記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

山納め 逆打ち六甲全山縦走 詳細編

はい、ブログ版はまだ年を越せておりません。

時計を12/30に巻き戻し。

 

年末はバタバタと忙しく、年賀状などインドア作業に追われる日々で、

そろそろ身体が鈍って鈍ってよろしくない。

毎年山納めには六甲の聖地へ詣でるのだが、

初日の出のために数日後にまた同じ所へ詣でるので、毎年重なる。

今年はちょっと冒険したいなあと思ったのだが、

冒険するって言ってもこの慌ただしい年末に遠征なんてできないし、

日帰りででっかいこと何かできないかと考えたら、

もう六甲全縦しか浮かばなかったのです。

 

六甲全山縦走とは、神戸の塩屋(大会は須磨浦公園)から宝塚までの

約50kmを縦走する関西を代表するロングトレイル

自分は過去に順行2回、逆打ち1回やって、大体12~14時間くらいで完走しているが、

普通は絶好のコンディションのシーズン(春・秋)に狙いを定めて、

それなりの準備をしてから挑むのだけど、

ぱっと思いついて、この真冬に、

それもこの時の週末だけぐぐっと気温が低い日を選んで、果たして!?

ベストなシーズンと比べると、当然防寒やらなんやら装備が重くなるし、

日照時間が少ないのでナイトハイクの割合が増えるし、

雪や風があれば当然体調にも影響が出るし、道が凍結すればリスクも上がる。

それでも六甲のいいところは、最悪どこからでもDNFして離脱できるから

まあいっちょやってみますか、ということで初発の阪急宝塚線に飛び乗る。

 

今回、宝塚発の逆打ちにしたのは、いくつか理由がある。

まずは、登山口までのアクセスを考えると、電車の都合で

こちらの方が早く山行をスタートできるということ。

それから、寒さが厳しい予想だったので、

先に一番標高の高い区間をクリアしておけること。

疲れ切った終盤に寒さは一層堪えるはずなので。

そして、ゴールまでのラスト数時間は必ず、日没後の山行になるが、

ラストに真っ暗でエスケープが取れない東縦走路を残すとどうしようもない。

万一離脱するにしても、下山には結局相当を要する。

それなら須磨区のアップダウンをラストに持ってくる方が、

最悪離脱も可能だし、安心感も大きい。

ただしそうすると、終盤にDNFの誘惑があまりに大きいので、

完走するには精神的な試練にはなりますが(笑)

ということで色々なリスクを考慮しての逆打ち選択なのだが、

最大のネックが1つある。

それは終盤に一番デリケートさを要する須磨アルプスを残すという事。

ここを日没前にクリアできるかどうかというのが問題で、

明るい時間なら大して神経質になる必要もないのですが、

真っ暗闇となると、あなどれない難所となる。

視界を確保できる程度の明るさが残る時間帯はせいぜい17:00~17:30くらいだろう。

それが完走できるかできないかのデッドラインとにらみつつ、

宝塚駅を6:00出発。

 

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宝来橋を渡って、そのまま甲子園大学の方へまっすぐ伸びる道を進みます。

まだ町は眠っていて真っ暗なのだが、

何人か塩尾寺への朝さんぽのご年配の方々。

川から外れて、住宅街を抜け、大学の敷地をなぞるようにして

急勾配を上っていきます。徐々に周囲が雑木林の道となるともう真っ暗闇。

そこを抜け、上の見晴らし台まで来ると視界が開ける。

徐々に朝が追い付いてくる。

 

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真っ暗闇を割いて、急勾配を上り詰めると、塩尾寺に到着。

境内の手前から伸びる登山道へと足を踏み入れます。

徐々にですが、薄明かりがさすようになり、ヘッデンなしでテクテク。

2,3人ほど朝練のトレイルランナーに抜かれます。

ほどなくして譲葉山の見晴らしにでる。

身体はあったまっているので寒くはないが、ちょっと風が強いようだ。

 

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譲葉山の先くらいから、少しずつ白いものが目立ち始める。

特に三田側へと道が回り込むと、徐々に道は真っ白に。やわらかいパウダースノーなので、それ自体でつるつる滑ることはなく、

ザックザックと踏みしめていく。

1時間ちょいかかってようやく大谷乗越に到着。

県道82号をまたいで、急な階段を上っていると、

朝日が顔を出し、一気に明るくなる。

 

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しばらく急登と格闘して、その先の舗装路に出る。

舗装路は一部ツルツルと凍結していて、そこを見極めつつ進んでいく。

太平山の無線中継所を見ると、何やら白く霞んでいて、

ブロロロロ~と低いうなりを上げている。それだけ風が強い。

 

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途中のわき道から縦走路に入ると、さらに雪道になる。

真新しい獣の足跡がずっと先へ続いていたが、

あれは鹿なのか猪なのか。

船坂峠までは比較的なだらかだが、そこから水無山のあたりは結構急。

そして右側、三田側の山の北斜面から強烈に冷たい風が容赦ない。

1時間ほどかかって、ようやくドライブウェイに出ることができた。

 

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ここからしばらくはロードなのだが、

路面は凍結をしていて滑る。

足回りのフットワークの軽快さを重視して、

今回は登山靴ではなくトレランシューズをチョイスしたのだが、

山上では難儀する場面がいくつかあった。

時折車が通過するのだが、滑らないように慎重にスピードを落として通行している。

お一人だけローディーの猛者がいらしてご挨拶。

自分も経験があるけど、真冬の凍結路のダウンヒルは相当なものです。

石宝殿を過ぎ、トンネルを過ぎて、ようやく一軒茶屋。

休憩しようにも、立ち止まっていると強風でみるみる体温が奪われて寒いので、

そのまま最高峰を目指す。

ラストのコンクリ坂は見事に凍結。

 

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ということで、スタートから3hで第1区間の目的地である六甲最高峰に到着。

1、2cmくらいは積もっていたでしょうか。

順調といえば順調ですが、余裕があるわけではないので、

記念撮影を終えたら、すぐにリスタート。

 

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最高峰から階段をどこ下りて、そこから何度かドライブウェイをまたぎつつ、

ジャブのように押し寄せるアップダウンをこなしていきます。

西おたふく山の分岐を過ぎ、極楽茶屋跡の前の広場に到着。

入り口に寒そうなプーさんのぬいぐるみが凍り付いておりました。

そこから電波塔まで、鈍い上りをえっちらと。

そこから南側の眺望が広がります。

山上の凍り付いた世界と、下界の喧騒のコントラストが、この日は一段と。

 

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9:45に六甲ガーデンテラスに到着。お店が開くのは10時からなので、

警備員やスタッフの人たち以外に人はまばら。

雪を被るとなんだかハリポタの世界のような幻想的な印象にも見えたり。

トイレだけお借りしてすぐにリスタートします。

 

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脇から登山道へ入り、みろく観音の横を通って、

ゴルフ場の間を抜けていきます。

びっしり雪がこびりついて、見るからに寒い。

 

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ゴルフ場を抜け、六甲山小学校の方へ雑木林を歩いていると

地図を持ったアジアンカップルが声をかけてきて、

記念碑台はどこだ道を尋ねられる。

間違って枝道に迷い込んだ様子なので、ついておいでと合図して

そのまま道を下って交差点まで。

この寒い年末にわざわざようお越しです。

 

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ここからはしばし退屈なロード区間に突入。

藤原商店をすぎてYMCAのある雑木林の辺りは歩道すらないので、

慎重に車道の脇を歩く。この日は交通量がほとんどなかったからいいのだけど

シーズンは結構往来があるので注意が必要なところ。

そこを抜けると丁字ヶ辻。

 

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この先もう少し歩いて、さっさとロードを離れてサウスロードへと思ったら、

この間の台風で道が崩落して通行止めの表示があったので、

三国池の方までロードを歩いて、そこから分岐を折れる。

ほどなくして奥摩耶ドライブウェイに出て、そのまま進んでいく。

私立自然の家、杣谷峠を通過し、いよいよアゴニー坂へ。

顎(アゴー)が膝(ニー)に着くほどの急登というの由来の一つとされているが

そこまでの急登ではない。

摩耶別山を上り詰め、天上寺、オテル・ド・摩耶と過ぎて、

ようやく第2区間の目的地である摩耶山(屑星台)に到着が11:15。

流石夜景スポットだけあって、見晴らし最高!!

 

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食料は十分持ってきているが、温かいものを食べたいので

ロープウェイ駅の2階のカフェでハヤシライス大盛りをいただく。

歩きでもチャリでも、ロングはとにかく腹が減る。

お腹減ったなあと思った時点で、すでにみるみる体力が奪われている。

ましてこんな寒い日に動けなくなってはいけないので、

がっつり米を食べるのだ!!

ちなみにお腹が敏感なので、スパイスは回避しておきました。

 

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30分ほどの休憩ののち、第3区間へとスタートします。

そこそこのサイズの雪ダルマに別れを告げ、電波塔の脇から下りスタート。

この辺りは神戸辺りからお手軽にアクセスできるからか、

かなりの数のハイカーさんやトレイルランナーの団体が次から次へと上がってきます。

間の悪いことに、同じ方面へ進むカップルのトレイルランナーが直前にいて、

さっさと走り抜けてしまえばいいのに、ぺちゃくちゃおしゃべりに夢中で

すぐに追いついてしまう。追い抜いてバトルになるのも嫌だし、

かといって一向にペースが上がらないし、軽いストレスを感じながらずんずん下る。

途中の登り返しの岩場で、年配のおじいさんが苦労されていて、

その脇を無理にそのカップルがパスしたのに気を取られて、

おじいさんがずるっと足を滑らせて態勢を崩したので、

とっさに両手で受けて、事なきを得る。

そのバカップルは、それを見て、「大丈夫そうだねぇ」とかなんとかいうだけで

謝ることも、心配することもなく、さっさと先へ行ってしまう。

トレイルランナーで素晴らしい人は何人も知っていますが、

大抵は自分勝手で、無礼な人間が多いというのが、個人的な経験から言える。

おじいさんは、どこかぶつけたり、ひねったりはせず、ケガも痛みもなくて安心。

ちょっと休憩してから出発するという事で、

気を付けてくださいねと言い残して先へ進みます。

先ほどのバカップルは、自分がペースが速いのは先刻承知で、

追いつかれるとバツが悪いからか、

自分がおじいさんの様子を伺っている間にペースを上げたようで、

そこから先姿を見かけることありませんでした。

 

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そのままずんどこ下っていくにつれて、ようやく雪はなくなってきました。

布引ハーブ園との分岐を直進して、さらに岩場を下っていくと、下から水の流れる音。

そこから急坂を一気に下って市ケ原の河原に到着が12:35。

下ってきて少し風も収まったのと、ここから再び登りセクションに入るので、

桜茶屋のところでウェアを脱いで整理したり、しばし休憩。

この上下流の辺りは台風で結構被害があったようです。

 

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市ケ原の橋を渡って対岸に出て、

そこから鈍い鈍い舗装の管理道をえっちらと上っていきます。

再度山ドライブウェイをまたぎ、大龍寺の立派な門をくぐり、

公園内の道を進みます。

13:12に鍋蓋山に到着。

ここからの眺めはまた素晴らしく、

緑の先には猫の額ほどの神戸の街並みと、銀色に輝く海。

目を西へ転じると、これから最後の戦いの場となる山の連なりが見える。

まずは電波塔のある菊水山、少し間をおいて高取山、

そして須磨アルプスの山塊に、鉢伏山

そのさらに奥には小さく見える明石海峡大橋と淡路島まで。

ゴール地点はすでに見えているが、あそこまではまだまだ遠い道のり。

 

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鍋蓋山からは急峻な岩場をジグザグと一気に下っていきます。

せっかく獲得した標高をまたも潔く使い果たしてしまうのです…

対岸にそびえる菊水山、最初はほとんど同じくらいの目線で、

手が届きそうなくらいですが、高度を下げるにつれて、

向こう側のえぐい斜面(南向きは相当崩落が進んでいる)が

むき出しとなっていきます。

下るところまで下りきると、有馬街道の上に架けられた天王吊橋を渡る。

 

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渡りきるとすぐに、急坂がスタート。

南側は結構崩落でボロボロなのだが、

北側にはすぐそこまで住宅街が迫ってきていて、

その間のわずかを上っていく。

最初は急な岩場なのだが、途中から階段登場。足を上げるのがきつい!!

 

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一か所、崩落のために迂回ルートが設けられてそこをクリアし、

さらに進んで、ようやく第3区間の目的地である菊水山に到着。

時刻は14:13でまだ日は高いのだけど、

この先の見積もりを考えるとあまり悠長に休憩できるほどでもない。

写真を撮り、水分補給だけしてすぐにリスタート。

 

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菊水山はどこから登ってもしんどい。

個人的に順行で全縦をすると、一番きついのが菊水山への上りの果てしない階段。

それをとっとこと下ってゆく。そろそろ足の方も疲労で痛むので、

どしんどしんと下るたびに来る衝撃に足が悲鳴を上げる。

しんどい場所は上り下り関係なしにしんどいなあ…

左手のゴルフ場がどんどんと近くなり、

そのうち右手から出てくる神戸電鉄をまたぐ。

石井ダムを右手に見つつ、今度は電車をくぐり、細い道を抜けていく。

いよいよ2018年の3月に廃止が決定した菊水山駅を通り過ぎる。

 

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鈴蘭台処理場からは、鳥原川をトレースしながら舗装路を下っていきます。

鳥原貯水池へは行かずに途中から縦走路へ。

ドンツキの公園を抜ければ、鵯越駅。

 

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さあ、ここから六甲全縦ならではの住宅街大迷宮ゾーンへと突入します。

まとまった山塊は鍋蓋山・菊水山ですでに終了していて、

あとは住宅街⇒山⇒住宅街⇒山を繰り返していきます。

大昔はまだこの区間も山が連なっていましたが、

港湾の埋め立てや宅地造成のために山が削られ、

こんなアップダウンの激しいコースになってしまいました。

もうコースも3/4を消化し、体力もずいぶん削られて、足取りも重いのですが、

ここからは山登りとは別で、入り組んだ住宅街の道のなかから、

正しい道をトレースするという新しいミッションが発生します。

なにしろ、山と谷が複雑に織りなす地形にへばりつくようにして町が形成されていて、

街から街へつなぐ導線は明瞭に作られていても、山から山へは考慮されていない。

そして順行の場合は、迷わないように縦走路の道しるべが丁寧に表示されているのだが

逆打ちだと、それがなく、ポイントポイントで、振り返っては、

道しるべがどっち方向から読めるよう置かれているかを確認しながら、

慎重にルートファインディングしなければなりません。

 

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鵯越駅から、少し上に見えている幹線道路を目指し路地を上り、

その幹線道路には出ずに側道を歩いて、その先のトンネルで幹線道路の反対へ出る。

目の前に広がる住宅地へ向けて、急な斜面をずんずん下り、

再び神戸電鉄をくぐる。

谷底を流れる川にかかる橋を渡り、バス通りをトレース。

信号で右折し、その先すぐをさらに右折、幼稚園の横をかすめて、

ガソリンスタンドのある信号に出る。

信号を渡り、小さな谷をなぞるようにぐるっと道が弧を描いて大通りに出る。

信号1つ分下って、道を渡り、小さな道を直進していくと、

その先に高取山への取りつきにでま

どうにか無事に迷宮第1ステージをクリアで一安心。

 

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急登をやっつけて住宅街の端まで進み、砂防ダムから長い長い階段が続く。

この辺りになるとなかなか足が上がらないが、

そろそろ陽の光も弱くなってきておりグズグズはしていられない。

階段を登りきると、今度は斜面をジグザグと緩やかな上りになる。

そのうち前方に茶屋が見え、別の登山口と合流。

そこに合ったトイレを拝借し、さらに先へ。

東の端に見晴らしポイントがあり、写真を一枚。

これまで歩いてきたルートがよく見えます。

摩耶山がもうはるか昔のようだ。

 

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さらに別の茶屋を抜け、鈍い石段をえっほえっほと。

南斜面をトレースして高取神社の正面に到着。時刻は16時を少し過ぎたところ。

一応神様に遠慮して、もうちょっとだけ進んで、神域をでたところで座って、補給。

 さすがにお腹が減ってきたので、

レーションのあんパンを3つほどポカリで流し込みます。

ここから東山と横尾山の間に横たわる須磨アルプスがちょうど見えるのだが、

あそこを通過するには、あと頑張っても1時間はかかるだろう…

予定したタイム通りではあるが、空ははやくも店仕舞いを始めだしている。

急がねばならない。

 

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高取山を妙法寺方面へと下るが、ここもなかなかの急坂で、

酷使した足がじんじん痛む。しかしグズグズもできないので、

ダメージ覚悟でガンガン下っていく。15分ほどで住宅地へ降り、

公園やら菜園などをかすめて車道に出る。

ここから迷宮第2ステージである。

そのまま車道を下って妙法寺小学校前の信号を渡り直進。

その先の小さな川に沿って進み、細い通路に入る。

ここで山と山の間のわずかな谷にむき出しになって現れた

地下鉄西神・山手線阪神高速31号線をまとめてくぐって、乗り越える。

ここの階段も意外と段数があり、堪えます。

 

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上がりきったところにある団地の公園は、大体、野良猫が集結。

なんやアイツはというぬこ達の視線を浴びながら、左に折れ、

閑静な住宅街を進む。

反対側に茶色いマンションを認めて、路地を間違いなく左に折れ、

住宅地の隅っこを目指す。

その一角の公園の入り口のようなところに、

縦走路の案内を認め、そこから舗装道を離脱し、

ゆっくりと上りがスタートする。

 

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最初の方はなだらなに大きくジグザグが取られていて、

ペースを上げて上っていく。

途中、見晴らしのきくポイントがあり、振り向くと、

先ほどの高取山が右手に。そして正面遥か奥に菊水山の電波塔がみえる。

そして眼下に広がる家々に明かりが灯り始めた。

 

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緩やかな道は時期に急な岩場となり、えっほえっほと上っていく。

もう目的地は近いはずだが、一度ぐるっと回りこむような形で

別の登山道と合流して、東山に到着。

ここを下りれば難所が待ち構えるが、どうにかこうにか日没に間に合った。

東山の休憩所から慌てず慎重にザレザレの道を下って、

いよいよ須磨アルプスの入り口にたどり着きました。

 

 

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まだ明るく視界があるといっても、向かいにある横尾山が影となっているせいで、

驚く速さで光を失い始めているので、念のためにヘッデンを装着してから、

一歩踏み出す。

ここは何度も歩いているので、形状や距離感がほぼ頭に入っているから、

慎重に歩けば問題ないが、一応両端は切れ落ちているから、

万一足を踏み外せば大けがは間違いない。

しかもこの時期この時間に通りがかる人はまずいない。

北からの風が結構強くて、時間をかけて慎重にも慎重を期して、

前半の回廊部分をクリアし、

区間の中央にある道標にたどり着く。

 

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つづいて、ザレザレの岩の塊をクラックに沿って慎重に下りていく。

水野町への道(すでに廃道?)との分岐の一番底まで下りて、

そこから上部に見えている階段の取りつきまで、

もう少しだけ滑りやすいザレ場を詰めれば、難所は終了。

15分ほどで須磨アルプスをクリアしました。

渡り始めたときにはまだ明るかったのに、

渡り終えたときにはもう真っ暗。

ギリギリでしたが、どうにかこれでゴールが現実的になってきました。

 

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須磨アルプスを後に、その先の長い階段をえっほえっほと上っていく。

さらに急峻な岩を詰めていき、横尾山頂にたどり着く。

ここから真っ暗闇の山の道を黙々と下っていき、見晴らし台まで。

少し北風が強く寒いが、そこで休憩を入れる。

ここからは今から通過する高倉台団地、その先残り2つの山、鉄拐山・旗振山の山塊、

そして明石海峡大橋を望むことができる。

あともう一息!

 

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さらに森の中を突っ切っていくと、急に視界が開ける。

ここから一気に町へと下るのだが、

順行の場合に最初の難所として有名な400階段を下ります。

なんだか奈落へと落ちる感覚。

 

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階段を降り切ってから、県道65号と並行に歩き、

歩道橋でまたぎます。

団地内のちょっとした広場があり、そこで再度休憩。

自販機で温かい飲み物を買い、風の当たらないベンチに腰かけて

羊羹やらを最後の補給。

 

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リスタートして、児委託買いを抜け、反対側の陸橋を渡ると、

長い階段がスタート。

腿上げが厳しい!!

上っていくにつれて背後に横尾山の黒い塊が目立って来ました。

もう少しだけ頑張って腿上げをして、おらが茶屋にたどり着きました。

ここも見晴らし最高の場所です。

 

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おらが茶屋では休憩を入れず、そのまま先の森へと続くゆるやかな階段を進みます。

もはやヘッデンを消すと真っ暗闇の状態ですが、

ここからは緩やかなハイキング道が続いているだけで、

難しい場所や危険個所はないし、すぐ右手には街の灯りもこぼれていて全く問題なし。

鉄拐山の山頂は巻いて、20分ほど暗闇と格闘して、旗振山に到着。

 

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ここから須磨浦公園に降りるには左へ折れて鉢伏山

塩屋へ降りるには右の道へ進みますが、今回は塩屋を目指すことにします。

静まり返った山上遊園の間をゆっくりと下っていき、

噴水広場の脇から再び森の中へと分け入っていく。

緩やかな下りがずっと続いていて、須磨へ降りるよりも足への負担が少ない。

 

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灯りの具合だったり、電車の行きかう音だったりが徐々に近くなって

町がもうすぐそこに感じられるが、もうへとへとに疲れていることもあって、

無理せずゆっくりと30分ほどかけて森を抜ける。

そうしてちょうど旧グッゲンハイム邸の裏手に降り立ち、山道はこれにて終了。

いつもの踏切を渡って、JR塩屋駅に到着したのが19:38。

約50kmの山歩きを13.5hで無事完走いたしました。

風が強いのと寒さはありましたが、今までやった全縦走の中では

一番疲労も少なく安定して歩けました。

暑さでばてるよりも、これくらい寒い方が実は歩きやすいのかもしれませんね。

 

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せっかく塩屋に来たのですから、やはりワンダカレーさんに寄らねばなりません。

ちょうどこの日は年内営業最終日!

ということでゴールしたその足で早速お邪魔しました。

宝塚から歩きでというと、松田さんも、他のお客さんもビックリされておりました。

お腹ペコペコなので、牛すじチーズの大盛りをいただく。

このひと皿が2018年のスパイス納めでもありました。

松田さんとは色々とお話し盛り上がり、少し長居してしまいましたが、

今宵も美味しいカレーをありがとうございました!

 

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ということで、改めましてのリザルト。

よう歩きました。やればできるもんです。

2019年もまた、色々なお山、色々なチャレンジにどん欲に挑みたいと思います。

おわり!

 

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