記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

2018Gパトの夏 白馬3日目 雷鳥フィーバーと弾き語り

3日目の朝。

快晴。清々しいことこの上なし!!

今日は空気も澄んでいるのか、

黒部の深い谷の向こうの立山・劒はもちろんのこと、

遥か奥には青空に刺さる槍のトンガリまで見えるし、

八ヶ岳や富士山といった主役級が軒並み。

もちろん富山湾もしっかり見えてます。

この景色が職場って、改めてスゴイ。

からしっかり食べて、しっかり出勤。

 

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まずは、先日、お邪魔した頂上小屋で、

長野Gパトさんが大雪渓ルートのところで

お花の案内をしているというので、お勉強も兼ねてお邪魔する。

こちら側は本当にお花畑で、

色々な花が我こそが一等賞!とばかりに

めいいっぱいおめかしをしていました。

 

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それから、一度稜線に戻り、旭岳の方面へ向かいます。

鞍部にはでっかい雪田がいまだに大きく横たわっております。

斜度はそれほどないので、キックで上がっていきます。

と、白馬山荘の方からものすごい勢いで走ってくる人がいて、

よく見ると小屋のスタッフ(名前忘れたけど外国の方)が、

半袖半パンで、猛ダッシュで雪田を駆け上がっていきます。

めっさ速い!!

 

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自分たちは雪田を抜けて、ガラガラの斜面に取り付きます。

とりあえず清水岳まで行く予定で進んでいたのだが、

途中で、生きものたちとの遭遇。

はじめは岩ヒバリだけかと思ったら、

なんと雷鳥さんたち続々と出てくる。

彼らはあんまり人間を怖がっていないようで、

油断しまくって、どんどん近くへやってくる。

こんな至近距離は初めて。

しばらく時間を置いて、茂みからヒナ1羽2羽3羽4羽5羽。

続々!!

いやあ、もっと警戒して!!

雷鳥の観察と記録も我々の仕事の一つなので、

しばらく滞在。

 

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こんな至近距離で、これだけの数の雷鳥さんは

まあめったいないので、

思ったよりも時間を取ってしまい、

清水岳へ向かうのはあきらめ、

お昼ごはんに戻る。

 

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午後からは、ちょっと足を延ばしてみようとなり、

三国境を越えて、小蓮華岳まで行くことに。

本来は三国境以降のエリアは新潟県に属していて、

管轄外ではあるのだけど、

白馬岳へのメインルートの1つで同じ山域なので、

そこも事実上カバーする必要があるので。

それと午後半日で、行って帰ってできる範囲も限られるので。

 

途中にはトウヤクリンドウが咲いていて、

山の上は早くも秋の訪れ。

少しガスってきた岩場を詰めていくと、

カラカラの斜面にはそこかしこにコマクサのピンクが。

こんな痩せた土で、厳しい気候条件にさらされる場所で、

懸命に根を張って、花を咲かせている。

とっても健気な存在だが、

我々人間なんかよりもずっとずっとたくましくもある。

 

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三国境を過ぎると、山肌は白骨を敷き詰めたような

カラカラの石が連なる荒廃した風景へと変わる。

いくつかの小ピークをやっつけて、

宝剣の刺さった小蓮華岳にたどり着く。

ここは栂池~白馬大池と登ってくるメインルートの

格好の休憩スポットということもあり、

よく見ると岩の間にたくさんのゴミがたまっている。

それらを丁寧に回収していく。

 

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そろそろ小屋へ戻らないといけない時間帯となり、

引き返します。

安全や、小屋への心配も考慮して、

トロールはだいたい15時くらいには終了し、

16時くらいには小屋や戻るようにしているのだが、

こんな時間でもまだ、下から登ってくる登山客は後を絶たない。

(なかには20時過ぎて小屋に駆け込んでくるようなのまでいる)

遅くても14時15時には小屋に到着するように

登山スケジュールを立てるというのがマナーというか常識なのだが…

それは山の天気は午後からの急な天候悪化が予想されるし、

暗くなってからの山歩きは危険が増す。

時間が後手後手になるほど山登りは難しくなる。

それに小屋の食事や宿泊の段取りだって、

そういうスケジュールで組まれている。

それを崩せば他のお客さんにも迷惑がかかる。

山では誰もが協力しないとやっていけない。

だから早出早着は山登りの基本の基本。

 

すでに大荷物を小屋にデポしているし、

山頂付近までのもろもろの状況を頭に入れたうえで

この辺りまで出張ってきている我々とは違って

遅く上がってくる登山客はそういったことを全然考えていない。

それは単純に遭難や事故のリスクを自ら上げることでしかない。

スタート時間がわからないからあれだけど、

だいたい今この時間に、ここまでしか登ってこれていない、

ということだけでも、余裕のないお客なのだから、

そういう人ほど、もっとリスクを考えた上で、

余裕のあるまっとうな登山計画を立てないといけないのに。

まあ、自分たちは直接注意する筋合いもないので、

ただにこやかにお気をつけてとしか言えないが。

 

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16時ごろに小屋に無事に帰着。 

この日の夕食はちょっと特別。

翌日が診療所に駐在している昭和大学の学生さんたちの

交代日なのだそうで、その送別のパーティーに、

一緒にどうですかと招かれているのだ。

本当に我々チームはイベント遭遇率が高く、

なんというラッキー♪

レストランを貸し切ってみんなでパーティーです。

料理も豪勢で、ケーキまで振舞われて、

思わずバカ食いしてしまいました。

 

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余興の出し物もあって、ダンスやピアノの演奏会、

宮嶋さんからのご挨拶など盛りだくさん。

いつもギターを貸してくれるY君も一曲披露してました。

なかなかフォーキーで渋かっちょええ~。

 

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で、なんか無茶ぶりで、自分も1曲弾くことになったのだが、

数日前にやってきた新参者の身で、

寄せてもらってるだけでもありがたいのに、

こんな出しゃばってよいのかしらん。

それに、こんな大勢の前で、いきなり御指名を受けて

ただただビビるしかない。

とはいえ、せっかくでもあるし、

場が白けてしまってもいけないのでなんとかステージへ。

若い子らに流行りの歌なんて知らないけど、

全く知らない歌も盛り上がらないので、

大体の人が知ってるであろうSpitzの『チェリー』をば。

途中、めっちゃ間違ったのだけど、

そこからみんなが一緒になって歌ってくれたので、

どうにか挽回をして、大盛り上がりで演奏を終えました。

いやあ、みんな優しい!!ありがたい!!

次の日から、ギターのGパトさんとみなさんから呼ばれるようになり、

スタッフさんとの距離がググっと近くなって、

白馬での暮らしの中で大きなターニングポイントになりました。

いやああ、緊張したけど、楽しい夜でした。

 

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つづく・・・