記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

かけこみスノーハイク at 入笠山

日曜日。実に1か月以上ぶりにお山に。
もう近畿の山々は雪もずいぶんなくなってしまい、
せっかく買ったスノーシューの出番はなさそう。
これはちょっくら遠征しかないなあと、
日帰りで行って帰れそうなお山をあれこれ探して、
諏訪方面、八ヶ岳のお向かいにある入笠山へ。
ここは雪山超入門編のお山として有名。


4時起きでいそいそと支度。
荷物になるのでスノーシューを持っていこうかどうか随分悩んだが
もう雪もほとんど期待できないかなあと思いつつももっていくことにした。
5時に出発。
中津駅から地下鉄で新大阪駅へ向かい、
6:03発ののぞみ号に乗り込む。
出発してほどなく、東の空から真ん丸の朝日が昇ってきました。


↓日の出


6:51に名古屋駅に到着し、大急ぎで乗り換え。
7:00ちょうど発のワイドビューしなのに乗り込む。
徐々に山間に入っていくのだが、
周囲の山を見渡しても全然雪の気配がなく、
こりゃあ目論見が外れちゃったかなとがっくり。
これは荷物になるだけなのでロッカーに預けるかとか色々考える。
すると徐々に北上するにつれて山の上部がうっすら白くなってきた。
ちょっと一安心!?
塩尻駅8:57到着。9:00にはあずさ号が出発してしまうので
ダッシュして大急ぎで乗り換え。
そうして9:30に富士見駅に到着。


富士見駅から。左手の山が本日の目的地


富士見駅からお目当ての入笠山方面を見やると、
スキー場のゲレンデが真っ白でこれはどうにかスノーハイクできそうな予感。
スキー場の無料送迎バスが10時出発なのでそれまで
何もない駅前で時間を過ごす。


↓送迎バスを利用


定刻通りバスは出発し、10分ほど揺られて、
富士見パノラマリゾートに到着。
駐車場は多くのスキーヤーやスノボの人達で結構賑わっておりました。
入り口で登山者用のゴンドラ往復券を購入し中へ。
ゲレンデはいかにも冬のリゾートといった感じで、色めき立っていて
その脇を静かに山武装で歩き、ゴンドラ乗り場へ。


↓富士見パノラマリゾート


↓ゲレンデ


10分ほどゴンドラに揺られて山上に到着すると、
ハイキングには十分な雪が一面に残っていて、
早速スノーシューを装着し10:45出発!
ゴンドラ駅の脇にハイキングコースの入り口を見つけてそこからスタート。


↓山上のハイキングコース入口


最初は幅広のよく整備された道をずんずんすすみます。
よく踏み固められていてツボ足でも十分歩けるのだけど、
せっかくもってきたし、スノーシューのザクザクいう音を響かせて歩きます。
徐々に周囲が雑木林に囲まれてきますが、
標識が下の写真くらいまで埋まっているということは
それなりに雪が積もっているということでしょう。


↓標識がここまで埋まってます


↓雪景色


5分ほど道を歩いたら、標識があり、
雑木林の奥に広がる湿原へと分け入っていきます。
しばらく林を抜けると、夏場は沼地が広がっているであろう広場に出ます。
どこもかしこも真っ白。
日差しが刺さるので、ここでゴーグルを装着していきます。
風もほとんどなく、日差しがポカポカなのでとにかく暑い!


↓入笠湿原へ


↓白銀


↓ちょいと記念撮影


湿原を突っ切ると、再び整備された道に出て、
そこからさらに10分ほど歩くと、マナスル山荘に到着。
山バッヂを2種類購入します。
山頂はこのすぐ左手へ向かいます。


マナスル山荘


↓山頂への起点


ここから少し斜度が上がり、えっほえっほと上っていきます。
ここは新宿から2.5時間ほどでアクセス可能で、
ゴンドラで山上まで上がり、整備された登山道があり、
途中に小屋も営業しているということで、
ビギナー向けで非常に人気があるため、
この日もたくさんの人が上っておられました。
さすがに斜度が上がってくるとなかなかヒーハー。
夏道と比べてもやっぱり多少負荷がかかるので、
無理せずマイペースで進みます。
途中から日差しがどんどん強くなり、
あれだけ締まっていた雪も徐々に表面が解けて、
ネチャネチャと足元にまとわりつき始めるので歩きづらい。
そうして最後の急坂に突入します。
小回りの利きづらいスノーシューをどうにかこうにか取り回して、
11:20に標高1955mの入笠山に到着。


↓最後の激坂


↓あの先が頂上


↓標高1955m、入笠山


山頂はなだらかで広く、たくさんの人が憩っておられます。
残念ながら標識の周辺はすでに雪が吹き飛んで岩場がむき出しになっておりました。
ここは赤石山脈の一番北端部分にあたり(ただ南アルプスには含まれない)、
好展望地としても知られています。
富士見というくらいなので天気がいい日は富士山が見え、
また北アルプスの山々も望めるはずなのだが
この日は天気はよい反面、風もなく春霞が濃く停滞してしまって
ちょっと残念な眺望でした。
やっぱりもっと寒い時期で雪もたっぷりある真冬に来るべきでした。
それでも真正面には八ヶ岳がドーンと対峙して迫力満点。
南側にはうっすらではあるが南アルプスの山々が連なるのが見える。
うーっすらと仙丈ヶ岳が白をまとったおおらかなカールを広げ、
その手前に、猫耳のようなのが、超難関の鋸岳、
そして正面に堂々たるは甲斐駒ケ岳である。
その左に穏やかに連なるのが鳳凰三山の北の端。


八ヶ岳が真正面


南アルプスも丸見え


↓右の二つ耳が鋸岳、中央の山塊が甲斐駒、左が鳳凰三山


とりあえずお約束の記念撮影を済ませて、
小腹がすいたのでラーメンをこしらえてズズズ。やっぱ好きゃねん。
たくさんのハイカーが入れ代わり立ち代わりにやってきて大賑わいを見せます。
その中でなにかの団体さんがやってきて、
ガイドさんらしき人があれこれうんちくを話し始めるのですが、
南側の山並みを見て、いい加減なガイドをし始めるのが聞くに堪えない。
あれが、北岳であれが間ノ岳でとか言い始めるのだが、
どう考えたって北側にあるこの山から、
南北に連なるその二座が同時に見えるはずもない。
もっと厳密に言えば、立地の関係上、甲斐駒がそびえている以上、
北岳はその陰に隠れてしまっているはず。
入笠山の標識のところにある円盤にも北岳など書いていない。
どうも話を聞いていると、甲斐駒を北岳と見間違った上に、
鳳凰三山間ノ岳と勘違いしているらしい。
山座同定すらできない(しかもここは結構簡単なのに)ガイドなんてちょっとどうなの!?
このツアーに参加する人はもれなく間違った知識を覚えていくんだろうなあ。
間違いを指摘してあげた方がいいかと思ったが、
まあええかと放っておく。
ガイドさんには素晴らしい方ももちろんたくさんいらっしゃいますが、
ピンキリなのは正直否めませんね。


↓お約束の山頂シェ〜


↓山頂ランチ


1時間ほど山上に留まってあれこれ写真を撮っていたのだが、
白いスクリーンは全く晴れることがなさそうだったのであきらめて
12:30下山開始。
帰りの送迎バスは15時発なのでまだ時間があるのだけど、
あの距離なら駅まで歩けないこともないし、
この次のミッションがあるので、急ぎます。
途中、脇へ逸れて、誰も歩いていないところでズボズボ遊んだり。


↓ズボズボ歩くよ


そういえば、この山は非常に犬連れもハイカーが多かった。
山頂でも10匹ほどさまざまな種類のワンちゃんがいたし、
道中もたくさんの犬が必死で上ってました。
自分も今まで犬を飼っていましたが、正直犬連れの山登りは大反対です。
マナーの問題とかもあるけど、
一番は登山は犬にとっては負担でしかないのであって、
飼い主の勝手な独りよがりでしかないからです。
確かに、家族の一員として留守にさせるより、
一緒に外遊びしたいという気持ちはわかります。
でも、元々山岳で生活していた狩猟犬などはともかく、
室内犬や愛玩用に品種改良されてきた犬にとっては、
斜面というのは腰にかなりの負担をかけることになります。
ただでさえ犬はヘルニアになりやすく、
ヘルニアにかかると腎臓を悪くしてしまいます。
腎臓の寿命が犬の寿命と言われるほど、腎臓はとても大切な臓器で、
犬の登山は、犬の寿命を短くする危険がかなり高いのです。
登山ではありませんが、自宅の急な階段の上り下りが負担となって、
学生時代に大好きだった犬が若くして死んでしまいました。
山で犬に出くわすとどうしてもそれを思い出してしまいます。


↓犬の足跡だらけ


来た道をそのまま下って、約3.5時間の山行終了。
ゴンドラに乗り込んで下山します。
下りのゴンドラは当然ガラ空きで、
ここから真正面の八ヶ岳をバシバシ撮る。
眺望もそれなりに楽しめたし、雪もどうにか間に合ったし、
なにより久々のお山歩きはやっぱり楽しかったですなあ。


↓ゴンドラより


↓スキー場は大賑わい


下山して、スキー場の入り口に到着したのが13:45。
ここで時間つぶしもアレだし、山行も運動量としては物足りなかったので
駅まで5kmほど歩きます。
スノーシューを抱えてテクテク40分ほど歩いて富士見駅に到着したのが14:20。
次の新宿行きの特急が14:29ということで、
予定していた列車より1本早いのに間に合いました。
しかし!
なんと指定は全席売り切れで、
しかも諏訪駅の時点で自由席の乗車率120%とのアナウンス。
新宿まで2.5時間もデッキでスタンディング…マジか…
ということで、次なるミッション(山じゃないけど山よりハード)に向けて
過酷な滑り出し。