箱根外輪山トレイル 後編(長尾峠〜湖尻峠〜三国山〜山伏〜箱根町〜鷹巣山〜浅間山〜箱根湯本)
さて、後半戦。
長尾峠の先の箱根スカイラインの料金所での休憩を終え、
再び歩き出します。
舗装道路は有料の自動車専用なので歩行禁止なので、
すぐにまたブッシュの切れ目からトレイルに復帰します。
深い森の中に入っていき、そこからにわかに登り基調となります。
ピークを微妙に避けつつ、
尾根の左手側を上ったり下ったりを繰り返していきます。
なかなかに藪が深く、変わり映えがしないので単調になってきます。
一度大きく下ったら、芦ノ湖方面からのトレイルとの分岐。
最初ここが湖尻峠かと思ったのだが、違いました。
↓振り返って、これまでの道のり。中央の電波塔が丸岳。右奥が金時山
深い藪を抜けていくと、視界の開ける場所に出て、
スカイライン途中の休憩所みたいな芝の広場に出ます。
ここからは眺望がよく、眼下に芦ノ湖が広がり、
桃源台のところには観光船が停泊しているのが見えます。
そこから視線を上げていくと、
絶賛活動中の大涌谷と箱根山が雲を被っている。
なかなかの絶景。
ただ視線を進行方向に移していくと、前方にでっかい壁が…
とにもかくにも進むしかない。
↓桃源台と芦ノ湖
ドライブ途中に休憩している人たちを横目に、
広場を抜けて再び藪の道へと突き進む。
鈍いのぼりをこなしていくと、そこから真正面に大きなギャップ。
前方に大きな三国山がデーンと立ちはだかり、ラスボス感バリバリ。
その前に、湖尻峠までえげつない激下りが待ち受けているではないか!
すでに25km以上歩いてきて、大物はほぼやっつけたと思っていたのに、
このビジュアルにさすがにマジかよ〜と戦意を喪失しかけました。
削れて意外と歩きにくい下りをどうにかやっつけて湖尻峠に到着。
ここからさっきみたエグイ上り返し。
これはちょっとその日中に帰阪するのは無理ですと
思わず奥さんにLINEを入れ弱音を吐く。
↓湖尻峠
鈍いのぼりがースタートし、鬱蒼とした森の中へと入っていく。
天気が悪くなってきたのか、高度があがったためか、
だんだん周囲に白い霧が立ち込めて、ますます湿った世界が広がります。
疲労感と、さっきくらったカウンターパンチで戦意喪失気味で
ペースが自然と落ちてしまう。
これはいかんと、しばらく音楽を流して気分転換しながら歩く。
意外と急な部分が続き、霧のせいか足元がベチャベチャ、
木の根っこやらがツルツルで難儀する。
そのうち背後に気配がするなと思ったら、
トレイルランナーの2人組にパスして行かれました。
そうして14:50によくやく三国山(1102m)に到着。
標高の割に意外とタフな山でした。
↓三国山
山頂では先ほどのトレイルランナーが休憩をされていたので、
こちらは通過して先を急ぐことにします。
また抜かれるのもいやなので、ここから下り基調に入ることもあり、
勝手に逃げを打つようなイメージで一気にペースアップ。
尾根の左側の細い細い斜面の道をえっほえっほと進みます。
頭一つ抜けている三国山の山頂付近だけ雲がかかっているのだろうと思っていたのに、
下っていけばいくほどガスは厚くなっていくので、結構天気崩れてきている予感。
かなり大股小走りでペースをガツンと上げて進む。
時々、乗り越えたりする部分があったりするが、道はほぼほぼ平坦。
かなり中途半端なところで、山伏峠を通過。
道の途中に道標がなければあれは全く分からない。
そのうち、斜面を抜けて道が右手へ急ハンドルを切ると、森を抜け、
スカイラインの脇の道となる。
道もおなじみの幅広の藪の間を抜ける道となり、
短いアップダウンをこなして進むと、さらに広々とした空間にでる。
ガスが濃すぎてよくわからないがかなり広い広場のようで、
そこからぬうっと建物をが現れる。
山伏のレストハウスです。
↓山伏レストハウス
この区間は結果的にかなりハイペースで進んできたので、
ちょっとここで小休止。
お昼ご飯もまだだったので、何か温かいものを食べようかとも思ったのだが、
あまり悠長にはできないし、ちょっと高めの金額だったので、
手軽な焼きおにぎりとサイダーだけ。
休憩をしていると先ほどのトレイルランナーの人たちが到着。
それと入れ替わりに出発します。
さっきの区間で調子を取り戻しペースも上がったし、
引き続き仮想バトルを妄想しつつ、ペースを上げて箱根町を目指します。
再び、藪道を下っていくと、今度は杉林のようなところに出て、淡々と進みます。
一か所大きく下って、小さな沢に架かった木橋を渡ろうとして、
思わずスリップ!
濡れてツルツルの木に足を取られ、
どうにか踏ん張って転倒は免れたのだが、
右足をひねる?攣る?かしてしまいダメージを負ってしまった…
そこを抜けると、かなり幅広の芝の道が続く。
周囲がガスで覆われていて何とも幻想的で、
ここは北海道の牧場かというような感じ。
鈍いのぼりとなっていてえっちらおっちら歩いていると、
右手の藪の向こう側のスカイラインに車が通る度に音楽のようなものが流れる。
速度超過の対策なのか、どうもメロディーロード化されているようだ。
メロディーロードとは、舗装のアスファルトに、溝を切り込み、
車のタイヤが通過する際に生じる摩擦音を調整して、
一定速度で走れば音楽が鳴るようにしたもの。
よくよく耳を済ませて聴いてみると、
この区間は『残酷な天使のテーゼ』が流れるようになっているようだった。
そのうちに、海平と呼ばれる広々とした緑の草原に出る。
そこから再びアップダウンをこなし、ずんずん下っていく。
なかなか急な下りの階段区間が続き、山肌に沿って道は右へ左へ。
そこから前方に長に長いのぼりの階段が続く区間…
ここは結構ダレました。
そこを乗り越えていくと、外輪山集遊歩道入り口の看板がかかったところに出る。
ハイスピードで車が行き交う道を慎重に横断して、
向かいの道の駅箱根峠に到着。
自販機で再びアンバサだけ買って、
直ちに流し込んだら、間髪入れずにリスタート。
道の駅の駐車場を縦断して、ICの入り口方面へ。
そこに旧街道の看板があり、そこから再びトレイルへ。
ここがエグい下りで、道は細く、難儀。
ようやく斜度が落ち着いてきたなあと思ったら、
今度は、恐怖の石畳区間がスタート。
大昔から踏み倒されてきた石達は角が取れてツルツルに丸くなり、
その上には瑞々しい苔がむしており、
それらが分厚いガスにまみれて程よく濡れており、
本当にもう、どうぞお滑りくださいと言わんばかり。
斜度は緩いながらもあるし、前のめりにでもなろうものならひとたまりもない。
ここは絶対に左手を死守せねばならぬと、ペースを落とし慎重に進む。
岩の上に乗るのではなく、岩と岩との間を狙い足を置き、
道の中央ではなく、道の端の土との境界を歩く。
それだけ慎重を期しても、時折、グラッときてビビる。
超ビビる。
それが1kmちょいほどある。
心底ビビりながらどうにか箱根町まで下りてきました。
県道737号からR1に出ると、しっかりとした街中に様変わり。
観光客だけでなく、マラソンの練習をしているランナーなどもいて
さすが箱根といった感じ。
ここからはしばらくロードを歩いて元箱根を目指します。
土産物屋の巨大な駐車場や箱根関所跡を通過し、
道をいったんまたいで右側の歩道へ。
恩師箱根公園を左手に見ながら砂利道を黙々と。
そのうち前方に朱の大鳥居が見えて、元箱根の到着。
↓箱根町の中心部へ
そこから鳥居横の脇道へ入りにわかに登り。
その先で木の陸橋があり、えっほえっほと重い足を担ぎあげて渡ると…
ひえ〜〜〜〜、また容赦ない石畳区間に突入…
しかも、なかなか傾斜の急なのぼりで、ここにきてかなり堪える…
これも道の脇の比較的ステップを切ってある方を歩いて進むが、
ツルッツルッっと前のめりになりそうでビビりながら進む。
ひとしきり登り終え、石畳区間を終えて、
道なりに進むと県道732号にぶち当たる。
ここはキャノボの際のハイライトとなる「七曲り」へ続く旧東海道。
色々と思い出のある道をまたぎ、
向かいのどさんこラーメンの脇から再びトレイルへ。
平坦で幅広の道を黙々と歩いていくと、右手に小さな池があり、
これがお玉が池かと思ったが、どうも違うようだ。
途中で、道標に従って、左折し、
鬱蒼とした森の中に続く階段状の道を黙々と。
そろそろ周囲も薄暗くなり、ガスがいよいよ濃くなってきた。
ここらでスマホの充電が消失…
前日に充電を忘れて、山伏あたりからアラートが出ていたのだが、
ラストまで持たず。
今回は軽量化のために一眼を置いていたのが裏目に出てしまった。
どのみち、日没との争いと、帰阪終電へのラストスパートに専念しないと
そろそろキワキワのタイミングとなってきました。ちょっと焦る。
ガスガスの森を黙々と進んでいると、左手側から車の音が響き始める。
そのうちR1と並走するようになるが、高い壁で遮断されている。
精進池のところでトレイルが切れ、そこからしばらく退屈なロード。
ガスがかなり深くて、前方から車が突然ぬうっと出てくるような感覚で、
そうなると、後方から来る車が歩行者(自分)を見つけるのは難しいだろうから
十分に注意してできるだけ路肩を歩く。
途中R1の最高地点を通過し、
ヘアピンを1つ2つこなすと湯坂路入り口からR1を外れる。
ここからは歩きやすいトレイルが続いていて、ペースを上げます。
標高834mの鷹巣山、続いて802mの浅間山とつなぐ。
ここでヘッデンを装着し万全を期した状態で
ここから、プランニングの際にオーラス区間として目をつけていた通り、
傾斜も緩く、幅広で直線的な道が続く。
とにかく暗闇と白霧を切り裂いて、
ラストはもう速足というよりもほとんどランに近い状態で進む。
ラストは少しガレて九十九折れとなり、そのころにはちょうど足も棒で、
ペースを慎重にしてR1に降りてきたころには周囲はもう真っ暗でした。
無事に歩ききった喜びもつかの間、
そこからさらに駅まで歩かないといけないのですぐに移動。
無事に箱根湯本駅に到着して時計を見ると19:34。次の小田原行が19:38!
なんとかギリ間に合いました。
朝の6:05にここを出発して、19:34着なので、実に13時間30分の山行。
去年の栂海新道に匹敵するくらいのしんどさで、もう全身ボロッボロです。
ここを10時間とかそこいらで走りきってしまう
トレイルランナーはやはりすごいですねえ。
感傷に浸っている間もなく、みやげを物色する余裕もなく、
とにかく切符を買って小田原行きに滑り込む。
改札から電車の停車しているホームまでがこれまた意外とあって、
電車がちょっと出発に手間取ってくれたおかげでどうにかギリギリでした(汗)
乗り込むと、外国人だらけ。
19:52に小田原に到着し、すぐさま新幹線の手配。
できれば乗り換えを少ない便のほうが寝れるのでと期待したが、
どれもすでに×が並んでいて、結局、静岡・名古屋で2度乗り換えることに。
しかも最後ののぞみが広島行き最終だったので、乗り過ごしたら地獄…
売店でめぼしいみやげと補給品(酒はヤバイのでNG)をひっつかんで
ホームに上がったら、もう入線してくるタイミング。
そこから寝れずに新大阪に到着したのが23:13。
タクシー飛ばして23:30には帰宅したのだが、
鍵を回してもドアが開かない!
どうも今日は帰れないと連絡したまま、
携帯の充電を消失して連絡できていなかったので、
まさか帰ってこれるはずないと思って錠もかけていたらしく、
ドンドンとドアを叩くものだから、家族に不審者と間違われる始末…
頑張ってその日中に返ってきたんだけどね!
ということでどうにかこうにか箱根外輪山一周できました。
帰りのリミットがある分、六甲よりもシビアな展開になりましたが、
曇天でも十分魅力的な眺望と、
整備された心地よいトレイルを満喫できました。