記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

北アの最奥縦走 0日目入山&1日目(折立~太郎平小屋)

今季初アルプスです。

今回は、去年Gパトとして1か月切磋琢磨した仲間の激励見舞い。

今年は各小屋を巡回してパトロールに当たる薬師班に配属された

カメちゃんにスケジュールを教えてもらい、

一番狙いやすいこの週末の太郎平小屋へ向かう。

週間予報ではずっとオールAで、全く問題ないように思えたが、

突如発生した台風8号の影響で、いきなりの悪天候モード。

てんくらの一斉ひっくり返しは山あるあるだから、さして驚かない。

初日に多少の雨でも、登山口から太郎平までの

イージールート4hだからどうにかなる。

 

土曜日の観劇の後、予約したサンダーバードに乗ろうと駅へ向かうと、

なんと台風による大雨と風の影響で、

北陸本線が夕方から完全ストップ。

これを一番心配していたのだが、やはりである。

翌早朝、富山駅5:30の折立行きバスに間に合わせるには、

どうしてもこの晩には富山にたどり着かねばならない。

運行再開をホームでひたすら待つ。

サンダーバードが万一再開しても、それでは金沢までしか行けず、

その先の新幹線の接続、

あるいは最終の3セクに乗り継げなければ同じこと。

遅くても21時には復活してもらわないと難しくなる。

万一のため夜行バスを調べると22時発4時着がある。

最悪払い戻しをしてそちらへ鞍替えすればいいが、

できるだけバス夜行は避けたい。

予約していたホテルについてはもう諦めてキャンセルを入れる。

時間的にギリギリを見極めつつ、ホームで待っていると、

全便が運休扱いとなり、

その代わりに臨時便を2発出してくれるというアナウンス。

グリーン車以外は指定全解除となる。

21:30発の臨時便に乗り込みどうにか座席をゲット。

あとは運を天に任せる。

京都駅でも、どうしても今日中に北陸へたどり着きたいお客さんが

ドドドッと乗り込んできて、車内はすし詰め状態。

自分は翌日に備えてとにかく仮眠する。

小松辺りで、気分を悪くした急患が出てさらに遅れが発生するが、

どうにか1時前には金沢に到着。

 

到着後は、係員の指示に従って、さらにその先へ向かう方面別集合。

富山行きの人は相当いて、用意された振替バスも補助席も含めて満席。

そうしてさらに1時間30分ほどかかって、

ようやく富山駅へとたどり着きました。

これでどうにか、折立行きのバスに間に合いました。

3時間ほどの猶予があるので、腹ごしらえに牛丼屋へ入り、

そのあと補給品をコンビニで支度し、

残り時間は駅前の広場で野宿仮眠。

ブルべライダーにとっては、

外で仮眠は慣れっこなのでそれほど問題なし。

ただこんな時間でも若い子らが結構駅前ではしゃいでて参った。

 

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あっという間に空が白み始め朝が来た。

トイレなどを済ませて、乗り場へ。

こんなバッドコンディションで、

大阪からのアクセスも厳しかった日でも、

乗客はほぼ満員でした。

定刻通り5:30に富山駅を出発。

南下して立山方面へ向かうのだが、早くも雨が降り始める。

途中ドライブウェイで小休止をはさみ、

そこから有峰林道へ。

 

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富山駅から約2時間で無事、

登山口である折立に到着。トイレを済ませ、いざ出発!というタイミングで

一旦病んでいた雨が再び降り始めたかと思うと、

ザーザー振りに。

できれば蒸すので着たくなかったのだが、

大慌てでレインウェアを装着。

そうして7:35いよいよ山行開始。

 

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スタート後はうっそうとした緑の森をずんずんと進みます。

斜度はそれほどなく、

先行しているたくさんのハイカーをパスして快調に飛ばす。

雨は深い緑のおかげでそれほど気にならないが、

足元のぬかるみはべちょべちょで歩きづらい。

写真を撮る場面もなく、ひたすら黙々と歩く。

有名なアラレちゃんもどこだったかわからないほど、

ひたすら前進。

とにかくウェアの中に熱が溜まって、暑い暑い。

サウナ状態で体力を奪っていく。

青渕三角点に到着が8:50。

 

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その先滑りやすいスラブ状の岩場をやっつけると、

高い木々がなくなり、眺望が出てきます。

しかし周囲の雲は厚く、

特に進行方向の薬師方面は何もわからない。

幸いにして雨はやみ、下界の方は少し天候が回復傾向になるようだ。

しかし、いつまた降り出してもおかしくないので、

ほとんど休憩を入れずに黙々と歩く。

 

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ちょっとばかしの休憩ののちリスタート。

どこだったか一か所急な坂道があったが、しぶとくこなし、

太郎兵衛平まで来ると、

斜度も緩やかとなり、道もよく整備が行き届いている。

と、前方に見慣れた赤いキャップを被った二人組が、

ガスの向こうから現れる。

よくよく見ると、カメちゃんではありませんか!!

おーいと声をかけ、冬に滝見をしてぶりに再開。

今年の新しいパートナーのシステマ君も紹介をいただいてご挨拶。

研修後の入山3日目ということでまだまだ始まったばかりのようで

二人ともフレッシュ。

午前は雲も晴れないのでこの辺りをパトロールするそう。

自分は小屋の受付があるので、

またあとでと2人を置いて先を目指します。

ほどなくして、ガスの向こう側から太郎平小屋が姿を現しました。

時刻は10:45。

約3時間の山行でした。

 

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まずは宿泊の受付。

基本、自分はテン泊ではなく小屋泊を選ぶのは、

山行スタイルが可能な限り荷物を減らして軽身となって、

社会人として限られた時間・日数の中で、

できるだけロング縦走するからというのもあるんだけど、

山にお金を落とす、小屋に利益をもたらす、

ということをしたいためでもある。

このところ、ヘリ輸送問題などで、

山の在り方、山の事情は色々と切迫しているが、

自分にできる一番貢献できるのはそういう事だと思っているので。

 

まずは受付をし、濡れた衣類を乾燥室へ。

それから今晩の寝床へと案内してもらう。

2段ベッドの上で、この日は2枚の布団を3人。

ちょうどど真ん中のしんどいポジションです。

週末を避けて、日曜泊とし、

この天候だから通常よりも少ないと見込んでいたが、

ちょっと甘かった。

やはり登山口から一番アクセスしやすく、

方々への起点となる小屋は大人気で、

それに年配のハイカーや学生にはあまり曜日は関係なし。

 

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もろもろ準備を済ませて、

ちょっと早めのお昼ご飯を頂きに、食堂へ。

行者ニンニク入りの名物の太郎らーめんと迷ったが、

ここは黄レンジャー発動で、ネパールカレー。

ターメリックとクミンがよく効いて旨し!

そういえば、この小屋もシェルパの姿が数人ほどいました。

富山側の山小屋では最近比較的よく見かける気がしますが、

彼らの献身的な働きぶりや、穏やかなキャラクターは、

いつでも敬意を抱きます。

 

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まだ午前中なのですが、

今日の目的地はこの太郎平小屋なのですっかりすることがありません。

とはいえ、今ここでがっつり昼寝でもすれば、

夜中目が覚めて、窮屈な寝床で地獄を味わうのは間違いない。

どうしたものか。

時間的には十分なので、

いっそ空身で薬師岳ピストンでもしようかと迷っていると、

Gパトの2人がお昼ごはんに帰ってきました。

昼休憩後に、再びパトロールに出るということで、

それならば仕事ぶりを拝見するために同行することにしました。

 

ということで昼休み後、

カメちゃんとシステマ君と一緒にパトロールに出動。

ユニフォームの赤シャツと帽子は持ってきていたので着替えます。

ということで1DAY臨時スタッフとして、

トロール行って参ります!!

 

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太郎平からは、薬師岳方面、薬師沢・雲ノ平方面、黒部五郎方面と

3WAYの選択があるが、この日は薬師岳方面へ向かいます。

たおやかな緑の丘を木道でトコトコと進み、

そこからいったん下って薬師峠のテン場へ。

この辺りは前日にパトロールで石積みをして綺麗になっておりました。

そこから薬師平までの急登を詰めつつ、

ゴミ拾いをしたり、高山植物の見分けをしたり。

新人のシステマ君は目下猛勉強中で、

カメちゃんが色々とレクチャー。

なかなかいいコンビの様です。

 

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太郎平まで上がってくると、色々な花が見ごろの様子。

真っ白な花弁が美しいハクサンイチゲチングルマ

にょきっと立つコバイケイソウ

元気いっぱいの黄色いウサギギクなどなど。

1年経ちましたが意外と覚えているものです。

 

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周囲を観察しつつ、色々なゴミを拾ったり、

ロープや標識を直したりしながら、

小屋までの最後のひと登りの辺りまでゆっくりやってきましたが、

ちょうど雨が再び降り出してきたのと、

夕方の小屋の手伝いの時間もあるので、ここらで引き返します。

まだまだずいぶん遠くにですが、

雷の音もゴロゴロとしてきました。

薬師峠への下りの岩場の辺りではなかなか雨脚が強くなりましたが

15:40に小屋へとどもってきました。

 

 

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小屋へ戻り、2人にお礼をいってから、着替え。

それから一仕事の後のビールを。プハァ~♪

2人はまだユニフォーム姿だし、任務中なので、

まだ飲めない時間なので申し訳ないねえ。

ビールを返しに売店へ向かうと、その横の無線ブースに、

何やら見慣れた顔が。

なんと去年大変お世話になった、

富山県警の山岳警備隊のKさんではないですか!!!

まさかまさか、こんなところで再会できるとは!

お話を伺うと、ちょうど今日この一帯に着任で、

さっき到着したばかりとのこと。

なんたる偶然。

この雨の中頑張って登ってきた甲斐がありました。

 

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夕食は5時から。

この日の献立はトンカツでした。

しっかり食べて翌日に備えます。

 

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夕食後、消灯時間まではまだ相当あるので、

談話室で暖を取りつつ、読書したりして時間を潰します。

スタッフの夕食後の自由時間に

カメちゃんたちとゆっくり積もる話をしたかったのだが、

この日は宿泊客が多くて、夕食2回戦3回戦でスタッフもバタバタ。

結局消灯15分前に仕事が終わった様子。

彼らはまだまだこれから山暮らしが続くので、

無理はさせれないので、軽く話だけして、解散。

21時前に寝床へ。

やはり狭く、そして人がひしめいてとっても暑い。

前日ほとんど寝れなかったし、この日も我慢して起きていたので

寝落ちできるかと思ったが、全然で、寝苦しい夜でございました。

でも、旅の目的は果たせたし、1年ぶりのGパトもできました。

翌日は晴れてくれたら、絶景の中を歩けるのだけど、

予報はあんまりよくない…

明日はどこまで行けるかな?

 

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つづく・・・