
ここからの展望もよく、すぐ正面に鶏冠山、
そしてその麓に栗東が誇る競走馬のトレーニングセンター、
そして遠くには近江富士(三上山)のシルエットがはっきり見えます。
絶景かな絶景かな。


↓天狗岩にて。ふもとは栗東の競走馬トレーニングセンター


天狗岩でしばし眺望を楽しんだら、元のコースへ戻ります。
荷物をピックアップして先へ進みます。
ここで再び大きく高度を下げ、緑のジャングルへと舞い戻り、
別の岩塊へとりついて再浮上を繰り返します。
意外とアップダウンがありますが、
バリエーションに富んでいるのでそんなに苦になりません。
途中からコースは一定の高度を保ちながら、谷筋を避けるように蛇行をはじめます。
どこもきちっと整備されているので比較的歩きやすい。


↓鶏冠山目指して一旦高度を下げる


↓振り返って天狗岩


そこからずんずんと進み、雨ヶ滝線との出合に到達。
ここからもう一息なのだが、
最初の登りがこれまたえらい急な斜面をジグザグ行くところで、
ここが一番しんどかったかも。
そこを無事クリアしても、2度3度偽ピークに騙され、何気に食えない山でした。
山頂での眺望は全くありませんでしたが、再びガス欠のため、
ランチパックをパクパク。


↓鶏冠山


時刻は16時を過ぎました。まだ日は高いとはいえ、そろそろ下山の時間です。
登ってきた道を戻り、下山は雨ヶ滝線で。
コースに入ってすぐから、完全に浅い沢のど真ん中を歩くルートとなります。
それほど水勢がないのでガシガシ進んでいくと、
ちょっとした滝の部分にロープが設置されているところに出ます。
角度は緩いので慎重に降ります。
ちょっと広めの水場に到達し、そこからコースはいったん水場を離れます。
沢はこの先で雨ヶ滝という大滝になっているため、ぐるっと巻くのです。
ずんずん下っていくと、途中で雨ヶ滝の方面へ向かう入り口がありました。
寄っていきたかったのですが、バスの時刻が迫っていたため、今回はスルー。
まあまたこのお山も通うことになるので、他にチャンスがあるでしょう。


↓雨ヶ滝線は沢を下っていく


そこからは、毎度毎度のスプリント下山。
えっほえっほとペースを上げて進みます。
足は結構疲労がたまっているし、暑さで頭も痛いが、
ようやくそういう山のシチュエーションを体が思い出したようで、
シーズンに向けていい調整になります。
奥池を過ぎ、駐車場を過ぎ、上桐生バス停に到着したのが16:52。
バス到着の3分前!
我ながら無駄がないタイムスケジュールだ。
手持ちの水分が尽きてしまっていたので、
バスが来るまでにジュースを日本買い込んでいると、バスがやってきました。


↓奥池


↓水なし川


バスに揺られること30分で草津駅に戻ってきました。
奥さんから何時に帰るのかと電話があり、晩飯は焼き肉をリクエスト。
流石に週末は電車も混雑していたので、新快速はあきらめ、
快速で座って帰る。帰宅が19時ごろ。
冷えたビールが日焼けして火照る体に沁み渡りました。