Music Life 『エイリアンズ』 by キリンジ
愛すべき兄弟ユニット(今は別々)キリンジの
最愛の曲の1つ『エイリアンズ』を弾き語りしてみました。
最近では、LINEスマホのCMで
のんちゃんがカバーをしていて話題になりましたね。
話はそれるけど、のんちゃんの歌声は、非常に素直な歌い方で
伸びやかで、清々しい。
キリンジの曲は言うまでもなくものすごく凝った作りになっていて、
そもそものメロディー構成が複雑なうえに、
細かい小節の間に音が敷き詰められているので、
今までの自分のスキルではカバーの最難関クラス。
しかもギター演奏だけじゃなく、歌うのがこれまた至難の業で、
低音から高音まで、自分の可動域のギリギリ。
いやあ、なんでこんな曲を生み出せるんだろうか。
まさにセンスのかたまり。歌の魔術師ですね。
この歌詞の世界がまたいい!
自分が最もゾクゾクと感じるサバービアの情景を
見事に描き切っていて、もうこれほど完璧な曲はないんじゃないかあ?
キリンジは実はデビュー前から知っています。
自分がまだ学生の頃、運よくオーディションに受かって、
某大手S〇〇Yレーベルさんで、プリプロで研修を受けていた時に、
これ聴いて歌詞の世界とは何ぞやを勉強しろっ!と渡されたのが、
販促用のプリプレスのキリンジのCDでした。
自分の最初の本格的な音楽活動は中学の頃にクラスメイトとのバンドで、
その頃傾倒していたのは、グランジとかメロコア、パンクといったあたりで
ほとんど洋楽かぶれで入ったものだから、
オリジナル曲も見よう見まねで英語歌詞が当然だろう、
日本語なんてクソくらえくらいに思っていた。
今思えば若気の至り。
高校に入って、クラスメイトと進路が別々になったこともあり、
バンドとは別で、ソロの弾き語りを始めたのだけど、
元々がそんなだから、メロディはじゃんじゃか浮かんでも、
日本語歌詞が本当にひどかった。
その頃は、日本語の持つ奥行きや、
微妙な表現のさじ加減が生み出す世界観だとか、
考えたこともなかったし、
今では神様とあがめる松本隆の名前すらろくに知らなかった時代。
もし今タイムマシンがあったら、
その頃の自分をビンタして目を覚ませてやりたい!早く起きろ!
そんな自分に初めて、日本語の可能性と、
歌詞の世界の面白さを気づかせてくれたのが
堀込兄弟だったのです。
なんといってもコトバ選びのセンスが抜群だし、
まるでヌーヴェルヴァーグの映画の1シーンを切り取ったような
エスプリと洒落の効いたセリフたちが散りばめられていても、
全然嫌味や臭みもなく、至極当然のようにリズムになじんでゆく。
まさにコトバと音の幸せな相関関係。
衝撃的でした。それからすぐに改心して、
コトバの世界を旅するようになり、
いまだ彷徨い中。