記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

サンライズ黒岩

晦日からダラダラとTVを見ながら年越しをして、
4時ごろに自宅を出発して、新年早々一発目の山行に向かう。
年の終わりと始まりは決まって黒岩から。
先週の山納めで下調べを兼ねていたので、
初日の出を見に行くことにしました。
早めに梅田駅に着いたが本数が少なく5時発の普通で芦屋川駅まで。
元旦5:30というのに、ハイカーが結構いるのに驚いた!
おそらくみな目的は同じ。


↓阪急芦屋川


支度をして5:45に駅前を出発。
見慣れた風景も夜だとどうも様子が違って面白い。
いつもならまず高座の滝を目指すのだが、
今日は開森橋の信号で左折する。
黒岩へはいくつかのルートがあるが、
この暗闇でできるだけリスク少なく、
かつ日の出に間に合う最短ルートを検討した結果、
会下山遺跡コースがよかろうとそちらへ向かう。
複雑な住宅街を地図を確認しながら進む。
滴翠美術館の裏から激坂をのぼりつめて山手中の裏手へ。
山道のスタート地点はなんと墓地でした。
しょっぱなからちょっと怖いよ。


↓会下山遺跡コースの入り口は墓地…


火葬場の手前のゲートを潜り抜けて登山道スタート。
ヘッデンと手持ちのライトの二本立てで
真っ暗闇を照らしながら進んでいきます。
前日まで降っていた雨のせいで枯葉がちょっとスリッピー。
しばらく森の中を登っていくと、
少しずつ木立の隙間から眼下の夜景が見えはじめます。


↓真っ暗闇


↓眼下に広がる夜景


しばらく歩いていくとちょっとした広場のような場所に出ます。
そこには案内があってここが会下山遺跡(えげのやまいせき)という
弥生時代中期ごろの高地性集落群にでました。
高座の滝を目指すルートにも案内があって名前は知っていたが
実際に訪れるのは初です。
しかしこんな高台にある遺跡というのはちょっと珍しい気がする。


↓会下山遺跡


ここから再び深い森の中に突入していきます。
道は特に危険な個所もなく、きつい場所も少ないのだが
なんにせよ真っ暗。
少しずつ高度があがるにつれてすさまじい風が山を揺らし、
ビュウビュウととどろくのでおっかない。
そういう感覚的な怖さと同時に、
実際的なリスクといえばやはり猪である。
こんな夜中に出くわそうもんならどう対処すればよいかわからない。
とにかく絶対会いたくないのだが、
周りの茂みが時折ガサゴソ言うし、鼻息の音を鳴らすので、
これはかなわないと思わずピッチも上がる。
ただ、1つ安堵するのは、右手側の山筋に他に登っているハイカーたちの
ヘッデンの明かりがチラチラと見えること。
おそらくロックガーデン中央尾根はたくさんの人が登っているようだ。
そうして、どのくらいの時間かわからないがとりあえず蛙岩まで到達。


↓蛙岩から魚屋道


ここから先は偵察済みなのでちょっとひと段落。
風がものすごく吹き付けてくる。
ここから魚屋道へ入り、道は穏やかになり、さらにペースを速めていく。
保久良神社へのルートとの分岐で、
そちら方面から来た年配5人組に出くわしご挨拶。
ここで心配箇所は無事にクリアです。
しばらく進んで6:20ごろに風吹岩に到達。
すでに到着しているたくさんの人(おそらく3,40人くらい?)でにぎわっている。
まだ眼下に広がる街は薄暗いが、その上空には分厚い雲があり、
さらにその上の空はそろそろ白み始めている。
朝焼けショーはいざ始まるとあっという間なので、
いっそここで朝日を迎えようかとも思ったが、さすがに人が多く落ち着かないのと、
意外と展望が限られるので、やはりここは大急ぎで黒岩へ向かう。


↓風吹岩はこんな時間でも大混雑…


魚屋道をさらにズンドコ進み、横池の先で右へと入っていき。
が、そこからなかみ山への取りつきが全然わからず、
間違って、水飲み場のほうへと進んでしまう。
このまま進むと荒地山堰堤のほうへ出てしまい、
大きく時間をロストしてしまうので
大慌てで引き換えし、暗闇の中どうにかルートを見つけ出して登っていく。
荒地山の付近は地表が軽く凍結していて、
木々や葉っぱの上にもうっすら白いものがあった。
そうしてどうにか6:50には黒岩に到着。
どうにか日の出には間に合いました。
本当ならもう30分早く着いて夜景を楽しみたかったなあ。
黒岩の先にある岩の上には先客の5,6人のパーティーがいたので
そちらへはお邪魔せずに黒岩の下でその時を待ちます。
風吹岩はこちらから見てもたくさんの人で、
ウラ風吹も結構な人がいるようでした。


↓黒岩とうちゃこ


↓前黒岩には先客


黒岩の場所は山の先端に突き出た場所なので、
風の影響をモロに受けるのだが、
すさまじい風が吹き付けて非常に寒い!
ここまでハイピッチで歩いてきたため熱々で、
それを見込んで薄着で登ってきたので、
大慌てで着込みます。とにかく寒すぎる〜。
あまりの寒さに携帯の電源が落ちて使い物にならなくなってしまいました。
いったん落ち着いてからカメラの準備。
三脚も持ってきていたのだが足場の悪いこの場所で、
これだけの強風だとほとんど意味をなさないし、
転倒の恐れがあるので結局使わず。
街へと見やると、そろそろ薄い光を浴びて街が新しい年を始めようとしていた。
大阪湾をぐるっと取り囲むようにして立ち並ぶビルや家々がクリアに見える。
アベノハルカスもはるか向こうに見えている。


↓目覚める街。遠くにアベノハルカスも見える


日の出時刻は7時をちょっと過ぎたころだが、
生駒山系の山の背丈の倍ほどの高さまで分厚い雲が居座っているため、
太陽が顔を出すのにはもう少し時間がかかった。
雲と青空の境目が徐々に金色に輝き始め、
まるで光によって空がバリバリと裂け始めるかのようにして、
初日の出が始まった。
太陽はどんどん勢いを増して、あっという間に世界に光を満たし始める。
自分はただそれに見とれるしかなかった。
新しい朝、新しい年。
持参した魔法瓶のコーヒーで祝福。


↓いよいよ日の出


↓新年にカンパイ!


素晴らしい朝焼けショーを堪能して、帰路につきます。
さすがにまる一日元旦遊びほうけるわけにもいかないので本日の山行はこれにて終了。
下山は、C-5へと降りてから、キャッスル脇を抜けて高座の滝へ。
いつもと逆回りになりました。
今日はちょっと特別なので、
お祝いにと滝の茶屋でおぜんざいをいただいて帰りました。


↓滝の茶屋でおぜんざい


時刻は8:30。
いつもならこれから登山を開始するハイカーでごった返すはずの道は、
下山客であふれていました。
9:30に帰宅するとちょうど夜更かしをした家族が起きたところで、
ジャストタイミングで山行終了。
今年も無理なく事故なくたくさんのお山に登って行こうと思います。