記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

クラムボンはリズム隊

先日、珍しくテレビにクラムボンが出ていた。
リリー・フランキーがMCを務める「Covers」という番組で、
ゲストのミュージシャンが、主に昭和の名曲をカバーするという音楽番組で
だいたい欠かさずに見ている。
そこでクラムボンは主に
呉田軽穂ユーミンの曲(『Wの悲劇』『青いエアメイル』)をカバーしていて
ちょっとした違和感を感じました。
違和感と言っても決して悪い意味ではなくて、
ユーミンの原曲も素晴らしいし(ユーミン大好き♪)、
カバーアレンジの演奏もとても素敵だったのだが、
なんとなく”らしくない”なあと感じたのです。
ユーミンの曲の特徴の一つはリフレイン。
同じフレーズやリズムを繰り返し行うことで生まれるハーモニー=調和が、
楽曲にやさしい印象をもたらしているわけです。
それをクラムボンがカバーするとどうもなぜだかどうも物足りなさを感じたのは、
クラムボンっていうのは実はリズム屋なんだということで結論付けました。
つまり、パターンやリズムをちょっとずつちょっとずつイタズラして崩す、
その予定調和じゃないところというのが
彼らの持つ独特のグルーブ感なのだということ。
彼らの楽曲はどこかでテンポが急変したり、変調したり、
いきなりリズムが裏を取ったり、めまぐるしい曲が多い。
郁子ちゃんの歌声も、必ずしもメロディーを忠実になぞるわけではなく、
意図的に外したり、時には語りに変身したり。
ミトはミトでいきなりエネルギーがスパークして暴走したり、
決して決められたラインをなぞることはしない。
そしてその崩しを一手に受け止めてコントロールしているのが
大助さんのドラムス。
寡黙で地味だけど、実は一番すごいんじゃないかと思ってます。
(タモさんの言う”ジャズ”な人)
3ピースの編成なので1つ1つの音の”外し”が
よりダイレクトに楽曲に影響を及ぼすので、
当然3人の”あ・うん”の呼吸が必要で、
その掛け合いの妙、楽曲の弾ける様が実に心地よいのだ。
もちろんメロディーも大事だし、歌詞も大事なんだけど、
クラムボンに求めていたものの正体はこのグルーブ感だったのだと、
彼らがユーミンの完璧に美しすぎるメロディーを
カバーをしているのを聴いて改めて気づきました。
音楽って奥が深い。



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