記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ROAD TO 天橋立 復路編

さあ、無事に目的地である天橋立にやってきました。
時刻は13:30です。
のんびり観光と言うほどの余裕はないですが、天橋立を走り抜けて帰ります。
海にかかった2.5kmの天然の橋をのんびりと進みます。
ですが、路面は未舗装なのと、西からの激しい横風でなかなかシビアな状況…
観光客の数も多く、慎重に進んでいきます。
不思議なことに、西側の阿蘇海の海面は強風の影響で荒波が立っているのに対して、
反対側の宮津湾のほうはいたって穏やかに水をたたえていてなかなか面白い。
きっと、橋立に立ち並ぶ松林の影響でしょう。
途中で、海水浴場のところで一旦停止して記念撮影し、
再び走りだして、文殊地区に到達。
「3人寄れば文殊の知恵」の文殊です。今日は4人の知恵を合わせますヨ!


天橋立走行中


ここで、一度きちんとお店に入って休憩がてら昼食をしようということになり、
土産物が集まるエリアでお店をいくつか物色し、
一番チャリンコが置くのに適したお店をチョイスしてイン。
店内が意外と暑くてまいった。
猫娘みたいなお姉さんが気を利かせてたくさん水を置いて行ってくれたのでがぶ飲み。
せっかくなら海鮮ものかなあと見るが大したものはなく、
とりあえずサバ味噌定食を注文します。
がつがつ食べて、ごちそうさまをしたら、いざ大阪へ帰ります!


↓サバ味噌定食


府道2号を南下して、途中からR176に入ります。
宮津市街はさすがに交通量が多く、慎重に路肩を走行します。
浜町を直進し、R176でぐるっと宮津湾をなぞるように進みますが、
北進に転じ、西側が海というロケーションになると、
さっきの横風が再び襲来しちょっと難儀。
獅子崎口から短い上り区間に入り、えっちらおっちら上ると
栗田トンネルが口を開けている。
600mほどの長さをかっ飛ばして抜けるが、幸い後ろから車が来ずラッキー。
そのまま栗田湾の方へと下っていき、
そこから由良川の河口までの4,5kmは爽快なシーサイドライン
日本海の澄みきったブルーの海は最高のご褒美ですな。
瀬戸内生まれのドルクス君はなんと日本海を見るのは初めてらしく、
その水のきれいさに感動&びっくりしておりました。
この奈貝海岸の中ほどにある待機所で一旦停止をして写真撮影タイムです。


↓奈貝海岸の爽快シーサイドロード♪


↓丹後由良


それぞれ写真を撮ったら、リスタートします。
少し下り基調で丹後由良の集落へと入り、海水浴場を横目に東へ。
なかなか風情のある港町です。
道は幅広の由良川にぶつかって南進に転じ、ほどなくして線路をくぐります。
ちょうど味のある赤い由良川の鉄橋のところです。
ここからはド平坦で、由良川と並行しながらひたすらに南下します。
ちょうど追い風モードなので、それに乗って先頭を曳き、35kmオーバーで稼ぎます。
あまりの暑さと追い風と言えどそこそこ強度を上げて進んできたこともあり、
喉がカラカラ。あいにくボトルの水を使い果たしてしまったので、一旦補給をリクエスト。
どこか自販機でショートストップでよかったのだが、
ちょうど目の前にあやしいドライブインを発見し、そこへ飛び込みます。
年代物のゲーム機の並ぶゲーセンといくつもの自販機が並んでいて、
欽明路名物の自販機コーナーに負けず劣らずのあやしさ全開です。
うどんの自販機も漏れなくありましたです。
とりあえず水分補給とボトルの水の追加を済ませます。
暑がりのドルクス君はここでミネラルウォーターで行水をしておりました。
冷たそうだけど、あれやっちゃうとあとで蒸して暑くなるんだよなあとhideさんと語る。
でもやりたい気持ちはわかる!
それにしてもドルクス君を見ていると、
自転車を始めたばっかりのぱしゃ君を思い起こさせるなあ。


ドライブインダルマ


↓ドルクス君行水中


10分もたたずにリスタートをして発進。
相変わらずボーナスタイムなので、引き続き35km以上で曳き続けます。
大したアップダウンも全くなく、快調に飛ばして八田まで来て、
いよいよ運命の分かれ道です
当初の予定では、ここで左折をし、短い念仏峠の上りをちょいとこなして西舞鶴へ出て、
大手で右折をして、R27で山間部を越えて綾部に出る作戦。
こちらのルートは川を遡上するルートではなく、完全に一度山を越えないければならない。
一方、このまま由良川を遡上して、一旦福知山へ戻り、そこから綾部に向かうこともできる。
こちらは大河に任せて続く道なので、ほぼド平坦。
しかも今の状況だと全行程とまでは行かずとも大部分で追い風ボーナスが得られそう。
ただし、見立てでは、こちらのコースの方が当初プランよりも約16,7km距離が延びる。
どちらのコースも走ったことがないので、どちらがベターか悩むが、
後半の体力に不安のあるドルクス君や、暑さに苦しんでいるhideさんを考えると、
距離が延びても上りのない後者の平坦コースの方がよいのではないかと提案。
みなと相談の上そちらをチョイスすることにしました。
ということで、R175を直進して進みます。
しばらく進んで京都縦貫道をくぐり、その先で上りが発生していたのだが、
そのすぐ左脇に、旧道と思わしき道を発見し、慌てて合図して左折し、そちらへ。
やはり思った通り旧道で、新道よりも上らずに済み、しかも交通量は皆無。
おまけに、地頭トンネルを回避できてラッキーでした。
ここからは満を持してtrekyさんが先頭に上がって曳いてくれます。
何気に天橋立から曳きっぱなしだったのと、
さっきの休憩所で水分だけ獲って補給をしなかったため、
ペースは先ほどとそれほど変わらないのに、番手を代わってもらってからタレ始めます。
もう1つ番手を下げてhideさんの背後に回って回復しつつ進みます。
が、なかなかどうしてお疲れゾーンに入ってしまったようで、
大江の手前で少しずつ遅れ気味に…。
次の小上りの手前の信号を左折し、宮津街道へ。
そこのちょっとした上りでドルクス君にもパスされて、遅れてしまいます…
上りきって踏ん張って合流し、遅れまじ!とtrekyさんの背後に着く。
大江高校前で再びR175に復帰。ここもトンネルを1つ回避できました。
hideさんからちょうどいいタイミングでコンビニ休憩のリクエスト。助かった〜。
KTRの線路をくぐって、しばらく進むと道の反対にファミマを発見しインします。
時刻は15:30。
さっきの休憩所でブレイクしてわずか20kmしか走っていませんが、
まあまだ先は長いので、休みます。
一旦お疲れゾーンに入ってしまっても、そこを抜けると一気にハイになるので
ここが我慢のしどころなのだが、そのゾーンを手っ取り早く抜けるために、
ロキソニンレッドブルドーピングいっときました。
レッドブル飲んだの初めてでした。
あとはカロリー高めの甘い系をしこたま腹に詰めてなんとか復活します。
みなちょっとずつですが消耗の色が濃くなってきたようです。
予想外の暑さも原因ですが、なにより天橋立遠いわ〜。


↓初レッドブル注入


とりあえず、補給をして休憩を済ませてリスタートです。
当初プランから若干遅れ気味なうえに、当初コースを外れて距離が延びているので、
グズグズできません。
リスタート後、引き続きtrekyさんの曳きで35kmオーバーで南下します。
しばらくして、下天津の交差点を通過。往路のルートに戻ってきました。
この辺からにわかに交通量が増えてくるため、重々注意しながら進んでいきます。
先頭のtrekyさんに曲がりどころをレクチャーして、往路と同じ道へと左折。
由良川に沿って南下をつづけます。
途中のわずかな上り区間でドルクス君が遅れてしまい、
けっぱれけっぱれと檄を飛ばす。どうにか合流して先へ進む。
そうしていると和久川のところから車の大渋滞が発生。
そこを低速で縫い縫いしながら橋を渡っていると、
ドルクス君が突然チェーンを落としてしまう。
とりあえず端の部分が一番道幅が狭いので、みな慌てて渡って川の土手にエスケープ。
が、ドルクス君は橋の上で、その場でチェーンを直そうとして、
ドライバーさんたちからクラクションならされているので、
慌てて「修理はいいからとりあえずこっちへ!歩いてこい!」呼ぶ。
ああいうシチュエーションでは修理よりもまず安全な場所へ避難するのが定石です。
橋のたもとでマシンを見ると、ギアがイン側に落ちて引っかかっているので、
手でゆっくりとはずして、問題なくリペア。
そこから花水木通りまで300mほどは狭い狭い渋滞の列をどうにか抜ける。
このまま福知山市街へ入ってしまうと、ひたすら渋滞に巻き込まれてしまうので回避します。
そのまま交差点を左折して、由良川を渡り、中交差点で右折して府道55号を走る。
こちらはひたすら田園地帯が広がっているところで交通量はググッと減ります。
対岸には福知山城の姿がはっきりと見えます。


↓福知山を高速通過中〜。hideさん青春の顔してますな〜


音無瀬橋のところから少し由良川の土手道に入り、一旦ブレイク。
背中から金色の光を浴びながら、しばしのどかな風景を楽しみます。
次の橋のところで土手道は終了。そのまま対岸へと渡ります。
渡りきったら、幅広の広域農道がずど−んと綾部まで導いてくれます。
軽い追い風を受けながら先頭に立って35kmペースで曳きます。
ドーピングが効いてきたのか、それともゾーンを抜けたためか、
福知山を抜けてから一転して快調快調ご開帳♪
そろそろ日没のことを念頭に置かねばならないのでとにかく曳けるだけ曳きます。
農道だけあって、トラクターなどが持ち運んだ泥の塊がボトボトと落ちているので
それを避けつつもペースを落とさず36,7kmでまとめて駆け抜けます。
その道を以久田橋のところで右折し、府道8号へと入ります。
こちらは幹線道路なので一気に交通量が増します。
この後、綾部を後にしたら、和知までは一切補給ポイントがない空白区間を走るので
念のためということで綾部駅前のファミマにインしてしっかりと補給を取ることにします。
時刻は17:30。遠回りをしましたが、追い風も手伝って、高速で回してきた成果で、
遅れを取り戻して予定ぴったりのタイムスケジュールになりました。
コース迂回のギャンブル成功です。
まだまだ日は高いですが、あまりグズグズしていられません。
できるならわかりにくい胡麻の裏道までは明るいうちに抜けておきたいところです。
が、220kmほどを走ってきて、そろそろみな疲労してきているようです。
さすがのtrekyさんもちょっと疲れが出てきている様子。
hideさんもサーファー並みに黒く焼けていっぱいいっぱい。
予想外にドルクス君は元気になってた感じだが、
出発前にろくに寝ていないらしく、疲れよりも眠気がしんどいそう。
とりあえずここから若干アップダウンのコースになるので、
しっかり補給して体を休めます。


綾部駅


リスタートしたら、ここから下山までは、
由良川沿いに、旧道を進んでのプチ山岳コース。
まずは府道8号をはずれ、本町から街並みを縫う裏道へ。
こんなところの踏切で足止めを食らい、特急が行き過ぎるのを待つ。
線路を渡りきって、由良川沿いに進む府道450号に入る。
この道は交通量もなく、ほどよいアップダウンが続く道で、
自分の中ではかなり好きな道です。
夕暮れがせまるなか、そこそこのペースで進んでいきます。
新綾部大橋の下をくぐり、山陰本線を再び踏切でまたいだら、
少しずつアップダウンが始まります。
ここもペースを保って進みますが、上りの苦手なドルクス君は少し遅れがち。
ついで序盤に消耗したhideさんもなかなか苦しい表情です。
それでもここでタレたら後に響くということをみなわかっていて、
ここが正念場とみな必死で回します。
山家を過ぎると、前方、対岸に京都縦貫道が姿を現します。
この和知〜丹波までの区間が未開通区間となっているのだが、2年後にはつながる予定。
そうすると下道はさらに交通量が減るので走りやすくなるはず。
立木駅の先で、JRをもう一度またぐのだが、そこは短いながら激坂。
こちとらアウター縛りなんで勢いつけて一気に上ってしまいます。
そこで後ろが遅れ気味なので、上りきったところで後続を待ってリスタート。
しばらく進んで、府道59号に従って、R27に入る。
しばし幹線道路伝いでペースを上げて、道の駅和までは駆けていく。
R27はこの先長い和知トンネルが待ち受けているので、
道の駅の裏から川の対岸を進む府道59号に入って、川の流れに沿って和知の集落を抜ける。
この辺でみんなの様子を確認したら、ちょっと疲労感がすさまじい感じ。
予定では胡麻のゾンネで休憩をと思っていたが、そこまで引っ張れなそうなので、
断念して手前のコンビニで一度しっかり補給をしたほうがよいと判断します。
R27に合流したら、少しばかり緩い上り基調で2kmほど進み、
美山との分岐点である、市場交差点に19:00着。
道の反対側にあるローソンに入ります。


ここでみながっつりと晩ご飯代わりに、まとまった補給を取ります。
自分はカルボナーラとマンゴーゼリー、それからレッドブルドーピング。
そろそろ日も傾いて、夜の帳が下りようとしてきました。
なので、立ち止まって食事を外でしていると、風が強いこともあって、
みるみる体温が奪われて、寒さを感じるようになってきました。
ゆっくり休憩するつもりが、グズグズしているとどんどん体力を奪われてしまう。
とにかく寒い寒いということになって、大急ぎで飯をかきこんでリスタートします。


↓和知にて休憩


リスタートして、引き続きR27を進みます。
この区間だけ高速が未開通ということもあって、
非常に交通量が多く、慎重に進んでいきます。
若干の上り基調をぐいぐい進み、下山BPに入る。
BPはまだ新しい道なので、路肩も十分あり走りやすくなるが
斜度が一気にアップする。
上りきったら高架道となり、JRをまたぐ。
このまま南下してR9と合流すると交通量が多い区間になってしまうため、
それを避けるために胡麻方面へとエスケープする必要がある。
そこで、サンダイコーのところで左折して、農道に入る。
この裏道は以前に使ったのだが、どうも曲がりどころが不安だった。
まだ周囲が確認できる程度に明るいうちに、分岐に達して一安心です。
曲がって、細く暗い農道を進みますが、ちょっと不安。
すると、「胡麻方面」と小さい標識を見つけてやっぱり合っていたと胸をなでおろす。
そこからは高台に造られた一大ファーム&酪農場の間を走ります。
馬糞の匂いがちょいと臭いけど、昼間走ればっても牧歌的でいい道です。
周囲はもうすっかり暗くなってきました。いよいよナイトランに突入です。
ウネウネと農道を縫って、胡麻の駅前に到達したのが20時過ぎ。
ここからは下り基調の快走道で一路亀岡を目指します。
山陰本線と並行して走る府道50号に入り、
若干の下りということもあって35kmオーバーで順調にペースをキープしていきます。
この頃から、最後尾ドルクス君から頻繁に後方からの車情報が発せられる。
確かに暗くなってきたので、声掛けは重要だし、
とくにデカイ車が後方から迫っているというアナウンスはありがたいのだが、
ちょっと頻繁すぎやしないか?と内心感じ始める。
後方を気にしすぎると前方不注意になるし、
肝心な前からの合図の声が時折被ってしまうためだ。
次のストップのときにでも、そんなに合図はいらないと言おうとこの時思っていたのだが、
次の休憩のときにそれを言うのを忘れてしまったのがのちの事故への反省。


さて、一行は35〜8km程度のアベをキープしつつ、ひたすらに亀岡を目指す。
快適な下り基調の道を突っ走って日吉を通過し、殿田トンネルを抜けたら、
日吉スプリングのところのT字路に到達。
そこからしばらくは桂川の流れに沿って真っ暗な山間部を進む。
どうにか最暗部をぬけ、船岡で府道19号から25号へスイッチ。
途中で、学生がチャリンコで道幅いっぱい広がっているのを回避して、引き続き高速巡航。
この道も若干の下り基調で、交通量は皆無で走りやすい。
ただ、八木町に田園地帯を突っ切る道なので外灯が乏しく、
できるだけセンターに近いところを選んで走る。
大堰橋のところで、分岐が複雑で府道25号が極端に折れているのに気付かず、
若干ーバーランの末に、軌道修正。
そこから斜めに突っ切って平の沢池に到達。ここで右折して府道405号に入り、
再び高速で南下を続ける。
宇津根橋で桂川を渡って、そのまま山陰本線も一緒にまたぐ。
R9にぶつかって信号待ち。
ここから先、どのルートを選択するにしろ山越えが発生するので
その前にちょっとお一服入れましょうとなりました。
わずかの間だけ、交通量の多いR9を進み、余部で裏道に右折。
そのまま生活道路を慎重に進んで、京都縦貫道をくぐり、犬飼川をまたいでから、
府道407号を少し南下して、定番の亀岡運動公園前のミニストップで休憩です。
胡麻でナイトランになってからなぜががぜん元気が出てきて
ここまで高速で曳き倒してきた甲斐があり、時刻は20:45頃でした。


せっかくのミニストップなのにあいにくイートインは終了してしまっていて外で補給。
自分は和知からまずまずの強度で曳きっぱなしだったこともあって、
ガス欠気味だったのだが、胃腸が弱ってきたためにあまり食べれなそうだったので、
マンゴーゼリーと、エナジージェル、それから寒いのでホットコーヒー。
みなそれぞれ休憩をしていたのだが、ドルクス君は大胆不敵にも、
外の駐車場で大の字になって仮眠を取っている。
全く事情を知らない人が通ったら、人が倒れてる!となる感じ。
みなそれをみて、苦笑と言うか軽く引く感じです。
みなドルクス君が相当に消耗をしてしまって、
もうさすがにヤバいという印象のようでしたが
自分はちょっと違いました。こいつなかなかロングライドわかってるなあと。
彼は前日興奮してなかなか眠れなかったことを告白していて、
時間帯的にも睡魔が徐々に厳しいはずでした。
それを他のメンバーに気を使って、大丈夫です!と遠慮するのではなく、
なんと大胆にもコンビニの前の地べたに寝転がって、ちゃんと仮眠&休息を取ったのです。
それはとても正しい判断だったし、それを人に言われてではなく自己判断でしたので
コイツはもうロングに関してはいっちょ前だと思いました。
実際問題、5分、10分でも仮眠を取るだけでも、相当に体力が回復します。
実際後で聞いたら、ここでしっかり仮眠したことで、
眠気が取れて復活したと本人も言っていましたし、
実際リスタート後の様子も気合が入っているように感じました。
初めて会った東京ライドの時にそれを口酸っぱく言っていて、
それをちゃんと覚えていて実践してくれているし、
何よりここまで300km走ってきて、タレることもなく帰ってきていたのでもう大丈夫だなと。
そういうことで他のメンバーには冗談にして茶化したのですが、他の2人は心配そうでした。
この時点で、むしろ、自分はこの時、昼間の暑さで消耗しきっていたhideさんの方が、
疲労度の意味では深刻なのではないかと心配していました。
これから暗い山に入って、しばらく上りが続くのですが、
ご本人も「もう無理せずインナーで回します」宣言するほどだったので、
できるだけhideさんをケアするようにと思っていました。


20分ほど休憩ののち、オーラスの上りをやっつけるため出動します。
ここから残り50km程度。最後まで気を抜かずに行くために、
リスタート前にもう一度簡単なミーティングをすべきだったなあと
今になって思いますが、その時はとりあえずあと山1つ越えればもう大丈夫、
できるだけみなを早く帰してあげたいという気持ちの方が先走っていました。
個人的にはすでに普段夜練で走ってきているエリアなので、
帰ってきた感が強いこともあり、ちょっとうかつだったのは確かです。
もう少し丁寧に入っていければよかったなあと反省をしています。
さて、ミニストップをあとにし、引き続き府道407号を南下します。
京都学園大学のところでR423をまたぎ、進行方向に構える山へと入っていきます。
川沿いに進み、興能神社のところ辺りから集落を抜けて、徐々に斜度が上がっていきます。
完全に山間部に入ると、もう真っ暗で、trekyさんも、hideさんもおっかなびっくり。
「こんなとこ1人で夜に絶対来ないなあ」などと言いつつ、進みます。
今日は4人なのでへっちゃらです!
そこそこ斜度が上がっても、みな早く暗いところを抜けたいのか、
なかなかのペースをキープしたまま上がります。
時折後方から車が上がってくるのだが、ドルクス君が最後尾になって合図をくれます。
どうやら後方からライトの明かりが来たらすぐに声掛けをしているようで、
合図があってからなかなか車が通り過ぎないのであんまり意味がないし、
合図がなくてもライトの加減や音でわかるので、
そんなに合図しなくてもいいのになあと思いつつ、
まあ彼もおんぶにだっこではなく、
後方合図という役割を発見したことで生き生きとしているし、
合図が多いからと言ってそんな支障はないだろうと思ってすスルーしてしまう。
今思えば、最後尾というのはなかなかどうして難しいポジションで、
集団走行に慣れていないドルクス君に任せるべきではなかった。
ようやく渓谷部分を抜け、東別院町の集落まで上りきった。
ピークまではあと少しだけ上り基調をこなすだけで、そこから東掛で府道46号に出てしまえば、
茨木までは交通量の少ない幅広の道でダウンヒル
もう疲労でペダルをこぐ力がわずかだったとしても自力で帰れるところまで来た。
いやもう、帰ってきたも同然でした。


厳しい上りはすでに終了しましたが、まだあとちょっと上っているし、
ちょうどこの集落の間、わずか2.5kmの区間だけ、
道幅が極端に狭くなっているので用心する。
ようやくわずかな上りも終了し、軽く左へとカーブしながら下りが始まる。
その時、ドルクス君の声で「トラック!」と合図があった。
こんな狭いところでめったに交通量もないのに、トラックかよ。
と、前方を確認すると、道がさらに狭くなる区間になっていて、
おまけに路肩の横は大きめの溝になっている。
トラックがどのくらいのサイズかわからないが、
トラックと言うだけにそこそこデカイはず。
ここは無理に狭い区間に突っ込んで、トラックにヒットしたり、
あるいは幅寄せされて溝にはまっては大変だし、
まだ道が広い状態のところで一旦停止をして、
先にトラックを行かせた方が危険を回避できると判断し、「ストップ!」と合図を送る。
と、しばらくして後方からドーンという音がして、
何事と振り返ったかしないかの瞬間にはすでに、
最後尾にいたはずのドルクス君が道のセンターを横転しながら滑っていった。
マシンが先行で横向きで、その真後ろをペダルから脚をはずした状態で
脚からスライディングするような格好でドルクス君が滑っていく。
まるで去年のけいはんなで見た落車事故さながらだった。
ただ目撃をしている瞬間は、ペダルから脚は抜けているし、
頭からではなく、右腕を下にしながらうまく受身を取れていると思った。
最後の最後、転倒の最後ストップする瞬間に
衝撃で首ががくんとなって後頭部を打ちつけた。
そうして、鉄柵の下に滑り込むような形でようやく体が停止した。
トラックはすぐに急停車したようで、彼の上をまたいでいくことなく、
車体の下に巻き込まれずに済んだ。
(気になる事故の直接的な原因や、状況については、
ぱしゃ君と現場検証に行ってきたのでまた別記事でお伝えしたいと思います。)


どういう訳かはわからなかったが、
間違いなく事故が起こってしまったというのはすぐにわかった。
動揺を抑えつつ、すぐにドルクス君のそばへと駆け寄る。
とりあえず意識があるかどうか確認しようと「大丈夫かっ?」と声をかけるのだが、
本人は大パニックに陥っていて、しばらくの間こちらの呼びかけに応じずに、
ひたすら自分の名前と生年月日を叫んでいる状態だった。
いざという事態に、そうすることと徹底されていたのだろうと思うが、
今思うとすごく立派なことだと思う。
「大丈夫。落ち着け!」と声をかけると少しずつパニックも収まり、
こちらの応答にこたえるようになった。
とりあえず、意識ははっきりしていて、ちゃんと会話できることは確認。
彼の体全体を見渡したが、特に出血しているような個所や、
不自然に折れ曲がっているような個所も見受けられない。
肘やひざなどは擦り傷があるが外傷的にはその程度。
ただ、ヘルメットを見ると後頭部のところがパカーンとひび割れをしている。
どの程度の衝撃だったかはわからないが頭を打っているのは間違いないので、
とりあえず体を動かさずに安静にする。
ちょうど砂利の上なので、体が痛くないようにして、
寒くないようにウィンブレをかけてやる。
その間もずっと話しかけて、動揺を抑えつつ、意識を保つようにする。
その間に、hideさんとtrekyさんは、救急と警察の手配をしてくれる。
トラックの兄ちゃんは何か迷惑そうに、
そっちが急に出てきてねぇ〜みたいなことをいうので
こいつ人が傷ついとんのにクソめと、心底腹が立ったのだが、
ドルクス君がパニくっている状態で、自分がカッとなって取り乱してはならないので、
できるだけ相手に近寄らないようにして、そちらはhideさんとtrekyさんに任せ、
とにかくドルクス君の側に寄り添って落ち着かせる。
あいにく山間部、しかも京都と大阪の県境という難儀なポイントだったせいで、
なかなか到着が遅かったが、じきに救急車が来てドルクス君を収容する。
マシンの方はというと、後輪が完全にくの字に変形して使い物にならない状態。
だが、フレームや前輪にはこれと言ってダメージはないようだった。
ということは完全に後ろからぶつけられたというのは間違いない。
ドルクス君が救急車で応急処置を受けている間に、残りの3人で話し合いをする。
話をすると、どうもストップをかけた時に、
ドルクス君は何らかの原因で停止が間に合わず、
1つ前にいたtrekyさんのリアに軽く接触したらしい。
おそらく、その接触した反動で道にはじき出されたか、
あるいはそれ以上の接触を避けてハンドルを切ったところに、トラックと接触をしたようだった。
なぜそうなったのか?合図が聞こえていなかったのか?
それとも合図が急すぎたのか?いっそ停止せずに行ってしまえばよかったのか?
色々自問しましたが、とりあえず今はドルクス君の体が優先である。
原因の追及はさておいて、今は現実的にこの後の動きをどうすべきかを話し合う。
ドルクス君を1人にはできないので、付き添いが必要になる。
自分が救急車に同乗することにしたのだが、そうすると自転車をどうすればよいか?
救急隊員さんや警察の方にお願いをして、結局2台分を載せていってもらうことになった。
他の2人は警察の現場検証のため現場にしばらく残っていただくことになった。
先導役の自分がいないので、ここから先のルートを走って下りれるか不安だったが、
東掛の信号を右折してあとはひたすら府道46号を下るだけなので、そう伝える。


病院は亀岡側ではなく、高槻側の病院まで下りてもらえることに決まり、
マシンを収容してもらい、一緒に乗り込んで救急車は発進します。
とにかくずっとドルクス君はパニック状態で、泣きじゃくりながら、
「みなさんに会えてよかったんですぅ〜。今日もうれしかったんですぅ〜」とか言うので、
おうおう、男が泣くな泣くな!と励まします。
今となっては格好のおちょくりネタですが(笑)
結構道がくねっているようであっちこっち揺れながら病院に到着。
ドルクス君は、頭を打っているので、レントゲンとCT検査へ。
所見診断では特に深刻なダメージはなく、入院の必要なしとのこと。
ただそうは言っても心配なので、ちょうど自分の奥さんが働いている系列の病院だったので、
ドルクス君の近所の同系列の病院の方に奥さん経由でかけあってもらう。
そうすれば、金額的にも融通できるし、信頼のおける先生もいるし、
何より平日そばにいてやれない間でも困ったことがあればうちの奥さんが常時そばにいれば
相談もできるし、何かあってもすぐ連絡が入る態勢が少なくとも1週間は確保できる。
本人もそのほうが安心するとのことだったので、
再び検査に行っている間に慌ただしく準備。
そのうち、hideさんとtreky現場検証から病院に駆けつけてきてくれました。
全部の診察が終わって、ようやく4人そろいました。
ただ時間を追うにつれて、ドルクス君のめまいのような症状がひどくなってきているようで、
これは自力で帰るのはやっぱり無理があるなということになり、
hideさんがもう一度掛けあってくれて一晩入院させてもらうことにしました。
結果的には、その方が本人も楽で一番よい判断だったと思います。
病室まで彼を送り届け、とりあえず解散します。
hideさんの提案で、みなライドの消耗と事故のショックもあって、
まともじゃない状況で今から自走で帰っては、また事故が起こりかねないので、
タクシーで帰りましょうということになり、マシンをバラしてタクシーにて3時前に帰宅。
翌日会社を休んで、退院につき合う。
一晩寝て、ライドの疲れと睡魔がなくなって随分と元気も戻ったようでした。
ムチウチの症状で、ふらつきがまだあるみたいだったが、なんとか電車で帰宅。
最寄りの駅まで心配してhideさんが半休を取って迎えに来てくれました。
その後、数日は、様子を見に行ったり、逐一連絡を入れて無事を確認するという日々。
しかし、結構インパクトのでかかった事故の割に、
むちうちだけで済んだのは本当にラッキーだった。


もう最後の最後のところで、楽しかった1日が崩れ去っていったのは本当に残念でした。
決して油断したつもりもなく、合図等々やるべきことはしっかりやったつもりなのですが
事故を発生させてしまったということは紛れもない事実で、
何がいけなかったのか、どうしたら防げるのか、しっかりと考えなくてはいけません。
思い返せば、ああすればよかった、こうすべきだったというのはいくつかあります。
事故について今一度しっかりと検証し、今後に生かすことこそ、
この事故の最大の教訓だと思っています。
一般の道を使う競技・スポーツ・遊びである以上、
事故のリスクというものは常につきまとう宿命です。
今回の一件について、いつまでもクヨクヨしていても、それは変わりようがない。
せっかく軽傷で済んだことです。
”深刻”に受け止めるのではなく”真剣”に受け止めるということでよいと思っています。