記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

入船19 第5便 「パフォーマンスしないクルーズ」

 

金曜日の晩。

再び、大阪の水路へ出る。

だいたい年1,2回ペースで行われる

梅田哲也さんのパフォーマンスクルーズに今回も参加。

2日間で5便あり、それぞれ趣向を凝らしているのだが、

時間やルートの都合で、最終便に乗り込む。

いつもはヘッドフォン越しに物語が紡がれ、

沿岸に色々なドラマが繰り広げられるのだが、

本便は「パフォーマンスしないクルーズ」と銘打たれており、

ひたすら夜の水路を流していく。

 

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最初、船頭さんが方向を間違えて、

道頓堀方面へと進んでいくものだから、そっち回り?と思ったら、

勘違いしてたみたいで、本町通のシケインのところで、急旋回(笑)

北上して、最近注目の東横堀界隈を進んでいく。

 

それにしても夜の水路はいい。

陸のあらゆる欲望も、煌びやかな紛い物の光も、

何もかもを飲み込んでいく鉛色の世界。

それは日常の世界からは巧妙に見えなくなっているが、

しかし裏口を開ければすぐそこに間違いなく存在する。

黒々とした不気味さと、静寂を湛えたアウターゾーン

 

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小さき船は、狭い闇の回廊を抜けて、大川に出る。

いくつもビルヂングやライトアップの発光を受け止めた水面は、

行き当たりばったりに星屑をばらまいたような表情で、

のたりのたりとやる。

背伸びをするように、川いっぱい使って船が旋回する。

沿道には、少し勇み足の桜並木。

 

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一度船は京阪をくぐりなおして、大阪城方面へ向かう。

花より団子とばかりに多くの酔いどれ君子が宴の真っ最中。

それを見下ろす太閤の城もまた、やけにギラついた光を放つ。

ここまでは観光航路として通用されているので、

その先に延びる滅多に船旅できない水路、

寝屋川や城北川へ行ってくれないかなと思ったが、

やはり船は大阪城ホールのところで引き返して、大川に戻る。

造幣局当たりの桜を際から愛でつつ、

毛馬の周辺でクルーズ終了。

 

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