記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

2018Gパトの夏 白馬1日目  初めての停滞

白馬1日目。

朝日小屋よりもさらに300mほど高い白馬山荘の朝は、

とても寒い。

毎日テレビなどから流れてくる下界の猛暑のうわさを

疑いたくなるくらいである。

この日は山に入って9日目にして初めての雨。

余計に寒さが厳しい。

 

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朝食を済ませたら、

とりあえず周辺だけでもパトロールをと、

もう少し下ったところにある村営の白馬岳頂上宿舎まで。

こちらには長野県の管轄のGパトが常駐されていて、

そちらにはじめましてのご挨拶。

それから再び稜線に出るのだが、

とにかく風が強くて、視界もほとんど効かない状態。

どうしたものかと思案していると、

白馬山荘方面から、山岳パトロールの宮嶋さんがやってこられ、

この天候だからむやみに出歩かない方がいいよと

声をかけていただいたので、小屋へ戻ることにしました。

 

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ほんのわずかの距離でも、

全くの視界不良で、横からの雨風。

30分も歩いていないが、

小屋に戻る頃にはすっかり濡れて、

冷えた体を受付のストーブで温める。

 

余りに無謀としか言いようがないが、

こんな日でも、下からは次々と登山客が上がってくる。

正直言って、自分なら大丈夫という慢心や、

事故や遭難は他人事と軽んじている人、

この程度の天候ならと甘い見通しを立てている人ばかりだ。

スケジュールや金銭的なこともあるのだろうけど、

本当の自然の脅威や、本当の自分の実力を知らないということが

どれだけ恐ろしいことか。

無事問題なく到着できたとしても、

それはたまたまラッキーだっただけのことかもしれない。

 

そして大衆心理の怖さ。

みんなが行っているのだから、当然自分も問題ないというのは、

安全性に関して何の根拠もない。

みんなが遭難して、みんなが死ぬだけ。

そういうリスクをきちんと考えたうえで、

この悪天候の中、上がってきたという感じでもない。

 

それはこの白馬岳が、最果てにある朝日岳とは違って、

北アルプス入門の山として超メジャーな山だという事なのだろう。

実際、いろんな人が、盛りだくさんで登ってくる。

そういう人たちの中でこれから活動をしていくのだ。

 

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お昼ご飯を頂いたのちも、この日は天候は一向に良くならず、

1日停滞。

朝日小屋と違って、白馬山荘では小屋のお手伝いはなく

(逆にスタッフさんの仕事を取ってしまって申し訳ない)

時間を持て余す。

自分たちの部屋は寒すぎるので、

暖を求めて食堂前の談話室へ。

植物図鑑で引き続き勉強をしたり、

テレビを見たり、本を読んだりで時間を潰す。

白馬岳では電波の具合が悪く、wi-fiも飛んでないので、

それが少し難儀。

ああ、はやく絶景の中を歩きたいなあ。

つづく…

 

 

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