記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

『NIGHT HAWKS 〜夜鷹〜』 *オリジナル楽曲*

7月以来、久々の新曲リリースとなります。
オリジナル楽曲第15弾はこれまたかなり久々に全英語詞に挑戦。
その名も『NIGHT HAWKS 〜夜鷹〜』
元々アメリカンな曲をイメージしていて、
自分的にはかなりそのイメージ通りの出来で満足。
(ただし相変わらずギターテクは上達してませんケド…)



夏シーズンはどっぷり山遠征漬けではありましたが、
ギターはほぼ毎日かき鳴らしており、
楽曲の元ネタ的なものは結構たまってはいたのですが
本格的に歌詞をつけて、アレンジを組んでというほどの時間が取れずにいました。
ようやく山シーズンもひと段落したところで、そろそろ形にしようと動きだし、
その第1弾となります。
大体テキトーにギターを弾きながら、ハナモゲラ式に鼻歌を歌って、
それを徐々に成形していくのだが、
この歌はメロディーの段階からこれは英語詞じゃないと雰囲気が出ないなあと思っていました。
敬愛する細野晴臣さんがインタビューか何かで
英語には英語のテンポやニュアンス、日本語には日本語のそれがあって、
それをむやみに変換すると楽曲の持つイメージとかニュアンスが変わってしまうので
できるだけ原曲通りに歌うのがよいというようなことを言っていました。
その感覚よくわかります。
この曲は英語の歌詞で歌わないと、メロディーの持つねっとりとした感じが絶対出ない。
英語で歌詞を書くのは本当に久々で、日本語で書くより神経を使う作業なので
書き初めまではかなり躊躇していたのですが、
コンセプトというか歌のストーリーが見えてからは意外とスムーズにできました。
ただ、文法的に不安がないわけじゃないけど…でもたぶん大丈夫(笑)


今年はほとんど読書の時間が取れていないのだが、
ほぼ1年をかけて繰り返し読んでいる一冊がある。
それがアメリカ文学の巨匠スチュワート・ダイベックの『シカゴ育ち』という本で
なんというか自分の思う理想の文学像がそのまま一冊に凝縮されていて、
アメリカ中間層の他愛もない日常の克明な描写から連想されるアメリカの風景に
この1年どっぷり浸かっている。
その一節に「夜鷹」という話があって、
話自体は普通の夜のコーヒーショップに集う人たちの話なのだけど
自分にとっては非常に印象に残る物語で、
そこからインスピレーションを得て、夜鷹というタイトルだけ先行して付けました。
元々、この歌をニールヤングみたいな
ねっとり、スモーキーな楽曲にしたいと思っていたので
歌詞の中身的にはもっとメッセージ性のあるもの、
できればキリスト教的哲学観を含んだものにしたいなあと考えていたところ、
夜鷹という言葉には江戸時代の遊女のことを指すということを知りました。
鷹というと鳥類の中でも非常に高尚で威厳ある王様のようなイメージなのに、
そういうひどい環境で虐げられてきた人女性たちを指すというのは何と因果なものか。
そこに堕天使的な要素があるなと感じて、それを描いてみたところ、
曲の持つイメージとぴったり合致しました。


曲のアレンジとしては本当にシンプル最少。
最初はドラムも入れていたのだけど、
そうするとちょっとアレンジがゴージャスになりすぎて最終的には外して
ギター(ベース代わりのテイクも含む)のアレンジを4枚入れるだけの構成にしました。
リズムをしっかり取るというのを頭に入れて弾いたので、リズム感は出てると思います。
ザラザラと乾いた荒涼とした音質と、
ねっとりまとわりつくようなメロディーラインで、
荒野のアメリカン的な雰囲気を出したいなあと頑張りました。
どうも自分はジプシー的な血の湧くようなメロディーとかリズムが好きなのです。
もうちょっとソロのピッキングがうまくなれればいいんだけどなあ。


ジャケットの写真は先日の鳳凰三山での一枚。
鷹の歌なのに、鳳凰=鷲での写真で想定外のニアミスですが。
あの枯れ枯れの林の風景は絶対何かに使えると思っていたらすぐに出番がありました。
もろもろ満足な仕上がり。



『NIGHT HAWKS 〜夜鷹〜』
作詞・作曲:arkibito


Hey boys, did you hear me?
Night hawks hang around a back alley for bait
The eyes that glared always keep watchin' you


An ex-queen reduced to a beggar
does anything for such a paltry sum
Oh,No way,you're no match for her 


But I know
Just I know what she really is
Flapping holy golden wings,
Slits rogue's throat by incisive nails and gobbles down their guts


Hey listen carefully
Night hawks sadly sings a blood-smeared song
The eyes filled with sorrow beg forgiveness


Every night,She weeps at pitiful own form on the show windows
And just waiting for daylight but never comes...


Hey listen carefully
Night hawks sadly sings a blood-smeared song
The eyes filled with sorrow beg forgiveness


Boys,keep in mind
Night hawks hang around a back alley for bait
The eyes that glared always keep watchin' you


おい坊や聞いてるか?
夜鷹が獲物を求めて路地裏をうろつき
ギラギラした目つきでお前たちをいつだって見ているぞ


かつての女王様も今じゃただの物乞いさ
それっぽっちのはした金のためでもなんだってやる
お前なんて全くお呼びじゃない


でも俺だけは知ってんだ
彼女の本当の姿を
黄金色の聖なる翼をばたつかせながら
鋭い爪で悪党どもの喉元を切り裂いて
そのはらわたを喰らうのさ


耳を澄ませて聞いてみな
夜鷹が血塗られた歌を物悲しく歌いあげ
悲しみに満ちたまなざしで許しを請うのを


毎夜毎夜と
ショーウィンドウに映る哀れなシルエットを見てはむせび泣く
来るはずのない夜明けをただ待ち続けて


耳を澄ませて聞いてみな
夜鷹が血塗られた歌を物悲しく歌いあげ
悲しみに満ちたまなざしで許しを請うのを


そしてこれだけは覚えておけ
夜鷹が獲物を求めて路地裏をうろつき
ギラギラした目つきでお前たちをいつだって見ているぞ