いざ槍へ 間一髪セーフの下山
前夜のK大先生の大独演会のおかげ様であまり満足な睡眠を得られないまま、
3時ごろに目が覚めて起床する。
この頃は相当に風が強いようで、小屋全体が音を立てて響くほど。
果たして天気は持つのだろうか…。
寝床でしばらくまどろんでいたが、4時ごろになって準備を始める。
寝床でごそごそは迷惑なので、荷物一式をとりあえず1階のロビーへと運び、
ヘッデンをつけながら荷造りをしたり、着替えをしたり。
そのうちにK大先生も起床し、朝ごはん。
ここの小屋の朝食時間は6時からと遅めで、それでは出発が遅れてしまうので、
そちらはやめて、自前の補給品をポリポリ。
そのうち、昨日の老夫婦の方や、早立ちの人たちも起き出してくる。
小屋のご主人も起きてこられたので、お礼をお伝えしておきます。
確かに周囲の小屋の充実ぶりに比べると質素に感じるかもしれないが、
混むこともなく古き良きいい山小屋でした。
外の様子を偵察に行くと、東の空は邪悪な色をしているが、
一部には晴れ間ものぞいている。
少なくともあと2,3時間はなんとかなりそうか。
翻って槍の方を見やると、すでに分厚いスモークがかかっていて、
その間から、小屋の明かりと早立ちのランプの明かりが怪しくこちらへと突き抜けてくる。
わずかの差だけど、やはり肩の小屋から少しでも高度を下げた判断は間違ってなかった。
4時30分を少し過ぎて、予定より少し早めに出発することにする。
K大先生は睡眠も十分で、意気揚々。
まだ足元が見えづらいので、ヘッデンで足元を照らしながら進んでいきます。
坊主岩小屋に到着した時点で、東の空がにわかに明るくなったので、
ひょっとして朝焼け見れるかなと、10分ほど待ってみたが、さすがに無理でした。
そこから再び下山を開始していくのだが、
グリーンバンドまでの岩沢のところでなぜか道を間違って、
正規ルートから外れてしまうが、といっても戻るのも面倒なので、そのまま突っ切る。
槍が大きく見れるのも、ここまでなので振り返ってみたら、
最後のお別れを言うかのように、厚い雲間からぬうっと顔をのぞかせてくれました。
厚き雲のマントを羽織った槍もまた格好良すぎます。
そこからはひたすらK大先生を励ましながらの下山。
空模様は明け方に比べてよくなってきている感じもするのだが
しかし常念岳にも蝶が岳にも笠のような雲がポン、ポンと浮かんでおり、
なおかつ背後の飛騨乗越から降り注ぐ雲の量も増えてきて、
油断ならない。
早朝に槍沢を発った登りの人たちと離合しながら、せっせと下山していきます。
下りは下りで足にダメージが響くので、ちょっとずつお疲れモード。
やはりなんといっても上高地まで22kmは伊達じゃない。
大曲りで小休止し、それから槍沢のテン場でも休憩を取る。
ここにできたばかりのトイレがきれいで、
ようやく便秘から解放されて、しばしトイレタイム。
槍沢ロッジから横尾までは往路の時はそんなに距離を感じなかったのに、
下りでは果てしなく長く感じ。
Kさんとともに閉口。
二ノ俣、一ノ俣を過ぎても、まだまだ横尾に届かず、
ヘロヘロ状態で横尾に到着。
そこではそれほど休憩を入れずに先を急ぎます。
ここからは涸沢・穂高方面からのお客や、
早朝に上高地を発った人たちで一気に人が増える。
抜かされっぱなしはシャクだと、時折Kさんもターボ発動して、
いい調子で徳澤に到着。
頑張ったご褒美にソフトクリームを進呈させていただきました。
いやあ、疲れた時のスイーツうますぎ!
さて、徳澤で休憩を取っている間に、いよいよ雨がやってきてしまいました。
出発してしばらくするころには本格的な雨脚になってきましたが、
幸いにして深い森がダメージを軽減してくれています。
それでもさすがにこれだけ歩いた疲労の上に、
雨に当たられるのは全く歓迎できることではなく、
2人とも無言のまま淡々と足を前に進めるのみ。
日曜日だというのに、明神館を過ぎても、観光客はほとんどおらず、
足早にパスしていく下山者ばかりが目立ちます。
そうして11:50に上高地へ無事到着。おつかれした!
で、まずは昼飯でもと思ってBSの2階へ上がろうとしたら、
なんと11:00〜13:00まで団体貸切で一般客は入れないとか、ありえん。
ああ、団体ってほんと迷惑。
仕方ないので、まずは平湯へ移動しようと切り替え。
すぐにバスがやってきて、しかもちょうど最後の2席をゲット。
ここでもK先生はもってる。
↓上高地BS
超満員のバスではザックを抱えてひたすら爆睡。
あかんだな駐車場に戻って、簡単に荷物をまとめたらすぐにひらゆの森へ移動。
まずは湯船へダーイブ!
ああ、命の洗濯だわ〜。生き返ります。
さっぱりしてのち、最奥にあるレストランで昼ご飯を食べ、
フロントのみやげ物屋で家族へのお土産をゲットし、15時には帰路につきます。
帰りの車窓はもう、台風の真っただ中かと思うような大荒れの天気。
特にひるがの高原付近では、K先生自慢の自動検知システムが無効になるほど
強烈な雨粒が襲い、前方が全く確認できずに焦る。
山間部を過ぎ、名神に入るころには雨はやみ、
大した渋滞もなくスムーズに帰ってこれました。
ということで、K大先生を槍ヶ岳の山頂に上げるというミッションコンプリート。