記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

勝井祐二 × U-zhaan 男のデュオツアー 2017 at 旧グッゲンハイム邸(塩屋)

神戸の西にある塩屋の町。
あまりピンとこないかもしれませんが、
須磨の海岸線を少し西へ、
六甲山系の西端にある鉢伏山の山塊を抜けた辺り。
海と山が迫り、小さな谷川にへばりつくようにして、
小さな家並みが続く。
坂道のある町にはストーリーがある。
この一帯は明治から昭和初期にかけて、
来日した外国人や日本人実業家たちの邸宅や別荘が建てられた保養地で、
今なお当時の洋館が点在している。


その小さな町が今関西でい一番ホットで楽しいエリアになっている。
旧グッゲンハイム邸を中心として、
地域の商店や若者を巻き込んで、
町ぐるみで様々なイベントやアートイベントを繰り出している。


昔からロングライドの行き帰りにはよく通っていたし、
大好きなワンダカレーさんがあったりするので、好きな町でしたが、
ここ数年でより魅力が増して、
一度隅々までゆっくり散策したいなあと思いつつ、
なかなか足を運ぶことができませんでした。
何よりまずは旧グッゲンハイム邸にお邪魔せねばと企てるのだが
一般無料開放が毎月第3木曜日の午後と決まっているので、
なかなかハードルが高い。
今年中には一度と思い立って、行ってきました。


↓須磨の穏やかな海


塩屋駅から一度線路をくぐって、
穏やかな須磨の海の広がりを認めて、
その先で踏切を渡れば、
そこに緑と白の美しい洋館がひっそりと佇んでいます。
明治・大正期に神戸に滞在した
ドイツ人貿易商の住まいとして建てられた洋館は、
100年にもわたり、その美しいコロニアルスタイルの美しさを保ってきました。
広々とした庭を抜け、玄関先で下足して、中へ。
この日は自由に中を見ることができるというので、
さっそくお邪魔しますが、すでに閉館まで30分を切っているので
大急ぎで見て回りました。
1階で何やら作業されていたので、まずは海の見える2階へ。
備え付けられた家具の調度、海に面した穏やかなロケーション、
西日刺すバルコニーでぼんやりと外の景色を眺めていると、
なんともノスタルジックで、心が落ち着きます。
すばらしい。


旧グッゲンハイム邸


↓海を眺める洋館


↓素晴らしいロケーションと佇まい


2階で景色を満喫していると、スタッフの方から、わざわざ
1階も作業してますが見てくださいねと声をかけていただいたので
お言葉に甘えてと1階へ降りてみると。
どうもコンサートの準備をしている様子。
こんなところで演奏会なんてさぞかしいい雰囲気だろうなあと
準備している人にそれとなく声をかけてみると、
なにやらどこかで見たことのある顔。


え?なんで?
なんでU-Zhaanさんがいるのさ?
他人の空似?
いやいや、あのモジャモジャ頭で、
ナゾの太鼓を並べるような人は1人しかいないでしょう。
ユザーンさんですかと聞いてみると、もちろん、そうですと。
一緒に写真まで撮っていただきました。
すると、よかったらライブやるんで観ていきませんかといっていただきます。
ええええ、マジで?
でもこんな出くわし方、まず滅多にないことだし、
こんな面白そうな場所で、面白い人がやるのを、
お断りするなんてモッタイナイ!
ぜひぜひ参加させていただきます。
しかし、よくよくお財布を見ると所持金2000円しかない。
無料見学だけのつもりで急いで来たもんで@@
で、チケットは3000円かかるし…
普段キャッシュカードも持ってないし、どうしやう…
んん〜いっぺん帰るしかない!
今ならまだ間に合う!
ちょっと大阪まで帰って、出直してきますというと、
「いや〜マジで?無理しないで?」と言われましたが、
いや俄然参加する気満々で、大急ぎでとんぼ返りです。
ゆっくり塩屋の町を見て、
大好きなワンダカレーさんで舌鼓プランはまた次回に持ち越しとなりました。


↓ん??? ん!!!


U-zhaanさんと


で、大急ぎで帰宅して、取って返し、
どうにかスタートの10分前に塩屋に戻ってきました。
ユザーンさんやスタッフさんからは、
本当に戻ってきたヨ的な微笑み返しで歓迎してくれました。


↓カムバック


ハートランドを飲みながら


で、いざライブです。
タブラ奏者のU-Zhaanさんと、
エレキ・ヴァイオリニストの勝井祐二さんとの男のデュオツアーということで
果たしてどんな音が繰り広げられるのか。
ちょっと自分が勉強不足で知らなかったのですが、
勝井さんも相当スゴイ方で、即興音楽シーンでは重鎮の方です。


まずはお二人が軽いトークをしながら、チューニング。
ユザーンさんの方は、金づちみたいなので、
コンコン太鼓を叩きながら調整をしています。
打楽器ながら、打ち方や打ちどころによって、
メロディが生まれるのがスゴイ。
一方の勝井さんの足元にはおびただしい数のエフェクターが並んでいて
無数のシールドが地面を張っている状態。
双方がぼちぼちと音を出し始め、
それをルーパーで録音・追っかけ再生をしながら、音を重ねていきます。
最初小さかった音が、幾重にも重なり、力強いうねりが生まれ
思わずこちらの体も反応してしまいます。
気づけば小さな空間の中で、エネルギーが一気にスパークしたように
音が増幅する!増幅する!増幅する!そしてその圧力に押し出されるように、
パンクな弾き殴りは加速し、
腹の底に響くようなタブラの振動が共鳴する!!
なんだこのgroovyはっ!!
何の予備知識もなく、飛び込みで参加して、
ついこないだからの自分の流れで、
てっきり民族音楽的なものを想像していたので、
この予想外の展開に、ただただ圧倒されました。スゴイ。
少なくともたった二人が目の前ではじき出した音にしては、
あまりにも広大な世界。
スゴイ。いやスゴイ。
こんな素晴らしい体験にたまたま遭遇で来たなんてラッキー過ぎました。


↓いよいよ


最後、アンコールの時に、大友さんとあまちゃんの話が出て、
そこをとっかかりに、ライブ後のCDの手売りコーナーで
お二人と色々お話しさせてもらいました。
いやあ、お二人ともスゴイ。
そしてそういう人たちってやっぱり、どこかで繋がっているのもすごい。
最近の自分の動きは、
その繋がりを図らずも1つ1つ解き明かしていくかのようなことが続いていて、
それもまた面白く。
また、ぜひお二人の共鳴を目撃したい!!


あと、この旧グッゲンハイム邸の管理人をされているのは
先日の港町ポリフォニーで、二階堂和美さんとコラボをしていた
三田村管打団のリーダー・森本アリさん。
もちろん、会場にいらしたので、
先日のライブとても良かったですとお話しさせていただきました。
塩屋のムーブメントも引き続きウォッチしていかねば!!


勝井祐二さんと


↓サインいただきました


まさか、大阪-塩屋を2往復するとは思いませんでした。
もうちょっとした小旅行クラス。
でも、それだけの収穫のあった一日でした。
犬も歩けば棒に当たるじゃないけど、
やはり自らの足で稼いだ先には、何かがきっと待っている。