2018Gパトの夏 下山!!
ついにお山を下りる日が来てしまいました。
無事に任務を終えることができたという安堵や
奥さんや子供たちに会えるという喜びもあるけど、
出来ることならここにいつまでも残りたいという気持ちや、
小屋のみんなとのお別れもあって
どうしても淋しい気持ちが勝ってしまう。
いつものように4時には起床し、
最後のご奉公で朝のお手伝い。
それからラジオ体操までの時間で、
小屋の一人一人とお別れの挨拶をしたり、写真を撮ったり。
彼/彼女の全員が、大切なファミリーであり、友だち。
長いようで短い期間で、これほど過酷な環境を共にしたうえで、
ここまでの絆を持てたことは本当に感謝しかありません。
この北アルプスの最北、最果てに位置する朝日小屋が、
自分の帰って来るべきホームとなりました。
ここまで好天続きだったのだが、
この日ばかりは、昼頃から雨の予報で、
すでにどんよりと黒い雲が立ち込め始めていた。
なので、ラジオ体操終わりにはすぐ出発を予定していたのだけど、
なかなか名残惜しく、
みんなといつまでも写真を撮ったり、
お別れをしたりしているうちに、
7時を回ってしまいました。
みんなとの記念撮影を終えて、せっかくなのでと、
先代の眠るバンザイポイントのところまで
みんなで墓参りついでにお見送りにきていただくことに。
シェルパのみなさんも夕陽が丘方面の作業に向かうので、一緒に。
それにしても信じられない荷物の量…
ドラクエの大かなづちのようですな。
彼らとの交流もまた、
山の暮らしの大切な1ページに刻まれました。
いつか彼らに会いにネパールにも行きたい。
みんなで岩の前で手を合わせ、
それから本当に最後にお別れの挨拶。
本当に名残が惜しい。
ゆかりさんともたくさん写真を撮り、
「また来られ~」の声を何度も聞いた。
そしてゆっくりと歩を進めると、
後ろから、「バンザ~イ、バンザ~イ」の声。
それに応じて、こちらもありったけのバンザイで返す。
さようなら。さようなら。
またきっと、必ず帰ってきます。
小屋のみんなの姿が見えなくなり、
後ろ髪惹かれる思い出下界を目指します。
夕陽が原までは大荷物を抱えたシェルパのみなさんと
それから今日下山する県警のみなさんとも一緒に。
順調に進み、夕陽が原で工事の皆さんとはお別れ。
ヌルジイ、ヤンヌルさんとアツい別れの抱擁。
感傷に浸りながら下っていたからというわけではないのだろうけど、
リスタートしてすぐに、なんとカメちゃんがスリップ!!
それで足のスネ辺りを強打して負傷してしまいます。
県警の方々がすぐに手当てしてくれ、
幸い大事には至りませんでしたが、
痛みがありペースを落としてしか歩けないので、
先に行ってくれということで、
自分とクマさんは先行隊として先へ行くことにしました。
やっぱり最後の最後まで油断禁物。
どんどんと遠くなっていく朝日岳を何度も振り返りつつ、
先へ進み、鎖場を越え、イブリ山へ。
少し休憩をして、
おやつにとゆかりさんから手渡された鱒ずしをパクリ。
そういえば中学登山のサポートで、
ここで熱中症になったなあとか、思い出す。
もうそれもずいぶん前の話になってしまったなあ。
そして、このイブリを過ぎれば、もう朝日岳は見えなくなる。
しっかりと脳裏に刻み付けます。
そこから北又尾根をどんどんと下っていきます。
眺望のある場所へ来ると、
もう雨雲が徐々に海から迫ってきているのが見えていて、
どうにか降り出す前には北又小屋に駆け込みたい一心で
2人黙々と下ります。
高度を下げるにつれ、山小屋ではテレビの世界の話だった
猛暑とやらが、じわりじわりとやってきます。
あっという間に気温も湿度も上がり、
まるで登りをこなしているかのように汗が吹き出します。
5合目の広場で一度小休止。
その時点でもう雨の匂いが森いっぱいに充満してきました。
リスタートして、がんがんペースを上げて下っているのだが
この先から下はなかなか急で難儀。
と、下から上がってくる人がいて挨拶をすると、
なんとガッパ隊のEさんとKさん!!
休暇明けでこれから夕陽が原の工事入りだとか。
頑張ってください!また会おうな!と声を掛け合ってお別れ。
ひたすら雨からの逃避行を続けていたのだけど、
3合目に差し掛かろうというタイミングでついに捕まってしまう。
それも徐々に雨が強くなるというのではなく、
いきなりバケツをひっくり返したような大粒の雨が
この深い森を貫通して我々に襲い掛かってくる。
慌ててストップしてレインウェアを装着するが、
すでにびしょ濡れ。
あと20分あれば小屋へ間に合ったかもだが、
ギリギリアウト。
やはり予定通り早立ちしておけばよかったけど、
まあ仕方がないよね。
雨脚はどんどん激しさを増し、
レインウェア越し雨粒が強くぶつかるほどで
ちょっと恐怖を感じるくらい。
こんな状況でグズグズできないので、
スリップには注意しつつ、難儀な下りをこなしていると、
前方の木々が大きく揺らいだ!!
もしや熊??
そういえば入山の時に、この辺りで熊の形跡を見た。
思わず身構えて慎重に前方を確認すると、
数匹の猿が雨に驚いてわいのわいの騒いでいました。
クマさんとほっと胸をなでおろし、
猿たちを刺激しないようにそこを通過します。
ようやく道はなだからになり、その先で吊橋を渡ります。
そしてダムの上部まで最後の最後の上り。
この階段が結構こたえる…
そうして久しぶりに舗装された道路に出て、
もうちょっとだけ歩いて北又小屋へと帰還しました。
小屋番の米沢さん、迎えに来ていただいた森林管理署の方々に
にねぎらいの言葉をいただきます。
ひとまず後続が下りてくるのを待ちながら、
着替えをしたり、荷物を整理したり。
自分たちはオーラスのところだけ雨に降られただけだけど、
後続の人達はこの大雨、大丈夫かなあ…
1時間ほど遅れて、カメちゃんと姫が無事に帰還。
心配な足の具合も、
県警の方がばっちりガチガチにテーピングしてくれたおかげで
無事に下ってくることができたようです。
しばらく休憩ののち、お迎えの車に乗り込みます。
雨脚が相当強く、林道も川のようになっており、
一部土砂も流れ出す箇所もあり、
通行できなくなってしまう前に、
ひとまず麓の小川温泉まで脱出です。
雨で見通しが悪い上、路面状況も悪く、
古いジェットコースターに乗っているような感じで
どうにかこうにか下っていきます。
最後のトンネルのところは土砂が法面から流出し、
それがトンネル内部へと流れ込んで危険な状況でしたが、
無事に切り抜けて小川温泉へ到着。
(林道はこの後、降雨量が多いために通行禁止になりギリギリセーフでした汗)
下山後、少しだけ時間があるので、
我々Gパトは立ち寄り湯。
一か月の激務を大きな湯船で洗い流します。
ふぃ~~生き返る@@@
しかし、ちょうど温泉は川に面しているのだが、
窓のすぐ外を流れる川の水量が半端なく、
しかも水面がキワキワまで迫ってきていて、恐ろしや…。
温泉ですっきりリフレッシュしたあと、
再び車に乗り込み富山市街へ。
どんよりとした空を見つめながら、
いつのまにやらウトウト。
そうして気づいたら富山駅前に到着していました。
うわああ、都会!!大都会!!
文明!!
ほんの1か月ばかり大自然のただなかで暮らしていただけですが
もうすっかり浦島太郎状態です。
そして信じられないくらいに暑くムシムシ。
ああ、現実に戻ってきたのだなあ。
富山駅到着後は、駅前の指定されたホテルへ移動。
この日帰阪するのではなく、
翌日の朝に富山市役所での解団式をもって解散となるため、
富山で一泊するのです。
ホテルへと向かうと、すでに下山を済ませた他の班の人達の姿。
研修所ぶりの人もあれば、
研修なしで直接現地赴任となった立山班の若い子らなどと
いろいろご挨拶がてらお話し。
晩にみんなで打ち上げパーティーが予定されていて、
それまでの時間は自由時間。
そこで、ちょっとだけ富山の街をぶらぶら。
前の日にガッパさんに教えてもらっていたお店に行ってみることに。
劇団のホール?の一角にある「ふうらいぼう」さん。
ガッパさんに教えてもらってきましたと言うと、
少しOPENには早かったのだけど入れてもらえました。
そこでアッツアツのピザとおビール。
プハア~。
久々のピザもまたチーズがトローリ。最高でした。
時間となり、
Gパトメンバーや 森林管理署の皆さんと
某会場のビアガーデンへ。
ねぎらいのお酒を飲みつつ、
他の班の様子だったり、山のことをたくさん話した。
管理署の人の話では、とある班ではどえらい自体が連続して、
パトロール自体が空中分解するような状態だったとかなかったとか。
毎年色んな人が応募して、いろんな考えがあるので、
小屋の方とうまくいかなかったり、
パートナーと折り合いが悪かったり 、
まあ色んなトラブルはつきものらしいです。
でも今年の朝日・白馬班は間違いなく最高でした。
本当に相方のクマさんや、カメちゃん・姫に感謝です。
森林署の人は当初、一番ヤヴァイのは、
我々最年長タッグだったそうですが、
ゆかりさんからの報告で、
できる中年組は最高だったと連絡があったと教えてもらい、
ちょっと泣きそうになる。
そう言ってもらえるとやっぱりうれしいよねえ。
時間となり、みんなでぞろぞろ歩きつつホテルへと帰ります。
いやあ、もうみんなと一緒に入れる時間が
みるみる少なくなってしまって、寂しいなあ。
ホテルの部屋に戻ると、下山の疲れか、
張っていた気が抜けたのか、
すぐに気絶するように眠りの中へ…
いよいよラスト記事へ・・・