記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

初日の出ハイク

お寺で除夜の鐘を突き、年越しそばを食べて帰宅後、

毎年恒例の初日の出ハイクのためにわずかの仮眠。

その前に、スマホの充電をと思って、

コンセントにつないで、しばらくしたら、

ブブンという音がしたので、

だれかからあけおめのLINEかなと思って、手に取ると、

画面が真っ白なリンゴマークのままフリーズ。

強制終了したり、simを入れなおしたり、

いろいろできることをやってみるが、一向に回復せず。

世に言う恐怖のリンゴループに陥ったようで再起不能

どうしようもないし、時間が迫っているので、スマホはあきらめて、

3時過ぎに起床し、そのまま出動。

 

晦日から元旦にかけては深夜終日電車が運転しているので、

毎年それを利用してお山に出かけるのだ。

4:18の神戸線に乗り込み、芦屋川駅へ。

同じように初日の出目当てのないとハイカーの姿がちらほら。

だけど数年前に比べるとその数は全然少ない。

 

公衆トイレで済ませて、ヘッデンと手持ちのライトをセットして

いざスタート。

路面が少し濡れているのは少し降ったのかなあ。

サクサクと住宅街を抜けて、滝見茶屋。

高座の滝からいよいよ山道。

夜の谷ルートはイノシシの住処になっていて避けたいので、 

毎年このナイトハイクはロックガーデンの主稜線を上る。

数年前は、地元の学生やらなんやらが大挙して、

かなり渋滞したことを覚えているが、今年は全然人がいなかった。

(もう少し時間が前後したらいたのかも?)

勝手知ったる道なのでサクサクと登るが、

ついこないだも滑落で人が死んでいるので油断禁物。

1つ目の鉄塔まではまずまずの上りだが、

そこからは斜度もゆるいのでサクサク。

2つ目の鉄塔くらいから、

先行して登っていたグループやらに追いついたようで、

人が増える。

そこから少し開けた場所があり、大阪平野を一望する。

日の出にはまだ時間がある。

 

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風吹岩に近づくと、アホな学生どもが今年も登ってきているようで、

大声で金爆を歌ったり、奇声を発したり、

迷惑以外の何物でもない。

でも、ここさえ避ければ静かになるはずと思ったら、

その連中が目の前で魚屋道を奥へ進みだした。

どうも六甲最高峰へと向かうようだ。

くだらないことをベラベラと大声で発しながら、

大勢が道を占拠して歩いて邪魔でなかなか追い抜けず、

正月早々、まったくついていない。

ようやく少し広いところで抜くのだが、

今度は面白がって背後からついて来ようとするので、

一気にペースを上げる。

すると、その少し先にも、

同じグループの先発隊がいたようで挟み撃ちに会う。

本当に厄年だ。

 

幸い、自分は最高峰には用はないので途中で道を分岐するのだが、

その分岐ポイントでささっと枝道へ折れると、

後方グループの奴らが、

あっちじゃね?付いていったらいいんじゃね?と、

こちら方向に向かってきそうな声がする。

彼らは、最高峰を目指しているはずだが、

日ごろ山に登っている感じでもなく、

装備もスニーカーに、そのまま寝巻きで出てきたような連中だから、

正確なルートを知っているわけではなく、

安直に、迷うようなら、

自分のような山を知っていそうな人に

ついていったらいいと思っているのだろう。

しかし、こっちとしては本当に迷惑千万。

ただでさえ、静かに新年を迎えたいのに、

まかり間違ってついてこられて、あの場所を知られて、

荒らされても困る。

ということで、分岐以降は深い森で、

ルートも不明瞭なエリアなのだが、

彼らから見れば手掛かりになる自分のライトをすべて消して、

真っ暗闇の中、しばらく進むことにする。

まあ、もう目をつぶってでも歩けるほど通い慣れた道だし、

闇には耐性があるので問題はない。

しばらくその状況で進むが、

はるか後方からまだ大声で叫ぶのが聞こえている。

まるで、メタルギア・ソリッドか落ち武者狩りか、

追手に追われているような感覚で深い闇を音を立てずに進む。

何分経ったかわからないがそのうち静かになり、

後方からのライトの光も見えなくなったので、

追うのをやめたようだ。

もうすっかり目が闇になれたので、

ライトはそのまま付けずに、目的の場所まで無事にたどり着く。

ただいま~。

 

まずは、汗だくのシャツを全部着替え、カイロを装着し、

冷たい岩にシートを敷いて、防寒対策。

それから、カメラのセッティングをして、

サーモスに入れたコーヒーで一服。 

そこから、まずは眼下に見事に広がる夜景を撮影する。

実は、朝日が顔を出す頃よりも、

まだ空が暗い紺色から、

ようやくうっすらとオレンジ色が山間から顔を出すくらいの頃の方が

マジックアワー。

というのも、下界の外灯やビルの灯りは明るくなると消えてしまって、

地上の銀河が真っ黒になってしまうので。

なので、夢中になって撮影。

 

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スマホが故障したので持ってきていないのだが、

その代わりに腕時計をしてくるのをすっかり忘れてしまったので、

今が何時かがまったくわからない。

日野での時間は例年通りなら7時を少し過ぎたあたりのはずだが、

それまでどのくらいあるのかがわからない。

今年は、気温はそれほど低くはなさそうなのだが、

風がそこそこあって体感温度はなかなか寒い。

 

あれこれ撮影をしながら、その瞬間を待っていると、

お一人、上がってこられる方が来ました。

どうも去年もここでご一緒した方の様でした。

 

そうこうしているうちに、徐々にオレンジの光が強くなり、

上空の雲を染めていきます。

そして、見事な半熟色の朝日が昇ってきました。

おめでとうございます!おめでとうございます!

 

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夢中でカメラを撮っているのだが、よく見てみると、

あべのハルカスのちょうど真上あたりから、

神々しい光のシャワーが燦燦と降っているではありませんか!!

あわてて望遠を取り出してカシャカカシャ。

なにか関西が祝福に満ちているような、

そんな素晴らしい光景です。

ここ数年は決まって、

穏やかできれいな初日の出が続いていますが、

その中でもとびきりでした。

 

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ずっと素晴らしい朝に見とれておりましたが、

随分日も高くなったところで退散します。

随分と体が冷え切ってしまっていたので、

ちょっとペースを上げてホイホイと

下山するとすぐに身体が温まります。

そのまま芦屋川駅へ降りて、無事帰宅。

 

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