記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

俊足 愛宕さん参り

日曜日。
晩に京都で用事があり、
それまでにちょっとお山でもと思ったのだが、
疲労のために起きたのが昼前。
大慌てで出動して嵐山駅に到着。


↓阪急嵐山駅


今日は軽い気持ちで、愛宕山に登ることにしたのだが
想像以上にしんどい山で、
やはりナメちゃいかんなというのを実感することになる。
標高は924mなので、せいぜい六甲山程度だし、
嵐山から見えているので、イージーだろうと思っていたのだが、
難所があったり、テクニカルな個所はないけれど、
冬場には遭難者が出るのもうなずける山でした。


13:40に阪急嵐山駅を出発。
観光客でごった返す中を進み、渡月橋を渡る。
渡ったところですぐに左折し、
保津川を左に見ながらずんずん進む。


渡月橋


保津川


ドンツキから嵐山公園の敷地へ入り、
急坂をひょいと上れば展望所。
たくさんの人がいました。
ここからは保津川の流れがよく見え、
対岸の山裾に月見の名所、大悲閣千光寺が見えます。
観光客の人混みはここまでで、そこから先はほとんど人がいない。
段々と公園の整備された遊歩道からトレイルらしくなってきて、
少しずつのぼります。
公園の終わりの標識の所で振り返るとわずかに眺望が開けます。


嵐山公園の展望所より


嵐山公園の果て


そこからさらにガレ場を登っていくと、森の中に入り、
害獣防止のフェンスに沿ってトレイルが続きます。
何気にこう配があります。
そうして、ほどなくして1つ目のピークである小倉山(295m)に到着。
ここは藤原定家によって小倉百人一首が撰ばれた地と伝えられています。
東南方面に眺望が開けていて、東へ伸びる丸太町通り、
その奥に東山と、この間歩いた音羽山〜醍醐山の山並み。
そして、右手にカーブしていく桂川
山頂から少しブッシュを突っ切って山の反対側に開けたところがあり、
そこからは嵯峨野の町並みがすぐ下に見えました。


↓小倉山から京都市街を望む


↓嵯峨野の町並み


そこからトレイルは幾重にも枝分かれしているのだが、
なじみのない山中なので、
一番踏み跡がしっかりしている道をチョイスしててくてく。
深い森をずんずん歩いていくと、
急に開けた公園みたいなところに出る。
そこからアスファルトの道が敷かれていて、
それに沿って今度は下り。
ずんずん進むと、前方からエキゾースト音が響く。
嵐山高雄パークウェイにぶちあたります。


↓嵐山高雄パークウェイ


有料道路は車専用なので歩行者は進入禁止。
なにより走り屋がぶっ放しているので入りたいとも思わないけど。
で、トレイルはその道のすぐ脇の崖に
へばりつくようにして続いているのでそのまま進みます。
本当に取ってつけたようなオマケの道なので、細くガレていて
意外と慎重にいかないといけません。
途中、展望の開けるスポットがあり、
そこから眼下に保津川
そして上に今回の目的地の愛宕山が望めました。


↓道路下にへばりつくようについたトレイル


↓落合を眼下に。奥の山が愛宕山


細い細いトレイルをしばらく歩いていくと、車道に出ます。
そこが六丁峠。ひさびさに来ました。


↓六丁峠


トロッコ保津峡駅が見える


そのまま保津川清滝川の合流点である落合まで
クネクネ、クネクネと坂道を下っていきます。
反対側から何人かのハイカーがしんどそうに上がってきてご挨拶。
ようやく下り終えたところにある赤い橋の所が落合。


↓落合


ここから清滝川沿いのトレイルに入ります。
一度橋を渡って、ずんずん進んでいくと、
なかなか趣のある川沿いの道となります。
さっきまで結構暑かったのだが、川面をそよぐ風が涼しい。
この区間はなかなかいい道ですね。
小さな滝のある小さな橋を渡り、さらに2kmほど進んでいくと
清滝の集落に出ました。


清滝川を遡上


↓涼しい道です


↓水も澄んできれい


↓沢歩きっぽくなってきます


↓小さな滝


なかなかさびれた集落である清滝。
嵐山から来るまでなら20分もかからないところですが、
何とも山深く秘境めいた場所に感じます。
その集落の果てに赤い鳥居が立っており、
ここからいよいよ愛宕山への登山が始まります。


↓渡猿橋


↓清滝の集落


愛宕山登山スタート


時刻は15時をすでに過ぎている。
看板には遭難防止の喚起のアナウンスがいくつもあり、
それによれば登って降りて5時間とある。
出発のタイミングとしては日没ギリギリのまずいタイミングだが、
本気ペースで行けば大丈夫。
ということで、ハイペースでスタート。
だが、のっけからなかなかの急こう配の坂に苦しめられます。
時期に道は延々と階段地獄へと変わり、かなりキツイ。
しかもこの日は晩のメインイベントのための本を4冊も背負っているので
何気に重くのしかかります。
汗びっしょりで黙々と階段を上がっていきます。


↓のっけから急坂@@@


たくさんの人が下りてくるのですが、皆かなり疲弊している様子で、
この山の大変さがよく伝わってきます。
挨拶を交わしながら行き違いを繰り返す。
このルートには、2種類の道しるべがあって、
1つは嵯峨消防分所のもので、1つ1つに面白コメントが付いた
1〜40/40のカウント。
もう1つは大昔からある町石で、こちらは50カウント。
それを目安に上がっていくのですが、
序盤は全然減らないカウントに辟易するので
目安なるのがよいのやら悪いのやら。
とにかくケツカッチンなので、全く立ち止まらず黙々と歩いて
20丁目にあたる一文字屋跡に到着。
ここでひとまずドリンク休憩と、
あまりにヒートアップしているので上着とニット帽を脱いでしまう。
すぐに出発。


↓一文字屋跡(20丁目)


ここまで結構な急こう配の階段続きで、
どの山も取り付きが一番しんどいだろうから、
そろそろ階段地獄も収まるかなんて思っていたら全然。
これはもう修行の域といってもいいですね。
そうして25丁目に位置するふかや跡まで来ました。
ようやく半分。
ここは休まずスルー。


↓ふかや跡(25丁目)


さらにひたすら続く階段に苦しめられながら、
30丁目の水口屋跡まできました。
登り口の鳥居からほぼノンストップで35分@@@
足攣りそうです。


↓水口屋跡(30丁目)


ここからいったん平坦な道が山肌をなぞるようにして続き、
少し足休め。(といっても立ち止まらずペースを少し落とすだけ)
何か所か見晴らしの良いスポットがあり、そこから京都の町並みを望みます。
なんか、南方面で怪しい黒煙が上がっているのが見えます。
後でニュースで、ラジコン飛行機が墜落して一帯を焼く火事があったようです。


↓思えば遠く来たもんだ


↓ん?大火事?


安息の道は長くは続かず、またにわかに鈍い階段状の道が続く。
ピキピキする足に鞭を入れてさらに進んでいくと、
水尾分かれに到着。
水尾と言えばユズの里として有名ですね。


↓水尾分かれ


ここから道は一路北へと転じ、少しは斜度が緩まります。
ずんずんと北山杉の木立を抜けて、順調にカウントを減らしていきます。
しかし、そう簡単には終わらず、
44丁目の所に通称ガンバリ坂と呼ばれているという階段があり、
悶絶しながらも駆け抜けます。


↓佐賀消防分団の標識


↓44丁目のガンバリ坂@@@


そこからさらに歩くと前方に愛宕神社の黒門が見えてきました。
やった!
で、ここでカウントは40/40を指すのですが、
実はエクストラが続いていて41,42と…


↓黒門


とにかくまずはトップへということで、
がらんとした社務所前を抜けていくと、
またまた長い石段…
これをどうにかやっつけ、再び門をくぐり、
ほんとの最後の階段を登り詰めて、山頂にある愛宕神社に到着しました。
時刻は16:30。
予定していたデッドラインの15分前にどうにか来れました。
通常3時間かかる道のりを1時間20分で来たので、我ながら頑張りましたが
ちょっと無茶なプランでした…
せっかく頑張ってきたので、ちゃんとお参りを済ませます。


社務所の広場は残り雪まじり


↓ラスト!!!


愛宕神社


↓山頂の気温は2度


↓さらば


もうハンガー手前だったので、
お参りを済ませたらすぐに広場まで降りて、
買ってきた赤飯おにぎりとスティックケーキにありつく。
広々とした山上にはまだ若干の雪が残っていて、ひんやりとしています。
眺望はというとあまり期待したものではなく、
高杉の間からはるか眼下に都の様子がうかがえる程度です。
それにしても六甲山と同じくらいの標高なのに、
六甲から見る阪神間より、愛宕から見る京都はずっとずっと小さく見え、
かなり高いところのように感じられました。


↓雪だるま


↓山頂からの眺め。なかなか高く感じます


さて、時刻はすでに16:38。
日没が迫る上に、用事に遅刻しないためにはギリギリのラインだったので
滞在わずか10分足らずですが、すぐに下山を開始します。
トントコトントコと駆け降りるような形で、黙々と下る。
最後、10/40くらいで、複数のトレイルランナーに追いついたのだが、
プチバトルみたいになったので、本気出して千切り、
せっかくペースが上がったので、
そのままトレランに切り替えてダッシュで下り降りました。
鳥居の所で17:29なので、1時間かからずに無事下山。


↓無事下山!


山からは無事下りれましたが、
ここから嵐山駅まで行かねばならないので
降りたところの自販機でお茶を買って
一気飲みしたらすぐにリスタート。
猿橋を渡って、清滝トンネルまでの急こう配を登っていると、
坂の上の方で、年配の女性の方、
身なりからすると地元の住民と思われる人が、
慌てた感じで走って横切るのが見えた。
こんなところで急を要して走る人がいるのはなぜ?と思って、
ひょっとしてひょっとして、バスがあるのかもしれないと思って
そこまでダッシュで坂を50mほど駆け上がってみると、
ビンゴ!!!
なんとバスが今まさに出発しようとしているところで、
手を上げて運転手さんに合図をして、ドアを開けてもらって、
どうにか滑り込みました。
元々、バスなんてないと思っていて調べもせず、
嵐山まで登って降りてあと1時間は歩かないといけないと思っていたので
本当にラッキーでした。
あの女の人が目の前で走ってくれてなければ、
気づかなかったので本当ありがたい。
ということで、17:34のバスに乗り込みました。


↓奇跡的にバスに間に合う


バスは20分ほどでJR駅の最寄りのバス停まで来たのですが
あいにく、万札しか持っておらず、両替もできず、
どうしようと困っていたら、運転手さんが
「今日は大丈夫です。次利用した際に払ってください」とありがたいお言葉(涙)
あるだけの小銭(といっても60円)を入れて、お礼を言って下車しました。
注ぎ、バスを利用した時は必ず、お返しします。
ということで、無事に4時間の山行を終え、
18時ごろの京都行の電車に乗り込みました。
いや〜疲れた。


↓山行ルート


<山行記録>
13:40阪急嵐山駅⇒13:45渡月橋⇒13:55嵐山公園亀山地区展望台(1/3)⇒
14:13小倉山14:15⇒14:39六丁峠⇒14:49落合⇒15:07渡猿橋
15:10鳥居⇒15:23一文字屋跡(20丁目)⇒15:34ふかや跡(25丁目)⇒
15:48⇒水口屋跡(30丁目)⇒16:07水尾分かれ⇒
16:14ガンバリ坂(44丁目)⇒16:22黒門⇒16:26愛宕神社社務所
16:30愛宕山16:38⇒16:41愛宕神社社務所⇒17:29鳥居⇒17:34清滝バス停