記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

めざせ日本海!あこがれの栂海新道  1日目・白馬岳登頂

さてさてブログ版でもそろそろ再び長い長い山行に繰り出したいと思います。
まずは何と言ってもシルバーウィーク。
月初にK大先生と槍ヶ岳登頂に成功して、十分山を満喫できたのですが、
やはり2度目は2度目。
せっかくの貴重な連休は新しい冒険に繰り出そうと決めていました。
しかし、どこもかしこも紅葉シーズンと重なり、どえらい混雑は必至なわけです。
残念なことに奥さんが20日の日曜日が出勤のため、猶予は2泊4日で決まり、
どこに行こうか思案する。
来年には第2子も生まれることとなり、今年に比べて遠征が難しくなるし、
精力的な遠征で気力体力がみなぎっている今年のうちに、
今だからトライできるところがよいだろうと考え至る。
そうなるとやはりarkibitoの性分としては、
ロングトレイルを存分に歩き通したいなあとなり、
そうするともう頭の中は憧れの栂海新道で、
北アルプス3000m級の山から海抜0mの親不知の海までを歩くロマン一色となりました。
あそこなら健脚者かつ経験者しか無理なので、
さすがのシルバーウィークと言えどむやみに混むこともないはず。


そこで事前に何度もシミュレーションするのですが、
どう考えても自分史上最大のチャレンジになることは間違いないのです。
まずはルーティング。
どこをどう線引きしても、無茶なわけです。
最初は始発のロープウェイに乗り、8:00山行スタートで
朝日小屋に宿泊、2日目に栂海山荘、3日目下山でプランを立てていたのですが
1日目が、標準コースタイムで12時間とか。
8時に出たら20時着なんて、どう考えてもあり得ない…
もちろん、あくまで標準タイムで、
自分は明らかにタイムを短縮できるのはわかっているが、
それもどこまで短縮できるかはいってみなけりゃわからないし、
天候次第ではたどり着けない可能性だってある。
しかし、行くと決めた以上、どこかで無茶をしなければならないのは仕方がなく、
自分の足を信じるしかない。


次に荷物。
今回のルート上で、有人の小屋は朝日小屋1つのみ。
しかも正確にはルート上ではなく、往復1時間ほどそれた場所にある。
そこを利用するとしても、いずれにせよ
どこかのタイミングで2日分の食料と水を背負わなければならない。
その上で、無人小屋での一泊は確定なので、
寝袋とマットも当然持参しなくてはならないし、
調理用具ももちろん持参せねばならない。
また、9月に入って急に冷え込みだし、槍ヶ岳に登った2週間前ですでに
山上では水道管の凍結や初氷と、すでに冬がひたひたと到来しており、
防寒対策にそれなりのウェアや装備がかさむ。
自分の山行スタイルではできるだけ荷物を軽くしてスピード重視の傾向なのだが、
今回ばかりはさすがに減らせるものに限度がある。
自分史上最強のルートに、最重の状態で挑まねばならないのだ。
自分は35リットルのザックしかなく、
いるものを厳選した上で
パズルのように何度も入れたり出したりしながら、どうにかすべてをパッキングする。
いやあ、ザックがこれほどまでにパンパンとは…
これに現地で調達する水と食料を追加したら、どえらい重量が両肩にのしかかる。
その状態で果てしないアップダウン…ははは〜。
しかし栂海新道を歩くと決めた時から、
過酷な山行は最初からわかっていること。今は状況を楽しむ、それしかありません。


で、前日の土曜日に、最終的なプランニングを立てている時に、
驚愕の事実が発覚。
実はルーティングはこの夏にすでに行っていて、
計画書もこしらえていたので、それを元にプラン立てをしていたのだが、
なんと、初日にあたる21日に、早朝の「ムーンライト信州号」が走らないことがわかった。
以前にプランを立てた時はちょうど運行日のスケジュールだったのだ。
当初描いていたのは、
前ノリで松本野宿して、4時台のムーンライトに乗ると、
栂池パノラマウェイ始発の7時に間に合い、8時山行スタート。
しかし、それが松本始発5:58となると、山行スタートは頑張っても9:30。
絶対に朝日小屋にたどり着けるわけがないのだ…
であれば、いっそ松本ではなく白馬前ノリするかと思案するが、
日曜は奥さんが仕事終わりでバトンタッチなので、
そこから大阪発ではどう頑張っても信濃大町止まり。
翌日の激闘を考えれば信濃大町で野宿より
松本のいつものネカフェ泊まりが安パイに決まっているのである。
突然のプラン頓挫になかばパニックとなるが、
それでもあきらめずに考え抜いて出した結論。
それは、前ノリは松本ネカフェ、1日目は白馬山荘に宿泊する
そして1日目に頑張るはずを2日目に頑張ることにして、
一気に栂海山荘を目指すというもの。
もうこのプランしかない。
しかしそうすると、まず白馬岳へ少しオーバーランし、総距離が3kmほど伸びる。
そして何より2日目の行程が無茶にもほどがあるということ。
標準タイムで実に15時間。
朝4時に出ても到着が19時…やれんのか?やれんのか?
それなら、白馬山荘より2.5時間短縮できる雪倉岳避難小屋にするか?
否。
そうすると2日とも無人で補給ができなくなるので、
食料と水分を余計に積まないといけなくなり、
その上でコース後半に飢餓と渇きに苦しむのが目に見えている。
2.5時間なら1日目は有人でサービスが受けられる白馬山荘まで
無理してでも行った方がいいんじゃないか。
出発前から八方塞がりの状況で、最善のプランをひねり出し、
あとは己の覚悟のみ。


日曜日。ぎりぎり奥さんとすれ違ってお別れをしたら新大阪へ。
毎度の18:40のひかり480(もう列車名覚えた)に乗り込む。
19:33に名古屋到着して乗り換え7分で駅弁購入してワイドビューしなのにスイッチ。
食って寝て、気づいたら松本到着。21:48。
重いザックを背負って、にぎわうコンコースを離れて西口へ。
人気のない道をトボトボ20分ほど歩いて、毎度のネカフェへ。
すると、受付がかなり混雑していて店員さんもあたふた。
どうにかラス1のマット席(雑魚寝個室)をゲットして入室。
この後受付の電話が鳴り響き、すでに満室でとお断りを入れている様子。
漏れ聞こえるところによると、どうも松本周辺の宿泊施設が軒並み満室で
一晩過ごす場所を求めて電話を入れているらしく、
他のネカフェやカラオケ店などもこの日はすべてパンパンだったらしい。
あとからあとから来店する人も、みな満席ですと断られて呆然としていた。
今思うと、ここでラス1の席を取れたのはほんとラッキーだった。
しばらくして仮眠に入り、4時起き。


4:30にネカフェを出て、松本駅へ向かう。
松屋で朝飯代わりの牛丼大盛りをかきこみ、
それからコンビニで水分と補給品を買い込む。
行動食となるお菓子類や、昼ごはんとしておにぎり、
あとは飲んだ後たためるようにイロハスのペットボトルを数本購入し、
1本はその場で飲み切って、開いたところにスポドリを流し込む。
あとミニペットのコカコーラをひっそりと奥底に忍ばせる。
これは最終日にとっておく用。
さらに重みを増したザックの具合を確かめながら駅へ戻り、
5:58の大糸線始発に乗り込む。
それほど混んでいないが、同じようにザックを背負った人たちがちらほら。
一度信濃大町駅南小谷行きに乗り換えてさらに北上。
前日熟睡していないので、ウトウトとしてしまい、思わず乗り過ごしかけた(汗)。
8時には白馬駅に到着すると目の前のロータリーからすぐにバスが発車。
他の登山客は晴れてよかったと安心している感じだったが、
前方から迫ってくる山を見ると、麓は確かに晴れているが、
山頂付近は分厚い雲に覆われている。ああ、これはガスガスだなあと少し不安を感じる。
大半の客は八方尾根のバスターミナルで下車。
その代わりそこから大量の登山客が乗り込んできて満席。
クネクネと細かい停留所を忠実になぞりながら、30分ほどで栂池高原に到着。
着いたと同時に、クラツーの大型バスが到着してぞろぞろ歩き始めているのが見えたので
混む前に大慌てでゴンドラ乗り場へ。
待たされることなくゴンドラに乗り込む。
しばらくは空の旅を楽しむが、上空は相変わらずガスガスの様子。


↓栂池パノラマウェイ


9:00に中間駅の栂の森駅に到着し、少し歩いてロープウェイ乗り場へ。
前方で結構待っている人がいて混雑。次のにギリギリ乗ることができて、
5分ほどで終着駅の栂池自然園駅に9:25に到着。
そこから少し歩いて、自然園のビジターセンターへ。
そこで登山届を提出する。
係りの人に頑張ってとエールをいただいて、
いよいよ山行をスタートさせたのが9:45。
なかなか遅い出発で、
この日の宿泊地である白馬山荘までは標準コースタイムで約7時間。
どうにか夕食タイム前には到着したいので、あまりグズグズせずに参ります。


↓いざ山行スタート


まずはうっそうとした緑の間に設けられた木組みの階段を進みます。
最初はそれほどきつくないかなと思っていましたが、徐々に斜度が上がり、
何度も右へ左へと山肌を縫っていきます。
序盤はたくさんの登山客がいて、その度に追い抜いていきます。
中には小さな子供たちも一生懸命登っているにも何度も出くわしました。
やはり白馬岳はそれだけ人を選ばないポピュラーな山ということでしょう。
歩き始めはガスガスで露のせいか足元も多少ぬかるんだ感じで、
なんとなく火打山の時を思い出すような感じでした。
15分ほど上がってくると、少しガスが晴れ、
見下ろすと先ほどの自然園が小さく見えます。


↓少し上がってきましたがガスガス


↓紅葉がはじまってます


40分ほど登っていくと急に開けた場所に出て、
そこが天狗原と呼ばれるエリアでした。
ロープウェイを出た時に肌寒く感じていたので厚着をしていたのですが
ペースを上げて登ってきて暑いので、効率アップのためにここで脱ぎます。
というのも、ここから見上げると屏風のようにそびえる乗鞍岳への上りが
目の前に立ちはだかっているからです。


↓天狗原


少し息を整えたらリスタート。
まずは取り付きまで木道をたどっていきます。
すでに草花は色とりどりに色づき始めていて、なかなか美しい姿を見せてくれています。
しばらくすると、道は大きな岩がごろごろと転がるようになり、
飛び石でぴょんぴょんとたどるような感じへと変わっていきます。
なかなかどうして歩きづらく、みな難儀しているようで結構な渋滞。
でも道幅もそう余裕がなく、しかも降りてくる人たちもいるので、慎重に進みます。
そのうち、道は斜度を一気に上げ、岩だらけの急登が始まります。
ここで道幅が広がるので、ペースを上げていくのだが、
背中の重みもあって、結構しんどい!
ゼエハア言いながら、高度を一気に上げて、上の岩棚に到着。


乗鞍岳への登り


↓結構な急登


岩棚は結構広くて、大きくて黒い岩が敷き詰められており、
一部雪渓が残っていました。
大きな岩と岩の間をすり抜け、岩の上を伝い、若干ながら雪渓を通過して、
その先の登りへと続きます。
急斜面を登っていくと、先ほどの天狗原がはるか下に見えます。
下の美しい紅葉の世界と、すぐ下に見える岩だらけの世界がまるで違います。


↓岩棚を行く。若干の雪渓もあり


↓さらに上がってきました。岩棚のはるか下に天狗原が見える


そこからさらに急斜面をよじ登っていくと、
さらに上部に広大に広がるステージにたどり着きました。
そこから相変わらず歩きにくい岩だらけの道を伝っていくと、
大きなケルンのそびえる広場が設けられた、標高2437mの乗鞍岳に登頂です。
時刻は11:09。1時間30分ほどで登ってきました。


乗鞍岳


乗鞍岳の山頂は写真を撮ってそのままスルーし、さらに奥を目指します。
ガスが上部に充満していて相変わらずの曇り空ですが、
ここまで上がってきても、ただ眺望が残念なだけで、
特に雨が降りそうな感じでもない。
デコボコと岩だらけの狭い道を進んでいくと、
突然進行方向に大きな池が姿を現しました。
白馬大池です。
池の反対側には真っ赤な白馬大池小屋が見えます。
あそこまでぐるっと池の右手側をなぞりながら進むのだが、
とにかくごつい岩と岩を渡っていくため思った以上に歩きづらい。
しかもたくさんの登山客でひしめき合っていて、思わぬところで時間がかかります。
こういうところで焦って、滑って、また手を痛めたらいけないので慎重に進む。
左手を望むと、池の反対側におそらく小蓮華岳へとつづく山裾が広がっていますが、
上部は雲に覆われて伺い知ることができません。
トントンと20分ほど池をなぞってようやく小屋まで到達できました。


白馬大池


↓池をなぞりながら岩のテーブルを歩く


↓美しい風景


白馬大池小屋に到着し、すぐ横にあるテン場にて小休止。
そろそろお腹も減ってきたので、ザックから行動食をついばみ、休憩。
休むと、このガスガスの天候なので、すぐに体が冷える。
するとお腹に直結し、長い長いトイレに並びます。
結局もろもろ30分ほど滞在して、いよいよ白馬への本格的な道へと進みます。


白馬大池山荘


小屋の先から伸びる道は、さっきみた山裾へと上がっていき、
ガスの向こう側へと続いています。
さっきの天狗原からの上りに比べると大した急登ではないが、
スゥ〜っとしなやかに伸びる雷鳥坂に足を踏み入れると、途端に重力を感じます。


雷鳥坂へ向かう


ハイマツ帯の間を縫うようにジグザグと進む道をえっちらおっちら踏みしめていきます。
そのうち斜度も上がり、山の右手側に回り込むような形でさらに上がります。
ガスは相変わらずで周囲の山の様子は全くうかがいしれないまま、
ガレガレの道を進んでいく。
ところどころ軽いアップダウンなどもこなして、12:35に船越ノ頭に到着。
眺望は一切なく休憩なしで先へ進みます。


↓船越ノ頭


時折ガスが少し薄くなって前方が垣間見えると、
縦走路がまだまだ先に伸びているのが見えます。
段々と道は狭くなり、ナイフリッジとまではいかないが、
両端が細くなりながら、小さな凸凹を越えていくようになります。
道も、まるで貝塚か、白骨を敷き詰めたような、
白く細かい石の回廊となり、カラカラと乾いた音を立てて歩きます。
風はそんなにないのだが、ガスのおかげで少し肌寒さを感じる。
途中、ぐぐっと斜度が上がり、これを登りきればと思ったら、
まんまと偽ピークで、さらにその先へ登ると、
ようやく宝剣が頂に刺さった小蓮華山(2766m)に到着。
時刻は13:15。


↓小蓮華岳へつづく道


↓白骨か貝塚の上を歩くような細かい岩の道


↓小蓮華岳


小蓮華ではたくさんの人が休憩中で混雑をしていたので
息を整えたらすぐさま出発。
相変わらず、真っ白な靄に向かって進む白い道が続く。
眺望もないので淡々と歩くしかないのだが、
逆にそれがペースを維持するために集中するにはもってこいだったりする。
すると、対して風が吹いたわけでもないのだが、
右手側のモヤがいっぺんにはがれて、北側の山々が突如姿を現しました。
翌日向かうことになる雪倉岳(写真右)と脇に並ぶ鉢ヶ岳(写真左)の
しなやかな山容が確認できます。
こちらも色とりどりの衣を纏って賑やかです。
それにしてもガスって本当に少しでもかかっていると
全く前後不覚の世界になるが、
それが晴れると全く今まで何事もなかったかのように
世界が一気に広がるので面白い。
しかも山の片側だけが雲が取れて、
もう反対側は全くガスの中という現象もよくあって面白い。
この日も白馬方面は最後までガスが晴れることはありませんでした。
さて前方を見やると、相変わらず荒涼とした白骨の道が続いています。
緑豊かな風景も好きですが、こういう最果て感のある風景も好きですねえ。


↓ガスは晴れず


↓雲が晴れた!明日向かう雪倉岳がどーん


↓たどってきた白い道


↓まだまだ先は長い


道はやせ細った尾根から、広々となだらかになっていき、
一度大きく下ってから、ガラガラの急斜面を登り詰めると、
三国境(2751m)という地点に到達しました。
時刻は14:00ジャスト。
ここまでくれば、あとは本丸の白馬岳を残すのみとなり、
いくらなんでも16時までにはたどり着ける見込みがついた。
さて、ここ三国境は読んで字のごとく3つの国の境に位置します。
つまり、長野県・新潟県富山県の県境なのです。
こういう地理的な隅っこをつつくのは大好き。


↓三国境


↓振り返ってたどってきた道を望む


ここでちょっと上がった息を整えながら、
翌日のルートをしっかりと目に焼き付けておきます。
ここから白馬岳の山頂までは1.5kmとの表示。
引き続きペースを落とさずに進むことも大事なのだが、
登りきると同時に大事なミッションがある。
それは、山頂までの道を登りつつ、
要所要所で振り返ってそこを降りるシミュレーションだったり、
降りる視点からのビジュアルを記憶すること。
というのは、翌日はかなりの長丁場となるため、
出発は夜明けを待たずに出発する予定なのだ。
ここから眺める白馬岳は、山頂付近はガスで見えないが、
白く脆い石が相変わらず積み上がっており、しかもなかなかの急坂。
明るいうちは問題なくともヘッデンをつけた状態での下山は、
それなりに難易度があがるのだ。
暗さにもよるが降り口を間違って滑落なんてしたら怪我では済まないし、
今明るい状態で登っているうちに、しっかりとデータを収集しておくのだ。


↓いざ白馬岳の山頂へ


↓なかなかの絶景


滑りやすいザレザレの急登を登りはじめます。
徐々に道はやせ細り、斜度も急に。
そしてホネホネの白石は徐々に、大きな岩礁化して、
軽いクライミング状態にまで。
白馬岳なんてイージーな山と思っていたけど、
このオーラスはなかなかどうしてアルパインな空気全開。
いくつか降り口を間違えそうな個所や、
大きく道が振られる個所などがあるので、
振り返って岩の形状とか記憶しつつ進みます。
結構な急登をのぼっていると、前方のパーティーに追いつき、少し渋滞。
岩を横断するように、斜面の右から左へと進み、
その先、急に道幅が狭く、切り立った断崖の箇所が、2ポイントくらいあり、
そこをエイヤと越えると、岩礁帯を抜けます。


↓なかなかキツイ登り


そこからすぐピークかと思いきや、道はまだ進んでいます。
何しろガスが厚くて前方が見えないので、終わりが見えません。
そうして、ロープが右手に張られた回廊の先にある急斜面を再び登りきる。
今度こそ山頂?と思ったら、またも騙される…
で、ツカツカと先へ進み、小さなピークを認めて、
勢いづいてペースを上げて進んでいくが、三度ダミー。
うむ〜、思ったより一筋縄ではいかない山じゃの。
で、さらにガスガスの白道を進んでいくと、
ようやく前方にたくさんの人がたまっている個所があり、
そこが白馬岳の山頂、2932mの頂でした。
時刻は14:45。ジャスト5時間で上がってこれました。
山頂では、小屋のある反対側から荷物をデポして上がってきた人たちもいて、大賑わい。
近くにいた人にシャッターをお願いしていつものポーズで記念撮影。


↓白馬岳山頂


ガスガスで眺望もないし、結構ペースを刻んできたし、
予想以上にハードな道だったので疲労困憊。
翌日に向けできるだけ体力温存と回復に努めるべく、すぐに山頂を後にします。
相変わらずガレガレで歩きにくい道を、シャンシャン言わしながら下り、
15:00、無事に今宵の宿泊地である白馬山荘に到着いたしました。
乙カレー。


↓今宵の宿泊地、白馬山荘


早速、宿泊の手続きです。
一号棟の受付所へ行くと、さすが超大バコ小屋らしく、
受付用紙を提出する窓口と料金を支払う窓口が分かれていて、
さながら自動車免許の交付所のようでした。
まずは用紙に記入をして窓口へ。
そこで宿泊形態と食事についての確認があります。
朝食は朝5時ということで、到底スタートに間に合わないので、
翌日の朝食はなしで弁当を希望しました。
他の登山客で弁当希望の人も多かったのですが、
おにぎりや弁当ではなく、
パンの詰め合わせだったので不人気で皆キャンセルしていましたが、
自分はこののち2日分の食料と飲料は貴重なので申し込みました。
で、モンベルカードを出したので、
優待500円割引で、1泊夕食+弁当で9000円でした。


↓システマチックな受付


早速指定された寝床へと向かいますが、
何しろ日本最大の収容人数(定員800人)を誇る超巨大小屋なので、大変です。
(ちなみに、いわゆる岩小屋などを除いた営業小屋としては最も古い小屋です)
1号棟は、1F、中2Fと個室専用の2Fとあり、複雑に階段が組まれています。
どうにかたどり着くと、ラッキーなことに一番端っこの布団でした。
この日はシルバーウィークで混雑が予想されるとのことで、
敷布団は3人で2枚でお願いしますとのことでしたが、端っこはさらに余分がありました。
結局この日は小屋の予想を下回り450人ほどの宿泊だたっため、
一人1枚で十分過ごせることとなりました。
寝床についてまずは、着替えます。
3000m近い場所ではすでにかなり冷え込みが厳しく、
汗を拭いて乾かして、ヒートテックの肌着に厚手のフリースをはおります。
それでも結構寒い…
休息もかねて布団にもぐりこみ暖を取っているうちに、転寝をしてしまいました。


17時に目が覚め、パッキングをしたり、
隣の棟の売店&レストランで山バッヂとペットボトルを買い足したりして、
そののち17:30からの夕食のため、3号棟で並びますが、
すでに大行列と化していて、2号棟の入り口付近まで行列が伸びていました。
さすがマンモス小屋。
30分ほど並んで、ようやく食堂にたどり着きます。
食事はセルフになっていて、お盆をもって列に並び、
おかずのトレーと食器を自分で取って、スタッフの指示に従って席に着きます。
夕食はもりもりハンバーグ定食!
運動の後の食事はやっぱりうまいぜ!
酒類は翌日を考えて自主規制しました。完走第一!


↓でかい食堂


↓今宵はハンバーグ定食


夕食を食べている間に、太陽はほとんど雲間に沈んでしまったようでしたが、
わずかに残るともし火をちらっと見ることができました。
雲の具合も昼に比べて明らかに減っており、翌日はいい天気になりそう。
とにもかくにも、今は疲れた体を回復することに集中し、
19時には就寝。


↓夕焼け