あれから24年
今年もこの日を迎えました。
阪神淡路大震災から24年。
去年はシトシトと冷たい雨が降りしきり、
竹燈篭の灯りもなかなか点かずに大変でしたが
今年は風もなく穏やかな朝でした。
毎年この東遊園地にたどり着くと、ピンと張りつめたような空気に
心が押しつぶされそうになります。
でも、この温かな灯りが優しく迎え入れてくれます。
あの日、突然命を落とした方々の魂と、あの日を生き抜いた人たちの思い、
そして今日を生きている私たちの祈り、
1つ1つの小さな炎の中にそれらがのり移っていると感じることができます。
あの壮絶な体験、街が隅々まで破壊され、がれきの山となったあの時、
誰もが深い悲しみや傷を負いながらも、必死で立ち直ろうと前を向いた。
今の世の中のようにスマホもなければ、水や電気すらない生活の中で、
誰もが手を取り合い、助け合い、どうにか乗り越えようと踏ん張った。
芯から冷えるような真冬の空の下で身を寄せあった。
大切な人、大切な暮らしを一度にして失った深い悲しみや、つらい経験だけでなく、
あの時発揮された人間の根本的な底力や、自然と育まれていった共生の心、
そういったものも決して忘れてはいけないし、
今日の日本を鑑みれば、それが最も重要な思い出すべきことのようにも感じる。
冷やかしでもいい、一度でいいから、ぜひ1月17日の午前5時46分に、
東遊園地を訪れてほしい。
特に、震災を実体験として経験していない若い世代に。
そして燈篭に火を灯し、見つめてほしい。あの張りつめた空気を感じてほしい。
この神戸で、何が起こったのか。そしてどう乗り越え、今のこの街があるのか。
共に生きるという事、受け継いでいくということが
何かを感じることができると思うから。
あれから24年。
暮らしはずっとずっと続いていく。
その中で、地震や、自然の猛威が必ずまたやってくる。
あの時、自分はまだ学生で自分の無力さを呪った。
でもそれでも運よく生き残り、そしてまだ生きている。
そのことを無駄にしない。
家族や子供たち、わが街を守っていく。
そのことをこの日この場所で誓う。
追悼。