記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

濱口祐自コンサート at カフェフォノ & すさみプチポタ(自転車再開トライアル)

土曜日は、南紀すさみ町の山奥にあるカフェ・フォノさんで開かれた
濱口祐自さんの野外コンサートに参加してきました。
ちょうど去年の今頃だったか、心斎橋のブックストアさんで、
メジャー1stアルバムのリリース記念のライブにたまたま参加し、
そこで衝撃のギターテクに酔いしれ、
それが発端となって再び音楽活動を再開したのでした。
濱口さんは自分の人生に再び生きた音楽を取り戻してくれた恩人のようなものです。
あれから、「題名のない音楽会」などにも出演したり、
濱口さんを発掘したピーター・バラカンさんなどと一緒にイベントに出るなど精力的に活動され
一気に注目を浴びています。
地元南紀はもちろん、関西や東京など忙しく行き来をしてはライブコンサートをかなりこなされ
自分も都合が合えばぜひまたと思いつつも、
スケジュールが合わなかったり、チケット完売だったりで
今回ようやく1年ぶりに生の演奏を聞けるチャンスでした。


ところで今回の開催場所であるカフェ・フォノさんは
南紀でも山深い佐本という小さな集落にあり、
そこに移住してきた仲間達が、
キイジョウロウホトトギスの花咲く10月初旬から中旬までの
わずか2週間だけ開いているオープンガーデンカフェ。
今回はそのロケーションにほれ込んでこの日だけ特別にお店もOPEN。
で、ここで少し問題が。
この佐本の集落は最寄りの周参見駅からでも20km以上内陸に入ったところで、
公共交通機関もなく、どうやってたどり着けばよいか。
と、ちょうど木馬の店長さんからメンテ完了のお知らせがあり、
これは自転車再開のトライアルもかねてサイクリングで向かおうと決定しました。


木曜日の晩にフィブラ君をお迎えに上がり、帰宅後いろいろと準備。
ブレーキバランス等を自分好みの硬めにリセッティングしたり、付属品の取り付け。
購入したばかりのトレランザックに必要な荷物を詰め込み準備完了。
翌朝8:30に出動。走り出しは久々の目線の高い感覚にちょっとドキドキしつつ新大阪へ。
大急ぎで輪行セッティング。この作業も久々だったが全然スムーズに完了。
9:03のくろしお号で周参見まで。
南紀の海は明るくキラキラ輝いていてええですなあ。


南紀


周参見駅に到着したのが11:50ごろ。
コンサートの開場が14:00なので、約2時間で20kmちょいのプチ山岳コース。
何もなければたぶん間に合います。
いそいそと輪行を解いてマシンをセッティングしていると、
何やら駅のホームが騒がしい。
何事かと思ったら、紀勢本線のブルーの普通車両からJAZZがジャンジャンと。
ちょうどこの日は「紀の国トレイナート」というアートイベントのメインデーのようで、
その目玉であるJAZZ列車にたまたま遭遇しました。
あちらもかなり面白そうだなあ。


↓紀の国トレイナートのJAZZ列車


周参見駅。やっぱりうちのフィブラ君は画になる!


セッティングを済ませたらいよいよライドスタート。
まずは駅前から少し進んでR42へ。
すさみの海水浴場は日差しを燦々と浴びて光ってますねえ。
でも、海はここで早くもおしまい。
すさみ大橋を渡ってすぐの信号で右折して県道38号に入り、
内陸へと分け入っていきます。


↓すさみ海水浴場


幅広で交通量の少ない県道38号は走りやすく順調なスタート。
JR線を効果でまたぐのぼりでいっちょダンシングを思いだして漕ぐ。うん、大丈夫。
そこからしばらくのどかな山村を進んでいくと、真新しい高架の道をくぐります。
つい先日江住まで延伸された紀勢自動車道です。
集落を抜けて、すさみICの手前から、いよいよ登りが発生。
ひさびさにしっかりしたのぼりに突入し、あっさりアウターからインナーに落とす。
のんびり参りましょう。
少し長めの曲利トンネルを抜けるとしばらくは渓谷沿いに道が鈍く登る。
琴の滝の宿泊施設を過ぎたあたりから道は一気に細まり、車だと離合が厳しいほど。
うっそうとした雑木林の間を緩やかな登り基調で進んでいきます。
なんとなく京都の雲ヶ畑コースのような感じ。


↓山間に分け入っていきます


結構せまい道でガードレールもないのだが、
ほとんど交通量もなくのんびりと進みます。
この日は思ったより日差しがあって厚着してきたのが裏目で暑い暑い。
狭小区間を抜けると、分岐があり、県道38号をそのままトレース。
少し進むと、獅子目トンネルをくぐります。
くぐった先には佐本の集落が一気に開けました。
思ったより広々とした隠れ里のような集落をずんずん進んでいきますが、
出ているはずのカフェの看板が一向になくて、
そろそろ集落を出ちゃうよと心配になるころに看板を発見しました。


↓県道38号をトレース


↓獅子目峠トンネル


↓佐本の集落


↓カフェ・フォノさんの看板発見


↓濱口さんのコンサート案内も出てました


看板のところから脇道へ入っていくと、
きれいなログハウスみたいなところがあり、
その手前のところに受付が設けられていて、2500円をお支払い。
自転車を軒先に置こうとしたら、かわいらしいワンちゃんがお出迎え。
足にまだら模様があることからドットちゃんと呼ばれている看板犬で
とても人懐こく、なでなでしてやるともっともっとと前足でおねだり。
かなりの甘えん坊さんでその場で10分ほどその場でヨシヨシ〜と捕まる。


↓看板犬のドットちゃんは甘えん坊


↓いい空間が広がっています


ようやくその場を離れてカフェの棟へ。
すでにたくさんの人が訪れて思い思いに憩っています。
まだ開場30分前で、カフェでのんびり待つことにします。
この日はドリンクとケーキだけはあるが、食事は各自持参してくださいと
予約の電話の際に言われていたので、出発前に新大阪で買った駅弁を広げて食べます。
そのあと、せっかくなのでコーヒーと梅のパウンドケーキをいただきました。
なかなか居心地のいい空間でした。


↓コーヒーと梅ケーキいただきました


さてそろそろコンサートの開始時間です。
すでにさっき弁当を食べている間から濱口さんをはじめスタッフの人が
あわただしく機材を運んだり、衣装合わせをしたりしているのが見えていましたが、
今回はこのカフェの裏庭を開放しての野外ライブ。
手作り感バリバリのステージには、
これまた濱口さんの私物のアンプやPA機材を
自分たちで持ち込みセッティングしたものが並んでいます。
濱口さんいわく、ギターだけじゃなく
音を実際に出すアンプの部分までが自分の延長、楽器だとこだわりを持っていて、
自宅には相当な数のPA機材があって、
この日はそこから厳選したアイテムを持ち込んだそうです。
ただ前日までああでもないこうでもないと、重いアンプを運んだりしていたので
指が攣りそうだ〜ヤバイヤバイと出番前から
笑いながらも心配しておられました。


↓機材はすべて自前。運搬から設置まで全部自分でやる


↓野外ステージ


そしてライブがゆるゆるな感じでスタート。
なんというか内輪で即席のお披露目会をしているのかというくらいの感じで
ステージと観客との垣根もなく、
この日も絶好調の軽快なトークから流れ式で始まる。
最初に、これまた地元古座の歌姫、野いちごさんが2曲披露されて、
それを継いで濱口さんの出番。


↓地元の歌姫、ノイチゴさんのオープニングアクト


↓いよいよ神業プレイスタート


やっぱり生で見る演奏はすごすぎました。
本物のジュロニモのようないでたちで、小気味よく足でリズムを打ち鳴らしながら、
全身を揺らせてスライドギターをかき鳴らせていきます。
濱口さんは曲が終わるごとにこまめにチューニングを施し、
その作業をしながらクセの強い紀州弁で軽快なトークを展開する。
そうして間合いをぐっと引き寄せながら
おもむろに魂のこもったブルースがジャラリ〜ンとスタートする。
また今回は底抜けに明るい青空と緑の山々に囲まれた野外ということもあって
本当に音がカーンと響き渡ってひときわ素晴らしい。
たっぷりとその妙技に酔いしれる素晴らしい2時間でした。
ラストは、『椰子の実』をみなで合掌して終了。
いや〜よかった!
(ライブの模様は後程別記事にアップします)


トークも軽快♪


ライブ終了後、濱口さんにご挨拶。
去年の心斎橋の話をしたり、あれから音楽活動を再開したんですという話とか。
で、差し出がましくも自作のCDをお渡ししてしまいました。
自分の曲の中に、濱口さんをイメージして作った『ギター弾きのバラッド』という曲があって
ぜひそれをご本人にも聴いてほしくて。
絶対聴くわなと言って快く受け取っていただきました。
もう、濱口さんは心の師匠ですよというとよっしゃよっしゃと。本当に気さくですごい人です。
自分が自転車で来たというと車で送っていくわと言っていただいたのですが、
いやいやさすがにそれは大丈夫です!
ということでいっぱい話させていただいて写真もご一緒させてもらっていると
時間はあっという間に過ぎて17時近く。
すでに山の日は落ちるのが早く、周囲は暗くなり気温もだいぶ下がってきました。
名残惜しいですが皆さんに見送られて帰路に着きます。


↓記念撮影


↓心の師匠!


日の落ちるのがとても早くて走り始めてすぐに結構暗くなってきました。
本当なら別の回り道でとも考えていたのだが、これだけ暗いといろいろ心配なので
安全に来た道をそのままトレースして帰ることにしました。
途中、後ろから来る車の人たちがクラクションを鳴らしたり、
声をかけてがんばれーとエールをいただく。
みなコンサートのお客の人たちでした。
暗くなってくると力がみなぎるのか、結構なのぼりもペースを落とさずに行けたのですが
そこから狭小の下り区間は本当に真っ暗で、路面に小石や枯れ枝が散乱しているし
慎重にペースを落として進みました。


↓帰路は真っ暗だ〜


18時には周参見駅に到着し、18:55の特急までに余裕で輪行を詰めたり準備していたのだが
列車の運行が遅れていてさらに20分ほどかかるとのアナウンス。
車内販売はないし、この調子だと新大阪に着くのに22時を回るので、
駅前にあった小さな中華料理屋さんで焼き飯をテイクアウト。
帰りの特急はガラガラで、ビールをしばきながら焼き飯とつまみでよろしく。
それにしても列車の遅延の原因が東岸和田で朝の11時に起きた人身事故らしいのだが
すでに半日立っても遅れが取り戻せていないとは…
結局新大阪到着が30分遅れ。帰宅したのが22:30でした。


↓ここで晩飯


自転車の戻ってくるタイミングがわからず、
すさみ行きを決めたのが3日前とギリギリでしたが、本当に行けてよかった。
やっぱり濱口さんの魂の歌は、南紀の地にて味わいが出るというものです。
オマケではあったけど、自転車もほとんど問題なく行けたし、
いろいろ収穫のあった遠征でした。



走行距離:58.15km
獲得標高:725m
TOTAL:329.25km