記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

酒場探訪記  地獄谷へようこそ

健康診断で無事好成績を収め、すっかりプレッシャーから解き放たれました。
ということで年末年始に向けて再びお酒のギアを上げてまいりたいと思います。
昨日はちょっくら遠出をして、”地獄”へ行ってまいりました。


仕事終わりで自宅とは逆方向の阪神電車に揺られて2駅、野田阪神で下車。
そこから、昔の新世界界隈をほうふつとさせる新橋筋商店街のアーケードへ一直線。
この表側にも相当年季の入った飲み屋が並んでおりますな。
その目抜き通りの、注意していなければ全く見逃してしまうような
ほんのわずかな隙間。
それが地獄への入り口。


野田阪神


↓地獄の入り口


いったん足を踏み入れると、
そこははるか昭和の世界へタイムスリップしたかのような怪しい迷宮。
建物はこれ以上ないくらいひしめき合い、道は限りなく狭く複雑に折れ曲がっている。
戦中に建物疎開した旧福島警察署の跡地に、
戦後のドサクサに紛れて出来上がった巨大闇市
その昭和の遺構が今日まで全く区画整理などされないままに生き残り、
今となっては、一度その迷宮に足を踏み入れれば、
二度と出ることができないかもしれないということで”地獄谷”と名付けられたエリア。
それにしても、さすがにこれだけの住宅密集地は今日ではなかなかお目にかかれない。
学生の頃、フィールドワークやら何やらで
こういう曰くつきの場所をよく歩いたものでここもその1つ。
この日はカメラを持ってきてないので、また呑みがてら写真を撮りに来ないとなあ。


↓地獄谷


で、この界隈は戦後はストリップ劇場やら、
スナックやらが繁盛した歓楽街だったのだが
時代に取り残されるようにして、徐々に衰退。
一時は2,3軒を残してほとんど壊滅状態だったのが、
ここ数年、新しい飲み屋が進出し、にわかににぎわいを見せ始めている。
このところの傾向として、おっちゃんの聖地だった酒場に、
女子の進出が目覚ましく、
ウラなんば、お初天神、天満といったエリアはほとんど陥落してしまっている。
そういうオサレ傾向のなかで、肩身の狭くなったおっちゃんらは
より奥へ奥へ、裏へ裏へと居場所を求めてさまよう。
そうして行き着いた先の一つがこの地獄谷というわけだ。


今宵はちょうどお店を開けるタイミングだった「酒縁 ゆるり」さんにお邪魔。
ここはもう入ってすぐ5席のカウンターのみ(2Fは座敷)の小さな小さなお店。
お隣のスナックから聞こえる年季の入った常連さんの歌声をBGMに、
まったりとした空気が流れるなんとも居心地のよろしい飲み屋さん。


↓酒縁 ゆるり


お酒のラインナップもなかなかのもの。
地酒は灘の酒、大黒正宗をデフォルトとし、
あとはその時その時でいいものを仕入れて回す感じで5,6種類。
めずらしく明石のご当地ウイスキー「あかし」のハイボールがあってうれしや。
お店を開けたての状態で入ったので、準備されている間に、
とりあえず生ビールをいただきつつ、種子島茹で落花生をぽりぽり。
さすがにご主人はいろいろお酒のこととか界隈の飲み屋さんの情報をお持ちで、
いろいろ情報交換しながら、まったりとおしゃべりを楽しめました。
そのうち常連さんの方が入ってこられて、輪に混ぜていただきました。
日本酒にしようかと思ったのですが、せっかくなので「あかし」のハイボール
プハァ〜おいしい!
アテには、山形から取り寄せいているという
超ビッグサイズの座布団厚揚げを焼いてもらう。
これが本当にでかい!そしてウマイ!


↓座布団厚揚げを「あかし」ハイボール


そうやってまったりしているうちに、
気づけば1時間30分も長居をしてしまいました。
ご主人との話も合うし、なんかええとこ見つけました。
まだ他にも怪しい店や面白そうな店が軒を連ねているのだが、
今宵は用があってここまで。
また探検します。