渥美トレイル 弾丸縦走
愛知県のカニの爪のひとつ渥美半島には
背骨のように山がポコポコと連なっていて、
それを繋いだ手軽なトレイルがいくつかあるようでした。
せっかくなら最高峰を通るルートを歩こうと思って
雨乞山から最高峰の大山をつなぐ
渥美トレイルを歩いてみることにします。
予定通りのバスに乗り込み、30分ほど走って、
石神バス停に到着したのが12:03。
ここから半島を縦断する形でトレイルを歩き、
南側の海岸線にある越戸バス停まで。
バスの時間が15:09か17:09の2択しかなく、
大阪までの帰りを考えると当然前者を狙っていくしかない。
となると逆算するとほぼ3時間で完歩する必要がある。
初めての山塊なので距離感がイマイチわからないのだが、
あまり悠長に歩くことはできないだろう。
でも、トップでもせいぜい330mだし、
まあこないだの愛宕山ほど地獄でもないはず。
序盤にできるだけ頑張って、後半に余裕を持たせるため
スタートから巻きで参ります。
まずはバス停から国道をまたぎ、石神の集落へ。
一応、ポイントに雨乞山への案内があるのでそれにしたがって
のどかな村落を抜けていきます。
すでに右側には雨乞山が見えていて、
ずーっと直線の道を歩いていくと、
貯水池の所で案内があり、そこを曲がります。
そして池の脇から舗装が解けて、トレイルがスタートします。
いざ山道へと勢い勇んで舗装を外れた途端、
目の前に衝撃的な光景が!
なにこの激坂!!
ほぼ垂直に感じられるようなガレガレの道が、
はるか上部まで連なっているではありませんか!?
いや、これがずっと続くようなら絶対ヤヴァイでしょ。
いきなりのカウンターパンチに目がくらみますが、
行くっきゃない。
取り付いて、手も思いっきり使いながらよじ登るような感じ。
でもガレッガレなので、足元が滑る滑る。
ずり落ちないようにして、
必死のパッチで体を押し上げていきます。
すぐさま全身から大汗が吹き出ますが、
立ち止まるとずり落ちそうなくらいなので
斜度が安定するまでは体を動かし続けてとにかく登る。
ようやく上部の人工物のあるところでわずかな平地があり、
早くも一服。
いやあ、無茶なトレイルのつけ方をします。
これ、下る方はもっと怖いと思う。
そこからは、常識の範囲での急坂に変わりますが、
のっけからこのハードトレイルは予想してなかった。
徐々に斜度は落ち着いて、ブッシュの間を進んでいきます。
高度的にはロケットスタートのように一気に上げてきたので
すぐ目の前に雨乞山が現れ、
振り返れば、眺望も一気に開けてきました。
↓雨乞山の山頂が見えてきた。後ろには三河湾がちらり
そこからも、決して安易な道ではなく、
岩礁を越えていくような個所を何度もこなしていきます。
ただ、特段滑落など危険を感じるような場面はありません。
高度を上げるにつれ、麓の集落だけではなく、
三河湾とその向こうにある蒲郡一帯まで望むことができます。
すぐ目の前が海だとなかなか眺めがよくて気持ちがよい。
さらに上がっていくと、今度は南側の眺望も開けてきます。
見渡すと、これから進んでいく山並みが見え、
その一番先に、電波塔が目印となった山。
あれが、最終目的地であり、今回の最高峰となる大山。
こう見ると、結構な距離がある上に、
アップダウンが相当ありそう。
時間的な縛りがあるうえに、
しょっぱなの激坂に面食らっているので、焦ります。
そこからも岩場は続いていきます。
なかなかどうして野趣に富んだ面白い道です。
しばらくして平坦なところに出ました。
くちなし台という標識があります。
個々も南の眺望が開けていて、
右手に物見山、奥に大山が見えます。
そこから、ようやく穏やかになったトレイルを進んでいくと、
前方に雨乞神社の標識。
本線を少し外れて、右の枝道へと進んでいくと、
大岩をくり抜いた洞に小さなお堂がありました。
”雨乞”というだけに、
この辺りは干ばつがひどかったのかもしれませんね。
せっかくなのでお賽銭を入れてお参り。
すぐに本線へと戻り、トップを目指します。
ここからもなかなかの岩場が連続していきます。
登山口からはわずかに30分ですが、
すでに高いところまで来てます。
えいほえいほと登りきって標高233mの雨乞山に到着。
なかなかの見晴らしで開放感があります。
眼下に広がる福江の町並みの先に、
三河湾の一番狭まる湾の入り口に浮かぶ
篠島や日間賀島、佐久島があり、
対岸に延びるのは知多半島。
いやあ、ええ山です。
さて、若干の休憩と撮影タイムを済ませて
次に向かうは物見山。
南側に向かってトレイルが続いていて、
割と平坦にブッシュの間を抜けていきますが、
せっかく急登を詰めた甲斐なく、どんどん下っていきます。
眺望はなくなり、深い緑の中、しんどい登り返し。
この辺りは歩きやすいのでサクサクと飛ばして、
10分ほどで物見山に到着。
物見山からは、さっきまで見えていなかった
大山までの間の具合が確認できます。
あそこまで、まだ2度3度ドンブラコと登り返しがありそうだ。
物見山の山頂を後に、比較的平坦な尾根道をずんずん進むと、
前方に分岐点。
せっかくなので寄り道をして、直進します。
先客が休憩していた弁当岩をスルーして、その先の
タコウドという不思議な名前のピークまで。
残念ながらここは眺望なし。
弁当岩で少しだけ眺望を楽しんで、さっきの分岐までバック。
ここから南側の斜面を一気に下る。
ガレッガレで滑りやすいトレイルで、
うっそうとした森の中へ落ちていくようにして
ズシャーズシャーと下っていきます。
この山塊はどうやらどこから登っても下りても、
急なようです。
そうして鞍部にある糀峠に到着。
ここからはいくつかの道に枝分かれしていますが、
ここは迷いなく大山方面の登りへ。
ここからも、短いながらの急登を詰めることになります。
しばらく登ると鉄塔のある広場。
振り返ると真正面に物見山がドーン。結構迫力を感じます。
鉄塔の広場からブッシュに分け入って、
再び急登と格闘。
一気に登って、つつじ山という表示のあるところからは
斜度がいったん緩む。
緑の回廊のようなトレイルを進んでいくと、
再び岩場のよじ登る区間があり、汗がしたたり落ちる。
登りきると分岐があり、本線を少し外れて、
狼煙(のろし)山と呼ばれる小さな広場に出ます。
ここからも電波塔のある大山が見えます。
まだまだ先は長い。
一旦分岐まで戻り、本線を進むと、
まるでマレフィセントな暗くて怪しい雰囲気の
深い森の間を縫うようにして進みます。
この辺りは斜度は収まり、平坦な道だが、
木の枝に合わせるかのようにクネクネと道も曲がっていきます。
しばらく進むと、目の前に突如の大岩が現れ、
その割れ目の間をトレイルは進んでいます。
そこをえいやと登りきると、
そこが観音の腰掛けと呼ばれる岩でした。
深い深い森が一帯を支配する中で、
この大岩だけがぴょこんと突き抜けて、存在を主張して、
まるで陸の孤島のようです。
すり鉢状の平地のヘソに位置していて、
周囲の山を見上げることができます。
もともと渥美半島自体、太平洋から吹き付ける風の通り道なのだが
この付近はさらに風が幾方向からも舞い込んでくるのか
バタバタと強く吹いています。
時刻は13:30を少し過ぎたところ。
スタート地点のバス停から
持ち時間の約半分を使ってここまで来ました。
残りの道のりを1.5hで歩破しないとバスに間に合いませんが、
目測では、少なくとも半分は来ているので、
今のところは大丈夫そう。
少し岩の陰で休息を取り、おやつとおにぎりで昼ごはん。
10分足らずで休息を終えて、リスタート。
岩の向こう側から再び深い森の中へと進みます。
空が曇ってきたので、ますます森の中は薄暗くなり、
グリム童話のような不気味な雰囲気が高まります。
しばらくは平坦でしたが、じきに斜度が上がっていきます。
15分ほど登っていくと、前方が丁字路の分岐になっていて、
その真ん中に臍石(ヘソ石)と呼ばれる岩の塊がゴロン。
そこに登ってみると、ようやく目の前に大山が姿を現し、
その脇からちらりと太平洋が見えました。
あとひと山登り返せばと、めどがついてきた矢先に、
ついにスマホが馬鹿になります。
表示ではあと18%の電力のはずなのに、
気づいたら落ちていて、
再起動して写真を1枚撮るとまた電源が落ちてを繰り返し、
そのうち再起動もできなくなりました。
ここで困るのが、今回の遠征で腕時計をし忘れてしまい、
スマホが起動しないと時間がわからない。
ここまでの状況だときっとバスの時間には間に合うが、
細かな時間がわからず調整ができなくなってしまったので
とにかく急げるところは急ぐということに
徹しないといけなくなった。
今回はまだメドがついているし、低山だからいいけど、
この夏の遠征でもちょっと気を付けておかないといけないな。
しばらく尾根道を歩いていくと、
あつみ大山トンネルの方からの登山道と合流。
いよいよチマコッピに向けてオーラスの登りです。
で、これがまたキツイ。
この山塊はどこも本当に最短真直でトレイルがついているので
全部急登に感じます。
10分ほど急登とと格闘して、
最後は汗ダラダラで山頂に達しました。
↓標高327.9m、渥美半島最高峰、大山
山頂にはずっと見えていた電波塔があり、
その脇に展望台が設けられていました。
登ってみると、北側にはここまで歩いてきた山々が連なっています。
西側には午前中歩き回った伊良湖方面の様子と海が見えます。
↓電波塔と、伊良湖岬
さて、あまり悠長にはできませんので、
ひとしきり眺めを楽しんだらすぐに下山開始。
表参道側の道は幅は広く、先ほどまでと比べると歩きやすいが
こちらもなかなかの急坂で、がれています。
海へと一気に下る道なのですが、
残念ながらこの道上からは海は見えず、ちょっと残念…
20分ほど、ガシガシと下って、
白山神社の鳥居でトレイルは終了。
お疲れ様でした。
眺望もよく、岩場などバリエーションに富んだコースで
なかなか面白い山でした。
ただし、標高に比べて、アップダウンがきついので
油断していると大変かと思われます。
↓白山神社の鳥居にて無時下山
とりあえず無事に下山はできましたが、
ゴールはここではありません。
R42へと出て、左手に進んで歩いていくとバス停を発見。
時刻表を確認すると15:09。
スマホがなんとか一瞬再起動で来て、
時刻を確認すると20分前で、ホッ。
ということは、2時間40分の山行だったということになります。
道は交通量が多く、路肩もないし、
バス停と言っても標識だけなので、
民家の石垣に座ってコーラを飲みながらバスを待ちます。
時刻通りにバスが来て乗り込みひと段落。
無事に三河田原駅に戻ってきました。
10分後に出る豊鉄に乗り、豊橋に戻ってきたのが16:22。
そこから16:45発のこだまに乗って名古屋着。
↓豊橋駅
おなかペコペコだったので、
新幹線ホームのきしめん屋さんでしっかりいただいてから、
乗り換えて、帰阪したのが19時頃でした。
ということで、名古屋遠征編、完結。
↓味噌きしめん
<山行スケジュール>
12:03石神バス停⇒12:15雨乞山登山口⇒12:32くちなし台⇒
12:35雨乞神社12:37⇒12:40雨乞山12:45⇒
12:55物見山12:57⇒13:02分岐⇒13:05タコウド13:06⇒
13:10分岐⇒13:15椛峠⇒13:17鉄塔⇒13:22つつじ山⇒
13:25狼煙山13:27⇒13:32観音の腰掛け岩13:40⇒
13:55臍石13:57⇒14:15大山14:20⇒
14:40白山神社鳥居⇒14:45越戸バス停15:09