記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

裸の王様

日本代表テストマッチ。相手はイングランド
結果から言うと、代表選手は皆よく頑張ったと思う。
こないだの韓国戦を見てないので比較はできないけど、
相手のイングランドが序盤本調子じゃなかったけど、
それでも久々にゲームメーク出来てたと思う。
後半大久保OUTまでは合格点をあげたい。
今日のスタメンメンバーは一応目処が立ったのではないかと思う。
何より今日の主役は阿部。
守備に長けた阿部が1枚入ることで、飛び出し不在の闘莉王
歳を追うごとに不安定さを露呈している中澤のバックアップとして機能して見ていて安心だった。
阿部の存在は攻撃にも好影響だった。遠藤、長谷部がいつもの位置よりも前で仕事できた。
前線に近い位置でパスがつながることで何度も好機を演出できてた。
長友も何度がいい上がりもあり、後半体を張ったディフェンスは強さを感じた。
大久保も素晴らしかった。闘志むき出しのプレー(ちょっとラフが怖いが…)で前を引っ張り、
溜めてはたいて、走って、中盤から前線にかけての楔として躍動していた。
そして影の主役は実は今野。
後述するが、孤立し全く仕事せず、ピッチにいないかのようにあしらわれ
結局ボールを求めて仕事場を放棄した本田。2人分右サイドを守りきった。
スピードのあるレノンに仕事させず、
どちらかというと左サイド気味で展開していたルーニーにもマッチアップ。
阿部のアシストも受けながら、完ぺきに仕事を遂行した。
内田では若っ気がはやってここまで自分を殺して守備に専念しないだろうし、
フルでは持たない。
GK川島は、まるで往年の川口が乗り移ったような鬼迫だった。
あのPKの場面でも、ランパートが蹴る前の形相見て絶対止めるとわかるくらいだった。
本人にとってもすごく自信になったと思う。誇っていい。


もちろんいい所ばかりではない。最悪の仕事をしたのは本田。
彼は裸の王様だ。
前半、彼は完全に孤立していた。遠藤からも長谷部からも、大久保からもパスがこない。
正直言って信用されてないんだろうなと画面から見てもわかるくらいだ。
実際そうだろう。チームに全くなじんでない。なじもうとしてない。
そもそもポジショニングがお粗末。
そこでパスを待ってて、ボールが来たとして次どうするというのが見えない位置。
自慢のドリブルで切り込むか、それとも得意のミドルを放つか?
それはこのチームの根本的なスタイルではない。
それでも同じスタイルの松井にはパスが来る。
この力ではなく組織力を掲げるチームにあっては、
強烈な個性よりも、チームワーク、相性、あうんの呼吸の方が大事だ。
強烈な個の力と言ってもルーニーや、C・ロナウドならいざ知らず、
本田だ。パク・チソンにすら及ばない。
所詮最近代表入りしたビッグマウスとしてしか相手されていないのだろう。
つまり信用されていない。そこが中田との決定的な違いだろう。
中田も松井も自ら歩み寄りをし、プレースタイルさえもチームとともに変わっていった。
本田にその懐の深さはあるのか、それともだたの若造で終わるのか。
そして後半、ボールを求めて前半以上に中央、逆サイドへと動いていったが
全く前を向いたプレーがない。
相手のプレッシャーがとりわけ本田に対して強かったとは思わない。
むしろ大久保や遠藤の方が厳しかった。
それに個の力を声高に言うなら、そもそもそれは言い訳にできない。
つまり本田はゲームメークもできず、スタンドプレーを発揮する機会も与えられない裸の王様だ。
いやいや、この敗戦は俺のせいなどと、仕事もしてないのにヒーローぶらなくてもいい。
ただ自分が代表選手としては能力に劣ると認めてくれればいい。
そして今野と阿部に感謝すればよい。
左サイドは十分目処がったった。あとは逆、右サイドだ。
そして岡田監督が俊輔を本番で使う場合のバランスの崩壊。
俊輔は遠藤とどっちか調子のいい方を使うという使い方でいいと思う。
あるいは前後半で使い分ける。
本当はフランス大会でカズを切った時のように、俊輔のコンディション次第では切る勇気がほしい。
本田についてもしかり。
結論としてやっぱり後半運動量が落ちてから本田を投入した方が、
相手にとっても脅威だし、結果本人にとってもいいと思う。
今日はその役目として玉田の交代だったが、パンチがない。


とはいえ今日は悪い面より、むしろ安どする面が多く見られてよかったと思う。
ただし敗戦は敗戦。しかもスコア上1-2だが、
忘れてはいけないのは、実は1-3のボロ負けということ。
GK川島のPKファインセーブで救われただけで、次回は同じオマケはない。
そしてドイツW杯のオーストラリア戦から4年間課題だったはずの後半25分の戦い方。
その最大の問題点が今回も全く修正されていないことをもっと深刻に考えるべきだ。
序盤、遠藤・長谷部を起点に、長友の上がり、大久保のタメが出来ていたが、
後半はほとんど防戦一方で岡崎が孤立していた。
大久保に代えて松井を入れた頃から運動量が落ちて前線からプレッシャーをかけられなくなった。
それまで我慢に我慢を重ねていたのがずるずると後退していき、
結局このところお決まりのパターンに陥ってた。
2度のオウンゴールも、バックパスを拾われ、スピードで置き去りにされたあげく
マークが中途半端になったところをやられている。
これは交代枠の使い方も含めて、本番までに修正すべき。
それでも、今日はまだわずかながら日の差すゲームだった。


余談
中継見てて面白かったのが、スタンドが映ったときに
なぜか空耳ストの安斎さんがいたこと。あの人サッカー興味あんのん?