記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

前穂〜奥穂縦走

金曜日に夏休みをもらって、
2泊3日で前穂〜奥穂を縦走してきました。
これまで何度も訪れてきた北アルプスですが、
本丸である穂高岳にいよいよ。
事前リサーチで複数のお天気サイトとにらめっこだったが、
サイトごとに雨、晴れと正反対の予報で、
出発日をいつにするかかなり迷いましたが、
ドンピシャの読みで快晴でした。


前日、仕事もかねて高山入り。
もろもろ取材撮影を済ませて、上高地へ向かい、
1日目は河童橋にほど近い西糸屋山荘別館で一泊。
本当なら、山の中腹の岳沢小屋に泊まりたかったのだけど、
あそこはキャパが少なく、完全予約制。
週末は10月まですでにいっぱいのようで、
仕方なく麓からのアタック。


岳沢小屋までは10番までのナンバリングに沿って緩やかなのぼり。
そこから急登の重太郎新道。
わずかの距離で一気に900mも標高を稼ぐ急登は、
梯子あり岩場ありでなかなか骨の折れる道でした。
8合目にある紀美子平に荷物をデポして、
目指すは前穂のてっぺん。
このちょっとの区間がなかなかにハードで、スリリングでしたが
30分ほどで無事に登頂。
思った以上に広い山上からは、360度の大パノラマ!
眼前にそびえる奥穂高岳はもちろん、
北アの王様の槍ヶ岳もお出迎え。
しかも立山や後立山連邦まではるか遠くの山々までばっちりクリア。
すばらしいご褒美でした。


↓標高3090.2mの前穂高岳


↓ヤリホ〜


前穂の景色を堪能したら、
いよいよ今回のハイライトである吊尾根へ向かいます。
前穂と奥穂の間をつなぐ細い回廊で、
左手には岳沢、右手には涸沢カールを従える岩尾根です。
長野県が発表している山のグレーディング(難易度評価表)によれば
レベル7−Eに指定されている、
北アルプスの一般ルートではかなり難易度の高いコースです。
http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/gure-dexingu.html
穂高の屈強なフォルムと、
そこから伸びる見るからに危ういトレイルを見て、
一瞬ひるんでしまいますが、道自体はきちんと整備されていので、
高度なスキルを要する場面や、
極度に高度感を感じるような場所はありませんでした。
もちろん、片側は数百メートルすっぱりと切れ落ちた
緊張感の続く道であることは間違いはなく、
特に山肌にそって向こう側に回り込むようなところは、道が狭まるし、
山頂手前にある鎖場などは、万一のことが頭をよぎると
ちょっと冷や汗をかくような場面もありますが、
慎重に歩けばほとんど問題ありません。
ただしウェットコンディションだとかなりシビアだと思います。
加えて、雨や雷が来てしまうとエスケープ不可能なので、
夏の午後は避けて、早がけ必須です。


奥穂高岳へつづく吊尾根


↓吊尾根から振り返っての前穂


↓奥穂手前の難所へと向かう


↓岳沢の眼下に広がる上高地。奥には乗鞍岳御嶽山


2時間弱のスリリングな岩の道を楽しんで、
北アルプスの最高峰、標高3190mの奥穂高岳に登頂。
いやあ、ついに来ました!
ここからの眺めも本当に素晴らしいとしか言いようのない絶景で、
特に南側に向かって見るからに脆く地獄のような西穂への稜線と、
そこに門番として君臨するジャンダルムの威圧感たるや!
よく目を凝らすとあちらの頂に達した人たちが何人か見えますが
あそこはおそらく日本屈指の難コースで、
ホンモノの人しか行けない聖域。
自分はもうここから眺めるだけでお腹いっぱいです。


↓標高3190mの奥穂高岳


↓もう一発シェ〜


↓ジャンダルム!


奥穂を後にして、先の穂高岳山荘までは渋滞するので有名ですが
時間帯的に登ってくる人もあまりおらず快適に下り、
小屋直上の名物の2連梯子もあまり恐怖感も感じることなく、
14時前には穂高岳山荘に到着。
しばしの休憩ののち、
反対側にそびえるもう一峰の涸沢岳にも寄り道をし、
3000m峰を3本登ることができました。


穂高岳山荘の真上


↓標高3110mの涸沢岳


再び穂高岳山荘に戻ってきた時点でまだ時刻は14時。
このまま小屋に泊まって、
夕焼け&朝焼けショーも十分魅力的だったのだが、
事前のリサーチでこの日はめちゃ混みするのがわかっていて、
それなら、時間もあるし、一気に涸沢に下った方が
下は小屋が2つあり、規模も大きいので、
混んでも快適に一晩過ごせるだろうし、
翌朝にもう一峰、北穂ピストンすることも可能だと欲張って
ザイテングラートを一気に下りて、涸沢小屋へ。
約10時間の充実した山行でした。


↓祝杯♪


しかし、この小屋チョイスが大誤算!
1枚の布団に3人の超過密で、
しかも同部屋のメンツがそろいもそろって大イビキの大合唱で、
一睡もできず。
10時間の山行より、9時間の夜間の方がはるかにハードで、
今までの小屋宿泊のなかでも断トツに厳しい夜でした。
それを差っ引いても、
あまりこの小屋は泊まるにはいろいろ難しいところだなと。
すでにお気づきの人もいるかと思いますが、
これだけ毎年山へ入っていて、
あえて近寄らなかった涸沢。
実に十数年ぶりに来ましたが、
やはり眺望も含めて自分にはあまり魅力的な場所ではなかったです…。


最終日は結局、夜中の大疲労のせいで、コンディション最悪。
あまりの疲労に集中力もなく、
こんな状態で北穂へ登れば間違いなく下りで事故るので断念し、
黙々と上高地へ下山。
あまりに意識朦朧としてほとんど覚えていないが、
3.5hほどで上高地に到着し、最速ルートで帰阪しました。


事前に思っていたよりは、
高度感や恐怖心を感じるような場面もなく、
ただひたすらに広がる絶景を心行くまで堪能できた山行で大満足。
奥穂はまた何度でも登りたい山でした。
詳細はおいおい。


<山行ルート>


<山行スケジュール>
●1日目
07:37新大阪駅⇒08:30名古屋駅08:43⇒10:55高山駅
13:40高山濃飛BS⇒14:38平湯温泉15:00⇒15:25上高地BS
15:30河童橋⇒16:00西糸屋山荘 別館


●2日目(10時間20分)
04:50泊西糸屋山荘 別館⇒05:00岳沢湿原・岳沢登山口⇒
05:25(7)番標識⇒06:00(4)番標識⇒06:30岳沢小屋07:00⇒
7:25長梯子⇒07:40カモシカ立場07:45⇒08:30雷鳥広場08:35⇒
08:45紀美子平08:50⇒09:059合目(槍見平)⇒09:20前穂高岳09:45⇒
10:10紀美子平10:20⇒10:43分岐点⇒11:40鎖場11:50⇒
11:58南陵の頭⇒12:05穂高岳12:25⇒12:55穂高岳山荘13:10⇒
13:25涸沢岳13:30⇒13:30穂高岳山荘13:40⇒
14:10ザイテングラード14:30⇒15:10涸沢小屋泊


●3日目(3時間40分)
05:10涸沢小屋⇒05:15涸沢ヒュッテ05:20⇒05:44Sガレ⇒
06:07本谷橋⇒06:45横尾 (横尾山荘)07:00⇒07:30徳澤園07:45⇒
08:12明神館⇒08:44河童橋⇒08:50上高地BS9:30⇒
10:35新島々駅10:53⇒11:27松本駅12:52⇒
14:01名古屋駅14:11⇒15:03新大阪駅