記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

『わたしたちはまだ、その場所を知らない』 by 小池昌代

詩の気高さに魅了された3つの不器用なタマシイの物語。
詩という澄んだ存在、無味乾燥とした中学校という舞台、
目に見えない土壌汚染や見つからない特別学級の存在,
あるいは無音で回り続ける赤色灯が暗示する漠然とした不安感、
そして冬のキビキビとした寒さ。それらが見事にシンクロし
作品全体を、ひんやりとした透明感、残酷なまでに研ぎ澄まされた空気感で包み込むことに成功している。
装丁も素晴らしくジャケ買いしました。
なかなかの秀作。
冬の寒い間に読みたい一冊。


わたしたちはまだ、その場所を知らない

わたしたちはまだ、その場所を知らない