記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

子連れハイク 中山連山 詳細編

日曜日。
2週連続のお山歩きを約束していて、
この日は早朝出発で遠征を企画していたが、
前日の夏祭りで2人ともヘトヘトで大寝坊。
予定を変更して近場で済ますことにします。
毎度毎度、六甲ばかりも芸がないので、
比較的近く、そこそこの難易度(と思ってた)の中山連山を縦走することに。
ブランチを済ませて12時前に出発し、阪急宝塚線で山本駅。
12:50に山行スタート。


↓阪急山本駅をスタート


出発前のテレビで高温注意報と熱中症注意がやっていたが、
その通りうだるような暑さの中、まずは駅前の道を標識通りに進む。
住宅街をしばしなぞって山の方へ進んでいき、川にぶち当たって直角に右折。
緑豊かなプチ渓谷の道となり、一気に涼しくなる。
その先、宝教寺との分岐の先から本格的な山道になります。
しばらく道なりに進んでいくと、辰巳橋という橋の手前に石積みの立派な門。
そこで分岐があり、本来縦走は左に曲がるのだけど、
ちょっと寄り道をして右折。


↓宝教寺から山道スタート


↓駅から10分でいきなりの秘境


↓辰巳橋


引き続き沢沿いに進んでいきます。
川は結構クリアで魚が泳いでいるのも見え、娘もうれしそう。
その先ずんずん進んでいくと、前方に大きな空間が広がっており、
大きな岩がぐるりと鎮座しています。
その岩の先へ回り込むと、何とも見事な滝が現れました。
最明寺滝という滝で、
鎌倉時代北条時頼(最明寺入道)がここで出家をした場所だそう。
滝の落差はそれほど大きくはありませんが、
巨岩の間から枝垂れるように落ちる流れは見事。
深い岩の間にいくつも祠が設けられ、今でも信仰されていて、
なかなかに特別な空間でした。


↓岩殿に到着


↓最明寺滝


しばし滝で休息したのち、分岐まで戻り、縦走路を目指します。
すぐに急な石の階段となり、
さらにその先で堰堤を越える木の階段が続きます。
その先さらに分岐があり、左へ。


↓分岐を左へ


ここからは穏やかな森の中をトレイルは続いていきます。
直射日光がなく、時折心地よい風が吹くのでなかなか快適。
緑が勢いよく道へはみ出てくるのをかき分けながら進んでいくと、
広い分岐点に到着。
この先、危険マークの付いた岩場区間へと突入するため、
ここでちょいとブレイク。


一本橋も越えます


いよいよこの日最大の難所に取り掛かります。
分岐のすぐ先の、とりつきからむき出しの岩が待ち構えていて、
ロープが一本。
右手から回り込むようにして、ロープを頼りに巨岩を乗り越えていきます。
意外とサクサクと登っていくのだが、
途中で詰まったり、迷ったりしている時は後ろからアドバイスを送りつつ
慎重に進む。
3点確保の原則はしっかりと覚えているようで、
しっかりと自分の手足の動きや置き場を確認しながら見事に登っていきます。
ただボロボロと細かい石や砂をお父ちゃんに落としてくるのはご愛嬌(笑)
ロープ場を過ぎても、ザレ場・岩場の連続。
それらをこなしつつ、一気に高度を上げていくと、
途中から緑を抜けていよいよ核心部の基底に到着します。
ふぃ〜ここでちょっと一呼吸。


↓ここからいよいよ難所の岩場に突入


↓最初のロープ場


↓まだまだ序の口


↓少しずつ眺望も良好に


↓核心部の底に到着。


緑が開け、核心部の岩場が見渡せるようになり、
前方(というより上方)を確認すると、
荒々しい岩がほとんど壁のようにそそり立っている。
うわあ〜、こりゃ想像していた以上にハードだぞ…
自分一人なら行けても、娘にとってはこれはもうダイハードなわけで、
その娘の安全を第一にサポートしつつ、自分も上がれるのか
大丈夫かとちょっとドキドキ。
しかし意を決して突撃!


↓激坂!


↓いざ参る!


まずはじっくりと上部を確認して、
できるだけイージーなルートを見極め、
真下から娘をバックアップしつつ、ゆっくりと登っていきます。
岩の表面はザレていて滑りやすく、
慎重に慎重にたっぷり時間をかけて上がっていきます。


↓激坂の向こうに甲山


↓さらに高度が上がります


一旦、少しスペースのある安全な棚に到着し、
ひとまず一息休憩を入れます。
岩場は陰がないので日光を浴びて二人とも汗だく。
顔も真っ赤ですが、休憩を入れるまで暑さに気づかないほど
集中して登っていました。
休憩をしていると上からおじさんが下りてきて、
この先ロープあるよと教えてくれます。
ドリンクをあおっていざ出発。
ロープは結構しっかりしていますが、
それでも所々岩に擦れてボゾボソになっているところもあり、
あくまで補助として使うようにして、進みます。
背後をがっちり固めながら進むので、娘も徐々に安心感を得て、
ぐんぐん上がっていきます。
そうして中断のさらに広い棚まで到着し再び小休止。
眺望はどんどんよくなってきました。


↓ロープさばきもお手の物


↓ぐんぐん上昇


↓ようやく半分クリア


その先も長い長いロープが上から続いています。
右手側が少し歩きやすい巻き道のようになっているので
無理に難しいロープの直線状を行かずにそちらへエスケープ。
それでも岩の急斜面であることには変わりなく、慎重に進みます。
歩きやすいルートを求めて、いったん、
岩場を右手から左手へと大きくトラバースをして、
そこから溝を伝って上部へ。
上からトレランの男女ペアがやってきてごあいさつ。
「すごいねえ」「大変だねえ」と娘は声をかけられ、さらに気合が入ります。
核心部の中でも最も難しい区間はすでに終わり、
後はひたすら続く岩の登りをやっつけて、ようやく岩場上部の鉄塔に到着!
難所を見事にクリア!
距離的にはそれほど長くありませんが30分弱ほどの激闘でした。


↓まだまだ壁は続く


↓難所クリア!鉄塔の下で休憩


少し難しい岩場があるというのは知っていたが、
これだけ脆く斜度があり、しかも距離が続くと思っておらず、
かなり疲労しました。
それでも娘さんは泣き言ひとつ言わず、スイスイと岩場をクリアして、
本当にすごいです。
お父ちゃんはもうぐったりよ〜。
ということで、ここで休憩を入れます。
眼下に広がる大阪空港からがある飛行機を眺めながら、
凍らせた麦茶とおにぎりとお菓子でまったり。


↓大阪空港から飛行機が上がる


しばしの休憩ののち、リスタートして先へ進みます。
難所をクリアした後は比較的平坦で歩きやすく整備されたトレイルが
鉄塔に沿って続いています。
娘さんを先頭にずんずん進んでいくと、じきに細かなアップダウンが続きます。
稜線まで来ると、左に大阪平野、右に多田や猪名川町方面の景色が見え、なかなか快適。
すぐ右手の眼下にはゴルフ場の緑の芝が見えます。
ところが、せっかく難しい岩場を登って高度を稼いだのに、
道はずんずんと下り、ついには左手の中山五月台の住宅地が
もう間近というところまでというところまで迫ります。


↓難所の先は歩きやすい縦走路


↓赤白鉄塔通過


↓右手にはゴルフ場が広がる


↓中山五月台と桜台


最低部まで下り切ると、そこから再び鈍いのぼりが始まります。
周囲にシダが生い茂る緑の中につけられたトレイルは、
岩が自然の階段となってごつごつ。
へーこらひーこら登り詰めると、ちょっとした広場に到着。
すぐ近くに車の往来が聞こえるので、
おそらくこの真下がトンネルだと思われます。


↓小ピーク


ここから先も引き続いてアップダウンが続いていきます。
鬱蒼とした緑の中で、地図にない枝道がいくつも分かれていて、
そちらへと迷い込まないように主稜線を選んで進んでいきます。
途中、再びしっかりとした登りが登場し、えっちらおっちら登っていくと、
ザレザレの露地に出ました。
そこからは東側の眺望が見事に広がります。
眼下のゴルフ場の先には多田周辺の街並み、
その奥に連なるのが五月山箕面と続く北摂の山並み。
しばしここで休憩を取ります。
暑さが体力を奪うのと、思っていた以上にロングな道で、
2人ともそろそろへばり気味…


↓アップダウンが続く


↓東の景色。向こうが五月山箕面


リスタートして、その先の広いザレ場の分岐点を西へと向かって行きます。
道の脇にフェンスが張り巡らされるようになり、
それに沿って穏やかなトレイルが続きます。
黙々と歩いていると疲れるので、
冗談や日常のことなんかをしゃべりながら進みます。
学校生活のこと、お友達のこと等々、日々のことがわかるので、
子連れハイクは貴重な親子のコミュニケーションの時間となってます。
まだかまだかと、延々歩いていくと、分岐を発見。
それらしい標識も何もないが、
おそらくここだろうと、分け入っていくと三角点を発見。
中山連山の最高峰・標高487mの中山に到着です。


↓中山最高峰


時刻はすでに16:30となり、夕暮れが気になる時間帯ですが、
ここから下山に向けて少し長めの休憩を入れます。
娘がそろそろ足に来ているようなので、
靴と靴下を脱がせて足を開放してやりマッサージ。
その間にお菓子とジュースで補給してひと段落。
山頂は結構広々とした場所なのだが、
木々が生い茂っていてあまり眺望は十分とは言えない。
北側の斜面の方が少し開けていて、
丹波篠山方面の山並みが何とも淡いグラーデションを纏って幻想的でした。
この間購入した銀海酒造さんの「稜線」ラベルを思い出すような感じ。


↓小休止


↓北の景色(稜線の酒瓶にそっくり)


17時前には出発をして下山開始。
まずは主稜線のルートに戻るのだが、
そこから地図にない枝道が四方八方に伸びていて迷う。
間違って、中山桜台や十万辻へ降りてしまったら、あとが面倒なので
慎重にメインルートを選んでいくのだが、
標識にも騙されて何度か間違う。
間違ったことをわからずに進んでいると、
聖徳太子が修業した場という天宮塚というところに出る。
これは地図に載っていて、やっと曲がりどころを間違えたことがわかり、
奥の院参道へバック。


↓道を間違って、天宮塚に


↓奥院参道道


道をロスとしたせいで少し時間を失ったため、
途中で主稜線を折れて、奥の院をショートカットする参道に入るが、
この道がまたごつごつとした岩が散乱する道で、
しかも結構ぬかるみがひどく難儀する。
そこを辛抱強く進んでいくと、メインの参道に合流し、
一気に歩きやすくなる。
そろそろ西の空がオレンジ色を帯び始めます。
暗くなる前には下山できるのは分かっているが、
やはりどうも急かされます。


↓なかなか難儀な道


↓宝塚の街並みが暮れ始め


しばらく歩きやすいトレイルを進んでいくと、
前方に大きな岩が鎮座していて、それが夫婦岩というところでした。
ここからは長い長い石段の道が続いていきます。
途中途中に、丁石が置かれていて、距離感がつかめます。
これはこちらからの登りは面倒だろうなあ。


夫婦岩


↓残り八丁


ここまで酷暑の中ひたすら歩いてきて2人ともバテバテで、
娘も足が痛いなあとつぶやくようになるが、
決してめげるような感じではなく、気合を入れなおしている感じ。
ここは無理をせず1丁、2丁ごとにこまめに休憩を取りながら進んでいく。
はっきりと数が減っていくので娘も目安がつけやすく、
あと4つ、あと3つと数えている。
そうしてようやく民家のあるところに出て、山道は終了。
民家裏のコンクリ坂をつたっていくと、天王寺川の上流にでます。
その沢を渡って盛りの向こう側に抜けると大きな墓地に出る。
そこにあった井戸水のポンプで水を汲んで火照った顔を流し爽快!
娘も生き返る〜と大喜びでした。
そうして無事に中山寺に到着しました。


中山寺とうちゃこ


↓思わず行水


境内に自販機を見つけ、早速冷たいジュースを買って乾杯!
ああ、沁み渡る@@@@@@
おそらく今回は、娘史上最も難易度の高い岩場もあり、
意外と距離もあったし、何よりこのうだるような暑さの中、
最もハードな山行でしたが、しっかりと歩ききった娘はアッパレでした。


↓小休止


↓おつかれ〜


電車に乗る前にコンビニでアイスを購入して、一息つき、
阪急中山観音駅から電車に乗って帰宅。
おつかれさまでした〜