記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ROAD TO 東京 〜ヒトとヒトをツナグライド〜 後編

極寒の鈴鹿峠越え、あうさんとの感動の再会etc
すでにたくさんの出来事をくぐりぬけてきた250km。
しかしまだ東京はでの道のりは残すところ300km近くある。
ここで一区切りと気持ちを入れなおして、キャノボを後にする。
この時間帯、この区間すごく交通量が多く、
またいわゆる”愛知走り”と称される強引なドライブが多々見受けられるため
岩屋からR1を降りて県道3号の裏道を行こうかと思ったが、
そちらもなかなか激しい交通量だったので、
どうせ同じなら路肩の広いR1の方がマシであろうと直進する。


JR線をまたいで反対側に下りきって、赤信号で停止していると、
いきなり反対車線から走って渡ってきたサイクリストから話しかけられる。
何事かと思ったらパンクしたらしく、しかも手持ちのポンプが調子が悪いらしく
ポンプを貸してほしいとのことだった。
あまりキャリアのなさそうな感じで、時間がかかりそうだったのだが、
困った時はお互いさまとポンプを貸してあげる。
さすがに作業を手伝うほど余裕はなく、
ストレッチをしたりしながらとにかく休息に努める。
が、どうも慌てて作業されたらしくてチューブのパッキンをダメにしてしまった様子。
自分もチューブ予備はいくつか持っていたのでを渡してやりたかったが、
自分もいつどこでパンクに見舞われるかわからない。
こちらの事情を話すと、
「え?東京まで?ノンストップで?ああ、こんなことで足を停めてすみません!
すぐに行ってください。こちらはどうにかします!」
と言っていただき、自分もこれ以上お手伝いできそうなことがないし、
人の心配まで気が回るほど心のゆとりを持ち合わせていなかったので、
じゃあ頑張ってくださいと言ってリスタートします。
今思うともうちょっと親切にしてあげればよかったなあと反省です…


何はともあれリスタートです。
鈍い上りをえっちらおっちらと上がっていきます。
この区間のときだけ、やたらめったら西日が差して猛烈に暑い!
この辺は田畑が広がっていて日差しを遮るものがないし、
今朝方の冷え込みがウソのように暑い。
リスタートしてまだ全然進んでもいないのに、たまらずにコンビニに飛び込み、
調子に乗って炭酸とガリガリ君で急速冷凍したのだが…
冷たいものをいきなり放り込んだせいで、
こっから胃腸の具合が一気に壊れ始める。
胃がQQQQQQ〜っと唸りを上げ、内側からつままれたかのように苦しく、
腹に力がこめられない…
しまった!と思ってもすでに後の祭りで、
この後胃腸の不調との戦いが始まっていきます。
やはり無計画に補給するのはかなりリスクが高い…反省です…


後半戦スタートして間もないというのに、
色々ぶつ切りでライドが中断し、いまいちリズムに乗れない状態。
これはちょっと、いやかなりマズイ傾向なので、
ここからはしっかり継続して前進することに集中します。
リスタート後、すぐに上りのピークである一里山の交差点に到達。
R1は直進だが、ここから先R23バイパスのあおりで自転車走行禁止になるため
左折をして県道173号にはいる。
軽く下った先でいよいよ静岡突入!
時刻は14:20。ここから長い長い地獄の静岡のはじまり〜はじまり〜。


↓静岡突入!


しばらく丘陵地のゆるやかなアップダウンをこなし白須賀でR42に入ります。
その先には太平洋がまちかまえております。
ゆっくりと幅広の潮見坂を海の気配を感じながら下っていきます。
路肩はなかなか荒れていて、何箇所か急なカーブもあるので慎重に下りきる。
海がのぞけるのはほんの少しのスポットだけで、
下りきるとバイパス化したR1・R23の連合国道が高い防壁となって見えない。
R42は閑散と、ただひたすらに直線に東西に延びている。
この日は向かい風もそれほどなく、ダラダラと前進していきます。


↓潮見坂より。前方に広がるは遠州灘


新居浜に入りいよいよ浜名湖が近くなると、
どこからかローディーの数が増えてくる。
R301から6,7人ほどのローディーさんが合流してきて先行する。
縦長に展開しているトレインに追いつき、しばらく後方にいたのだが
ペースが少し遅かったので、ガツンとギアを入れ替え、
挨拶をしながらパスしていきます。
14:50に弁天島を通過。
ちょうどいいタイミングでペースアップが図れたので写真タイムなどを取らず
このペースで行ける所まで行くことにする。
R1の交通量はそこそこ増えてきたが流れに乗っているので問題なし。
で、あという間に舞阪地区に入り、浜名湖はあっという間に終了。チ〜ン。


弁天島


浜名湖はスルー


向かい風もそれほどなかったのでR1トレースでもよかったのだが、
本町交差点で左折をして、松並木の間を抜ける旧東海道に入る。
狭い生活道路なのだが、そこそこ交通量があって気は抜けないのだが、
雰囲気のいい道。
ペースを落として走りながら、
もしここで東南海トラフ地震が起きたらどうしようと考える。
ここら一帯は津波が来る最前線なのに、
回りを見渡しても3階以上のビルが一切ないゾ…。大丈夫かいな。
そのうち松並木も終わり、右手から来たR257と合流する。
浜松市街が近づくにつれて交通量も増え、信号が多いためか軽く渋滞を縫う。
JRを2つまたいで浜松市街へ突入。意外と大きな都会です。
連尺交差点右折してR152に入る。
混雑する商店街を抜けてひたすら東進。
このころになると弱っている胃がシクシクと痛みだす。
何か温かいものを入れたいなあと思っていると、
子安交差点を直進して県道312号に入ったところで、
はなまるうどんと吉牛が1セットになった店舗を発見しイン。
時刻は15:30。
ちゃんとした食事をとっていなかったので、
優しいおダシのうどんと小牛丼のセット。
ちょっと一服していると眠気も結構やってくる。
一旦腰を置くと、思い出したように全身からわぁぁぁぁ〜っと激痛が駆け巡る。
ああ、疲れてんな!
たまらずここでロキソニン投入。
細切れでちょこちょこ休憩を入れて仮眠を取るよりも、
ある程度休憩の回数を限って、
その合間にまとまってしっかり休んだ方が疲れも取れるし時間もロスしない。
肌寒いコンビニの軒先とかより店内で休めるこの機にちょっと仮眠をとります。


30分ほど店内で仮眠をとり16:30にリスタート。
ここで一旦稼いだマージンを吐き出してしまう。
喫緊の課題としては、静岡タウンに入るまでの区間
2か所山岳エリアがあるのだが、
そのうち掛川〜金谷の区間は長めに山間を抜けるため、
そこをどうにか暗くなるまでに抜けること。
リスタートしてしばらくして天竜川に到達。16:40。
ここはR1の新道の歩道を行くほうが安全だったのだが、
気づかずに旧道の鉄橋の車道を突っ走ってしまう。
意外とロングスパートとなり結構疲れる。
その先、道が複雑に入り組んでいるところがあり、うまく旧道R1に入る。
そこで道を横断するタイミングをはかっていると、
対向からやってきたたくさんのかばんをぶら下げた、
ランドナーの若い子が道を聞いてきたので、教えてあげる。
長距離を走っているような感じだったが、
ノーヘルだし、ライトもつけてなかったし、信号無視をしていたので
同士とは思えなかったけど。


天竜川。ここはこの旧道の橋ではなく左に見えてる新橋の歩道を行こう!


この浜松以東のエリアはR1はほとんどバイパス化してしまっているため、
旧道でいくつもの市街地を抜けていく。
夕方ということもあって交通量はそこそこ。
磐田の区間は意外と鈍いアップダウンが何度もやってくる区間で、
勢いをつけながら上がったり下がったりを繰り返す。
途中路線バスとの格闘が何度か。
三ケ野ICのところでちょっと長めのダウンヒルをこなし、太田川を渡る。
県道413号に入って袋井市街を抜けていく。
七ツ森神社のところでR1バイパスと合流する。
ここからしばらくは幅広のR1で高速巡航でぬけていく。
R1は軽く渋滞気味になり、車が道いっぱいひしめきあっている。
路肩は割と広めに設けられているのでゆっくりとした車列を横目にペースを上げ、
沢田ICまでの5km区間は、車列からの追い風にも乗って40km巡航で切り抜ける。


沢田ICからは旧R1に入るはずが、間違って県道253号に入ってしまう。
ここの間違いは前回もそうで、
あの時はだいぶ北上をした末に間違いに気付いて引き返したことを思い出した。
そこで、そのまま進んで大きい道にぶち当たったらそれが旧R1だから
右折右折と注意していたら、大きい道が出たので右折。
そのまま東進していたのだが、どうも見覚えのない道のような気がして不安に。
そのうちやっぱり感覚的にこの道は違うと感じて軌道修正を余儀なくされる。
ん〜引き返すとロスだし、どこかで曲がる必要があるし、と悩んでいたら、
前方左手にライトアップされた掛川城が見えてきた。
もしこの道が旧R1なら、城は右手に見えるはず。
ということはやはり一本手前で曲がってしまったのだと判明し、
無事にR1に復帰する。
わかりやすいランドマークがあってロストの危機を回避できた。ホッ。
しかしこの掛川区間はよく間違うなあ。それだけ印象が薄いからだろうけど。
でももう間違えないぞ。
そんなこんなで掛川17:40到達。もうほとんど暗くなってきてしまった。
やはりロングをするにはもうちょっと日照時間の長い時期のほうがよいなあ。


掛川城


掛川を抜けると徐々に周囲が閑散としてくる。
日もほとんど落ちて暗くなってきたし、気温も下がってきた。
八坂ICで八坂バイパスをくぐり、県道415号の緩やかな上りを上っていく。
山道ではあるのだが、すぐそばに幹線道路が通っているためそれほど暗くない。
ピーク手前は少し斜度が急になるが、時期に小夜の中山トンネルに到達。
時刻は18:15。
閑散としたトンネルをくぐり、いったん下って、再び上り返し。
この区間が一番山深く、外灯もないため暗闇ライドに入る。
えっちらおっちらラブホのあるピークの交差点まで到達し一安心。
そこからテクニカルな下りをこなして金谷に向かうが、
中腹から大井川の向こう側に島田の夜景が広がっていてきれいだった。
ちょっと雨でも降ったのか、路面が軽くウェットで、
かつクネクネと道が曲がりくねっているので慎重にスピードを殺してダウンヒル
ひとまず難所の1つはクリア。


↓小夜の中山トンネル


↓金谷の夜景


下りきってすぐに大井川橋を渡る。
ここの歩道は狭くてペースが出せないので、
信号ンタイミングを見計らって車道ダッシュ
思ったより長くて天竜川のデジャブのように疲労。時刻は18:45。
そこから県道381号をひたすらに東進。市役所の先で道はR1に合流。
路肩の狭い市街地の幹線道路で、時間的にも道は渋滞しているため、
ペースを落として車列を縫う感じで、進まない。
ひたすら平坦の直線道で退屈な区間を我慢我慢で走行するが、
眠気もひどく、またひと山越えて喉もカラカラ状態。
水守のセブイレにたまらずイン。
炭酸水で喉をうるおしていると、
向かいのステーキガストからええ匂いが漂ってきてたまらん!
でもこのすぐ先でもうひと山越える必要があり、
暗くなる前に底を抜けるため本格的な晩飯はもう少し我慢。
日暮れとの勝負が一段落してひさしぶりにあうさんとコンタクトを取る。
あちらはようやく愛知を脱して桑名付近とのこと。やっぱ速いなあ〜。


軽く補給を済ませてリスタート。
相変わらず退屈な藤枝区間をようやく脱し、
内谷新田で藤枝バイパスをくぐって、県道208号で岡部宿。
しばらくしてR1の大動脈と並走する形となる。
前回東京から走った時に、峠を越えずとも、
R1の平成宇津ノ谷トンネル内にしっかりとした歩道があって走れたので
体力セーブ、時間短縮でそちらを選択することにする。
道の駅宇津ノ谷峠岡部上りの駐車場に入り、歩道をずんずん進んでいくが、
徐々に雑草に覆われて明らかに人が久方通っていないとわかる…
んんん〜結果は見えているがトンネルは目と鼻の先なので無理やり突っ込む。
が、案の定、上り線のトンネルには歩道がなかった…
仕方なくトンネル入り口に掛けられた陸橋をマシンを担いで対岸に渡る。
下り線には立派な歩道があって、峠越え免れる。
時刻は20:00。
歩道はしっかりとあり、車道とは鉄柵でしっかり分離されているので安全だが
高速並みのスピードで真横を車がひっきりなしにこちらに向かって爆走してくるので
超〜怖い。
何しろハイビームをたき、構内に轟音を響かせながらこっちに迫ってくるのだ。
しかも少しカーブしていて、こちらがアウト側なので
余計こちらに飛び込んでくるように見える。
とにかくトンネルは大っ嫌いだ。
こんなおっかないところはできるだけ早く脱出したいので高速で回して切り抜ける。
ふぃ〜。こういう精神的にキッツいところが一番疲労がどっと来る。


↓平成宇津ノ谷トンネル


無事にトンネルを抜けたが、反対車線へ復帰することができないので、
そのまま歩道で進むことになる。
歩道は立派なものなのだが、道の駅を過ぎると雑草が勢力を伸ばしているし
センターポールが設けられたり色々障害が多い。
それは構わないのだが、車道からバンバンハイビームを浴びて
眼つぶし状態で前方の確認が取れない!
見えない見えない@@と超スローペースでわき道まで進む。
わき道に入るとこっちのもので、県道208号のゆるやかな下りで一安心しながら
丸子宿を抜けていく。
手越原でR1に復帰し、そのまま緩やかに駿河大橋まで上がっていく。
もうすでに真っ暗で富士山は全く見えないが、
対岸のきらびやかな静岡タウンの灯りを見て、ようやく静岡まで来たと安堵。
安部川を渡ると交通量は一気に増し、
こちらも息つく間もなく混雑を抜けるのに集中する。
静岡駅通過は20:30。


↓ゆきゆきて静岡


静岡駅から以東のR1は大混雑。幅広の道ではあるのだが2車線とも車いっぱいで、
しかも東静岡駅周辺は路肩工事中の区間が長くあり、困難を極める。
もうちょっと上手に工事して頂戴な。
そこから長い長い直線区間がひたすら続く。
車の往来に合わせて高速巡航で抜けていくが、補給をしていないので結構つらい。
大曲交差点、その次の江尻大和交差点でR1は大きく進路を変更し、清水まで到達。
清水からは交通量はぐっと減り、周囲もさみしい感じ。
このまま興津まで行ってしまうと、
もう富士あたりまで補給ポイントがないので、ここらで補給をすることに。
横砂のローソンで補給に入ったのが21:15ごろ。
海が近いためか寒さが厳しくて止まっているとみるみる冷えていく。
胃が荒れ過ぎていて、空腹感はあってもなかなか食べることがつらくなっているのだが
パスタを無理やり駆け込み、温かいコーンスープで暖を取る。
15分ほどでリスタートし、いよいよ太平洋岸自転車道へと突入していく。


↓興津の太平洋自転車道


静清バイパスをくぐり、マックスバリューのところの裏道から
自転車道に入ろうとしたのだが、入口がわからず、
結局興津中町の正規の入口から入る。
時刻は21:50。
ここから由比まではR1は走行禁止なので、
防波堤の脇に設けられた自転車道を行きます。
R1をくぐって、反対車線側の歩道に入り、ホテルまでは順調。
その先で新興津橋をわたると、自転車道は当然外灯ももなく真っ暗。
で、さっきの宇津ノ谷と全く同じ要領で、対向車のハイビームを一身に浴び、
目くらましで前方の具合が全く見えない!見えないわよ!
自転車道は結構幅広いのでそれはそれで安心なのだが、
なにせ防波堤ですから路面に割れ目や穴ぼこがあったり、ゴミが落ちていたり、
そういうのが一切確認できないままボコッボコッと徐行運転。
とにかく眼つぶしが厳しい。
探り探り東名高速の出っ張りまで到達。
そこをくぐった先のアヤシイラーメン屋?食堂の脇を抜けると、
歩道は最小限度となって、対向車線とキワキワ状態…ガクガクブルブル
路面状況もよくなく慎重に抜ける。
一旦駐車場の間を突っ切る区間があるのだが、
白砂が目いっぱい乗っているのでタイヤが沈み転倒の危険があるので
マシンを押し歩きで抜ける。
そこから再び対向車線のキワのわずかな歩道を伝って、
どうにかこうにか脱出ポイントの寺尾交差点まで到達。
ああ、ライトを浴び過ぎて目が変な感じ。
昼間ならなんでもない区間なのに、思った以上に手こずった。
やはり区間区間で相性のいい時間帯というのがあって、
超ロングの場合はプランニングが肝要なのだ。
時刻は22:15。


↓対向車のハイビーム眼つぶし@@


寺尾の信号で随分待たされたが、ようやくR1をまたぎ、
県道396号に入るとようやく平和を取り戻しほっと胸をなでおろす。
JRをまたいだ先で駅前に続く県道370号に入ると交通量はほとんどなく、
ここまで気を張り詰めてきたので、ちょっとブレイクしてダラダラ走る。
海際でそこそこ風が吹いているために寒い。
ちょっと今晩は冷えそうだな…
シーンと静まり返った由比の古い町並みを抜け、
東名高速の高架下でR1直下の裏道へ舵を切る。
疲労も睡魔もぼちぼちあって、新蒲原までダラダラ〜。
そこからしばらくJR線沿いに進み、途中で右折をして、
R1バイパスの蒲原東IC方面へ。
富士川は、R1の新富士橋でわたるのだが、
ここはわずかではあるが橋の歩道までマシンを担がないといけない。
お疲れモードの体にはわずかな労力でも結構こたえるのよん。
橋の狭い歩道で長い川を渡るが、真横をビュンビュン高速並みに車が通過し
とにかく怖いのよ。橋も揺れてるし。
暴走車にバカヤロ〜と叫びながらどうにか対岸に渡りきる。ほんと怖いのよ。


富士川を渡りきると、暴走街道のR1を少し外れ、
道の駅富士の裏手に伸びている裏道へ入る。
あたりはもうすっかり真っ暗でちょっと心細くなってきました。
新富士駅の真横を通過し、ひきつづき裏道で田子の浦まで。
そろそろこの辺から急速な疲労と睡魔が容赦なく襲ってきます。
しかしこの辺で休憩を入れられるポイントはない。
コンビニなどは確かに何箇所かあるのだが、
海際のエリアでこれだけ寒いと屋外で休息を取っても疲労回復にならないし、
何より仮眠するのが難しい。
まとまった休憩を入れるには、約20km先の沼津あたりまでは我慢しないといけない。
吉原を通過し、槍の交差点から県道380号に入ると、
海岸線に沿って設けられた退屈な退屈な長い平坦路が延々と続く…
過去2回のライドでも、この区間が一番退屈&苦手で、
危うく睡魔にやられて意識が飛んでしまうという危険な状態になったところ。
この今のコンディションでこの区間を走るとは、全く厳しい。
意外な場所ではありますが自分にとってこの富士〜沼津間は鬼門なのです。
しかしここを1時間キバってしのぎ切れば休める!がっつり休むぞ!と言い聞かせ、
ちょっと集中してペースアップをしながら進んでいきます。
意外と交通量があり、かつ路肩の具合が暗くて分かりにくいうえに狭いため、
車の流れに沿って35km巡航。
もう明らかに身を削ってペースを上げている状態で、余裕がない…
行けども行けども長い平坦の道は終わりを知らず、ただただ絶望するしかない。
がんばれ!もうちょっと!あと少しで休める、休めるぞ!と念じながら
ペダルを回すのだが、徐々にそれが頭の中でぐるぐるしだして、
そうなるともう危険な状態に陥ってしまう。
頭がボワ~っと気分の悪いことこの上なく、目がぐるぐる@@
おそらく昼に飲んだロキソニンが効力を失った瞬間。
全身に駆け巡る耐えがたい脱力。
発熱時に感じる節々の痛みに似た、差すような痛みがピクンピクンと主張する。
その痛みに抗いながらどうにかこうにか気力だけでペダルをこぐ。
集中集中と、神経を尖らせるほど、今度は眠気が容赦なく襲ってきて
こっちへおいでと悪魔の方角へ手招きしてくる。
その誘惑にいまにも負けそうなギリギリ崖っぷちでどうにか踏ん張って、
とにかく前へ前へと亡霊のように進む。
右手は真っ暗な松林ですぐ横の海は全く見えないし、
反対側は殺風景な民家がつづく。
そうして延々センターラインが果てまで続いているのだが、
目がやられたのか、まっすぐなはずの線がグニャリとうねる。
ああいかん、もう限界。でも休めるところはない。絶体絶命。
いったいどのくらい進んだのか、全く変わり映えのしない風景にただただ失望。
そうして永遠かのごとく思われた駿河湾沿いの道を西門間でついに突破!
ああ、もう沼津はそこだ!
それよりも早くファミレスを探さねば。寝るぞ!喰うぞ!
しかし、こんな時ほどお目当ての店は見つからない。
県道380号は沼津市街を東西に貫く目抜き通りだから、
きっとどこかにあるはずなのに!
そんなこんなで沼津駅前までたどり着いたのだが、
周囲を見回してもそれらしい店はない…
ああ、そんな…カミサマ〜@@
あっちこっちを捜しまわる余裕はもはやなく、
どこか店内ならどこでもいいやと県道380号を流すのだが、
ファストフードすら見つからない。
もう半ベソをかきながらさらに前進を続け、
大岡公園の鈍いのぼりを上がっていると・・・
おおおお!左手前方に煌々とココスの看板が光っているではないの!
そっから我ながらものすごいパワーで斜面を駆け上がり、
転がるようにして店内へ。時刻はすでに0:30を回っていた。


胃腸の具合はもう完全なるカオス状態で、
腹は減っているけど食欲はなく、ただチクチクムカムカしている状態。
かといってハンガー寸前の状態で補給をしないわけにはいかない。
ここまでそういった状況に甘んじて、固形物を腹に入れず、
クリームとかゼリーとか消化しやすいものばかりを入れていたのだが、
ただでさえ胃酸が活発に出ているのに、空っぽで消化するものが入っていないのが
逆によくないのかもと思って、ここはがっつりステーキという暴挙。
真夜中にステーキ。もう無茶苦茶。ヤケクソよ。
なにせこの後には大ボス箱根越えも待っているわけで、精をつけねば!
で、注文したら自然と幅広のソファーに体が沈みこんで失神。
気づいたのは料理が既に提供されてしばらくたってたくらいだから、
相当に疲労困憊だった模様。
もう体がいうことを効かないよ〜@@
半分意識を失いながらもむしゃむしゃ肉を喰らい、
ドリンクバーをしこたまお代わりしながらまた気を失う。
そんなこんなで1時間ほど貴重な休息タイムをすごす。


↓真夜中にステーキだぜぇ


しか〜し!いつまでもここにとどまっているわけにはいきません!
意を決してリスタートしたのが1:45。
三島まではギリギリ限界の状態でありながらも
1時間のマージンを稼いでいましたが、これで逆に15分ほどオーバーとなる。
ここまで来たらもう時間も何も関係がない。
なぜならこの時点でもう、自分の体力の限界を悟っていて、
当初の往復プランは断念するしかないと思っていたので。
とにかく東京にいくのみに専念する。
さあ、ここからは何の因果か真夜中に箱根越えです。なんて過酷なプランだ…
でもそこを越えていかねば目的地にはたどり着けない。
県道380号をひたすら進み、R1にぶつかったら右折。
すぐ次の八幡で左折し、県道145号で三島市街へ。
三島駅周辺は酔っぱらい連中と客待ちタクシーの列で軽く混雑していた。
さっき休息したところではあるが、三島タウンのコンビニに立ち寄り、
ここで伝家の宝刀レッドブルドーピング!
もうこいつに頼ってしのぎ切るしかない!これで準備完了!
いよいよ箱根越えにとりかかるよ!時刻は2:00!寒い!
三嶋大社の脇を通過し、県道22号を進んでいくと、
ドンツキで斜度が上がってまずは谷田東小山まで一気に上る。
ここからR1に入り、幅広の住宅道をいくのだが、上り始めが一番斜度が厳しい。
えっほえっほとダンシングを開始し、確実に歩を進める。
急坂は三嶋塚原ICのところまで続いていく。まだまだいけるぞ!


↓三島塚原からいよいよ本番


この区間でもいつでも交通量の多いR1ではあるが、
時折ウンウンと唸り声をあげて大型車が列をなしてやってくるが、
上り線は比較的交通量は少なめでラッキー。
逆に上からはこれでもかというほどどんどん車が下ってくる。
下ってくるというより降ってくると言った方がいいくらい、
猛スピードで、時にはセンターラインから膨らむようにやってくるので怖い。
大型車も容赦なくアクセルを踏みつけ、巨体を揺らせながら通過していくし、
走り屋のスポーツカーもブレーキングの金切り声を夜空に響かせながら攻めている。
ああ、いやだ。ああいやだ。
山岳地帯ではあるが、さすがに大動脈だけあって
外灯の整備はしっかりされているので、それほど暗くなく、
そういう意味での恐怖心はあまりない。
さっき長めに休憩を入れたおかげと、ドーピングの効果、
それから長丁場の登りで気持ちが引き締まっているからか、
疲れや眠気はどこかへ吹き飛んで、充実の状態で進んでいる。
自分の息遣いを耳にしながら、じっくりじっくり上っていく。
ピンクのランプがカーブに沿って連なっている個所があってなまめかしい。
すでに結構高いところまで上ってきているようで、
反対車線のその先に、三島や伊豆の町の灯りが小さく点々となっている。
市の山のカーブ群を越えて、大きな橋を渡ると、
ちょうど去年の今頃にドルクス君と再会したポイントに差し掛かる。
直線的に道が延びていて、このあたりの斜度が一番きついかもしれない。
無理をせずにダンシングでこなしていく。
傾斜のきついところを抜けると、一旦落ち着き、
そのうちにいくつか民家が現れる。
そこから道はぐる〜っと大きく左へヘアピンを描き続いていく。
ここが大曲と呼ばれるポイントで、ピークまでようやく1/3くらいまで来たゾ。
ゼエゼエ。


↓上りは続くよどこまでも〜


大曲を過ぎると、道沿いに民家が連なる区間があり、
そこは路肩も十分ではないのだが、
最悪なことに大型車が高速で行き違うタイミングで通過となり胆を冷やす。
そこから先はしばらく外灯がなく、真っ暗な中を進んでいくが、
途中で拡張工事中の区間があり、クリスマスネオンのように賑やか。
わずかだが道が拡幅されるのであればローディーとしてもうれしいが、
今は道幅が狭くなって後続車が怖い。
グリングリンとカーブをやっつけ、大きな施設が見えてきて、
その先に富士見ドライブインを発見。
天気が良ければここから正面に富士山が拝めるのだが、
今はそれも叶うはずもなく、淡々とスルー。
そこからも一定の斜度で伸び続ける坂道を淡々とこなしていく。
高度があがっていくにつれて体感も確実に下がってきた。
長い長い上りなので、攻めたり抑えたり、気分転換をしながら上っていく。
少し斜度が上がり、おおよそ中間地点である山中城跡に到着。
これでようやく半分。
ここまでは道のりにもバリエーションがあって上ってても楽しいのだが、
後半戦はデジャブのように同じ風景、カーブの繰り返しの無限ループ。
箱根峠がいよいよ牙をむき出す。


↓はるか眼下に三島


さあ、箱根峠も後半戦!だが、すでに8kmほど延々上ってきて勢いはすでにない。
ゼエハア言いながら、シッティング・ダンシングを切り替えながらごまかしごまかし。
道は2車線でfix。上がってくる車もほとんど数を減らし、
孤独に淡々と単調な上りの応酬に耐える。
さっき通過したぞ?と錯覚するように、同じようなカーブを何度も何度繰り返す。
こういう繰り返し状態に陥ると、マインドがピンチを迎える。
周囲は若干霧が濃くなってくる。幻想的というよりもちょっと不気味。
ずっと上っていて既に汗だくなのだが、ペースが上がらないので寒さを感じる。
暑いし寒い。もう頭が混乱して判断がつかない。
ただペダルをこぐ足だけは止めず、機械的に前進を続ける。
大きく左へとカーブを切るところをオーラスだと勘違いをしてスパートしたら、
同じようなカーブがこのあと2度繰り返され撃沈…
無駄足を使ってヘロヘロ状態でそこからさらに2kmも上りが続き、
ようやく峠茶屋の駐車場が見えた時には、
思わず「ウヘエ〜〜〜〜」とよくわからない雄たけびを上げてしまった。
そこから平坦を少し進んで箱根峠制圧!乙カレー!
あばよ〜、しぞ〜か!
時刻は3:30。上り始めから1時間半の格闘。
やはり後半戦のダラダラと長い上り区間が苦手だ…


↓命からがら箱根制覇


何はともあれ今回のチマコッピを制圧して一安心。
ただ寒さが強烈で3,4℃の世界。
室内で休憩を取るところもなく、山上で長居すれば命取り。
疲労困憊、満身創痍ではあるがここはできるだけ小田原へ抜けるため休憩なし。
写真を撮ったらすかさずリスタート。
箱根峠ICで箱根新道を折れて、芦ノ湖方面へと下っていく。
ちょっとの下りも超寒い!
みるみるうちに体温と体力が削られていく。
特にグローブは冬用ではなく、薄手のもので、指先の感覚がもうすでにない。
ああ、完全にウェアのチョイスをミスってる…
箱根関所前まで下りきると、椿ラインの方から
20台位連なってスポーツカーが爆音を出しながら下ってきた…
ああ、もう余計なことはやめて。
それらを見送って、引き続きR1をトレースしていく。
軽くアップダウンをして元箱根へ。
ここにはセブイレ一軒だけあって、
ちょっとでも休憩して体力回復&暖を取ろうと思ったのだが、
さっきの暴走車軍団が大挙して休憩をしていたので、なくなくスルー…
そのまま大鳥居の手前からショートカット道に入り、
畑宿入口まで短いながらも斜度の厳しいヘアピン連続の上り。
ここは箕面駅側コースのドライブウェーまでとほぼ同じ感じ。
今の自分にとってはかなり厳しい上り。
畑宿入口のヘアピン信号に到達したのが4:00。
休憩もしていないのに、箱根峠からこの区間で30分もかかってびっくり。
そうとうヘバってんなあ…


↓畑宿入口にて


さてさていよいよ小田原への下りに取り掛かります。
畑宿入口から県道732号に入り、
恐怖のミッドナイト七曲りダウンヒルでござい。
さっきまでの箱根峠の20kmのヒルクライムなぞ前菜に過ぎなかったのです…。
空はまだまだ夜明けを知らず漆黒の闇。
ここまではさすがの大動脈R1ということで、それなりに照明のある道中であったが、
県道732号にそれだけ充実した装備を望むべくもなく、
天下の難所といわれた七曲りですから深い山間を抜ける道であって、
そらぁその闇の深さと言ったらもう…
いくらハイビームをたいても光の届く限度など知れており、
慎重に慎重に見定めながらスピードを殺して進んでいくのだが、
まるでスルスルと奈落へと滑り落ちていくような感覚で、
怖いというよりも不思議な感じがする。
幸いにして2度ほど走った経験があったからこそ、
次はあの辺、次は右カーブとある程度予測できるからまだマシだが、
ここはさすがにヤヴァイ。
良い子のみんなは夜中にこんなとこ走っちゃいけないヨ。
連続ヘアピンをくぐりぬけ斜度のきつい猿すべりを丁寧にこなし、
いよいよ核心部の七曲り。
ちょっとオーバーランしたらすぐバーンです。


↓激寒、漆黒の七曲りダウンヒル


七曲りの入り口で一呼吸置く。
ここまでの相当緊張して感じていなかったが、
我に返ると強烈な寒さがよみがえり体がぶるぶると震える。
ああああああああ、寒い。辛い。
からいよいよハードなダウンヒルに突入。
寒さで感覚が鈍い手で必死でフルブレーキン!
それでもセンターをオーバーしてしまいそうになる。
短い間隔で繰り返されるヘアピンに左右に揺さぶられ、
加えてゼブラゾーンでガッタンガッタンカチ固まった体に容赦ない振動の波。
最高難度のダウンヒルスキルが要求されとにかくシビア!
せめて明るければいいのだが…
とにかくペースなどは忘れて、慎重に慎重に下っていく。
こうなればもう消耗戦だ!
そうしていくつかのヘアピンをくぐっていくと、
R1の箱根新道が取り巻くように交差してくる。
そのあたりで轟音が鳴り響き、
きっと新道の方を暴走車が駆け降りているのだと思ったら、
!!!!!!!!
いきなり何台ものスポーツカーが真横をかすめていく…
向こうはセンターラインも無視して、狭い狭い道幅いっぱいを使って、
カーブを攻めながら猛スピードで抜けていく。
そこにばったりと居合わせた恐怖と言ったらない。
慌ててアウト側にあるポケットのようなスペースに避難し、
突然降って沸いた恐怖の弾丸どもが行き過ぎるまで待機。
おそらくさっき元箱根で出くわした連中だろう。
何もこんなスピードの出ない険しいコースをチョイスせんでもいいだろうに。
あっという間に10台くらいが通りすぎていき、再び辺りは静けさを取り戻す。
時間的にはあっという間の出来事ではあったにちがいないが、
山の中腹の暗闇で恐怖と寒さを堪えながらただ待機を強いられるむなしさよ。
そしてその間にさらに体が冷やされてしまい、体の震えが止まらなくなる。
とにかく寒い。尋常じゃないくらい体が冷たい。
ちょっと気分が悪くなり、かつ冷たい空気に当てられて喉がぴゅうぴゅう。
一刻も早く下ってどこかで暖を取らねばやばい。
でも早く下るのはリスクが高いし、
なにより吹き付ける風が余計に強くなって余計に体が冷える…
峠越えの後、山上で休憩も取っていなかったため、疲労もMAX限界。
しかしここでグズグズしている場合ではないので、とにかく耐えて下り始める。


七曲りの難所部分をどうにか下りきり、畑宿の集落に入って一旦平坦に。
とはいえ商店も何もないので休憩はできずにスルー。
そこからまた暗い森の中を抜ける直線的な下りを慎重にやっつけ、
箱根大天狗山神社前を通過。この先で本格的なダウンヒルは一段落。
上りよりもよっぽどシビアな下りだった…
一段落したとはいえ、まだ山間を抜けたわけではない。
体力の低下は明らかで、シビアな状況には変わりなく、
せめて一刻も早く箱根湯本にたどりつきたい。
なけなしのエネルギーをフル稼働させて、ひきつづき山間を縫う旧東海道を行く。
須雲川に沿って道は緩いアップダウンを挟んで続く。
徐々に民家が増え、そのうちに温泉宿やホテルなどが軒を連ねる。
箱根湯本の中心街へ突入するが、お店らしいお店は見当たらず
いっそ温泉にでも入りたい気分だがこんな時間に開いているところなどなく、
半ベソをかきながらとにかく前進する。
これはもう小田原まで我慢かと心底失望しかけた時、
三枚橋の手前でセブイレを発見!
とにかく何でもいいから温かいものをと飛び込んだのが4:30すぎ。
本格的な休憩は小田原に下ってからゆっくりするとして、
この冷え切った体をちょっとでも温めなおすため、カップのみそ汁を購入。
お店の人に、外が寒すぎるので中で食べてもいいか懇願すると、
本当はダメだけど見ない振りしておきますといってもらえ、
店の隅っこで温かいみそ汁をすする。あああ、温かい。泣ける〜。


少し温まりようやく落ち着きを取り戻したのだが、
ここで完全に弛緩してしまっては動けなくなってしまう。
せめて小田原。小田原でまとまった休憩をして立て直そう。
そう奮い立ってリスタート。
三枚橋を渡ったところでR1に復帰。緩やかな下り区間を爆走する。
さすがにこの時間は交通量がほとんどなく、
危険な箱根口ICの分岐も難なくクリア。
冷たい風を切りながら下り基調でペースを上げて進む。
新幹線の高架をくぐると道幅も広くなり、
ようやく山間部を抜けて小田原市街まで脱出してきた。
ああ、小田原、小田原よ。
ここからはファミレスかどこかで仮眠を含めた休憩を取りたいので
ロードサイドに目をやるが、一向に見当たらない。
途中でようやくガストを発見し、
小踊りをして近づいてみると9:30OPENの非情通告。マジかよ…


もう体力も睡魔も限界。おら、もう走れねえ。走れねえ。
と、尽きかけた時、ふと看板が目に飛び込んできた。
「天然温泉24時間営業」
!!!!
これは真か!?まさに天の救い。ありがたや〜ありがたや〜。
この感動ったらないですよホント。
もう完走タイムとかそんなんど〜でもええです。
これで冷え切った体を存分に温められるし、疲れも汚れも吹き飛ぶぜ!
やったぁ!やったぁ!代打サヨナラ満塁ホームラン♪
看板の案内に沿って、小田原城をかすめて、万葉の湯にイン!
ここで時刻は5:00でした。
問題はマシンを長時間駐車させておくという点だが、
ここは地上6階地下2階の専用ビルになっていて、
駐車スペースが地下なので人目に触れづらい。
駐輪場にはほかのローディーさんのマシンもいくつか置いてあったが、
同業者ほど警戒すべきなので、
駐輪場からさらに1フロア下にあるバイク置き場にマシンを置いておく。
1Fのフロントへ行き、朝料金1200円を支払って大浴場へ。
体にへばりついたウェア類をはがし、
洗い場で温かいお湯をかけた瞬間の極楽ぶりよ。
その後どっぷりと湯船につかって芯から体を温める。ああ、生き返る〜。
こうなるともう、体がいうことを効かなくなり、
湯船でトロンと意識を失います。ああ、最高だ〜。
このまま溺れてもいいや〜Zzzzzz(。〜。)。。。。
こころゆくまでまどろんで、気づけば1時間半も風呂を満喫し、
身も心もリフレッシュ♪


↓万葉の湯で氷解〜♪


いつまででもこうして楽をしていたいが、当然そういうわけにもいかない。
ポカポカと温まった体を、再び汗まみれで湿気たウェアに滑り込ませた瞬間に、
容赦なく夢の世界から現実へと引きづりも戻されます。
残り東京まで80km。このまま中途半端では終われないと、6:45にリスタート。
よくよく考えれば三島を出たのが2時だから
小田原までの40kmの区間で実に5時間近くを要したことになる。
さすがにこれは大誤算だが、こうでもなければ体が持たなかったので仕方ない。
建物を出るといつのまにか夜は明けていた。
肌寒さは相変わらずで、一気に湯冷めしてしまいそうだ。
一度堕ちた肉体は、まだまだ甘えモードに入っていて思うように動いてくれない。
ドスンと重さを全身に感じながらも、慎重に再スタートを切る。
法務局前でR1に復帰し、東進を開始。
酒匂川を渡った先で、前方にローディーを発見するが、
追いついてバトルになるとこのコンディションでは面倒くさいので
間合いを見図りながらヒラヒラと進んでいく。
すると後方からドビュンと赤いジャージの方がパスしていく。
結局前方の大きい信号でつかまり、三つ巴で待機。
信号明けで、後方からパスしていった赤いジャージの方がスパートでズドーン。
それを最初前方にいた人が必死で追うのだが、差が少しずつ広がっていく。
その展開を見ているうちに、うっかり本能のスイッチが入ってしまう。
まだまだおいらもガキだなあと思いつつ、
ちょうど遅れを挽回するいいきっかけだし、バトルに乗っからせてもらう。
何気に信号が多くて、追いつきそうなタイミングで赤信号に阻まれうまくいかない。
それでも国府津までに1人目をパスする。
先行する赤ジャージの方(ウィリエール)は相当飛ばしているようで、
差は開かない代わりになかなか詰めることができない。
国府津の軽いアップダウンでも手を緩めずに上りをゴリゴリアウターで押す。
下りでもプッシュしていると、ウィリエールさんは手をを緩めたようで差が詰まる。
押切橋を渡った先に、ちょっとした上りがあり、そこが抜きどころと
アタックを仕掛け、挨拶しながらパスすると、
ちょっと意外そうな顔をされました。油断禁物よん♪
そのままこちらは手を緩めずに35kmペースをキープしてずんずん進む。
なかなかアップダウンもあるし、向かい風がちょっとあるのだけど、
気持ちが乗っているので快調に飛ばせる。
すでに450km走ってきているのに自分でもビックリだ。
途中、何台ものローディーさんをパスしていく。
中には頑張って後ろについてこようとするものが結構いたのだが、
最後までついてこられたのはウィリエールの方だけ。
先頭交代をするでもなく、パスするでもなく、こちらが曳いている状態だが
感じも悪くないので、手信号をこまめに入れながらランデブーしていきます。
大磯ロングビーチ付近にさしかかると、
よくわからないがものすごい人であふれかえり始める。
どうやら湘南一帯で大規模なマラソン大会があるらしく、
そのスタート地点が大磯のよう。
って、ひょっとしてそうなると時間が来たら道路封鎖されるんじゃないの?
信号待ちのときに看板を確認したら、
これから自分が利用しようとしているR134が8時には封鎖されるとある。
ええ?今何時?7:15?
45分で果たして藤沢まで到達できるのか。
非常に微妙なところだがこのペースを維持できればなんとかなりそう。
実は温泉で温まるのにいっぱいいっぱいで朝食を取ってなくて、
微妙にハンガー気味なのだが、後ろのウィリエールさんにもええ格好したいし、
引き続きペースを維持して前を曳きます。
会場近くになると車も混雑をし始め、
選手を運ぶ大型バスなども増えてきてカオス状態。
どうにかこうにか間を縫って大磯駅前に到達。
そこで自分は右折をして海岸沿いを走るR134へ入るが、
ウィリエールさんは手を振ってR1を直進して行かれた。
ちょうどよいペースアップのチャンスでよかったが、
そろそろお疲れ気味だったのでプレッシャーな存在がいなくなり正直安堵する。
ただ閉鎖時間が迫っているため、現状で可能な限りのプッシュをしていく。
もともとは幅広の道に入り順調に東進するのだが、
花水木橋を渡った先で大規模な路肩工事中。
しかも路肩がガッタガタに切られて、
それが走行ラインにもはみ出しているので超危険。
もうちょっと丁寧に仕事してくれよな!
車道も車で混雑しているし、ひやひやしながらどうにかすり抜ける。
トラスコ湘南大橋に到達したのが7:25。あと30分で抜けるぞ!


↓湘南ラインはマラソン閉鎖危機!トラスコ湘南大橋にて。


相模川を渡るとR134は大きく右へカーブし、海岸線に沿って走るようになる。
そこは自動車専用道のように幅広の仕切られた道で、ひたすらプッシュあるのみ。
信号待ちで停車していると後方から見覚えのあるローディーさんが。
さっきのウィリエールさんでした。
そのまま再び前を引っ張り、浜須賀にて自分は左折し県道30号に入る。
ウィリエールさんはそのまま江の島方面へ直進され、これで本当にサヨウナラ。
さてさてどうにか閉鎖時間までにR134を無事に抜けることができました。
小田原から浜須賀まで30kmの区間を1hで来たのだからまずまずのリザルトでしょう。
それにしてもお腹が減りました。
そしてせっかく温泉で蓄えたパワーをあほみたいに使い来てしまったじょ?
県道30号(湘南新道)を少し進んだところにあるサンクスにピットイン。
時刻は7:45。
朝ご飯にヘルシーなサンドイッチと温かい珈琲を買い補給していると、
ラソン大会で道路封鎖に駆り出されて暇そうな警備員?警察官?が
自分のフィブラに興味を持ち出して、しきりに話しかけてくる。
こちらはゆっくりしたいのに、あれやこれやよくしゃべる。
仕事しなはれ!とは言わなかったが、適当にあしらってリスタート。
ちょっと休んでいるうちにまた体が冷えてしまった。


8:15にリスタート後は、県道30号(湘南新道)をひたひたと東北方面へすすむ。
浜見山までなだらかな上り基調をこなし、そこから引地川までは下り。
徐々に道幅が狭くなり、交通量も増えてくる。
JR線を高架でまたぎ、小田急線をくぐったら藤沢市街。
ここから急激なアップダウンの応酬。
藤沢橋を渡ると、遊行寺の急坂登場。
ちょうどローディー集団が対向から下ってきたので、
ちょっとイチびりでアタックかけて上ったら具合悪くなり焦る。
上りきったらダラダラと高台を進んでいき、
藤沢バイパスの終点地でR1と合流を果たします。
そこからはすでに東京の朝は早いらしく、すさまじい交通量に辟易。
渋滞する車道を横目に路肩を縫っていく。
地元ローディーさんもようやく動き出したのか、
この時間帯からよく見かけるようになる。
ついつい見かけると血が騒いでしまい、無理をしてしまうのだが、
強弱をつけながらペースを稼いでいく。
原宿から吹上まで鈍く上ったら長めのダウンヒルに入る。
ここで下りに身を任せて前回超危険な戸塚バイパスに入り込んでしまったので
慎重に旧道への入口を見極めてそちらへと無事に舵を切る。
大阪の急坂を丁寧に下っていけばそこは戸塚。
時刻は8:50。
ここもまた以前に踏み切り工事で道を誤ったポイントで、
今回はしっかり見極めて踏切を渡りR1をしっかりトレース。


↓戸塚の開かずの踏切


小田原でリスタートを切って以降、
自分でも予想外に快調なペースを維持してきたのだが
すでに復路はあきらめているし慌てる必要もないし、
横浜までの残り区間はちょっとブレイクしようとペースを落として進む。
そうやってダラダラ旧R1を走って大きなBS工場前に差し掛かった時、
後方からローディーさんにスマッシュでパスされる。
ちょっと疲れて長旅で人恋しくなってるのか?それともただのチャリ馬鹿か?
そこでまた懲りもせずに火がついて追尾を開始する。
不動坂の交差点から新道と合流したR1を結構なペースで進む。
まずまずあるアップダウンをものともせず30kmくらいでズイズイいくので
なかなかの手ダレだと思われ、ワクワクしながら追いつく。
信号待ちで、「すみません、ええペースやったんでつかせてもらいました!」というと、
まさかついてきたのかと意外そうな顔をしつつも、
照れくさそうに「どうぞ」と言っていただきました。
そこからもさらにペースは上がり、平和台の上りもシッティングでどんどん行く。
権太坂の手前で、大渋滞が起き、
路線バスがバス停に出入りするタイミングで千切れてしまう。
それでも追いつけるだろうとアタックモードに切り替えて追尾するが、
追いつきそうなタイミングで赤信号というのが続き、差が縮まらない。
そのまま保土ヶ谷までの幅広道のダウンヒル区間に入り、
50kmオーバーでしこたま追走するのだが、向こうも向こうで速くてですね…
結局狩場ICの長い信号に捕まってしまい、そこで追走を終了することにしました。
ひ〜、結構疲れましたわよん。
保土ヶ谷橋でR1は直角に折れてそこから大通りをビューン。
そこからもたくさんのローディーに遭遇、パスしながら
横浜着が10:00。
藤沢からのこの区間も無茶ぶりで結構ハイペースでこなしてきたので
ちょっとここらでブレイク。
ローソンを発見して甘いものでパワーチャージ。


補給を済ませたらすぐにリスタート。
R1とR15の分岐地点では、この交通量だと間違いなく右折できそうにないので
少し手前から対向に渡っておいて切り抜ける。
さすがにもう横浜からはのんびり行きますよ。のんびり。
と心に決めた矢先に青いジャージを着たローディーにパスされ前言撤回。(早っつ)
いやいやこれは試練だ。
と、追走するが、相手さんええ大人やのに平気で赤信号を無視していくので
なかなか追いつけない。
途中で前方で落ちてきたローディーさんを巻き込みつつ追走していくが、
さすがに無法者には追いつけず、
逆に自分をちょうどいいペーサーとして何人かに無言で背後つかれる。
東京モンはこんな無礼な奴ばっかりかい?
ヤケクソ馬力で鬼のスパートをかけて、後ろについていた連中を
鶴見橋までに全部ふるい落とす。
こちとら500km走っておるのについて来れないとは、
おぬしらもまだまだよの〜ワッハッハ〜!とワケのわからないテンションに陥り、
そのまま勢い余って六郷橋までダッシュ
さあ、いよいよ東京都に突入だ!
時刻は10:30!イェイ!


↓トウキョウ〜!


無事に多摩川を渡ると交通量が増えるとともに、
車道を行くサイクリストがバンバン増える。
細かく出入りをしながらパスをしていく。
京急鎌田では、空港線の高架化がどんどん進行しても時期完成しそうだ。
そこをくぐりあとはひたすら、馬鹿でかい道を淡々と北上する。
この頃になってようやく日が差して暑くなってきた。
北品川からよいっとアップダウンをこなして、ごった返す品川通過が11:00。
北品川駅の方が品川駅よりも南にあるのはいつもクエスチョン。
品川を過ぎると交通量はぐっと減り、閑散とした休日のビル群を進む。
汐留の高層ビル群が見え、新橋のガードをくぐると一気ににぎわい始める。


↓銀座


まだホコ天状態に解放されていない銀座をパレード走行します。
当然のことながら昼間はネオンのきらびやかさもなく、
無秩序状態で人も車も車道を出入りし、情緒がなく、
ひたすらぶつからないように注意を払う。
銀座4丁目を過ぎるとようやく前方にゴール地点が見え、
そこからフィナーレに向けてのBGMが鳴り始め、
そしてついについに日本橋にてGOOOOOOOOOOOOAL〜
いやあ今回は長かった、。非常に危うかった。
ゴールタイムは11:30。ちょうど1日半3hでの完走でした。
おつかれさまでございました〜。


↓ごぉぉぉ〜る!


ということで、色々盛りだくさんの東京ライドの本編終了です。
実走もたいがい長くてつらいが、ブログで追想するのも一苦労です。
ぶつ切りで書いているので、途中からもう文調もめちゃくちゃ、
テンションおかしいところも多々ありますが、
ご清聴ありがとうございました〜。
orz...マジ,チカレタ。