記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

銭湯からメリークリスマス 銭湯ペンキ絵ライブペイント at ユートピア白玉温泉

金・土と京都2DAYSをこなし、ちょっとお疲れモード。
年賀状などしないといけないこともあるので、
日曜日は自宅にこもってのんびり作業と思っていたのだが、
土曜日の晩に、関西おもしろ博士として敬愛している
丸井輪太郎さんのタレこみ情報で面白そうなネタを発見してしまった!


なんと、京橋の近く、ガモ2(蒲生2丁目)にある銭湯屋さんで、
銭湯絵師によるライブペインティングがあるというではありませんか。
そんなのめったに見られないし、ぜひ行ってみよう。
また長女のものづくり精神にくすぐりを入れてやろうということで、
家族全員で遊びに行ってきました。
(輪太郎さんにも会えれたらよかったんだけど…)


ということで、自宅からタクシー飛ばしてやってきました
ユートピア白玉温泉。
我が家の近所にある銭湯よりもずっと立派で、1Fが駐車場、
2Fがロビーと浴場になっています。


ユートピア白玉温泉


今回のイベントは題して「銭湯からメリークリスマス!」つまり銭メリです。
日本でたった3人(つまり世界で3人?)しかいない
現役の銭湯ペンキ絵師さんが、
その技を披露するというとっても貴重なイベントです。
大阪の銭湯はタイル絵が主流で、
現在大阪市内でペンキ絵を掲げているのは、この白玉温泉だけなんだとか。
加えて、実は関西ではあまり富士の絵が壁に描かれているところは少なく、
なおさら貴重なのです。


銭湯の壁画とは違いますが、ほんの少し前までは、
天六にあった映画館のホクテンザの看板は全部手描きの画でしたし、
阪急梅田駅から電車が出るとすぐ、
DDハウスの辺りにも映画告知のためのでっかい手描き画が
目に飛び込んできたものです。
デジタル技術、印刷技術が格段に向上した現代ではもう、
わざわざ手間もかかる手描きなど不要なのでしょうが、
あれはあれでとても味があったなあと思い出します。


↓銭湯ペンキ絵ライブペイント


さて、今回のイベントは「富士の四季」と題して、
24,25日の2日間で、
5色のペンキを使って畳1畳分のペンキ絵を4枚制作するということで
すでに前日に書き上がった分の絵が乾燥のために掲げられていました。
また、この日は残念ながらお風呂に入れなかったので見れませんでしたが、
男湯の壁面に縦2m、横4mものサイズの「霊峰白山」が23日に描かれたそうで、
これはまた別途拝見しなければなりません。
ちなみになぜ白山が描かれたかというと、
実は大阪の銭湯経営者の約9割は北陸出身、それも石川県民の方が多く、
今回、府公衆浴場業生活衛生同業組合の方から、
ぜひとも故郷の山を描いてほしいという依頼があったからだそうです。


↓前日仕上がった絵がこちらの春の富士


さて10時になり、最年長絵師の丸山さんが登場。御年81歳!
おもむろに真っ青なベニヤ板に
白いチョークで軽く構図を描いていきます。
本当に軽いタッチで、さささっと早業。
今回は冬景色の富士山を描くようです。


↓いよいよスタート


↓チョークで軽く構図を下書き


↓今回は冬景色の富士


もっと精密に書き込んでいくのかと思いきや、
いきなりでっかいハケに青色のペンキをどっぷりと浸し、
何の躊躇もなく、ざざーっと一気に青空の部分を塗っていきます。
全く迷いなし!
そこから、トレーにある青色に少しずつ白や水色を足して、
様々な色味の青色を作り出しては、空に塗っていき、
画に色調を施していきます。
びっくりしたのが、これらの青を作り出すのに、
赤色がよく混ぜられていたこと。
色の調合も迷いなく、
山の陰影や、空模様をあっという間に浮かび上がらせていきます。
まるでマジックの早業を見せられているかのような感じ。
あれよあれよという間に、
富士山の原型がボワンと浮かび上がってきました。
その大胆な作業ぶりに、長女は最前列でかぶりつきでガン見。
声をかけれないほど集中して見つめていました。


↓びっくりするくらいササっとペンキを塗っていきます


↓わずか5色のペンキを微妙に足したり引いたりしながら調合


↓早くも富士が浮かび上がります


↓娘もかじりついてガン見


空の具合と、山のシルエットが仕上がると、
次に山頂の雪入れが始まります。
まずホワイトでくっきりとベースを施したら、
そこからそのホワイトにまた色を調合したものを
その上から何度も塗り足していき、気づけば見事な富士山が!


↓山頂の雪が入ります


↓お見事!


主役を描き終えると、
今度は裾野に広がる樹林帯と、
中央を流れる川を描きこんでいきます。
筆の立て具合を微妙に変えたり、
画材に押し付ける感覚でもって、
木の幹や葉っぱの部分などを繊細に描き違え、
さらにそこに微妙にブレンドを変えた色を加えていきます。
そうして、ある程度全体像が整ってきたところで
中休みに入りました。
ここまででわずか50分。
ドキドキしてみている側はもっとあっという間だったような感じです。
この途中段階でももはや名作の域。スゲー。


↓裾野の森を書き込んでいきます


↓スゲー


休憩の間に、丸山さんと少しお話しすることができました。
特に長女はこの魔法使いのように絵を仕上げていく、
丸山さんに尊敬のまなざし。
会場で売っていたポストカードにサインもいただきました。


↓現役最年長銭湯絵師の丸山清人さんと


さて、20分ほどの休憩ののち、仕上げに入ります。
白のペンキをちょんちょんちょんと乗せて雪を降らせていくと、
あっという間に白銀の世界!


↓絵に雪が降ります


↓アッという間に銀世界に


そこから木々の幹や、水面に映る陰など、
細かい部分を同じ筆を器用に使って描きだし、
雪の深いところと浅いところの塗り足しなどの仕上げに。
冬景色はめったに描かないからと、
仕上げの確認はご本人ではなくお母さんにしてもらって(笑)、
いよいよOKもらいます。
最後にネーム入れをして完成です!


↓最後の仕上げ


↓アッパレ!


↓最後のOKを出すのはお母さん


↓ネーム入れして冬の富士完成!


わずか2時間前まではただの青いベニア板だったところに、
見事な冬の富士山が現れました。
富士山にはもちろん登ったことがあるけれど、
この丸山さんが描いた空想の富士山も、
山好きからしてもぜひとも登ってみたくなるような
実にリアルで魅力的なお山ですね。
これを眺めながらどっぷりと大浴場の湯船に浸かったら
さぞかし清々しいでしょうなあ。
でも水風呂に入ったら想像で凍え死にそう(笑)


↓銭湯のご主人とフィナーレのご挨拶


最後に白玉温泉のオーナーさんとフィナーレのご挨拶。
スバラシイイベントを企画いただいて感謝!
廃れ行く銭湯文化を守るために、
ここでは色々なイベントや仕掛けを積極的にやってらっしゃるようなので
銭湯好きとしては今後もぜひ応援していきたいと思います。
そのあと、イベント記念として、ガマの油売りの口上がスタート。
子供たちポカーンで失笑、失笑、大爆笑でした。


↓寸劇


↓もっかい記念撮影


↓やっぱりすごい!


12時を過ぎ、丸山さんや白玉温泉の皆さんにご挨拶をして帰路につきます。
帰りにいつものお店で焼きそばとお好み焼き。
下の子が欲しい欲しいとぐずるので焼きそばを上げてみるとペロリ。
人生初の味に大ハッスルしておりました。


↓昼飯


ということで大充実の週末でございました。
金曜日の人形劇、土曜日のミュージカル、
そしてこの銭湯ペンキ絵と、
どれもクリエイティブの極意のようなものを目撃して
自分も娘も、なんかしたい!なんか作りたい!なんか描きたい!
というのがモリモリ湧きあがってきています。
この年末年始は我が家はいろいろ忙しくなりそうです!