記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

ポスト本田JAPANのかたち

昨日のUAE戦。
2度ほど決定的なピンチがあったが、
90分のほとんどの時間、全く不安も心配もなく観れて、
ほぼ完勝だった。
これほど落ち着いて試合運びができたのは
本当に久しぶりではないか。


前回苦杯を舐めさせられた大の苦手のUAEが相手、
しかも中東アウェイの地。
JAPANをこれまで牽引してきた主力陣が
ことごとくクラブで不調をきたし、
精神的支柱であるキャプテン長谷部の戦線離脱と、
ほとんど負け要素だらけの戦前でした。


その上、本選出場に向けては絶対に負けられないという
相当にプレッシャーのかかる、
今後のターニングポイントになりうる試合。
すでに試合を終えていたライバルのサウジは勝ち点を13に伸ばし、
オーストラリアが引き分けてくれたのでラッキーだったが、
この試合で負けると一気に本選出場圏外の4位転落もありえた。


そんななかで、スタメンから本田、岡崎の名が外れ
活きのいい大迫、原口、久保のトリオが名を連ねた。
実際彼らの豊富な運動量が躍動し、
攻守においてそれが機能していた。
先制した場面では、酒井にボールが渡った瞬間に、
すでに久保がトップスピードで相手DFを千切り、
角度のないところからであったが、
ほぼフリーの状態というのを冷静に見極めて、
正確に振りぬいた結果が出た。
今までなら、あの状況で、自ら決めずに、
より不用な正確性を求めて中へボールを上げて、
飛び込んだ2人目に託し、
その2人目が蹴りそこなってボールが反対サイドへ転がるか、
力みすぎてゴールから大きく外れて、
ピッチを叩くという場面があまりに多かった。
若くフレッシュな久保だからこそ、
大胆に自分で振りぬくという選択、自分で決めるという姿勢が
今までのJAPANに足りなかったものだ。
攻撃面だけでなく、彼ら3人の豊富な運動量やスピード、粘り強さは、
まだまだ脆弱なDF陣を強力にアシストし、
一発カウンターを決められた2回以外、
ピッチの3/4のフィールドを安定的に支配していた。
運動量とスピード感の見違えるような向上は、
攻守の切り替えの早さ、中央突破一辺倒ではないワイドな展開など、
停滞していたチームを明らかに甦らせた。


もちろん、大迫にせよ原口にせよ、
これまでの彼らの行動言動にヤンチャな部分があり、
ピッチの上での信頼性に響くことがあったし、
久保も代表に選出されて間もない。
その経験不足や信頼性を補う意味での保険として入れた
ベテラン今野もうまく中盤をコントロールし、
しかも2点目を入れるというオマケつき。
確かにファーストチョイスは長谷部になるんだろうけど、
ちょっとスマートにやろうとしすぎるきらいがあり、
試合中にスキをつくることも多いから、
泥臭い今野というのもいい選択肢になりうる。
(ただ我がガンバでも時々致命的なチョンボするけど)
あと、目立ちはしないが、確実に走ってピンチの芽を摘む
蛍の仕事師ぶりが光っていた。


昨日の試合では、香川や本田、長友、岡崎という
旧来のメンバーの一挙手一投足にではなく
彼らのようなこれからの選手に
スポットライトが浴び続いていたというのはいい傾向だと思う。
とはいえ、旧来メンバーもその経験やキャプテンシーがあるわけで
今まで主役を張っていたというところに固執せず、
サブでもなんでも必要な役割に転じれば、
これからもっとうまくチームが機能するという
道筋が見えた気がする。