森林浴 思考採集イベント 劇 『指紋は象のはたけ』 〜バーチャル社会 in 應典院〜
ここのところ、お芝居の魅力に取りつかれて、
ちょこちょこ行きはじめました。
演者の演技力とかオーラとかだけじゃなく、
音楽とか舞台装置、小道具、衣装、ライティングなどなど
総合芸術の極みであることは言うまでもなく、
やり直しなしの一発勝負という独特の緊張感。
やはりライブ感ならではの醍醐味は生でしか味わえません。
これは観る側だけじゃなく、演じる側もきっと
この空気を一度味わったら病み付きになるんだと思われます。
で、そのきっかけとなったのが去年観た
『夜の子供2』というお芝居なのですが、
そこで漫画編集者の田手上ユズル役として出演していた
坂口修一さんというフリーの役者さんが
とても素晴らしく、印象に残っていました。
ちょっと調べると、時期は被ってないのですが、大学が一緒で、
自分もよく知っている劇団出身者だということがわかり、
ちょっと興味を持ってウォッチしていました。
で、週末になにやら面白そうな劇?イベント?がやっていたので
谷九の慶典院さんにお邪魔してきました。
このイベントに興味を持ったのは、とにかくよくわからないから。
劇とはいえ、客席とステージの境界はなくて、
施設のいたるところが舞台と化して、刻々と進行していきます。
なので、例えば自分がメインホールにいるとして、
目の前で進んでいくシーンを観ることはできるが、
一方で、同時多発的に外のロビーや1階ホールでも物語は進んでいるので
必ずしも全体を把握することができません。
また、期間中、この慶典院の施設内全体が、
一種のヴァーチャル社会として存在していて、
参加者自身も、劇の一部と化したり、
あるいは”職業安定所”なるところから出された仕事をこなすことで
”クラウン”と呼ばれる仮想通貨を入手でき、
それで買い物をしたりすることができます。
わかりやすく言えば、USJのゾンビナイトや、リアル脱出ゲームのように、
空間がそういう設定で存在し、参加者はそれを見るだけではなく、
実際にその中に飛び込んでいくといった感じでしょうか。
そのほかにもさまざまな仕掛けがなされていて、
説明を読めば読むほどほど、本当にどうなるかよくわかりません。
じゃあ実際飛び込んじゃえ!
↓森林浴 思考採集イベント 劇 『指紋は象のはたけ』 〜バーチャル社会 in 應典院〜
まずは入場。
5日間の公演の間に、
演劇あり、映画あり、トークあり、
ワークショップその他イベントが盛りだくさんで、
まるで学祭にお邪魔しているような感じ。
時間制で料金が決まっていて、
今回我々は2時間2400円で入場(劇自体は90分)。
入場してまず、”職業安定所”というところへ向かいます。
すると、まず”クラウン”と呼ばれる通貨があり、
様々なお仕事をクリアすることでゲットできるという説明があります。
お仕事としては色々あって、
施設内にある様々な”酉”のオブジェを見つけ出すことだったり、
イラストや簡単なオブジェを作成すること、
あるいは劇中に発生するミッションをこなすこと等々。
こういうゲーム的な要素には長女はすぐ飛びついて、
さっそく、3クラウンゲットしておりました。
↓職業安定所でお仕事あっせん
とりあえず渡された地図で、館内を確認。
スロープ式になっている1Fだけでなく、階段部分から
2Fの大ホールまですべてがフィールドになっていて、
すでにさっきから怪しげな衣装をまとった人がウロウロしております。
しかもあっちこっちで、寸劇が繰り広げられていて、
役者同士の関係性もわからないし、
劇がすでに始まっているのかどうかすらもわからない。
しかも、てっきりお客さんかと思った人が
いきなり目の前でセリフを言い始めたり、
逆に演者さんかと思ったらお客さんだったり、
とにかくいきなり怪しい世界に放り込まれました。
このわからなさがめちゃくちゃ面白いです。
下の娘は目の前でわけわからんおっちゃんが急に大声を上げたり、
滑り込みながら倒れたり、
真っ白に塗りたくられたおっちゃんが迫ってきて、
獅子舞で頭を噛んで来たりして、
文字通り目を丸くして緊張しておりました。
生まれて早々、とんだ所へ放り込まれたもんですなあ。
上の娘はすでに面白がって、
わしゃわしゃと寸劇のど真ん中に駆け寄ってじゃれたり、
なぜかエプロン(しかもかわいい奴)を
獲得したクラウンでゲットしたりしております。
長女のクラウン集めを手伝いながらも、
刻々と進んでいく寸劇を追って、
とにかくわからないなりに、
役者さんに喋りかえられれば応答し、
ホールの真ん中で繰り広げられる大名行列に飛び込んで見たり、
気づけばあっという間に時間が過ぎていきました。
↓観客も参加して大名行列
内容的にはお寺のホールでの劇ということで、
人の業だったり、生き死にに関する内容なのだときっと思います。
そして、どことなく寺山修司の世界に近いような
アングラ臭がプンプン。
自分の大好物の部類ですね。
まああ、内容を正しく読み解くというよりも、
感じることの方が大事な劇かなと思います。
そんなイベントだったので、
どこが始まりでどこが終わりなのかわからず、
つい坂口さんに話しかけてしまいましたが、
「なんだソイツはっ!!」と役のままで返されてしまい、
あ、これはしゃべりかけちゃいけなかったタイミングだったと思ったのですが、
役のまま握手と写真に応じてくれました。
しかもシャッターの瞬間だけ、素の坂口さんに戻っていただいて、
なんとチャーミングで優しいお方!!
後付けですがこういう、劇とリアルが妙な感じ、事故的に
シンクロしちゃうというのも”ならでわ”だったのかもしれません。
いずれにせよ、タイミングがあればぜひぜひ、
坂口さんの劇を見てみたいと思います。