記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

秘境、大杉谷 1日目

さかのぼること1か月。
ようやくお医者さんから左手完治の宣言を受け、
本格山行を企て、チャンスをうかがうべく、
ずっ〜〜〜〜っと天気予報とにらめっこ。
何しろ明ける明けると言いつつも、一向に明けない梅雨空。
しかもよりにもよって土日なると天気が下るという
全くもってありがたくない状況が続いている。
本当は遅くても7月の頭には行くつもりにしていた大杉谷も、
迫りくる酷暑と、アルプス開きを考えると、
チャンスタイムのリミットは目前だった。
連休を迎え、ここで行けないとまたお預けになりそうなところ、
天気予報は雨の予報…
一瞬あきらめかけたが、
月・火なら奇跡的に雨の谷間の晴れが期待できそう。
ただその日程だと、なけなしの夏休みを1日取得する必要があり、
雨になってしまえば貴重な休みのカードを
みすみす捨てることになるリスクがある。
ええい!ままよ!男なら突っ込むべし!
ということで、半ば勢いでバスと小屋の予約を入れる。
入れてしまえば、もう行くしかないということで、
いそいそと準備を始める。


標高はそれほど高くはないけれど(小屋は480m)、
今季初の本格遠征なので重くなるがそれなりのウェアを用意する。
あとは全く未知のエリアなので、見聞きしたイメージで
黒部峡谷のような危険個所なはずなので、
ヘルメットを持っていくことにする。
そしてもう1つ、ヒル対策。
やはり渓流沿いで雨の時期なので出ると聞いていて、
ヒル除けのスプレー(ヒル下がりのジョニー)と、
あと材質的に女性用のストッキングを嫌うらしいので、
奥さんに不要になった膝下用のものをもらう。
1日の移動時間はそれぞれ長くても6時間程度だし、
補給品とドリンクは最小限度に抑える。


で、いよいよ出発当日の月曜日。
見事な晴れ!やった!
地下鉄を乗り継いで鶴橋駅へ向かい、そこから近鉄特急。
当初のプランで予定していた便だと、
津駅でJR特急に乗り換えるタイミングが5分もなかったので、
早めに家を出れたので、安パイで急きょ、
もう1本早い便に間に合うように、
石橋を叩いて鶴橋に来たのだが、
いきなりダイヤが大幅に遅れている!!!
どうも大和高田付近で早朝に人身事故が発生して、
10〜15分も遅れが生じているとのこと。
予想外のトラブルで早くもDNSの大ピンチ。
すでに事故処理は済んでいて、順次運転再開をしているとのことなので
これ以上の遅れは発生しなさそうだが、果たして…
7:11鶴橋発の予定だった賢島行特急は7:25過ぎてようやく出発。
予定よりさらに一本速い便を目指してきたのが幸いしたが
この便は賢島行きなので津へ行くには
伊勢中川で名古屋行きの特急に乗り換えないといけないが
その乗り継ぎが間に合うか間に合わないか、微妙なタイミング…
10分の遅れならギリギリ、15分の遅れならアウト。
他に案はないのかとスマホで情報戦を展開。
要はJR特急南紀1号に乗り継げれば津でなくてもよいのであって、
便を早めた結果、近鉄特急の行き先が変わったのだから、
乗り継ぎ駅を津から松阪に変更すればなんとか間に合うのがわかった。
そこで車掌に行先変更を告げて、ようやく落ち着きを取り戻す。
予定通りの便(名古屋行き特急)だったら、津への到着が遅れて、
乗り継げてなかったので、本当に早めの行動をしていて助かりました。
松阪には9時前に到着をし、20分ほど乗り継ぎ時間があったので、
駅前のパン屋で朝飯と昼飯のパンを購入。
そして9:18に無事、JR特急南紀1号に乗り込みました。
9:47にJR三瀬谷駅に到着。
ここまでですでに色々あって、ほんと疲れた@@@


↓JR三瀬谷駅


↓のどかな里


駅では、住民らしい人たち(明らかに登山目的でない)を含め、
パラパラと5,6人が降りただけで、
電車が行ってしまうと周囲は静けさを取り戻す。
抜けるような青空と、周囲の緑がなんとものどかな小さな駅です。
駅舎を出て、一度踏切のあるところまで大きく迂回し、
線路の反対側にある「道の駅奥伊勢おおだい」に到着。
ここから登山バスが出発するのですが、まだバスが来ておらず、
道の駅で散策をして待つ。
そのうちにそれらしきバスがやってきて乗り込む。
お一人様2500円。
自分のほかには、学生2人組、ナゾのおっさん4人組の3パーティーのみ。
この謎のおっさんグループは、
結局翌日の帰りの特急まで一緒になるのだが
身なりも装備も登山者っぽくないし、地図も持ってなさそうで、
しかもバスの運転手に帰りのバスはあるのとか、
全くノープランで、まるで慰安旅行の延長といった感じ。
そんなんでも完歩しちゃうんだからすごいねえ。
さてこのバス、4人以上そろわないと
運行されないのでこの2パーティーがいなければ登山できませんでした(汗)
週末ならそれなりに人数いるんだろうけど、
祝日・平日の2日コースとなるのでこんなもんでしょうか。
とにかく無事に登山バスに乗り込むことができて一安心。


↓道の駅奥伊勢おおだい


↓大杉渓谷登山バス(3日前までの要予約)


定刻通り10:30にバスは出発。
すぐにR42をはずれ、宮川沿いに進んでいく。
奥伊勢フォレストピアの先から
すでに山奥の渓谷といった趣が出てくる。
R422に入ると、すでにキラキラと清流が美しく、
そこかしこで鮎釣りをしている人や
行水をする子供たちが目に飛び込んでくる。
R422から県道53号に入ると、周囲は険しくなり、道も細く難儀に。
しばらく進んでいくと宮川ダムがあり、
貯水池の脇にある大杉自然の家でいったん停車。
ここまでで約1時間。
ここでトイレ休憩が10分あり、登山届もここで提出。
ここからは遊覧ジェットが発着していて、
渓谷を水面から楽しむこともできます。


↓宮川ダムにある大杉自然の家


ダム湖の遊覧船


再びバスが走り出すと、道幅はさらに細くギリギリ。
新大杉橋でダム湖の対岸へ渡るのも一苦労。
複雑に入り組んだ渓谷をなぞるようにして道がついているので、
スムーズに前進することができず、
右へ左へ振られながらさらに1時間弱。
ようやく登山口に到着します。
下車した他の人たちは、降りた駐車場にある東屋で昼食タイム。
自分は、身支度を済ませたらすぐに出発することにしました。
歩道をもう少しだけ歩いていくと、宮川第3発電所があり、
その脇を進んでいくと、登山道がありました。
いよいよ渓谷歩きのスタートです。


↓登山口の先、宮川第3発電所から山行スタート


↓本日は6.2km先の小屋を目指す


ヒル対策もばっちり(ストッキングはきちんと履かずに折り返して靴に巻く)


しばらく整備された歩きやすい山道を進むと、
その先に、様々な警告のプレートが掲げられたゲートがあり、
その奥には、見るからに険しそうな岩をくりぬいた道が
頼りなく続いているのでした。
一度、ふ〜っと大きく息を吸いこんだら、いざ突撃。


↓ここから本格的な渓谷へ


まるで黒部の水平歩道を思わせるような、
固い岩盤を最小限度歩ける程度にくりぬいた岩の道が続きます。
左側は川面まで数十メートルの断崖となっていて、
落ちれば一巻の終わり。
岩壁の方には頑丈な鎖が取り付けられてあって、
時々それを頼りにしながら進みます。
それにしてもそのはるか下に見える水の美しいこと。
太陽の光に照らされて薄く緑を纏いながらも、
川床までスッキリとクリアに澄んでいる。
あまり見とれていると吸い込まれそうな感覚になってしまいます。
道自体は黒部よりもさらに幅があるし、鎖も設置されていて、
難易度的には見た目ほどは難しくはない。
ただ、この岩が全然グリップせずにツルツルと滑りやすいので注意が必要。
この一帯の岩は、チャートという物質が含まれているらしく、
非常に頑丈で、その頑丈さのおかげで、水がなかなか浸食できずに、
このような複雑怪奇でスケールの大きい渓谷を作り出したようなのだが、
そのせいで岩が滑りやすく、
なんでもないフラットな区間でも、グラッと来てしまう。
これが場所が場所なら恐ろしい結果を招かないとも限らず、
あまり気が抜けません。
基本的に川に沿って道は続いているのだが、
蛇行している場所で険しいところなどは
岩場をショートカットするように乗っ越す場面も多々あり、
意外と細かいアップダウン、それもツルツルの岩場が連続します。
そして、支流の谷との出合では必ずと言っていいほど吊橋がかかっていて、
これが結構揺れます。
高度なスキルを要する場面はありませんが、
なかなか思った以上に骨が折れます。


↓水平歩道を思わせる断崖の道


↓早速鎖場も登場


↓結構揺れます


徐々に川面へと高度を下げながら、道は続き、
そのうち白い石で敷き詰められた河原へと降りれるくらいになってきました。
こんな奥地までポツポツと釣り人がいて、
自分も降り口を探して河原へと降りてみます。
川面に近づいてみると、ますます水の美しさが際立って見えます。
水に触れてみるととても冷たく、タオルをドボンとつけて
早くも噴き出す汗をぬぐい涼を得ます。
ああ、生き返る@@@
この河原から来た方面を振り返ってみると、
ちょうど自分が歩いてきた道の上部が実は大日厳という強大な絶壁でした。
しばらく川の写真を撮ったりなんだしてリスタート。


↓透明感!


↓大日厳(山カンムリに品が正式な漢字)


↓エメラルド!


道は引き続き、渓谷に沿って進みます。
この辺りはまだ川面からも近く平坦。
時折苔むす緑の谷を抜けたりして、熊野らしい風景の中を進みます。
ただ、最初に絶壁の道が登場した以外は、
意外なほど平坦でフツーの道がこの辺りでは続くので、
ひょっとして期待はずれかと感じてしまったほど。
川が一度大きく右手へと折れるあたりから、
登山道は川面を外れて徐々に高度を上げていきます。
時期的なものもあるだろうけど、右も左も木々や葉っぱが生い茂り、
せっかくの川の美しさも木々の間からうっすらと除くほどで、
特にカメラで狙うにはポイントが限られるし、
確かに渓谷美は素晴らしいのだけど、
ここでしか見れないものでもないし、う〜ん。
と、歩きはじめて約1時間は頭の中でクエッションマークが浮かんでいました。


↓苔むす谷


↓河原沿いに出ます


登山道はどんどん地底から離れ、高度を上げていきます。
美しい渓谷の道、それも深い森の中なので、
さぞかし涼しい道だろうと思いきや真逆!
地獄のような暑さに早くも疲弊してきました。
とにかく渓谷があまりにも深いため、山の尾根を吹く風が降りてこない。
しかも複雑に蛇行し入り組んでいるために、
せっかく降りてきた風もすぐに岩壁にぶつかって消えてしまう。
ほとんど無風状態で、あまりにも強い日差しに焼かれた空気が
谷一帯に充満し、強烈な草いきれで窒息しそうなほどにエグイ暑さ。
川の水で涼を得ようにも、その川ははるか眼下に遠のき、
最小限に抑えてしまった手持ちの水を本当にチビリチビリとやるだけ。
去年の栂海新道の水攻め地獄を思い出します。
あまりに暑く、自分でも顔が真っ赤になっているのがわかるほどで、
途中から熱中症の症状も出て、それがとにかく堪えました。


↓再び崖道


↓深い渓谷


ひたすらに痩せた道を前進していくと、結構な高さの吊橋に出ました。
日浦杉吊橋。
ここも歩く度に、結構ぐわんぐわんとたわむので
高所恐怖症の人は結構大変かも?
ここは結構高い位置なので、渓谷を見渡することができますが、
谷はまだまだ奥へ奥へと続いています。
この先のあたりから徐々に、
前日に小屋宿泊されたであろう下山の人たちとの行き違い。
みなさん、暑い暑いとうなされておりました。
水越谷の出合から、渓谷は右へと急旋回をしていきます。
渓谷のずいぶん上を高巻きしながら進んでいくと、
対岸に滝が現れました。


↓日浦杉吊橋


↓ひたすら鎖場


千尋滝という名前で、幾段にも渡って水が流れ落ちています。
最初に見えるスポットからは、それなりにきれいですが、
まあフツーの滝かなあという印象しかありませんでした。
近くの東屋で小休憩をして、その先へ進んでいくと、
渓谷側に視野が開けた部分があって、さっきの滝の方を振り返ってみると…
なんと、山のてっぺんから水が勢いよく吹き出して、
絶壁を洗っているではありませんか!
さっきはフツーの滝とか言ってすみませんm(__)m
先ほどの位置からは、あまりにスケールのでかい滝の
ほんの膝下しか見えなかったのです。
ある意味ドッキリに近いサプライズにまんまとはまってしまいました。
それにしてもあんな山のてっぺんに近い位置から
あれだけの水が流れ落ちているなんて、何処に水源があるんでしょう?


千尋滝。きれいだけど小規模かなあと思いきや…


↓山のてっぺんから落ちてる@@@


千尋滝の全容に圧倒されたのち、再び歩き始めます。
すでに時刻は14時を過ぎ、看過できないほど暑さがこたえ始めます。
すでにバテはじめ、熱中症の兆候も出始めて、フラッフラ。
それでももう後戻りはできないし、すでにぬるくなっている首巻のタオルで
何度も額をぬぐって、少しでも体温を下げる。
道は谷の形状に沿って蛇行を繰り返し、細かくアップダウンを繰り返していく。
途中、支流の谷にわずかな水の流れがあり、そこで思わずザックを置いて休憩。
岩の間をちょろちょろと落ちる水を両手ですくって、
全身にバシャバシャとかけて火照った体を冷ます。ああ、気持ちいい。
何度も何度もタオルを流れにつけて水を含めて、
全身をぬぐうというのを何度も繰り返します。
それでようやくボオーッ意識が薄くなっていた頭もようやくマシになり、
もうしばらく涼んでからリスタートします。
この先も、意外とのぼりが続き、
木の道やら岩梯子のようなところをせっせとこなしていく。


↓滑りやすいチャートを含んだ硬い石の道


↓支流の水で涼を得る


↓岩場をいくつも越えていく


ある程度本格的な登りが終わったと思ったら、
今度は谷底へ向かって大きく下っていきます。
下りきると、鋭くえぐられた谷の間を勢いよく
深緑の水がトグロを巻いているのが見え、
その先が少し岩の広間のように空洞になっているところに出ました。
その広間をぐるっと谷筋に沿って回り込んでいくと、
渓谷はそこから左に旋回しています。
もう少し進んでその左手に伸びている谷の奥の方を確認すると…


↓広い岩の広場に出る


↓シシ淵


ここがシシ淵と呼ばれるところで、
よくポスターなどでもここの写真が使用されている大杉谷のシンボル的な場所です。
川がここで直角に折れているため、
角部分に激流がぶつかって削られ、そこが広間のようになっているという具合で、
ちょっと頑張って大岩を下れば、川べりの砂浜に降りることができます。
砂浜と言っても砂地はわずかで、トラックほどの大岩がゴロゴロと転がっています。
周囲は断崖に囲まれていて、真上にぽっかりと青空が見えているだけ。
なんだか火口の中にいるような錯覚。
岩を伝ってさらに淵の方へと進んでいきます。
この区間だけ、岸壁と岸壁の間隔が狭まり、見事なゴルジュを形成しています。
そのゴルジュの遠く先には2連の滝が落ちているのが見えます。
まるで高千穂峡のようでもあり、もののけ姫にでも出てきそうな
神聖な空気が漂っています。
そこで再び冷たい水で涼を得て、しばらく撮影しながらまとまった休憩を取ります。
しばらくすると、後ろが騒がしいので見てみると、
同じバスにのっていた2組が現れ、
オッサン連中は服を脱いで砂浜からドボンドボンと行水。
無邪気でエエですなあ。
自分は十分休憩も撮ったし、静かな山歩きをしたかったので、ここらでリスタート。


↓シシ淵


↓右手からゴルジュを巻いていく


流石にこのゴルジュの中を行くのは無理で、
登山道はその真横の崖を一気に駆け上がる。
その道もさらに反対側にでっかい名もなき滝がゴウゴウと水を落として、
結構滑りやすいので注意が必要。
ゴルジュのちょうど真上に出て、
谷底を除いてみると、かなり高度感があってビビビ。
あんまり覗いていると、あのエメラルドの水に吸い込まれそうなのでほどほどに。


↓道の真横にも滝


↓ゴルジュを覗き込む。なかなかの高度感


そこからずんずんと進んでいくと、
先ほどゴルジュの間から見えていたニコニコ滝に到着。
なかなかチャーミングな名前ですが、二連の滝なのでそう名付けられたのだそう。
ここも木々が生い茂って、撮影できるポイントが限られているので
全体をうまく捉えるのが難しいですが、なかなかに美しい滝でした。


↓ニコニコ滝


道はまだまだ続いていきます。
いつもなら10kmくらい平気で歩いているのに、
それほど本格的な登りもないくせに、
ここまで4kmしか歩いていないのにバテバテです。
暑さがひどいというのもありますが、
なかなか骨の折れる道です。
しばらく高巻きの道を歩いていると、前方に大きな吊橋が見えてきました。
しかもその吊橋の奥に聳え立つ平等厳の無慈悲な絶壁具合がすさまじい!
100mほどものそそり立った岩の壁に思わず絶句してしまいました。
このスケール感、写真で伝わればいいけれど…


↓平等厳。デケー!!


さて、なかなかの高さに設置された吊橋を渡ります。
高度感もなかなかあるし、ほかの吊橋同様に結構ゆれるのでちょっとビビります。
35年前には、この吊橋が落ちて死者も発生しているというのを聞いていたので余計に。
原因は、一度に渡れる人数制限の警告を無視した大人数パーティーが、
山行の遅れを心配し、どうせ大丈夫だろうと高をくくって、
一度に渡ったためにケーブルが断絶、1人が滑落死亡、1人が重傷だったそうです。
去年の槍でもマナーや決め事を無視して無茶をする人を見ましたが、
やはり勝手して、一歩間違えれば大参事なわけですからね。
ちなみに現在の吊橋は2012年に新しく付け替えられたものなので、耐久性はばっちり!


↓スリリングな高さの吊橋


無事に対岸へたどり着くと、今度は急な岩沢の急登となる。
岩の沢というか、
大昔に上部が崩れて砕け散った大岩が散乱しているといったようなところで、
マーキングを頼りに道をトレースして行く。
そうして対岸からくるっと平等厳を回り込むようにして道は進んでいきます。
再び短めの吊橋で渡って、ひと上りをしたら、
その先からきれいに岩が並べられた石畳となり、ずんずん下っていくと、
再び吊橋があり、その奥に建物が!
深い谷底を流れる激流の、はるか上部に頼りなく揺れる吊橋。
その先に、絶壁にへばりつくようにして建っている古びた小屋。
なんだかここだけを切り取って見ると、エベレスト街道の宿場町のよう。
登山口から歩いて4時間40分、ついに本日の宿泊地・桃の木山の家に到着です。
乙!


↓これもまた絶景


↓桃の木山の家


まずは受付です。
「顔真っ赤やで〜」と言いながら、お姉さんが快く迎えてくだいました。。
1泊2食付で9000円なり。
この一帯は国定公園に指定されているので、テント・野営の類は禁止。
(ってそもそもそんな余裕あるスペースもないけど)
行程的に1dayで歩き通すのは至難の業なので、ここがほぼ唯一の宿泊地です。
それにしてもこんな奥地の絶壁によくもまあこれだけの建物を建てたものです。すごい。
まずは寝床に通されると、お一人先客の方がいらっしゃいました。
バスにはいなかったので、マイカーの方でしょうか。
この日は結局このお一人+バスの人だけでしたので、寝床は十分1人1枚確保です。


↓本日の寝床


小屋のお姉さんから「もうお風呂沸いてますよ〜」とお声かけ頂きます。
え?ここ風呂あるの?びっくり!でもありがたや〜
ということで、早速一番風呂をいただきます。
湯船は2人はいればぎゅうぎゅうといったサイズですが、それでも十分ありがたい!
かけ湯をしてドボンすると…
熱い!!!!!!!
死ぬほど熱くて、思わず飛び出します。
かまど炊きなので、底の方が熱くって、1人ダチョウ倶楽部状態でした。(笑)
慌てて入るのは危険ですね。
ゆっくりと洗い場で時間をかけて、ようやく入浴していると、
バスのほかの2組が続々到着されるのが窓から見えましたので、
順番を譲るために風呂を出ます。
熱々の風呂で疲れた体もシャキ〜ンと正すことができました。


↓かまど風呂


風呂を上がっても夕食まで30分ほど余裕があり、
小屋の周囲(といっても玄関回り)を写真を撮ったりして過ごす。
17:30となって、セルフで受付に晩御飯を取りに行き、
渓谷沿いの食堂で食事。
今晩は海老フライ&トンカツ定食。がっつりモリモリ。
あとは、おビールをいただいて一人祝杯。プハア♪
最高です。


↓食堂


↓晩御飯はトンカツ&エビフライ定食


食後はすることもなく、暑さで疲労しすぎたせいか、
19時までには寝てしまいました。
夜中激しい水の音がするので、雨かと思って起きるが、
渓谷の川の水の勢いが強いようでその音でした。
部屋は窓を網戸の状態でも寒くなく、ちょうどいいひんやり具合で、
ぐっすり安眠できました。
翌日はいよいよ大杉谷の核心部を経て、
大台ケ原の最高峰・日出ヶ岳まで1300mの高低差を上がります。
2日目へ続く…