記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

俳句 冬

俳句を始めましたと書いて久しい。
何よりほかが忙しいうえに、
今年に入ってオリジナル楽曲の方に注力をしているのでなかなか。
でも密かにLINEのプロフィールのコメント欄には
季節ごとに1句詠っていたります。
頭の体操、言葉遊びにいくつか。
ということで、冬編。


『凍りつく 鴎の眼 曇天』


厳しい寒さの中、
身を丸めて海風に耐え忍ぶ鴎(カモメ)の目が死んでいる様。
あの光景を見るだけでも、
びっしびし寒さが骨身にしみる思いがします。
冬って白じゃなくて青がかったグレーなんです。


『年の瀬の 黒岩の盃 山鴉』


年末、山納めに訪れる黒岩で、
ひっそりと1年を締めくくる小宴をひとり。
気が付けば夕暮れの空に、
山ガラスが物侘しい鳴き声を1つ、カァと上げて、
寝床へと飛んでゆく。
ああ、しみじみと1年が終わりを迎えるなあという想いを歌いました。


『落葉降る プールサイドに 眠る猫』


寒いのは嫌いだが、冬の季節は実は好きで、
その閑散とした感じ、ほどよく引き締まる寒さ、
ぽっかりと穴の開いたような空虚感が心地よい。
たぶん、猫という生き物はそれを知っている。はず。


『冬枯れの 田園に舞う 千羽鶴


稲穂が刈り取られ、禿げ坊主の田圃に、
色とりどりの千羽鶴が舞う。
なんとなく不吉で、究極に淋しい風景。
ちょっと寺山ワールドに染まりたく、
でもあそこまで野蛮にエグるのは凡人には無理だなあ。


『人去りて 季節巡れど 北極星


冬の詩になっているのかどうかはわかりません。
なんとなく北極星で一句詠いたく。


こう見ると下の句が体言止めのものばかりだなあ。
余韻を残したような、先へ続くような詠み方より、
ビシッ、ハイ、終わりという方がどうも好きなよう。
改めて、5・7・5に思いを込める、世界を描くことの難しさよ。