金曜日の晩。
再び、大阪の水路へ出る。
だいたい年1,2回ペースで行われる
梅田哲也さんのパフォーマンスクルーズに今回も参加。
2日間で5便あり、それぞれ趣向を凝らしているのだが、
時間やルートの都合で、最終便に乗り込む。
いつもはヘッドフォン越しに物語が紡がれ、
沿岸に色々なドラマが繰り広げられるのだが、
本便は「パフォーマンスしないクルーズ」と銘打たれており、
ひたすら夜の水路を流していく。
最初、船頭さんが方向を間違えて、
道頓堀方面へと進んでいくものだから、そっち回り?と思ったら、
勘違いしてたみたいで、本町通のシケインのところで、急旋回(笑)
北上して、最近注目の東横堀界隈を進んでいく。
それにしても夜の水路はいい。
陸のあらゆる欲望も、煌びやかな紛い物の光も、
何もかもを飲み込んでいく鉛色の世界。
それは日常の世界からは巧妙に見えなくなっているが、
しかし裏口を開ければすぐそこに間違いなく存在する。
黒々とした不気味さと、静寂を湛えたアウターゾーン。
小さき船は、狭い闇の回廊を抜けて、大川に出る。
いくつもビルヂングやライトアップの発光を受け止めた水面は、
行き当たりばったりに星屑をばらまいたような表情で、
のたりのたりとやる。
背伸びをするように、川いっぱい使って船が旋回する。
沿道には、少し勇み足の桜並木。
一度船は京阪をくぐりなおして、大阪城方面へ向かう。
花より団子とばかりに多くの酔いどれ君子が宴の真っ最中。
それを見下ろす太閤の城もまた、やけにギラついた光を放つ。
ここまでは観光航路として通用されているので、
その先に延びる滅多に船旅できない水路、
寝屋川や城北川へ行ってくれないかなと思ったが、
やはり船は大阪城ホールのところで引き返して、大川に戻る。
造幣局当たりの桜を際から愛でつつ、
毛馬の周辺でクルーズ終了。