記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

『おうちのふく-世界で1着の服-』行司千絵×いしいしんじトークショー

日曜日は、この日行われるイベントに参加するため
家族そろって心斎橋のスタンダードブックストアさんへ。
この日は、某京都の新聞社さんにお勤めをしながら、
知り合いやご家族のために趣味で服を作っている行司千絵さんが
その作品たちをまとめた本の出版記念で、
行司さんが自分や家族以外の人にも服を作るきっかけをつくった
作家のいしいしんじさんとの対談でした。
いしいさんは、我が家の本棚でコーナーが設けられている数少ない作家さんで
大ファンです。


おうちのふく―世界で1着の服

おうちのふく―世界で1着の服


まずはいしいさんが行司さんを切るということで、
色々なエピソードを織り交ぜながら服作りのお話。
行司さんの服づくりはちょっと変わっていて、
3サイズや色の好みなんかは聞くのだが、
具体的なリクエストは一切聞かず、
行司さんが作る相手のパーソナルな要素を会話や交流の中から読み解いて
その人にあったものを作るというスタンス。
なので、相手の職業だとか、立場だとかそういうことは
一切デザインの考慮に入れず、
普段その人が自分では気づいていなかった色遣いだとかあしらいだとか
意外性に富んだものが出来合上がりながらも、
ちゃんとそのよさを引き出すという、面白いやり方。
実際に出来上がった服はどれも、いわゆる既製品とは違う味わいがあります。


面白かったのは、「似合う」という現象について。
この服はこの人に合って、この人には合わないという現象は
間違いなく存在するのだけど、果たしてその現象はどういうことなのか。
たとえば、いしいさんは自分では服は買わず、もらいものばかりを着ていて
着倒して着倒して穴まで開いてしまったり、色あせたり、袖がヨレヨレ。
でもそれがいしいさんのキャラとマッチして、「似合う」「オシャレ」になっている。
逆に大金をはたいてブランド物をまとってみても、
孫に衣装のような嘘っぽい人間もいる。
「似合う」というのは、おしゃれをことさらにアピールするようなのではなくて、
その人となりに「なじむ」ものだということ。
行司さんは既製品の服に対していまいちなじまない時があって、
それならば自分で作ってしまえと服作りを始めたそうで、
やはり自分でつくるということ(服だけじゃなく、料理や音楽やその他すべて)は
何よりも尊いことなのだなと感じました。
面白いのは、行司さんはあくまで本業は新聞記者さんで、
その休みの日のわずかな時間を使って、
あくまで趣味でチマチマ作っているとのことで、本当に趣味の鑑みたいでした。


2時間ほどと結構長めのトークショーだった割りに話が面白くてあっという間でした。
イベント終わりには、行司さんといしいさん両方にサインをいただきました。


いしいしんじさん&一日くん親子と


↓一日君もサインしてくれましたよ


↓ネコの絵うまし